〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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〝シラヌイ〟救出するゾ!!!

 

 

……おっ、きたきた……こっちです、とりあえず施設外の把握だけ軽く済ませて────

 

「……っ!酒泉!」

 

うおっ……

 

「無事で良かった……!ずっと連絡がなかったから、最悪の事態が起きたのかと……!」

 

あー……すんません、携帯持ってくる暇がなかったもんで……

 

「こんなに傷ついて……」

 

あ、服こそボロボロですけど基本的に攻撃は直撃してないんで、ダメージは見た目ほどではないですよ

 

「………ただクーデターを起こそうとするだけならまだしも、酒泉に手を出すなんて……!」

 

いや、クーデターの方がアウトでしょ………でも、来てくれてありがとうございます

 

「……それで?酒泉のことを傷つけた防衛室長様はこの先にいるの?」

 

……あ、あくまで救出ですからね?

 

「…………………分かってる」

 

間が怖い……

 

「……それで、状況は?」

 

えっと……外の警備は厳重ですけど、兵士の出入りは結構多い感じですね

 

計画失敗したり不知火さん捕らえたりと色々起きたからドタバタしてんでしょうか……

 

「……潜入できるって状況じゃなさそうだね」

 

他の風紀委員達は?

 

「イオリは実働隊と一緒に少し離れた所で待機中、アコとチナツには学園の方の統率をお願いしてる」

 

………拉致られた防衛室長を助けにきたっていう口実があるなら、コソコソする必要もないですよね?

 

「……そうだね、偶には私達風紀委員もゲヘナらしくいこっか」

 

………つまり?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正面突破」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「敵襲だ!」

 

「もう嗅ぎ付けられたのか!?」

 

 

ロケット弾の着弾と共に複数の装甲輸送車がPMC本部に突っ込んでくる

 

真っ向から銃撃を受けても、それでも速度を落とすことなく走り続ける

 

立ちはだかる兵士やシャッターを無視して施設内に無理矢理侵入すると、全ての装甲輸送車から同時に風紀委員達が出てくる

 

 

「不知火防衛室長を探せ!最優先保護対象だ!」

 

 

 

 

「こんな時に……!施設内の全兵士に連絡!ゲヘナ学園からの襲撃だ!直ちに武器を持て!」

 

 

爆発が起き、火花が散り、銃声が鳴り渡る

 

何の合図もなく、場は一瞬で戦場に変わる

 

 

「私が先陣を切るっ!」

 

 

装甲輸送車を足場に、イオリが大きく飛び上がる

 

空中で一発、着地で一発、そのまま走り出しながら一発と計三発の弾丸で兵士の意識を奪っていく

 

そうして出来上がった一本の道を風紀委員達が突き進んでいく

 

「内部から一気に崩すぞ!」

 

「了解っ!」

 

 

勢いは一瞬で風紀委員側に傾き、カイザーの兵士達は目の前の敵に抵抗するので精一杯だ

 

「風紀委員会……厄介な奴等が来たな……!まず止めるべきなのは────」

 

 

リーダー格の者が指示を出して戦況を建て直そうとするが、その瞬間に違和感を感じる

 

 

(────待て、どうして空崎ヒナがいない?)

 

 

ゲヘナ側の最高戦力を温存したまま、連邦生徒会の防衛室長という重要な存在を救助しようとするなど考えにくい

 

ましてや、こんな戦力が固まっている所に手を抜いたまま正面突破を仕掛けるなど有り得るのか

そんな疑問を抱いた時には既に遅かった

 

 

 

 

「……一掃する」

 

 

装甲輸送車が一台だけ遅れて向かってくる、その上には最も警戒するべきであろうゲヘナ学園の風紀委員長・空崎ヒナが立っている

 

彼女は銃口をイオリ達に気を取られてる兵士達に向けると、情け容赦なく引き金を引く

 

耳を劈くような銃声と共に、紫の弾丸が敵を殲滅していく

 

装甲輸送車が止まり、その上からヒナが降りる頃には既に入り口付近の敵戦力は壊滅状態だった

 

 

「……運転お疲れ様、酒泉」

 

 

汗一つ無い涼しげな表情で歩いていくヒナ、運転席にいた酒泉もそこから降りてヒナを追いかける

 

 

「先行部隊が挟み撃ちされないように少しタイミングをずらして突入するよ」

 

───っす、了解です………眠ってる奴等は?

