オートマタがケセドを守る為に集まっていく
レッドウィンターの生徒達と数のぶつかり合いをするが、僅かに押し負ける
そのままがら空きになった通路をネルとツルギが突き進む
「オラッ!居るのは分かってるんだよっ!」
「開けろっ!開けろおおおおおおっ!」
「……なんか……闇金の取り立てみたいだね」
「……っすね」
ガンっ!ガンっ!と何度もケセドの装甲に蹴りを入れる二人
あまりの悪人面にエイミとイチカはドン引きするが、そうこうしてる間にも今度は敵の戦闘用ドローンが現れる
「リーダー!大物ばかりに気を取られないでください!」
「敵の増援がまた来ている!」
「ああ?……クソっ!お前、そこ開いた時覚えとけよ!?」
ネルはまるで捨て台詞のような言葉を吐きながらケセドから距離を取る
「さっきから開いたり閉じたりしてるっすね……」
「処理しきれない程のダメージを負うと一時的に一部の防衛機能がダウンする、そしてケセドが呼び出した雑兵はケセド本体ともある程度繋がっている………そんな感じかな。少なくとも基本的な機能は私達の知ってるケセドと変わってなさそうだね」
「……そういえば、何で事前に情報を知ってたんすか?」
「え?ああ、特殊作戦の時にちょっとね………っと、また来た」
何度も呼び出されてくる敵にうんざりしながらも、しっかりと能力分析を行うエイミ
「……駄目だ、数発程度じゃビクともしない」
カリンがケセドの中央部に弾丸を放つものの、カンッ!という音と共に装甲に弾かれるだけだった
「……チッ……やっぱ固いな、アイツ」
「ええ……ですが、此方には〝彼女〟がいます」
「そうだな……そろそろ頃合いだろ────」
『リーダー!こっちのチャージ終わったよー!』
アカネとネルが背中合わせで敵を処理しながら話していると、通信機から別の場所で待機しているアスナの声が響く
ネルはにやっと笑うと、そのまま戦場全体に響くほど大きな声で叫ぶ
「────よっしゃあっ!突っ込んでこい!トキ!アスナァ!」
『────オッケー!』
────瞬間、通路の奥から一台のトラックが走ってくる
道中のオートマタやドローンと激突し、フロントガラスが割れても構わず突き進む
味方の生徒達がギョッとしながら左右に飛び退くと、トラックはドリフトの慣性で反対向きになってからその場に停止する
「出番だよ!トキちゃん!」
トラックのコンテナが開くと同時に姿を現したのは5人目のC&C、飛鳥馬トキ
そして彼女が纏っているのはアビ・エシュフ
かつてネル達を苦しめた兵器が、今は味方としてケセドを撃ち抜こうとしている
…………が、アビ・エシュフの形はネル達が戦った時とは若干異なっていた
本来装備されていたはずのガトリングが右腕から外されており、代わりに背中についているレーザー兵器と同じ物が両腕にも取り付けられていた
更にはレーザー兵器に連結するように巨大なエネルギータンクやバッテリーまで取り付けられており、一目見ただけでも戦場に持ち出すような重さではないことが窺える
それは酒泉の記憶────原作にすら登場しない、未知の形態
「エリドゥのバックアップが無い為、演算補助は受けられませんが………」
アームの補助付きでも重いであろう武装をゆっくりと持ち上げる
両腕、そして背、合計四つのレーザー兵器の銃口が全てケセドに向けられる
「火力を出すだけならこれで十分でしょう」
強力なエネルギー反応を検知したケセドが攻撃対象をトキへと集中させる
オートマタが走り出し、対象を始末しようと引き金を引こうとする
「こらっ!あの子の邪魔しちゃ駄目でしょ!」
「あまりしつこく女性に迫りすぎると……嫌われてしまいますよ?」
『────ッ!』
しかし、その直前に背後からアスナの飛び蹴りを食らって前のめりに倒される
更に起き上がる隙すら与えずアカネに後頭部に銃口を突きつけられ、完全にショートするまで撃たれ続けた
「二人がトキを護るなら……その背中は私が護る」
そんな二人を狙う戦闘用ドローンも、更に背後のカリンによって撃ち抜かれる
「こっちはいつでも良いからね~!トキちゃ~ん!」
「ありがとうございます………では、ターゲット・ロックオン」
アビ・エシュフの四つの銃身に青白い光が集まる
その光が大きくなるに連れ、敵の攻撃が激化していく
「我々も負けてられんな!総員、撃て!敵を近づかせるな!」
チェリノの指揮と共にレッドウィンター側からの攻撃も激化する
