〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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〝シラヌイ〟説得するゾ!!!

 

 

 

いっけな~い!過酷過酷!

 

私の名前は折川酒泉!ゲヘナ学園に通うピカピカの高校一年生!

 

これといって特徴の無い私は今日もるんるん気分でいつも通り学校に行こうとしたんだけど………そこで運命の出会いをしちゃったの!

 

 

「やらないか♂」

 

 

ウホッ!いいカイザー……

 

 

「こんな所で出会ったのも何かの縁……学校なんてサボって俺とデートしないか?」

 

えっ!?で、でも……

 

「おいおい、つれないなぁ……俺はこんなにも君のことを欲してるんだぜ?」

 

 

きゃっ!壁ドンされちゃった……!

 

そんなこんなであたふたしてると、更にもう一人のイケメンさんがやってきて……

 

 

「へえ?面白いことになってんじゃん?」

 

あ、あれは……カイザー戦車さん!?すごくガッチリしてる……!

 

「そんなヒョロヒョロの歩兵なんか放っておいて、俺と一緒に遊ぼうぜ?」

 

「むさ苦しい戦車野郎なんかよりも、当然俺のことを選ぶよな?」

 

はわわわわ!ど、どうしよう……挟まれちゃった……!

 

わ、私……一体……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうなっちゃうの~~~!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「追い詰めたぞ!」

 

「戦車で壁ごとぶち抜け!」

 

 

 

 

現実逃避終了

 

どうも、学校に行く準備をしてたらカイザーPMCに狙われ、近隣住民を巻き込まないようなルートを選んで逃げてたら追い詰められた折川酒泉です

 

どうやら俺がこのルートを使うであろうことは最初から分かっていたらしく、逃げれば逃げるほど追手が増えていった

 

どうしよっかな………ゲヘナ学園からも結構遠ざかっちゃったし………え?連絡?スマホなんて持ってく暇なかったよちくしょう

 

あー……誰もいないような場所まで逃げ込んだのが間違いだったか?でもそうしないと被害が出るかもしれんしなー……

 

つーかなんで戦車まで出してんだよ、流石に目立つだろそれは………いや、俺が想像以上に逃げ回るせいで時間に余裕が無くなってきたのか?

 

まあ、それにキヴォトスで戦車が通るなんて普通にあることだしな……

 

 

「くそっ!さっきからちょこまかと……ぐあっ!?」

 

「また仲間がやられたぞ!」

「ええい!たかが生身の人間相手に何をしている!敵は一人だぞ!」

 

 

向こうが焦って突っ込んでくるなら好都合、敵の狙撃と同時にこっちもスナイパーライフルで肩を狙い撃ってやる

 

勿論、俺は自身に弾が命中しないルートであることを視認してから反撃する

 

 

「こうなったらコイツで……!」

 

 

敵の戦車の砲頭が俺の方に向く

 

 

「これでも食らえっ!」

 

 

 

しかし俺は動かない

 

 

 

「……っ!?何をしている!本当に撃つぞ!?」

 

────なら撃てよ

 

「うっ……!」

 

 

 

……やっぱそうか、俺を殺すことはできないようだな

 

命令としては〝折川酒泉の確保〟……か?でも、一体誰が……

 

いや、考えるまでもないか。このタイミングだとカイザージェネラル……というよりも、カイザープレジデントか不知火カヤのどちらかだろう

 

それなら俺を生け捕りにする理由は?……ゲヘナや先生に対する人質か

 

まあ、そう簡単に捕まってやるほど俺は甘くない。しっかりと百倍返しさせてもらおう………っとお!

