〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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第二サンクトゥム前(ケセド)

 

 

───第四サンクトゥム前───

 

 

 

 

「………酒泉さん……無事でしょうか」

 

「……大丈夫なんじゃない?酒泉だって結構強いんだし」

 

 

ヒヨリはそわそわしながらミサキに問いかけるが、帰って来たのは素っ気ない答えだった

 

 

「今はこっちの戦いに集中して、今回のターゲットは一筋縄じゃいかなそうなんだからさ」

 

「……ねえ、ミサキ」

 

「なに、姫……もうすぐ突入前の作戦会議が始まるんだけど」

 

「マガジンの向き、違うよ」

 

 

先程からガチャガチャとハンドガンをいじくっているミサキ

 

いつまで経っても一向に填まらないマガジンにイライラしていたが、アツコの指摘でそもそも向きが違う事に漸く気づいた

 

 

「……本当だ」

 

「ふふっ……やっぱりミサキも心配なんだ?」

 

「……このマガジンの前後左右が分かり難かっただけだし」

 

 

ミサキはフイッとそっぽを向いて誤魔化すが、他の者達にはそれが照れ隠しであることを分かっていた

 

 

「それにしても不思議ですよね……トリニティを消し去ろうとした私達が、今はトリニティの皆さんと一緒に戦おうとしてるなんて……」

 

「……まあね」

 

 

ヒヨリ達の周りには今回の作戦に参加するトリニティの生徒達が立っている

 

シスターフッドや救護騎士団、その中の何人かは横目でアリウススクワッドを見ている

 

 

「……み、見られてますね……」

 

「当然でしょ、私達は元々敵だったんだし………本来なら今すぐ殴り掛かられてもおかしくないよ」

 

「むしろ、こうして見られるだけに留まっているのもかなりの温情を掛けられているよね」

 

 

視線を集めてしまっている事に何も思っていない訳ではないが、それも仕方無いと全員が受け入れている

 

「────私達の罪は一生消える事はない、それは既に分かりきっていた事だろう?」

 

「あっ……リーダー……」

 

 

装備を整え、他の者よりいち早く戦闘準備を終えたサオリがヒヨリの背後から近づく

 

 

「私達に出来ることなど限られている………私達が傷つけてしまった人達をこれからは護る為に戦う、他人の人生を奪おうとしてしまった者は同じように人生を掛けてでも償うしかないんだ」

 

「………それすらも自己満足だけどね」

 

「例え自己満足だろうと、それが何もしようとしない理由にはならない」

 

「サッちゃん………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ティーパーティーから〝酒泉が狙われた〟って話を聞いて何度も酒泉にモモトークを送っていたとは思えないほど冷静だね」

 

「……え?い、いや……」

 

「解決した後だったのにずっとソワソワしてたし……正直、鬱陶しかった」

 

「ぐっ……」

 

「返事が来るまでずっと心ここに有らずって感じでしたよね……そのせいで途中で転びかけてましたし……」

 

「…………頼む、忘れてくれ」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よーし!第二サンクトゥム付近まできたし、ここで待機だ!

 

「…………」

 

さっきと同じように連絡が来るまで休憩するぞー

 

「………つーん」

 

……あの、天童さん?

 

「アリスからの好感度が下がりました、このままではアリスは言うことを聞いてくれません」

 

 

 

 

駄目だ、話を聞いてくれない………実は運転中もずっとこんな状態だったのだ

 

口数が減ったから〝疲れてるのかもしれない〟って思ってあまり自分からは話をふらなかったが……まさか怒っているとは

 

でも、何に対してだ?運転中に何か失礼な事を言ってしまったのか?それとも……それよりも前か?

 

 

 

 

なあ、天童さん………俺、もしかして気に障るようなこと言っちゃったのか?

 

「………つーん」

 

自分の口で言っちゃってるよこの子………頼むよ、どこが悪かったのか教えてくれ……

 

「…………」

 

 

んー……うんともすんとも言ってくれなくなっちゃったな……

 

このまま二人っきりで待機してるのも気まずいしな……

 

 

 

「…………」

 

そっかー……天童さんは俺のことが嫌いになっちゃったのかー……

 

「…………」

 

俺は天童さんのことが大好きなのになー……悲しいなー……

 

「……っ……!ア、アリスの好感度が少しだけ上昇しました!」

 

……お?

 

「………ま、まだイベント発生に必要な好感度が足りていません!」

 

………俺、天童さんに嫌われたら生きていけねーよ……

 

「好感度上昇……けど、まだ足りません!」

 

ええっと………頼む!俺には天童さんしかいないんだ!