エイミとイチカも共に攻撃に参加しながら、少しずつラインを下げていく
「そろそろ溜まりそうだね……貴女達の委員長も下がってもらった方が────」
「あっ、それなら大丈夫っすよ。とっくに下がり始めてるんで」
「………意外と冷静なんだね」
敵を蹴散らしながら、他の生徒達が下がる為の道を作るツルギ
全ての生徒が安全圏まで避難したことを確認すると、トキは目の前に集束しているエネルギーを全て放った
「エネルギー充填、100%」
間に合わない────そう判断したケセドは全ての手下達を自身の前に立たせる
だが、まるで意に介さないかのように青白い光が敵を全て飲み込んでいく
「リオ会長はこの日の為に入念な準備をしてきました」
ケセドの装甲が貫かれ、その周囲には破片が散らばる
中に入っていた球体は一部が砕け散り、火花を散らしてショートしている
「このビーム兵器も、アビ・エシュフの武装だけでは突破できないような敵が現れた時の為に追加で作られた物です」
それでも残された機能を使い、今尚オートマタに命令を出し続ける
「ですが、強大な火力と引き換えに機動力を失い、エネルギーのチャージ時間も大幅に増えてしまいました。つまり………今の私には何もできません」
そんなケセドの前に二人の人影が近づく
「ですから、ここから先は皆様にお任せしようと思います。私はちゃんと先輩に花を持たせることができる優秀なメイドですので………この戦いが終わったら迅速に褒めてください」
「………よお、やっと出てきたな?この引きこもり野郎」
「………キィヒヒヒヘッ!」
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────あっ、飛鳥馬さん?……倒したのか?まだ先生から連絡来てないけど………
『いえ………ですが、間もなく終わるかと』
え?それってどういう────
『おらっ!おらっ!手こずらせやがって!いちいち殻にこもるせいで無駄に時間食っちまったじゃねーか!』
『砕けろぉ!壊れろぉ!キヒッ!キヘヘヘヘヘヘヘヘヘッ!』
────…………あー……うん、了解
「アリス達の出番ですか?」
ああ、行こう………その前に飛鳥馬さん、その二人を止めてくれないか?
『嫌です、面倒です』
少しは本音隠せや………このままだと天童さんが怯えちゃうかもしれないだろ
……ほら、あれだ……調月さんも褒めてくれると思うぞ?
〝よくネルの暴走を止めたわ、流石は私専属の優秀なエージェントね〟って
『乗せられませんよ』
………よし、マスタードーナッツ三つでどうだ?
『…………』
……分かったよ!マスタードーナッツのボックスセットだ!調月さんと二人で食べてくれ!
『了解しました………ネル先輩、その辺にした方がよろしいかと』
『あっ?……そうだな、この辺にしとくか────』
『ただでさえ鬼のように恐ろしい形相なのに、これ以上怒るともっと恐ろしくなってしまうぞ………と、酒泉が言っていました』
『ああ!?』
は!?おまっ……ちょっ─────
『では、約束は守ってくださいね』
『おい!その通信機寄越せ!』
『あっ』
『おい酒泉!いきなり喧嘩売ってくるとはいい度胸じゃねーか!?』
待ってください!これも全部、飛鳥馬トキって奴の仕業で────
『ちょっと強いぐらいで調子に乗っちまったのか!?よーし分かった!今すぐこっちに来い!お望み通りその喧嘩、買ってやるよ!』
違うんです!本当に俺は何も────
『マスタードーナッツをあげれば簡単に手懐けられる……とも言ってましたよ』
『んだとお!?』
いや、それはアンタに────つーか、まさかそれが原因で!?ただの仕返しじゃねーか!?
『食べ物に釣られるような簡単な女だと思った罰です………あ、それはそれとしてちゃんと買ってきてくださいね、マスタードーナッツのボックスセット』
しっかり釣られてんじゃねえか!?何も間違ってねーだろうが!?
『ああ!?何が間違ってねえって!?』
えっ!?い、いや!美甘さんに言った訳ではなくてですね……!
『────もういい、さっさと来い。話はテメーの頭を地に埋めてからじっくり聞いてやるよ』
………切れた……
「酒泉、どうかしたんですか?」
なあ、天童さん………俺だけここに残っててもいいか?
「駄目です!酒泉にはアリスに応援バフをかけるという仕事があるんですから!」
駄目か………しゃーない、久しぶりに土下座の練習するか
「久しぶりに………?」