────……やっぱきたか
「……これは……」
美食研究会とも合流し、敵を殲滅してからウトナピシュティムに戻った酒泉とヒナ
船内に戻ると床や壁などにヒビが入っており、戦闘後のような状態になっていた
「何かが爆発したかの様な跡ですわね……」
「敵襲……でしょうか?」
「うん……さっき相手から先に奇襲を仕掛けてきてね、一応警戒はしていたんだけど……」
ハルナの言葉に答える先生
その身体に外傷は見当たらないものの、衣類等は多少破けていたりする
オペレーター達も全員似たような状態になっており、その姿から目立った怪我はしていないことが窺える
「とりあえず今は地上からエンジニア部のサポートを受けながらカヨコが船の修理をしてくれてるけど……」
「ただでさえ突入時の衝撃でボロボロだった船が敵の爆弾で更にボロボロに………そう簡単には直りそうにないんだよねー」
「……それに、私達もただ修理を待つだけというわけにはいかないからね……ヴェリタスの皆、説明をお願いできる?」
『了解……まず、この箱舟について説明するね』
ハレが通信機越しにアトラ・ハシースの船内図を開くと、チヒロがその画面を拡大して説明を開始する
『アトラ・ハシースの箱舟は巨大な多次元解釈演算装置………この箱舟全体が量子コンピュータになっている、つまりこの構造物の1つ1つが多次元解釈を行う為の演算装置ってこと』
『なので、この箱舟の各エリアを占領し、制御権を少しずつこっち側のものにしなきゃいけない』
『だから占領戦ってわけ!』
『そう……文字通り、相手の領土を占領していくよ』
『そうやって箱舟を占領していって最後に管制システムを奪ったら……私達の勝利、そうしたら後は自爆シークエンスを作動させて箱舟を破壊できる』
『勿論敵も黙ってないだろうけどね、占領戦を進めていく中で多くの敵と戦うことになると思う』
自爆シークエンス、外から干渉する事ができない敵の拠点を内部から完全に破壊する為の唯一の方法
それを奪う為に、これから酒泉達は全てのエリアを制圧しなければならない
『それと、今の箱舟はさっきのアリスの攻撃のおかげで多次元解釈ができないように抑えられてる状態なんだけど………当然、それを維持するのだって限度がある。制限時間が過ぎたら箱舟の抑制状態が終わって再び多次元の中に消えてしまうだろうね』
『そうなってしまったら────二度と箱舟への接触はできないからね』
つまりチャンスはこの瞬間だけ、その事実に各員が冷や汗を流す
そんな現場の者達の心情を察しながらも、今度はコタマがモニターを切り替えて説明を続ける
『では、次は箱舟の内部構造の説明をします……箱舟は大きく分けて4つのエリアから成っています』
そこに表示されたのは丸い円のような構造の図、よく見れば外郭が3つに分かれ、中央に1つの空間が存在している
『外郭に位置している第1エリア……現在、私達はこの内部にいます。なので第1エリアから占領を開始、そこから第2第3エリアと続け、最後に第4エリアという順で進めていきます』
『各エリアごとに次元エンジンが設置されており、これが箱舟の核である多次元解釈演算装置のコアです。箱舟に存在する4つの次元エンジンを全て破壊すれば、箱舟の管制システムを掌握可能となります』
『そして、最終的に箱舟を自爆させることができれば……作戦は成功です』
『そうすればキヴォトスに平和が戻ってくるはず』
『その後、皆が船に乗って地上に戻ってくれば完璧ってわけ!』
『私達の説明はここまで、次は……シャーレの番だよ』
『後はよろしく~!』
『皆、頑張って……私達も頑張るね』
各々が健闘を祈りながら通信を切るヴェリタス
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はい、ということでアトラ・ハシース占領RTAはーじまーるよー
まあ、敵の数が多過ぎて最初からチャート崩壊してるんですけどね、チャートはちゃーんと組まないとね!(激ウマギャグ)
ここからは修理中のウトナピシュティムの防衛をしながら敵拠点を制圧します
船の防衛は美食研究会+愛清さん、拠点制圧は対策委員会と風紀委員会
先生は既に次元エンジンを破壊しに行ってます
1人で大丈夫か?と思ったけど最初のエリアは原作でも1人で辿り着いてたし問題無いだろう
いざとなれば大人のカードとシッテムの箱の二刀流でどうにかできるだろうし………先生が天童さんの分の負荷を背負わずにウトナピシュティムを起動できたのがここに来て活きるかもしれん
本当は一度も大人のカードを使わせずに勝てればいいんだけど………相手も同じ〝先生〟だし、そう簡単にはいかんよなぁ……
過ぎてしまったものは仕方無い、対策委員会や空崎さんが同じエリアで敵に集中してるんだし、俺も余計な事は考えずに自分のやるべきことをやらなければ
「酒泉、ちょっとだけ面倒なのが来たかも」
────おん?……ああ、了解っす
空崎さんの視線の先には今まで適当に倒してきた丸い機械とは別の個体が
多脚の尾付きロボット……無名の守護者.TypeB、それも少々大きめの奴だった
……あ、そうだ
「とりあえずおじさんがアイツの攻撃受け止めるから、風紀委員長ちゃんが回り込んで────って、あり?」
「……ごめんなさい、既に酒泉が向かってしまったわ」
尾を紫に光らせつつ、大量のエネルギー弾を放ってくるTypeBの攻撃を回避しながら雑に手榴弾を投げつける
どうせ後でウトナピシュティムに補充しにいけばいいし、勿体ぶらずに使ってしまおう
《────!》
敵が仰け反った瞬間に合わせてもう1個投擲し、完全に体勢をひっくり返す
そして俺はいつもの銃───ではなく、調月さんから貰った新しい銃を取り出して敵の尾に銃口を向ける
引き金を引くと、銃弾サイズの無数の青いエネルギーの塊がTypeBの尾に襲いかかる
おお……!これがビーム版のアサルトライフル……!