 

「えへへ………」

 

 

さっきまでの不機嫌さが嘘のように上機嫌になる

 

とりあえず何とかなったみたいで良かった

 

……あれ?そういえば……結局、天童さんはどうして怒っていたんだ?

 

 

「……あれ?どうしてでしょうか……?」

 

 

 

首を傾げて困ったような顔をする天童さん、聞きたいのこっちの方なんだけど……

 

……まあいい、今後は余計なことは言わず、なるべく聞き手に徹しよう

 

 

 

 

 

 

【………それで?私に対しては何も言わないのですか?】

 

 

あっ

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「オラオラオラァ!まだまだ食い足りねえぞ!?」

 

「ひゃははははははぁっ!ふぇひははははは!」

 

 

 

「うわぁ……凄い光景……」

 

 

エイミが視線を向けた先には二人の〝最強〟が暴れていた

 

美甘ネルと剣先ツルギ、両校が誇る最高戦力がその力を余すことなく発揮する

 

何も事情を知らない人達がその光景を見ると、ただの暴徒かと勘違いしかねないほど好戦的な形相で敵を薙ぎ倒していく

 

 

「委員長とあんなに息を合わせられる人がいるなんて………これは驚いたっすねぇ……」

 

 

イチカは普段からツルギの単独での無双っぷりを見慣れているからか、こうして二人で暴れてる光景を見るのは初めてなのだろう

 

 

「でも、困ったな……」

 

「敵の数が全然減りませんね……」

 

 

カリンとアカネが敵を倒しながらそう呟くが、倒したそばからすぐに敵の増援が湧いてくる

 

 

「それなら私達の出番だな!」

 

 

幼い少女の声が聞こえると同時に、無数の足音が鳴る

 

白い制服の集団が軍隊の行進のようにザッザッと背後から近づいてくると、数十人の生徒達が銃を構えて前方の敵……ドローンやオートマタを狙撃する

 

集団の先頭に立っている少女が敵が破壊されていくのを見届けると、くるりと後ろを振り向いてから堂々と口を開く

 

白い髪の毛に白い付け髭、そして白い制服

 

そう、彼女こそがレッドウィンター連邦学園の生徒会長──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────であり、環境美化部部長兼、書記長兼、清掃部部長兼、風紀委員長兼、給食部部長のチェリノだ

 

 

「漸く我々にも指示が来た!戦力の温存はもう十分だろう!」

 

「そうっすね……あの二人が敵の注意を集めている間に一気に押し込むっすよ!」

 

 

敵陣のど真ん中で暴れる二人を狙うオートマタ達

 

そんな彼等の背後からレッドウィンターの生徒達が一斉掃射を行う

 

 

「……んあ?なんだ、もう来たのか」

 

「〝もう来たのか〟じゃないですよ、リーダー……この作戦は貴女一人が楽しむ為のものではありませんからね?」

 

「……………分かってるって」

 

「絶対に途中から忘れてましたよね……」

 

 

少しの間だけネルのテンションが下がるが、会話を終えた瞬間に再びテンションが爆発したかのように叫び出す

 

 

「よっしゃあ!このまま全員で殴り込むぞ!」

 

「そうですね………別の場所で待機しているあの二人に良い報告を届けるためにも、ここは勝たなければいけませんね」

 

「………あの子、アスナ先輩のテンションについていけてるかな」

 

「大丈夫だろ、別に人見知りって訳じゃなさそうだしよ………それに、アイツの新装備じゃ自由に行動は出来なさそうだし、護衛くらいつけといた方が良いだろ………お喋りはここまでだ!行くぞ!」

 

 

槍のように一直線に突き進みながら敵を撃ち抜いていくC&C、

 

そんな彼女達の後ろから更にレッドウィンターの生徒達の援護も加わり、より強固な形の陣形となる

 

迎撃の為に敵も陣形を固めようとすれば、真っ先にツルギがその集団に突っ込んで一瞬で陣形を崩す

 

それによって溢れた敵もイチカが率いる正実の生徒達が確実に仕留める

 

「……っ!皆、速度を落として!そろそろエネルギー反応が────」

 

 

身に付けている機械によって何かを感知したエイミが制止の言葉を発する

 

その言葉に従うツルギとネルを見てエイミは意外そうな顔をするものの、すぐに目の前にある〝丸い何か〟に意識を集中させる

 

 

「………ようやくお出ましか」

 

「私達の方からやって来たって感じだけどね………まあ、とりあえずアイツで間違いないよ。アイツがこのサンクトゥムの守護者────」

 

 

 

 

 

 

 

「ケセd「ゴミは掃除しねえとなあ!!?」「壊れろおおおおお!!!」………うん、戦闘開始」

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