〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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〝ウトナピ〟取ったゾ!!!

 

 

 

「おい!前方から侵入者共が接近してるぞ!」

 

「言われなくても分かっているっ!既に迎撃部隊を配置して─────おい!どうした!応答しろ!おいっ!」

 

「くそっ!今度は別の侵入者か!」

 

 

爆発、そしてまた爆発

 

戦場が混乱する中、一つの影が煙の中を突き進む

 

 

「迎え撃て!奴等を通すな───ぐあっ!?」

 

「なんて精度してやがる……っ!?」

 

 

銃口を向けようとした直前に一発の弾丸が一人の兵士の手に命中し、超硬質のナイフがもう一人の兵士の放った弾丸を弾きながら飛んでくる

 

煙の中から飛び出してきたのは折川酒泉、彼はそのまま残りの兵士の懐にまで飛び込んで膝と脛を撃った

 

行動できなくなった兵士の頭部を強めに瓦礫の角に叩きつけ、意識を奪ってから基地の奥へ進もうとする────瞬間、機械の軍勢が酒泉の前に立ちはだかった

 

 

「前線の連中はもうやられたのか!?」

 

「ガラクタもいるぞ!混戦になる前に纏めて始末しろ!」

 

 

そう叫びながら酒泉────と、機械の軍勢に銃口を向ける兵士達

 

……この戦場に居るのは酒泉含むFOX小隊とカイザーだけではない、サンクトゥムによって生み出された〝無名の守護者〟まで存在していた

 

つまり三つ巴、全員が背中を狙われる状態へと陥る

 

 

「っ!?おい!背後から────」

 

「なっ!?コイツ、他の奴等とは違うぞ!?」

 

 

カイザー兵達の後ろから壁を突き破って現れたのは無名の守護者Type.B

 

尾から球体のエネルギーを放ち、反応の遅れた兵士達を吹き飛ばす

 

次の標的として酒泉を選んだType.Bは再び尾にエネルギーを溜めて射出する

 

 

「────FOX3」

 

「了解………っ!」

 

 

クルミが酒泉の前に立つと敵の攻撃をシールドで正面から受け止める

 

エネルギーの塊は激突と同時に爆発し、爆煙によって二人が包まれる

 

 

『二人とも動かないで………ねっ!』

 

 

そんな煙を突き抜けてオトギの放った一発の弾丸がType.Bの頭部に直撃する

 

後ろに仰け反った隙にそこから更にユキノが足で踏みつけて抑え込み、弾が切れるまで頭部目掛けて撃ち続ける

 

 

「今だっ!撃て!」

 

「漁夫の利を狙え!」

 

 

そんなユキノに手榴弾を投げようとカイザー兵の一人が手を上げるが────瞬間、真横の壁が爆発する

 

衝撃で別の壁に頭から叩きつけられ、そのまま意識を失う兵士達

 

倒れ込む彼等の横をニコが通りすぎる

 

 

「FOX2、こっちは終わったよ」

 

「此方も面倒なのが片付いたところだ………では、このまま突き進むぞ」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

FOX小隊か………いいなぁ………

 

コールサインってカッコよくね?俺もなんかそういうの欲しい!

 

ストーム1とか呼ばれたいしスプリガンとか部隊の名前も欲しいよお!

 

………あっ、どうも。ウトナピっちゃんを確保した折川酒泉です

 

今はエンジニア部に連絡を入れて待機中です

 

最終編で〝この人達めっちゃ酷使されるやん〟って思ってたけど、その理由が改めて分かった………機械関係だとめちゃくちゃ頼りになるんだもん

 

しかも全員ある程度は戦えるときた、優秀すぎない?この戦いが終わったら何かしら差し入れしとくか………

 

 

「FOX3とFOX4はこの基地の入口付近で待機を………何者かの接近を確認次第、すぐに連絡を」

 

「了解……じゃっ、行ってくるねー」

 

「了解!敵は私が一人も通さないんだから!」

 

 

そんな事を考えている間にも七度さんが二人に指示を出している

 

俺は………俺もこの辺りで待機しておくか

 

え?〝早く皆の所に戻らなくてもいいのか〟だって?

 

いやいや、エンジニア部がここにやってきてある程度の準備を終えるまでは護衛しておかないと駄目だろ

 

確かにカイテンロボは見たいけど、そんな俺個人の感情を優先して作戦に支障を来す訳にはいかないからな

 

更には砂狼さんの周囲の状況もちょくちょく気にしておかなければならない、また色彩が拐いに来る可能性だってあるからな

 

………原作で砂狼さんが拐われたあの時、プレナパテスは完全に色彩に操られていたのだろうか

 

それとも………僅かな自我を残しつつも、抵抗する事ができなかったのだろうか

 

もう一人の砂狼さん────シロコテラーが〝むしろ私がプレナパテスを利用しているかも〟みたいな発言を原作でしていたが………結局、その時のプレナパテスの精神状態はどんな感じだったのかは俺には分からない

 

もし自我を残している状態で砂狼さんを連れ去る為に色彩によって無理矢理動かされていたのだとしたら………それは他者には想像できない程の痛みを心で感じていたはずだ、あの仮面の下で彼は何を思っていたのか

 

悲しき涙を仮面で隠す戦士………俺が前世で大好きだったヒーロー達と同じような存在がやってきたはずなのに、こうして実際に事件に直面すると全く喜べねえな

 

やっぱ赤スパ説教カエルおじさんはクソ、キヴォトスにはとっておきのハッピーエンドを用意してやっから覚悟しとけ……!

