〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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最終編前その9

 

 

 

「我々はこれまで何度も憎み合い、傷付け合ってきました」

 

桐藤ナギサは知っている、人間とは争いから切っても切り離せない存在であると

 

他者を疑い、他者を傷つけ、その度に憎悪が深まる

 

それは善悪なんて単純な言葉で片付けられる話ではなく、長い長い歴史の中で強く根付いてしまったものだ

 

「そしてその憎しみの原因はトリニティとアリウスの確執、それらが彼女達の憎悪を育ててきたのです」

 

故に、ここで終わらせなければならない

 

「そう……彼女達もまた、トリニティとアリウスの歴史の〝被害者〟なのです」

 

これ以上憎悪が深まらない為にも、調印式の時の様な悲劇を起こさない為にも

 

「今の私達に必要なのは誰かを非難する為の口でも誰かを傷つける為の手でもありません」

 

そして………

 

「自らの罪を償おうとする思いと、それを赦せる心です」

 

二度とアリウスのような被害者を生まない為にも

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

「錠前サオリ・秤アツコ・戒野ミサキ・槌永ヒヨリの四名をETOに所属させると同時に任務中・任務外問わずに厳重な制限下に置くこと」

 

「また、外出届が承諾された場合のみ外出が可能だが、その際も予め指定された範囲内且つ時間内での行動以外は認められず、行動中も常にトリニティ側で決めた監視係の監視下に置かれる」

 

「……らしい」

 

そう言いながらスカルマンのぬいぐるみを抱いている白洲さん、その表情は少しだけ寂しそうだった

 

 

「突然呼び出してごめん、サオリ達の処遇が決まったから改めてお礼を言いたくて」

 

いえ、俺も暇だったんで

 

「本当はもう少し前に会いたかったんだけど……なんだか忙しそうだったから……」

 

あー……そういえば前にモモトーク来てましたね、あの時は断ってすいませんでした

 

「気にしないで、何か用事があったのなら仕方ないから」

 

 

ドリンクバーで適当に選んだジュースを飲みながら目を逸らして誤魔化す

 

身体がバラバラになりかけたから入院してました……なんて言える訳がない

 

 

「そういえば……この前の戦術対抗戦、見たぞ」

 

どうも、格上にも勝てないし肝心な時にも役に立たない男です

 

「いきなりどうしたの!?」

 

 

あぁ……マジであと一秒長く持ちこたえるだけだったのに……もう少し頑張れよ過去の俺

 

「私からするとかなりハイレベルな戦いだったけど……」

 

剣先さんが本気を出した瞬間にボコボコにされましたけどね……

 

「剣先ツルギ相手に持ちこたえられる人の方が少ないからそんなに落ち込むことはないと思う」

 

だってあと一秒……あ゛あ゛あ゛!あと一秒ううう!

 

「そんなに引きずってるんだ……」

 

 

大敗したとかならここまで引きずることはなかっただろうけど、ギリギリで引き分けたせいで悔しさが凄い

 

はぁ……もっと強くならないと────

 

「酒泉はもう十分に強い」

 

 

またもやネガティブになりかけていたところを、白洲さんの言葉でピタリと止まる

 

 

「大切な人の為に命を掛けて戦うことができて、自分を傷付けた人達への怒りを抑えてまで手を取り合うことができる………そんな酒泉が弱い訳がない」

 

「それに、これは前にも言ったけど………酒泉は私の大切な人達を救ってくれた。だから酒泉が自分で自分をどう思おうと、私にとっては酒泉以上に強くて頼りになる人なんて知らない」

 

そう言って顔をズイッと近づけてくる白洲さん

 

ああ……この感じ、どこかで覚えがあると思ったらアレだ、天童さんに似てるんだ

 

天童さんと白洲さんが光属性すぎるせいで調月さんも錠前さんも脳が焼かれたんだ

 

そんな光属性二人に対しても過酷な試練を与えるとかこの世界ひょっとしてクソなのでは?お排出物ですわ!

