〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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イベントに遅刻しそうな奴いる?いねえよなぁ!?

 

 

 

 

病室で男が一人眠っている

 

その男は身体中を縫われており、ミレニアムの技術力ですらその縫い跡を完全に隠せなかった

 

また、右肩の少し下の部分……腕の付け根の辺りにはおそらく完全ミレニアム製であろう機械が取り付けられていた

 

千切れかけていた腕を覆う様に装着されている機械は近くのモニターとコードで繋がれており、そこには〝接合率〟やら〝バイタル〟やらと表示されている

 

しかしそれらは決して一瞬で〝腕が千切れかける程の重傷〟を治せるなどという都合の良い代物などではなく、あくまで腕の神経等の接合具合を安定させるだけだ

 

一応、この世界には〝若返りの秘薬〟などというとんでもない薬を作れる原料や原理が存在する為、その一部を利用すれば完全に腕を治すことも不可能ではないが……

 

仮に時間を掛けて腕を完全に治したとしても、以前とまったく同じ様に身体を動かすにはかなり過酷なリハビリが必要になってくるだろう

 

………それも、ベッドの上で眠っている男が目を覚ませばの話だが

 

「ごめんね、酒泉……リオを止めることができなくて……」

 

そんな目を閉じたままの男にもう一人の男が話しかける

 

「私は……君に彼女のことを任されていたのに……」

 

このキヴォトスで〝先生〟と呼ばれている彼は、生徒を助けることができなかったという無力感に苛まれていた

 

今にも血が出そうな程、己の拳を強く握りしめる先生

 

しかしそんな事をしても彼の気はまったく晴れなかった

 

「……今日、私達はアリスを取り戻す為にリオの居る場所へ突入することになった」

 

眠っている男からの返事は……酒泉からの返事は当然聞こえてこない、それでも先生は話し続ける

 

「次に酒泉が起きた時にはアリスもリオも全員が酒泉の目の前に映るようにするから……待っててね」

 

彼はそう言って病室を出ていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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なぜ毎回こんな事になってしまうのだろう、俺は自分にとって大切な人達が笑顔でいてくれたらそれで良いだけなのに

 

……いや、そんな綺麗な理由じゃないな

 

最初はただ空崎さんが幸せになってくれればそれで良いだけだった、だから調印式から先のことはどうでも良かった………なぜなら先生が何とかしてくれるってことを原作知識で理解していたから

 

でもこの世界はそんな都合良く出来ていなかった、まるで勝手に展開を変えた責任を取らされるかの様にベアトリーチェに目をつけられた

 

そのベアトリーチェに錠前さんを差し向けられたりされたが、結果的にそこからアリウススクワッドと協力して秤さんの救出に向かうことにした

 

………いや、この時はまだベアトリーチェが俺の情報をどこまで握っているのか確かめる為とか色々ごちゃごちゃと考えていたな

 

ただ、そういうのを抜きに純粋な気持ちで秤さんを助けたいと思ったのはアリウス自治区に繋がるカタコンベを抜けた辺りだったかな………まあ、その時は素直にそんな事は言えなかったけど

 

そんでまあ、ベアトリーチェの元へ辿り着くまでに空崎さんの説得や聖園さんとの戦いとか色々あったけど、なんやかんやで乗り越えることができた

 

そして空崎さんを説得する際にこれからはもっと空崎さんを頼るって約束をした

 

実際に俺はバシリカでの戦いでは空崎さんや先生を頼ったし未来のことだって先生に話した、間違いなく以前の独りよがりな自分からは成長できているはずなんだ

 

なのに……どうして俺は結果的に皆を悲しませてしまうのだろう

 

俺はただ、皆が幸せになってくれればそれで────

 

 

 

 

 

 

 

『その〝未来〟には酒泉もいないと私は生きる意味が無いっ………!』

 

『それでも、私が酒泉の代わりになれたらと思ってしまうよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

─────………あっ

 

 

 

 

 

それだけじゃ意味ないじゃん、まず前提条件として俺が幸せにならないと駄目じゃん

 

アホか俺は、「皆が幸せに」とか言ってるくせにそこに自分を含まないとかただのバカじゃん

 

誰だよこの自分に酔ってる薄ら寒くてくっせえ自己犠牲大馬鹿男は………俺か

 

自分すら幸せに出来ない奴が他者を幸せに出来るはずないだろ

 

俺がさっさと目を覚まさないと皆を心配させたままじゃん、それなら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ起きますか!

 

 

 

 

 

 

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要塞都市エリドゥ、その中心部の建物の一室でリオが各施設のモニターを確認している

 

 

「………やはり来たわね」

 

「………」

 

 

モニターの一部に隠密行動中の先生達が映っている

 

しかしここエリドゥはリオのテリトリー、そんな行動など筒抜けだった

 

 

「そろそろ仕掛けるわ……トキ、準備は良い?」

 

「………」

 

「………トキ?」

 

 

何かを言いたそうにリオを見つめるトキ

 

視線が合った瞬間、目を少し逸らしてから遠慮がちに喋り出す

 

「……リオ様、本当によろしいのですか?」

 

「……どういう意味かしら」

 

「酒泉が目を覚ますまで待つという選択肢もあるはずです」

 

「……これ以上彼を巻き込む訳にはいかないのよ、彼が目を覚ます前に決着をつけるわ」

 

「………イエス、マム」

 

 

そう返したトキは侵入者達を迎撃するべく歩き出した、どこかやるせない気持ちを抱えながら

 

 

(………お願いします、酒泉)

 

 

トキ達がエリドゥに戻る前に酒泉に送っておいたメッセージを見てくれることを信じて

 

 

(どうか………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(どうかリオ様を救ってください)

 

 

 

 

 

 

 

 

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そろりそろり……

 

よし、誰にも見つからずに病院から抜け出せたぞ……

 

このままゆっくり……っっっだあ!?

