〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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最終編前その10

 

 

 

「いたぞ!捕まえろ!」

 

「覚悟しろ!テロリスト共め!」

 

 

ハルナ達の前方に風紀委員が立ち塞がる……が、それでも彼女達は走り続ける

 

 

「どうしますか?」

 

「決まっています……私達の美食道に赤信号など存在しませんわ!アカリさん!出番ですわ!」

 

「お任せくださ~い☆」

 

 

アカリの投げ込んだグレネードが風紀委員達を吹き飛ばして道を作る

 

「や……やっと距離を離せた……!」

 

「置いてかないでよ~!」

 

 

先程まで二手に別れていたジュンコとイズミも合流し、いよいよ後は逃げ切るだけ……

 

 

「追い込んだぞ!」

 

「作戦通りだ!よくやった!」

 

「委員長の手を煩わせるな!私達だけで捕らえるぞ!」

 

 

……とはいかず、増援の風紀委員達に囲まれる

 

彼女達の会話を聞くに、ここまでは計画通りなのだろう

 

しかし問題はここからだ、テロリ……美食研究会の逃げ道を塞いだとしても、彼女達を捕らえられるだけの戦力がなければ意味がないのだ

 

 

「ふふっ……この程度の戦力で私達の食欲を抑えられるとでも?」

 

 

彼女達もそれを分かっているからか、強気に前に出る

 

そして銃を構え─────

 

 

 

 

 

「………っ!?」

 

 

 

 

─────ようとした瞬間、背後から殺気が向けられる

 

ハルナは冷や汗を流しながらゆっくりと振り返ると、風紀委員達の間を一人の男が歩いてくる

 

 

「できれば彼が来る前に離脱したかったのですが……」

 

お前ら……!

 

「やるしかなさそうですね……!」

 

 

 

片手に銃を、片手にナイフを持ったその男はハルナに視線を向け……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また愛清さん巻き込んでんじゃねーよ!?

 

「本当にごめん……」

 

 

 

 

 

……ずにグルグル巻きにされて抱えられてるフウカに視線を向けた

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オラッ!キビキビ歩けっ!愛清さんに迷惑掛けてんじゃねえ!

 

「またまたお世話になっちゃったね、酒泉君……」

 

「くっ……私はただ、フウカさんと食事を……!」

 

さっき持ってた縄は?

 

「…………」

 

よし、さっさと連れていっちゃいましょう

 

「了解っと……あ!?暴れるな!」

 

「抑えろ!」

 

 

他の風紀委員達に連れていかれるテロリスト共、お前等みたいな連中がいるから空崎さんや給食部の二人が休めないんだぞ

 

 

「ありがとう、助けてくれて……何かこのやり取りも久しぶりだね」

 

本当は懐かしく感じるぐらいこんな事件が頻発に起きる事の方がおかしいんですけどね……

 

「だよね……」

 

 

ハイライトを無くした瞳で溜め息を吐く愛清さん、昔の空崎さんを見ているようで凄く居た堪れない

 

愛清さんを縛っている縄を慣れた手つきで解きながら………いや慣れちゃ駄目だろ常識的に考えて

 

 

「最近は大人しかったんだけどね……」

 

そういえば俺が復帰したばっかの時もあんま事件聞かなかったっすね……

 

「ああ、それなら………」

 

 

 

──────────

 

 

 

「貴女達の掲げる美食の道とやらがどんな信念だろうと関係ない。貴女達が暴れると復帰したての酒泉に迷惑が掛かるの、理解できる?もし思うように身体の動かない酒泉に流れ弾が当たったら?もし貴女達の下らない茶番に酒泉が巻き込まれたら?確かに私は酒泉が戦うのを認めはしたけどそれとこれとは別の話、これ以上彼に迷惑を掛けるつもりなら一生食事することができない身体にするけどいい?言っておくけど私は本気だから、彼の為なら貴女達も便利屋も万魔殿も全部潰す覚悟が─────」

 

 

 

──────────

 

 

 

「……ってことがあったらしいわよ」

 

………その情報、どこから?