 

「手榴弾!?その程度の物で……!」

 

 

戦車の砲身に向かって真っ直ぐに手榴弾を投げる

 

絶妙なコントロールで投げた手榴弾はそのまま砲身の中にスポッと入る

 

「なんだとっ!?早く脱出しろ!」

 

 

仲間の声を受けてとっさに戦車から兵が出てくる……が、そいつの脇腹にも一発くれてやる

 

しかし倒れ伏す仲間を無視して他の兵士達は全員戦車から離れていく

 

おいおい、冷たいなぁ……正しい判断だけどさ

 

「……爆発しない?」

 

戦車の方を向いて困惑する兵士達

 

そりゃそうだ、だって安全ピン抜いてねーもん

 

そもそも手榴弾なんて危険な代物を一直線にぶん投げた時点で気づくべきだろ

 

 

 

「下らない小細工を……!」

 

「もういい!増援を送れ!見張りの連中も呼び寄せろ!」

 

やめてよね、本気で喧嘩したらカイザーが俺に敵うはずないだろ?

 

「舐めやがって……!」

 

あんま強くないよね、カイザー。昔は強かったってやつ?

 

「貴様ああああああ!」

 

 

 

なにやら必死に叫んでいるがそんな事は関係ない、正直負ける気せーへん

 

さーて!このまま全員返り討ちにした後で色々情報吐かせて、その後は公衆電話で先生に連絡を────

 

 

 

「重装部隊、到着しました!」

 

「パワーローダー!いつでも行けるぞ!」

 

 

 

 

───────あっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「……先生の確保に失敗したようですね?」

 

「………計算外の事が起きた」

 

 

もはや誰も使うことのなくなった廃墟で二人の人物が睨みあっている

 

片や連邦生徒会所属・防衛室長の不知火カヤ

 

もう片やシャーレを襲おうと兵を差し向けた張本人であるカイザーPMCの指揮官……ジェネラル

 

 

「まさか此方の計画がバレていたとは……一体どこから漏れ出た?」

 

「知りませんよ、そんなこと……それよりもこの後はどうするつもりですか?」

 

 

カヤはジロリとジェネラルを見上げると、失態を咎めるように目を細める

 

 

「シャーレの解体、それを成すために貴方達と手を組んだというのに………この責任、どう取るおつもりですか?」

 

 

自身の目的達成から遠ざかってしまったことへの責任を追及するカヤ

 

……彼女は知らない、少し前にカイザー側の計画が変わったことを

 

シャーレを乗っ取ることを目的とした彼等にとって、シャーレの解体を目的とするカヤと手を組む理由が無くなったことを

 

 

「此方の戦力を立て直し、再度攻勢を仕掛ける」

 

「各学園が集まってしまった以上、それを崩すのは至難の技ですよ?」

 

「折川酒泉を人質として利用する………幸いにも、まだこっちは失敗していないからな」

 

 

ジェネラルは通信機を握りしめながら苛立たし気に視線を逸らす

 

 

「増援部隊を送っておいた、今頃奴はボロボロの身体で呑気に眠りこけているだろう」

 

「…………まあ、最終的に上手くいけばそれでいいですよ」

 

そう言ってカヤがそっぽを向いた時、丁度通信機に反応があった

 

高耐久かつ高性能に作られたその通信機は、向こう側の声をハッキリと届け────

 

 

 

 

 

 

『うぇえええい!オタク君見てる~?折川酒泉でえええええっす!』

 

 

「────っ!?」

 

 

通信機から戦闘後とは思えないほど明るい声が聞こえてきた

 

 

『いまぁ、オタク君の部下達はみんなぁ……俺の隣で寝ちゃってまーすwwwwwww』

 

「なっ……馬鹿な!一人で撃退したというのか!?」

 

『確かに俺は最優先で警戒されるほど強くないし、先生みたいな指揮力や切り札があるわけでもないけどさー………流石に舐めすぎじゃね?こう見えても上の下か上の中ぐらいの実力はあるんだぜ?』

 

「っ………!」

 

『……まあ、上の上や最上位との差はまだまだあるけどな。それでもアンタらを返り討ちにするだけなら十分だ』

 

 

ふざけた喋り方から一転、先程とは別人のような真剣な声に変わる

 

 

『……で、話は変わるんだけどさー……今、近くに防衛室長いるだろ?ちょっとかわってくんね?』

 