 

 

少し足を壁にぶつけた瞬間に激しい痛みに襲われる

 

包帯やら変な機械やらを付けたまま抜け出して来たがせめて杖ぐらいは持ってきた方が良かったかもしれない

 

……まあ、そんなのを探している間に見つかる可能性もあるけどな

 

それに、飛鳥馬さんから送られてきたメッセージからして時間はそんな残されて無さそうだしな

 

目覚めた直後、頭の辺りに置いてあったスマホを起動してメールを確認してみると《リオ様を助けてください》とだけ書いてあった

 

送信者を確認しなくても一発で分かった、これは飛鳥馬さんだなって

 

そのメールを読んだ瞬間にもう例の事件が起きてしまったことを理解した俺はそこからすぐに抜け出した

 

 

 

 

 

………つっても、こんな身体を引きずりながら歩いても間に合うかどうか怪しいな……

 

先生に連絡してもまったく繋がらないし……エリドゥが通信妨害でもしてんのか?

 

しゃーない、ここは誰かに運んでもらって────「それなら私に任せて」────っと、空崎さん!良いところに!

 

 

 

 

 

 

 

 

………ん?空崎さん?

 

「おはよう……ううん、おそよう、酒泉」

 

後ろを振り向いてみると空崎さんが微笑みながら手を軽く振ってきた

 

………え?なんでこんな所に?

 

「…………」

 

最初は怒られるかと思ってビクビクしていたが、そんな俺の考えが分かっていたのか空崎さんはすぐに俺の考えを否定するかのように口を開く

 

「エデン条約に関する重要書類がミレニアムに盗まれた」

 

………はい?

 

「犯人は才羽モモイ、彼女は酒泉が眠っていたのをいいことにそれを利用して私から重要書類を奪った」

 

突然何を……

 

「先生の話によれば生徒会長の調月リオは以前から酒泉に目を付けていたらしい……そのため、彼女が才羽モモイを利用して計画を実行した可能性がある」

 

………

 

「本来ならシャーレの立ち会いの下、調月リオに事実確認をするんだけど……そのシャーレの先生に緊急連絡しても繋がらない上に先生の目撃情報もミレニアム付近で途絶えているため、緊急事態だと私は判断したわ」

 

………それって

 

「今から私と酒泉で取り返しに行く、いい?」

 

……良いんですか?てっきり「大人しくしてて」って言われるかと思ったんですが……

 

「だって、ここで動けなかったら酒泉は後悔するでしょ?もしそうなったら酒泉の心に一生傷が残り続ける………酒泉の身体が傷付くのは嫌だけど、酒泉の心が傷付くのも同じぐらい嫌だから」

 

空崎さん……

 

「重要書類は大きめのお守りの中にGPSと一緒に隠してある、途中で反応が消えたけど………逆にその辺りに〝何かがある〟って事を教えてくれたようなもの、今からその場所までアコにナビしてもらう」

 

そう言って空崎さんは通信装置を取り出した

 

「アコ、聞いてた?準備は良い?」

 

『はい、GPSの辿ったルートもGPSの反応が消えた辺りで一番怪しそうな所も全て調べ上げました、いつでも行けます』

 

「そう、ありがとう」

 

『それと、ヒナ委員長に言われた通りに首輪と手錠も用意しておいたのですが……一体何に使うつもりですか?』

 

「それは全部終わった後で使うから」

 

『………はっ!?まさか委員長、ついに私のことを飼う気に───』

 

「じゃあ早速行こう………えい」

 

 

一人で盛り上がっている天雨さんを無視して空崎さんが俺の足元にしゃがむ

 

そのまま両足と一緒に上半身も抱えて………え?これお姫様抱っこじゃない?

 

そ、空崎さん!?

 

「酒泉は怪我してるから私が運ぶね」

 

いや、だったらおんぶとかでも……!

 

「こっちの方が運びやすい」

 

いやいやいや!?両手塞がる方が面倒でしょ!?

 

「暴れないで、傷口が開くから」

 

ちょ……あ、天雨さん!何とかしてくださいよ!貴女の大切な委員長が俺とベッタリくっついてるんですよ!?

 

『とうとう私が委員長の犬に……ふふっ、うふふふふふ!』

 

くそっ!聞いてねえ!

 

「……良い抱え心地」

 

抱え心地って何ですか!?

 

『ああっ!きっとあられもない姿にされて、そのまま深夜の散歩を……!』

 

ラ○ナーアアアア!助けてええええ!

 




もうすぐコミケですね、ブルアカ本楽しみです

それはそうと実は今、限界突破サバイバーしたミカが酒泉君を組み伏せるあーるじゅうはちを書いているのですが特殊機能使っても文を書くのがめちゃくちゃ難しいです
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