 

「情報っていうか、食堂で直接見てたし……」

 

 

そっか……そんなに気遣ってくれてたのか、空崎さん

 

今度何かお礼をしないとな………っと、もう動けますよ、愛清さん

 

 

「ありがと………はぁ、酒泉君がゲヘナに来てくれて本当に良かったわ……」

 

いつもお疲れ様です……ゲヘナって本当、頑張る人に優しくない学校ですよね……

 

「うん……でも給食部の部長として最後まで責任を持って戦わなくちゃ……」

 

おかげでいつも美味しい食事を頂けております

 

「……そうだ、何か食べたい物とかない?今日はいつもより多めに食材を入荷したから余程変わった物じゃなければ作れるけど」

 

えっ?またご馳走になっていいんですか?

 

「うん、返し切れないほど借りが出来ちゃったしこれぐらいはしないと」

 

風紀委員として当然のことをしてるだけなんで気にしなくてもいいですよ………でも、折角なんでお言葉に甘えて─────

 

 

 

 

 

 

 

 

「酒泉!大変だ!奴等が隠し持ってた爆弾で無理矢理縄を解いた!」

 

「再び暴れ出す前に捕らえるぞ!」

 

 

 

…………

 

「…………」

 

……すいません、気持ちだけ受け取っておきます

 

「……頑張って」

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

待てや自称美食家のテロリストどもおおおお!!!

 

「なんて失礼な!私達はちゃんと食の可能性を───」

 

食の可能性を探るだけなら爆弾はいらねえんだよおおおお!!!

 

「うわっ、凄い気迫……」

 

今ドン引きしたそこのアンタ、貴様だけは許さんからな

 

「何で私だけ!?」

 

「つまりジュンコさんを差し出せば私達は見逃してもらえるってことですね☆」

 

「アカリッ!?」

 

「うぅ……お腹が空いてきた……ちょ、ちょっとだけ────ハンバーガーが撃ち抜かれた!?」

 

フーッ!フーッ!俺はなぁ!アンタらのせいでまだ昼飯食えてねえんだよおおお!

 

「なかなか諦めませんわね……ですがトリニティに逃げ込めば此方の物!」

 

そう言って加速する奴等の車

 

え?いつの間にかカーチェイスに変わってるって?あいつら風紀委員の車パクりやがったよ、いよいよ怖いもん無しだよ

 

しかしこのままだと少々マズイ、奴等はただのテロリストだからトリニティだのゲヘナだの境なんて気にしないだろうが……俺達風紀委員は別だ、トリニティで好き勝手やる訳にはいかない

 

つーかあいつら逃げすぎだろガソリンだって風紀委員が補充することになるんだぞ

 

 

「ど、どうする!酒泉!」

 

「一旦引くか!?」

 

……いや、突っ込みますよ!俺の〝眼〟で後ろの窓から運転手を直接────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ターゲット確認」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────叩く、そう言おうとした時、上からミサイルが降ってきた

 

 

ミサイルはそのままテロリスト共の車に着弾し、大きく爆発する

 

此方も車を止めて銃を構えて待機していると、中からボロボロのテロリストが出てきた

 

 

「い、一体何が……」

 

「うぅ……チョコレートバーガーが溶けちゃった……」

 

「溶けるどころか吹き飛んでるでしょ……」

 

「それにしても、さっきの攻撃は誰が……」

 

 

……あのミサイル、見覚えがあるな

 

 

 

 

 

「……全員手を上げて」

 

「抵抗はしないでね」

 

 

ああ、やっぱりか……秤さんも居たのは予想つかなかったけど

 

 

「ETO実動部隊の戒野ミサキ……トリニティとゲヘナ、双方からの指令で貴女達を捕らえに来た」

 

「このままトリニティに入られると事態が複雑になっちゃうから大人しくしててね?」

 

 

数名のトリニティ生と共にテロリストを囲む戒野さんと秤さん、恐らく事態が大事になる前に空崎さんがトリニティ側に伝えてくれたのだろう

 

 

「くっ……トリニティに逃げ込もうとしたのが仇になってしまうとは……」

 

……あっ、そうだ。コイツらしょっぴかないと

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

はい、どうぞ

 

「これって……」

 

クレープ、とりあえず就職祝いってことで軽く……ね?

 

「ありがとう、頂くね」

 

「……別に私は────」

 

「ミサキがいらないなら私が貰うけど?」

 

「────……頂きます」

 

そう言ってクレープを受け取る戒野さん、誰も糖分の誘惑には勝てないのだ……

 

そういやぁ、改めて話をしたいって言ってたけど……時間とか大丈夫なのか?