 

その言葉を聞いた瞬間、カヤは冷や汗を流した

 

何故自分がここにいる事を知っているのか、この事は他の者も知っているのか

 

『まあ、応じないならそれはそれでいいけどさ……その代わり、明日の昼頃にはキヴォトス中の人気者になっちまうぜ?』

 

 

嫌な予感が頭を過ったカヤはジェネラルから通信機を奪い取る

 

 

「………折川酒泉」

 

『よっす、超人様。初めましてかな?俺のことは知ってると思うけど、一応自己紹介ぐらいは────』

 

「そんなことはどうでもいいです!貴方は一体どこまで知っているのですか!?」

 

『────っと……びっくりしたなぁ……そんな騒がないでくれよ』

 

「いいから答えなさい!何故私がカイザーと共に行動していることを……まさか、倒した兵士達を尋問して……」

 

『いや?尋問するまでもなく最初から知ってたけど?』

 

「……っ!そんなはずがありません!私とカイザーの関係を知る者など、極一部の者しか……」

 

『じゃあ俺もその〝極一部〟の仲間ってことで』

 

 

当たり前のことだと言わんばかりに返す酒泉、そんな彼に対してカヤは怒りをぶつける

 

「……貴方は────」

 

『俺がいつから気づいてたかって?あ、それと証拠を掴んでるのかどうかも気になってるだろ?』

 

「────っ」

 

 

カヤの喋ろうとした言葉を先回りし、精神的に優位に立とうとする酒泉

 

 

「……ええ、その通りです。貴方の持つ情報、一体何処から持ち出したのか興味がありますので」

 

それでもカヤは冷静さを取り戻し、逆に少しでも相手から情報を聞き出そうとする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうだなぁ……アンタがよく〝狂犬〟や〝野良狐達〟と戯れているのは知ってるよ』

 

「………は?」

 

 

 

 

 

 

 

────その平静も、すぐに崩れてしまったが

 

 

(……ありえない、カイザーとの関係だけでなく、彼女達の事までバレているなど……!)

 

 

強く拳を握りしめながら歯噛みするカヤ

 

そんな彼女に対して酒泉の声色が穏やかなものに変わる

 

 

『いやぁ……それにしても今回のお二人の判断、お見事でした』

 

「……は?」

 

『不知火防衛室長は暴走したカイザーのしたっぱ達の計画を察知して事前に姿を眩ました。ジェネラル、貴方の方はそんな不知火さんを保護し、命令違反を起こした部下達を捕らえようと戦車やパワーローダーなんて物まで持ち出した………そうでしょう?』

 

「……ふむ」

 

 

二人は酒泉の伝えたい事を理解していた

 

〝そういう事にしよう〟……彼はそう言いたいのだと

 

 

「……貴様は何を望む?」

 

『これから大きな戦いが始まる、負ければカイザーどころかキヴォトスごと滅びる程の………その戦いが終わるまでの間、余計なことをしないでもらいたい』

 

「……大きな戦い?」

 

『不知火さんには力を貸してもらいたい……と言っても、別に直接戦えって訳じゃないんだ。アンタんとこの〝狐〟を怪物退治に駆り出してくれればそれで良いんだ』

 

「…………」

 

『報酬は今回の事件の口止め、それと俺の情報源について………これでどうだ?』

 

「……それを信用しろと?」

 

『……まあ、はい』

 

 

 

カヤにとって酒泉の提案を飲む理由など何一つなかった

 

それも当然だろう、酒泉の言う報酬など所詮は全て口約束。彼の提案に乗ったところで全てが終わった後、平然と切り捨てられる可能性だってあるのだ

 

ただ、理由が無くても真実を知られてしまった以上は嫌でも乗るしかないのだ

 

………実際のところ、〝口だけ〟という点では酒泉の持つ証拠に関しても言えることだった

 

カヤがカイザーと繋がっている〝物的証拠〟など、酒泉は何一つ持っていない

 