 

「全員拘束して見張りを置いていく、敵の増援が来た場合は私が引き返して迎撃に向かう」

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

 

 

ヒット、またヒット、またまたヒット

 

空崎さんとの特訓の成果により、狙いの精度だけでなく狙い終えるまでの速度も上がった

 

そのお陰で面白いように弾がばかすか当たる

 

空崎さんの殲滅力も相まってどんどん進軍していく

 

進めば進むほど敵の数が減っている、銀鏡さん達が暴れてくれたお陰だろう……どんどん行くぞー

 

 

わーれらはほーへーいーたーいー、たくましーいかーらだーのおーとこーたちー………漢、俺一人じゃん

 

 

「………そういえば、酒泉はどうして不知火カヤを助けようとしたの?」

 

なんて下らない事を考えていたら空崎さんが走りながら問い掛けてくる

 

 

 

「アリウス自治区に侵入した時みたいに放置しておくと大変な事になるから?」

 

いえ、不知火さんに関しては放っておいても後から救出される可能性の方が高いと思いますよ?

 

「……じゃあ、なんで?心配だから?」

 

え?利用できそうだったから

 

「結構ハッキリ言うんだ」

 

まあ、罰は受けてもらわないといけませんからね……あとは先生の手を煩わせたくなかったというのもありますね

 

「……まあ、確実に助けに行くだろうね」

 

 

 

あの人は生徒が相手なら絶対に動くからな……今、席を外されると困るのだ

 

でも俺は先生と違って無償で手を差し伸べるつもりはない、使えるもんは使う………俺流のキヴォトス生存術だ

 

超人様にはたっぷりと働いてもらうぜ!ぐへへへへ!

 

 

「……酒泉、悪そうな顔してる」

 

え?マジです?

 

「更に具体的に言うと無理して悪人ぶろうとしてる時の顔してる」

 

そんな細かく分かるもんなんです……?

 

「うん、いつも見てるから」

 

え゛っ……そんな頻繁にやってますっけ……?それとも俺って悪人面なんですか……?

 

「……内緒」

 

 

 

クスッと笑ってから走る速度を上げる空崎さん、おいてかないでー

 

どうしよう……敵と戦う時に挑発ばっかしてたせいで顔にまで影響が出てきたのか……?

 

これは一生誰かとお付き合いできないのでは……?お付き合いじゃなくてドつき合いになるのでは……?

 

……ま、まあ?別に寂しくないけど?それならそれで独身貴族でも目指すだけだし?

 

そもそも俺の人生プランって最終的には一人静かな森の中で穏やかに果てていく感じだし?別に問題無いが?

 

え?お前モテないって言われたらキレるだろって?当たり前だろそれとこれとは別問題だろうが泣くぞ

 

……っと、馬鹿なこと考えてる場合じゃねえ、俺も速度を────あれ?空崎さん、先を走ってたんじゃ……

 

 

「………酒泉が変な事を考えてる気がして戻ってきた」

 

 

 

ニュータイプかな?でも空崎さんになら心の中を土足で踏み込まれても悪い気はしなさそうだな……

 

 

 

 

「………た、楽しそうですね、委員長」

「ここ、一応敵地の真ん中なんだけどな……」

 

 

さて、そろそろ先行部隊と合流しそうだな───っと………言ったそばから銀鏡さん達の後ろ姿が見えてきた

 

おお……見事な三連射、俺も後ろから援護しよっと

 

 

 

「委員長!酒泉!もう追い付いたの?」

 

まあ、俺も空崎さんもそんな大量の敵を相手にしていた訳ではないんで……ねえ?

 

「うん、先行部隊のお陰でスムーズに進めたから」

 

 

 

そう言いながら倒れ伏している兵士達の間を通っていく

 

暫くするとカード式のロックを掛けられている扉が見えてきた………ここがゲヘナ学園じゃなくて良かったなカイザー共、もしそうだったらカード式のロックなんてとっくに爆破されてるぞ

 

………まあ、今からぶっ壊すんだけどな!

 

風紀委員の先輩達が扉に爆弾を仕掛けると、少し離れてからスイッチを押す

 

壁ごとぶち破られ、そのまま瓦礫が散らばる

 

 

 

 

 

 

「プギッ!!?」

 

 

 

 

 

……え?なんか向こう側から声が聞こえたんだが?

 

 

 

「い……いっひゃい何事でひゅか……!」

 

 

爆風が晴れてから俺が先に部屋を覗いてみると、そこには鼻から血を流しながら此方を睨み付ける不知火さんの姿があった

 

……あっ、瓦礫がぶつかったのね

 

 

 

 

「……!あ、貴方は折川ひゅへん!なひぇこんな所に……!」

 

…………

 

「ズビッ……まさか、私を助けに来たのですか?」

 

まあ、そうですけど……

 

「ふふっ……一人で助けに来るとは……それは良い心掛けですね。もしや、貴方も私の計画に協力する気になったのですか?では手始めにこの手錠を外してください」

 

……はあ、でも一人じゃ────

 

「あっ、ですがその前にこの血を拭いてください、不快ですので………今後についての取引はその後で───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………お話ができるくらいには元気そうで良かったわ、不知火カヤ」

「ひっ!?」

 

あっ、空崎さん、もう敵はいないっぽいですよ

 

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