 

「うん、長話はできないけど雑談程度なら大丈夫だよ」

 

「私達が予め外出許可を貰ってたのもあるけどね……ほら、あそこ」

 

 

戒野さんが視線を向けた先には恐らく監視係であろう生徒が此方の様子を見ていた

 

耳には通信機をつけ、何かあればすぐにでも連絡を取れるように準備をしている

 

「視線が鬱陶しい以外は特に不満がある訳じゃないけどね、私達が仕出かしたことを考えればこれでもかなり甘い方だと思うし」

 

「うん、外を歩けるだけでもありがたいよね」

 

「あの女の下にいた頃はちょっとした行動すら制限されていたからね」

 

……あのオバさん、どんだけ子供縛り付けてたんだよ

 

「……でも、これで漸く夢に向かって進める」

 

……夢?

 

「うん」

 

 

秤さんはベンチ横の花壇に視線を向けると、優しそうな笑みを浮かべる

 

 

そっか……やっと育てられるんだな、花

 

「うん、一応監視の人達にも聞いてみたけどそれぐらいなら問題ないって」

 

なら今度肥料とか持ってくるよ、種とかも買っといたし

 

「……え?いいの?」

 

だって約束しただろ?俺も力を貸すって

 

「……まだ覚えていてくれたんだ」

 

そう簡単に忘れはせんよ

 

「………ありがとう」

 

 

かつてアリウス自治区で辛い思いをしてきたアリウススクワッド、そんな彼女達の力に少しでもなれるのなら俺も嬉しい

そっかぁ……やっと始まるんだな、アリウススクワッドの青春

 

 

「じゃあ……もし花が育ったら最初のは酒泉にあげるね」

 

俺?

 

「うん……あっ、その時は冠にして頭に乗せてあげる」

 

絶対似合わねえって……

 

「そう?可愛いと思うけど」

 

 

ふふっと微笑みながらいつも通りからかってくる秤さん

 

何か……天気が良いのもあってか青春してるなぁ……って感じうわ急にジメッとしたなになになに

 

 

「……姫、そろそろ時間だよ」

 

「もしかして怒ってるの?」

 

「は?何で私が?」

 

 

とは言うものの、明らかに不機嫌な戒野さん

 

 

「もしかしてミサキも酒泉に何か貰いたかったの?」

 

「子供じゃないんだから、そんな理由で怒るわけないでしょ」

 

いやー……俺達は子供でしょ

 

「……うるさい」

 

 

駄目だ余計に機嫌が悪くなった

 

しかし秤さんの言うことも尤もだな……何か戒野さんにも渡すか

 

とはいえ、今は何も………あっ、そういえばクレーンゲームで大量に取ったアレがあんじゃん

 

 

 

あの……

 

「………何」

 

こ、これ……いります?

 

「……何これ、鶏?顔がおぞましいんだけど」

 

ペ、ペロロ様です……

 

「……ああ、アズサが面会で言ってたモモフレンズってやつの……」

 

ど、どうでしょうか……?

 

「………センス無さすぎ」

 

うぐぉ……き、きつい……やっぱ駄目か……

 

じゃあ、今度会う時までにちゃんとしたぬいぐるみを持ってくるんで……クマさんのとか……

 

「………別に受け取らないとは言ってないでしょ」

 

……え?

 

「だから………くれるなら貰うって言ってるだけ」

 

 

頬を染めながらモジモジしている戒野さん、ははぁん?さては……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペロロ様を気に入った「それだけは絶対にないから」あっはい

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「それじゃあ、また今度ね」

 

「……一応お礼は言っておく、ありがとう」

 

 

手を振って監視係の元へ向かう秤さんとペロロ人形を抱きしめながらゆっくり歩く戒野さん

 

今日はテロリストを追いかけていただけだけど……まさかの出会いがあったな

 

今回みたいな事は滅多に起きないだろうけど、それでもゲヘナやトリニティ間のいざこざは未だに絶えない

 

でも、そんないざこざが大事に発展する前に止める為に彼女達ETOが存在するのだ

 

これで少しは両校の関係も良くなる……と信じたい

 

さて、俺もゲヘナに戻ろう………と思いきや、遠くから秤さんが近づいてくる

 

 

 

何だ?忘れ物か?

 

「ごめん、一つだけ伝え忘れてたことがあって……耳貸して?」

 

ん?一体何を────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「花言葉、ちゃんと勉強しておいてね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

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