あるのは〝記憶〟のみ、もしもカヤが〝物的証拠〟を出されるまで暗躍することを選んだのならば酒泉はどうすることもできなかっただろう

 

………要するに、一見余裕そうに見えて内心は冷や汗だらけだったのだ、折川酒泉という男は

 

 

 

 

 

「……良いでしょう、どうせ全て知られてしまったのなら私に選択肢など─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「当然、断らせてもらう」

 

「─────っ!?」

 

 

カヤが喋り切る前に頭部に銃口を押し付けられ、そのまま引き金を引かれる

 

銃声と共に頭に痛みが走り、カヤはそのまま気絶した

 

 

『……不知火さん?まさか……』

 

「何か勘違いしているが、我々の関係を暴露されたところで私にとっては痛くも痒くもない。いつも通り下の人間を切り捨てれば良いだけだ」

 

『……汚い大人お得意の責任の押し付け合いってやつか?トカゲの尻尾ばっか切ってんじゃねーぞ』

 

「賢いやり方と言ってもらおうか」

 

『本当に賢いなら引き際を考えろ、アンタじゃシャーレには勝てねえ』

 

「勝負の勝ち負けで考えるのはナンセンスだ、私達大人はどれだけの利益を得られるかで判断している」

 

『………近い将来、兎に泣かされる羽目になっても知らねえぞ。俺は忠告したからな』

 

「………訳の分からんことを」

 

 

 

通信を一方的に切り、ジェネラルは建物の柱の裏に潜んでいた部下達に目配せする

 

 

「彼女を連れていけ、PMC本部の監獄なら彼女の私兵にも見つかることはないだろう」

 

「了解しました……今後の計画の方は?」

 

「一度プレジデントに状況を報告し、それから立て直すぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとなく予想はしてたけど、やっぱり説得できなかった

 

……うん、分かってたよ、子供の俺じゃ大人との話し合いの場にはいけない事ぐらい

 

めちゃくちゃ肝を冷やしながら余裕を取り繕って何とか不知火さんを説得できたかと思えば……この様よ

 

あー……くっそ……慣れないことをするもんじゃないな……身体もいてーや

 

……え?あんだけ余裕そうに話しておきながらダメージ受けてんのかよだって?普通に苦戦したんだよ言わせんな悲しくなるだろ

 

パワーローダーって意外と強かったんだな……

 

さて、と……それじゃあ、先生と風紀委員会に連絡してから戻りますか

 

不知火さんはこの後救出されることが分かってるし、別にそのままでも大丈夫だろ

 

多少時間のズレがあるかもしれないけど………うん、大丈夫なはずだ

 

………………でも、そのことを教えても先生は間違いなく助けに行こうとするよなぁ

 

そうなると先生が不在の間にカイザーがシャーレに攻めてくる可能性もあるし、なにより………先生抜きで会議がまともに進むのか怪しい、仲間割れしたところでカイザーが攻め込むなんて原作通りの展開になるのが一番最悪なパターンだ

 

力を借りるにしてもせめて会議が終わった後でだけど……その間、先生も気が気じゃないだろうな

 

 

 

 

 

 

 

 

………空崎さんに頼ってみるか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ……馬鹿、な……」

 

「………くそっ……こんなガキ一人に……」

 

………

 

「本部に……連絡を……!」

 

……なあ、アンタらこのままじゃ間違いなく切り捨てられるぞ

 

「黙れ……お前さえ捕らえれば……!」

 

本当にそれでいいのか?上の企みも失態も全部アンタらに乗せられてそのまま放り出されるんだぞ?

 

………別に大層な信念を持ってカイザーに従ってるわけじゃなさそうだし、そこまで義理を通さなくてもいいんじゃないのか?

 

「何が言いたい……!」

 

どうせこのまま捕まることは確定してるんだ、それなら少しでも罪を軽くしておきたいだろ?

 

まあ、要するに……その─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────………PMC本部ってどこ?

 

 

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