 

だがまあ、俺は現状で出来ることは全てやったんだ。後は先生達がアトラハシースに乗り込んで────

 

乗り……込んで……………………このままで良いのだろうか

 

画面越しとはいえ前世ではプレナパテスに託された身、本当にのんびりと地上で先生達の帰りを待っているだけで良いのだろうか

 

……いや、良いんだ、うん………それで良いんだ、別に悪いことした訳でもないしな……

 

 

「………酒泉君?どうかしたの?」

 

 

なんて、柄にもなくシリアスなことを考えているとニコさんが話しかけてくる………そういえば七度さん以外の名字知らねえな、俺

 

 

「何か思い悩んでいそうだったけど………今回の作戦で心配事でもあるの?」

 

……いや、ちょっとした考え事ですよ。気にしないでください

 

「〝ちょっと〟どころか、かなり深刻そうにしてたけど………」

 

 

ニコさんはそう言って心配そうに顔を覗き込んでくる

 

今日まで無関係だった他人の心配をしてくれるなんて、この人は根っからの善人なのだろう

 

 

「下手に考え込んで任務に影響が出るぐらいなら………ここで吐き出しちゃえば?」

 

………結構重めの内容かもしれませんよ?

 

「重いものを抱えたままだと戦いづらくない?」

 

 

……確かに彼女の言うことも一理ある、それならお言葉に甘えてしまおう

 

 

 

 

 

─────もし、自分が誰かに操られて道具にされ、大切な人達を傷つけることを強要されたとしたら………それはどれだけ辛い事なのかと考えていましてね

 

その場合、どうすれば自分は救われるのだろうかと………

 

「………ごめん、想像以上に重かったんだね」

 

 

 

申し訳なさそうにニコさんが頭を下げてくる

 

例え話として出しただけなんだが……そこまで気にしな……くて……も……

 

 

 

 

 

………やっちまったああああああああ!!?この人達も不知火さんに〝操られている〟立場じゃねえか!?

 

向こうから言ってきたとはいえ絶対に相談するべきじゃなかっただろっ!!?なに考えてんだ俺ぇ!!?

 

 

 

 

 

「………えっと……ごめんね?聞いといてなんだけど、私には答えられそうには─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────一度〝道具〟になってしまえば痛みも悲しみも感じなくなる………だから何も気にする必要はない」

 

 

ニコさんの言葉を遮るように七度さんがピシャリと言い放つ

 

語気が強く感じたのは気のせい………って素直に思えたらよかったなぁ………

 

 

「………そもそも〝道具〟にそんな感情は不要だ」

 

 

そう言い捨てて七度さんは背を向けて去ろうとした

 

………道具、か

 

 

 

 

─────あ、あのぉ……別に〝道具〟が意思を持っても良いんじゃ……ないん……でしょうかね……?

 

「……何?」

 

お、俺の知り合いにも自分の事を道具だと思ってる人がいるんですけど………実は結構感情豊かなんですよ

 

「………道具が感情を?」

 

可愛い物を見たらつい目で追っちゃったり嫌なことがあれば不機嫌になったり実は仲間思いだったりと………本人は自覚してるのか分かりませんが

 

「………それで?」

 

いや、えっと……だ、だからぁ……そのぉ……ど、道具だって偶には自分の意思を持ち主にぶつけても……良いんじゃないかなぁって……

 

そこから〝道具〟としてじゃなく〝自分〟としてやりたい事を見つけられるかもしれませんし………?

 

いっ、いや!勿論各々の事情だってあると思いますよ!?逆らえなかったり心が折られたりと色々とあるでしょうし─────

 

「………結局、君は何が言いたいんだ?」

 

うぇっ?えっと……つまりですね────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────切っ掛け一つあれば、案外簡単に〝道具〟から〝人間〟に戻れるかもしれません………よ?

 

……そ、それかせめて持ち主はまともな人を選ぶとか!少なくとも超人を自称する人は止めた方が良いですよ!?

 

「……まあ、一応頭の片隅には入れておこう」

 

 

 

 

そう言って所定の位置に戻る七度さん

 

あっぶねぇ……完全に空気を悪くするところだった

 

………なんか勝手に例に挙げてしまった戒野さんに申し訳ないな、うん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「……ん、また制圧されてる……」

 

「………用意が周到すぎる、まるで事前に全てを知っていたみたいな……」

 

「どこかのタイミングで私達の存在を察知された?それとも………私達がこの世界に来るより前から私達のことを知られていた?」

 

「………どのサンクトゥムに居る生徒も大体見覚えがある、特に変わった人は─────」

 

「────いや、一人だけ知らない人がいた。確か最初は第三サンクトゥムで戦闘していて、その後は他のサンクトゥムを転々と………この人だ、ゲヘナの制服を着た男子生徒」

 

「………この人は………誰?少なくとも私達の世界にこんな人はいなかった」

 

「私が知らないだけで前の世界にも存在していたか、それとも………私と同じでこの世界にとっての〝異物〟なのか………」

 

「彼が原因なのかは分からないけど、一応手を打って…………駄目だ、最後のサンクトゥムを移動してからの消息が分からない」

 

「もっと細かく探るには私が直接行かないと駄目だろうけど………もう一人の私がキヴォトスに存在する以上、私は箱舟外で自由に行動することができない。同一存在を非存在にしなければ………」

 

「………それだったら大体の所在は掴めるもう一人の私を狙った方が早い、でも……それだと……」

 

「…………ごめんなさい、先生……私はまた先生の意思を踏みにじらせることになる………」

 

 

 

 

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