〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

438 / 514
最終編前その5

 

 

 

「成る程……つまり、ウトナピシュティムにさえ干渉させなければアリスもケイも無事で済むのね」

 

はい、誤った情報を伝えてしまって申し訳ありませんでした……

 

「気にしなくていいわ、むしろ私達にとっては朗報だったから」

 

調月さん……

 

「それで……どうするつもりかしら」

 

……え?

 

「ウトナピシュティムにさえ関わらなければ二人が消える事はない……というのは理解したけど、結局エリドゥのリソースだけでは敵の多次元バリアを突破できない可能性が高いわ」

 

あっ……

 

「でも、あんなに嬉しそうに私に話してきたということは……何か方法を思いついたのよね?」

 

………

 

「………酒泉?」

 

………

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ばかですいませんでした

 

「………でも、これで少しは解決に近づけるかもしれないわ」

 

 

調月さんにも慰められてしまった……今日だけで何回落ち込むんだ、俺……

 

何とかなるかも!?と思っていた分、無駄だった時の落胆具合が凄いね……うん……

 

 

 

「その……」

 

はぁ……今日はダメダメだなぁ……ケイさんにも慰められるし……

 

「……ケイに?」

 

ええ……同じような事があったんですよ……

 

「…………………酒泉」

 

何でしょうか……

 

「……貴方は十二分に頑張ってるわ」

 

……え?

 

「その……誰かの為に命を掛けられるし、他人の為に努力を惜しまないし……」

 

何故か急に褒められた、突然すぎて喜びより困惑の方が強い

 

 

「それと……誰とでも仲よくなれるし、善悪に拘らず自分の信念をしっかりと持っているし……」

 

 

めっちゃ褒めるじゃん、べた褒めじゃん

 

 

「あと、それと……その………私の理解者だし……」

 

 

褒め言葉の弾数切れかけてるじゃん、めちゃくちゃ褒め慣れてないじゃん

 

 

「……………」

 

 

とうとう黙っちゃったじゃん、てか何で急に褒めだしたんだ?

 

 

「えっと…………」

 

………

 

「………」

 

………

 

「………」

 

……あの、ありがとうございます

 

「………ええ」

 

………

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

何だこの空気

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

 

はい、という訳で結局最初の問題点まで戻ってきました

 

そうじゃん、ウトナピシュティムを使わないとリソースが足りないのに「ウトナピシュティムを使わなければ問題無いんだぜ!」とか言っても意味ねーじゃん

 

バリアをどうにかしないと全員死ぬことになるのに……駄目じゃん、さっきから〝じゃん〟しか言ってないじゃん

 

 

「やはり問題となるのはリソース問題ですね……」

 

「でも、酒泉もよく思い出してくれたね」

 

 

そう言って励ましてくれる先生と明星さん、

調月さんと話した後、二人にも連絡して集まってもらった………決してあの空気に耐えられなかったからではない、断じてない

 

 

 

「……ねえ、そういえば酒泉の未来の知識によるとアリスに襲い掛かる負荷は私が肩代わりしていたんだよね?アリスが力を行使する時もそれ、できないかな?」

 

その後天童さんの代わりにケイさんが消滅したんで、恐らく先生と大人のカードの力でも耐えきれなかったのかと………

 

なんなら全部先生が肩代わりして死んでしまったりしたら、そのまま指揮系統が崩れて敵に敗北して結局全滅エンドになる可能性もありますよ………いや、確実になりますね

 

「そっか……」

 

どれだけ念入りに準備したとしても、一回耐えるのが限界だと思います

 

「……逆に言えば、一回はチャンスがあるんだね?」

 

……まあ、はい

 

 

それなら良かった、と安心した笑顔を浮かべる先生

 

俺としては正直止めたいところだが、この戦いは先生の力が無いと勝てない

 

………不甲斐ないな、俺

 

 

「……膨大なリソースを持つ存在、か」

 

「……酒泉、貴方の記憶の中にエリドゥ以外で思い当たる物はありますか?」

 

ええっと…………すいません、何も思いつきません

 

「そう、ですか……」

 

 

 

四人で集まって会議を始めたはいいが、一気に手詰まりになってしまう

 

どうしよう……最初の問題でこんなに躓くことになるなんて

 

まだまだ解決しないといけない事は山程あるのに………色彩の出してくる総力戦ボス達とか─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────ん?総力戦ボス?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

左右上から人の形をした的が現れる

 

酒泉はそれらに向かって弾丸を放ち、頭部に穴を空ける

 

続いて的が出現する────直前に弾丸を放つ、当然外れる

 

今度は別の場所に的が出現する……この的は動きが不規則に設定されており、この射撃訓練の中でも一番難易度の高い的だ

 

しかし酒泉は的がほんの一瞬動いた瞬間、何も迷うことなく左に銃口を向けて引き金を引く────が、これも外れた

 

そして外した直後に的が左に移動する

 

それからも的が出現する直前に撃っては外すをひたすら繰り返した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………空崎さん、結果は?