あまりのカッコよさに感動しつつも、今度はグリップについているトリガーを引いてみる
すると銃身のパーツが幾つか形を変えて銃の先端に集まり、スナイパーライフルのような形に切り替わる
未だに紫の光を発しているボロボロの尾に向かって再び引き金を引くと、今度は針のような1発の鋭い光がその装甲を貫いた
エネルギーの溜め場を失った尾は暴走し、そのままTypeBを巻き込んで大きく爆発した
……か、かっけぇ……!この銃かっけぇよ……!
「……あれ?もう倒しちゃいました?」
「………な、なんか敵の攻撃をすり抜けてるように見えたんだけど……幽霊だったりしないわよね……?」
「いや、アレは攻撃が来ない場所に最小限の動きでギリギリ回避してただけだよ。おじさんでなきゃ見逃しちゃうね………」
「な、なんかホシノ先輩の顔が一瞬だけ本当のおじさんに見えたような……」
内容は聞こえんが雑談をしながらも敵を確実に処理していく対策委員会の面々、流石は少数精鋭だ
……つっても、エリアが進めば進むほど敵の数も質も上がっていくだろうな
楽をできるのは今だけ、ここで少しでも体力を温存して────
『緊急報告!シロコ先輩が姿を現しました!』
「っ……シロコちゃんが……!」
通信機から奥空さんの声が聞こえてきた……まあ、来るならこのタイミングだよな
「なるほど……シロコちゃんの姿はまだ変わったままなのでしょうか?」
『はい!先程と同じで黒い服を身に纏っています!』
「もう!今度こそいきなり攻撃してきた理由を問い詰めてやるんだから!」
………ん?先生はもう1人の砂狼さんのことは伝えていないのか?てか伝えるタイミングがないか、拉致されてからはずっとバタバタしてたし………そもそもこっちの世界の砂狼さんを護り切る前提で動いてたしな
まあ、最終決戦前に突然〝君達の知ってるシロコとは別のシロコが現れるけど、実はその子は私やシロコ以外の対策委員会が全員死んだ別の世界線からやってきたシロコで、姿が変わってる理由は色彩がどうのこうの〟って言われても普通に困惑すると思う、なんならそれを知ってる先生にも困惑する
下手に困惑させるくらいなら自分達で真実を確かめてもらった方が早いかもしれない………ていうか小鳥遊さんに関しては実際に原作で何度目かの会敵で普通に自分で気づいてたし、これが友情パワーかぁ
「でも、とりあえず今はここの防衛を────」
────あ、小鳥遊さん達は先に行ってていいっすよ
「……はえ?」
────どうせここは俺と空崎さんだけで十分ですし、それに……おじさんの腰に重労働は堪えるでしょ?こんな所で働いてるよりお孫さんに会ってきたらどうです?
「………うへへ、それじゃあお言葉に甘えて……お仕事抜け出しちゃおっかな?」
ニヤリ、と互いにイタズラ小僧のような笑みを浮かべながら見つめ合う
小鳥遊さんは十六夜さんと黒見さんに目配せすると、そのまま奥空さんと通信を繋げながらこのエリアから去っていった
「……酒泉、いつの間に仲良くなったの?」
────いや、仲良くはないっすよ……ただ気楽に話せるってだけです
「………あんな親しげに話してたのに?しかもあだ名みたいな呼び方で」
────だって実際に〝小鳥遊〟さんは〝おじさん〟ですから……
「……?」
プレイヤーの中では小鳥遊ホシノ=おじさんというのは共通認識なのだ、女物の水着を着てもそれは水着を着ただけのおじさんなのだ
そのせいでブルアカをやった事がないプレイヤーに時々TSキャラと勘違いされる小鳥遊さんに悲しい過去……
────……あ、ていうか空崎さんの許可もなく勝手に行かせちゃいましたけど……大丈夫でしたかね……?
「今更不安そうに聞くの?……まあ、別に問題無いけど」
────す、すいません……空崎さんが一緒ならどうとでもなると思って……
「……うん、私もそう思う。2人〝だけ〟で十分よ」
おお……互いに信頼し合っている……最高のパートナー……!
前世の自分へ……俺は今、推しと最高の信頼関係を築き上げています
いずれは万丈と戦兎、セイとレイジ、ハンバーグと付け合わせのミックスベジタブルのような関係になれたらなと思います
ゲヘナのプレミアム殿堂コンビとは俺達のことよ!
「……そう、私の隣に居るのは酒泉だけで十分だから」
────へへ……そこまで信頼されると照れちゃいますよ……
「うん、だから酒泉の隣も私以外必要無いよね?」
────はい!空崎さんと2人なら不可能なんてありませんから!
「………ボイスレコーダー、持ってきた方がよかったかも」
自分の世界の生徒と同じ実力の生徒
自分の世界の生徒と同じ顔の生徒
その中で唯一、実力も容姿も違う存在───砂狼シロコ
プレナパテスはそんな彼女が映るモニターを拡大しようと………した直前、別のモニターに目をつける
空崎ヒナと共にプレナパテス側の戦力を次々と始末していく黒髪の少年、そんな彼の顔をモニターで拡大する
自分の世界で一度も見たことがなかった生徒
自分の世界には存在しなかった生徒
何もかもが未知数の生徒
(ちがう)
死にかけの自我が微かに浮かび上がってくる
(ここは、ちがう)
一瞬、ほんの一瞬
仮面の奥の瞳が1秒にも満たない時間の間だけ光る
(このせかいは、違う)
(託せる?)
その光に、小さすぎる希望を込めて