 

「……って、この子も言ってる」

 

 

しかし後から少し恥ずかしくなってきたのか、スカルマンのぬいぐるみを顔の前に出してきた、天使かな?

 

にしてもスカルマンか……モモフレグッズってよくペロロ様がネタにされがちだけど、普通に可愛いのもあるんだよな

 

 

「……もしかして興味があるの?」

 

 

なんて眺めてたら白洲さんが再び身を乗り出してきた

 

 

いや、別にちょっと気になっただけ────うわめっちゃ目輝かせてる

 

「酒泉さえ良ければこの子達について教えるけど……」

 

 

カバンの中から次々と現れるスカルマングッズ達、これって白洲さんが語りたいだけなのでは……

 

 

「………」キラキラ

 

 

なんかキラキラって効果音が文字で見えるもん、シャイニングストライクしようとしてるじゃん

 

 

「ど、どうする……?」

……お、お願いします

 

「……!じゃ、じゃあまずはモモフレンズについて……!」

 

 

そこから!?と思ったりもしたが、ここで断ったり止めたりして白洲さんを悲しませたら伝説の犯罪王・ファウストに消されそうなので大人しく話を聞いていた

 

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

 

「────で、このスカルマンの可愛いところはそれだけじゃなくて………」

 

 

すげーや……数十分は覚悟していたけど、まさか一時間以上なんて……

 

でも不思議と退屈はしなかった、普通にプレゼンが上手かったおかげで結構楽しめた

 

けど……流石に暗くなってきたな……白洲さん、そろそろ────

 

 

「ここが一番のチャームポイントで………え?」

 

あっ……いや、その……

 

「………もしかして、退屈だった?」

 

いえ、そんな事はないんですけど……時間が……

 

「………あっ、もうこんな時間になったんだ」

 

 

申し訳無さそうな顔で此方を見つめてくる

 

ざ、罪悪感が……!けどこれ以上時間を掛ける訳には……!ここはちゃんと伝えて……

 

 

「ごめん、酒泉の予定を考慮できてなかった……」

 

 

ちゃ、ちゃんと……伝えて……

 

 

「酒泉がスカルマンに興味を持ってくれたのが嬉しくて……つい……」

 

 

つた……えて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやあ!!!もっと知りたいなぁスカルマン!!!

 

「ほ、本当!?」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

結局あの後、二人で帰ってる途中にモモフレグッズのクレーンゲームを見つけてそれで遊んでたりした

 

え?はよ帰れって?……いや、だって……景品がアームから外れる度に白洲さんがめちゃくちゃ悲しそうな顔するんだもん……

 

だからちょっと本気を出して中の景品全部落とした、今度は店員さんがめちゃくちゃ悲しそうな顔した、ごめんて

 

あ、ちなみにグッズは量が多すぎたから半分白洲さんに渡した………それでも両手が塞がってたけど

 

でもまあ……こんな日常を謳歌できるのも今のうちなんだよな、だってもうすぐ色彩が来るんだから

 

お土産渡したら帰ってくれないかな………あ、そうだ、お土産といえば………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ、クレーンゲームで取ってきたペロロ様です、どうぞ

 

【他の者と会ってきた時の余り物ですか、私には必要ありません】

 

ぴえん……

 

 

すっげー冷たい目でケイさんに睨まれた、そこまで怒らなくても……

 

かと思えばすぐに目の色が変わる………物理的な意味で

 

 

「でしたらアリスが貰います!」

 

お?良いの?

 

「はい!酒泉がくれる物でしたら何でも嬉しいですから!」

 

やっぱり光属性じゃん、勇者でも魔王でもなく天使の間違いだろ

 

 

「それにしても変わった……鶏?ですね!」

 

(……王女よ、貴女にそのような物は相応しくありません。私が回収しておきましょう)

 

(駄目です!これはアリスが酒泉に貰った大切な宝物です!)