 

「……100点中48点」

 

そ、そんな……めちゃくちゃ弱くなってる……

 

 

 

 

ヒナは落ち込む酒泉の背中をポンッと叩きながら穴の空いていない的を見つめる

 

(……あれらは全て酒泉の射撃が遅れたから外した訳じゃない、撃つのが早すぎたから外したんだ)

 

入院していたことによるブランクだけが原因ではないだろうとヒナは考える

 

(さっきの不規則な的も結果的には外しちゃったけど予測自体は合っていた………つまり、的がほんの少し動いただけで何処に向かうのか一瞬で判断していた)

 

その結果、ヒナが導き出した答えは

 

(酒泉の〝眼〟や瞬間判断力の成長に対して、戦闘面における技術の成長が追いついてない……?)

 

 

 

はぁ……何か最近嫌なことばっかだなぁ……

 

「……ねえ、酒泉。最近何か気になる事とか起きなかった?主に身体の事で」

 

気になる事?特には………あっ、そういえばトリニティで聖園さんとペイント弾で模擬戦した時の話なんですけど……

 

「……は?聖園ミカと?」

 

あっ………い、いや!最初は軽く運動するだけのつもりだったんですよ!?でも向こうから挑発されたから……その……

 

「…………その話は後でじっくりと聞かせてもらうから、それで?」

 

えっと、その時に一瞬だけ身体の動きが追いつかなかったんですよ

 

何ていうか……頭の中では既に行動していたはずなのに、実際にはまだ動いてなかったと言いますか……その一瞬のせいで負けちゃったんですけど

 

「じゃあ、やっぱり………戦闘面だけ……」

 

……?空崎さん?

 

「……それなら……うん、そうすれば……」

 

 

何かをブツブツと呟くヒナを不思議に思ったのか、酒泉がヒナに近づく

 

……その瞬間、ヒナが酒泉の腕をぐいっと引っ張る

 

 

 

「……酒泉、まだ身体は大丈夫?」

 

え?まあ、射撃訓練だけならそう簡単にバテはしませんけど……

 

「……それならもう少しだけ訓練しよう」

 

いいんですか?むしろ自分から延長を求めようとしてたんですけど……

 

「うん、あまり無茶はさせられないけど………いざという時の為にも戦闘の感覚を取り戻すのは大事な事だから」

 

あ……ありがとうございます!やっぱ委員長は最高っすよ!

 

「……その代わり、少し方法を変えるから」

 

方法を?

 

「うん、とりあえず────」

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

訓練開始のブザーと同時に的が四つ出現する

 

それらの頭部を撃ち抜くと、右側に新たな的が出現しようとしていた

 

しかし酒泉は完全に出てくるのを待たずに引き金を引こうとし────

 

 

 

「まだ駄目だよ」

 

 

 

────ヒナに腕をギュッと握られて止められる

 

ほんの一瞬タイミングをズラしてから撃つと、見事に的の頭部を貫く

 

続いて出現した不規則な動きをする的、それらも狙い撃とうとするが………

 

「駄目、我慢して」

 

またもや腕を掴む手に軽く力を入れられて止められる

 

 

 

「そう、良い感じ」

 

……あの、空崎さん

 

「何?」

 

俺の思考と動きのズレを修正する必要があるのは理解できます、その為に腕を掴むのもまだ理解できます

 

「なら問題ないでしょ……それよりも集中して、また出てくるから」

 

あっ、すいません……じゃなくてっ!

 

何で後ろから抱きつく必要があるんですか!?横から腕掴めばよくないですか!?

 

「……この方がやりやすいから」

 

絶対横からの方が良いですって!?

 

「次、来たよ」

 

あっ、はい

 

「………外れた、ちゃんと集中しないから」

 

……もう一つ聞いてもいいですか?

 

「……また?」

 

すいません、でもこれだけはどうしても聞きたくて……

 

「……なに?」

 

俺の腹に手を回す必要は絶対無いですって!?

 

「……いいから前見て」

 

結局、酒泉はこの日の訓練が終わるまでずっと背中に伝わる謎の感覚に耐え続けていた

 

それと様子を見にきたアコ・アマウは廃人と化したが、然したる問題ではないだろう

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。