(ぐっ……し、しかし……)

 

 

いきなり黙り込む天童さん、多分ケイさんとなんか話してるんだろうな

 

 

「そういえば今日は何をしに……ハッ!?まさかアリスとゲームをしに!?パンパカパーン!酒泉からの好感度がカンストしました!」

 

いや、ゲームはしないけど……もう暗くなってきちゃったし、軽く話そうかなって─────

 

「………ゲームしないんですか?」

 

─────うっ……で、でも……ほら、もう暗いし……

 

「………」

 

あ、明日!明日暇だから!

 

「むふふ……言質は取りましたよ、酒泉!」

 

えっ?……まさか演技?

 

「酒泉の様なタイプの人は寂しそうにしたら必ず構ってくれる……ってヒマリ先輩が教えてくれました!」

 

 

あ、あの超天才清楚系病弱美少女ハッカーめ……!ちょっと頭が良くて性格がよくて容姿も優れてるからって調子に駄目だ勝てるところがない

 

 

【……それで、結局何故会いに来たのですか。ただ会話がしたいだけなら携帯でも十分なはずです】

 

うおっ、突然切り替わった………いや、前に〝重要な話は直接しろ〟って言ってたから……

 

【……まさか、あの言葉を本当に?】

 

 

少し驚いたような表情を浮かべるケイさん、驚きたいのは此方の方である

 

結構ガチなトーンで言われたから本気だと思ったのに……

 

 

【ふふっ……良い心掛けですよ、酒泉】

 

 

しかし機嫌が良くなったっぽいのでよしとしよう

 

 

【それで、その重要な話とは?】

 

前に言った作戦があるだろ?その……負担とか色々と大丈夫かなって

 

【ああ、その事ですか………心配無用です、ウトナピシュティムさえ絡まなければ我々に危害はありませんから】

 

 

俺達が散々悩まされてきた難問………天童さん達の力でバリアをぶち抜く際のリソース不足問題

 

それを解決する為にはエリドゥのリソースだけでは足りないのは明らか、そこで目をつけたのが色彩が召還してくる総力戦ボス達

 

色彩が召還してくる奴等の中にはホドやケセド、ビナーといった見るからに高機能な奴等もいる

 

そいつらを存分に利用してやろう………と言いたいところだが実はコイツら、物語後半には消えてしまう

 

そうなってしまえばリソースを確保することができず、多次元バリアを破ることもできず、そのままバリアにぶつかってミンチよりひでえ状態になるだろう

 

……という訳で、そこで更に考案されたのが〝現地調達作戦〟

 

内容は至ってシンプル……一体倒したら現地に赴いてそいつのリソースを使ってバリア貫通兵器のパーツを作る、また一体倒したら今度はそっちに移動してパーツを作る

 

要するに敵が消滅する前にリソースをぶん取ってやろう……て感じだ、周りのデータを収集して変形させることができるアトラハシースの基本概念ならではの作戦だ

 

しかしこの作戦は天童さん達に移動しまくってもらう必要がある上、連続で力を行使する事になる

 

とにかく二人の負担が大きいのだ

 

休む時間なんて他のボスの所に向かう間しかない、それも揺れる車の中で休むことになる

 

……本当に大丈夫か?

 

【しつこいですよ、私と王女の事を信じていないのですか?】

 

そういう訳じゃないけど……

 

【………ですが、貴方に心配されるというのも悪くはないですね】

 

……え?

 

【そんなに心配なら一つ貴方に役目を与えてあげましょう、私と王女を護りなさい………ずっと、永遠に】

 

 

ピタッと俺の額に人差し指をくっつけてそう言うケイさん

 

 

……ああ、任せてくれ!

 

【そうですか……なら────】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人がリソースを確保し終わるまで誰にも手出しはさせない!

 

【…………………………】

 

 

 







またヒエロ狩りたいから色彩遊びに来ねーかな
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