〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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格上に日和ってる奴いる?いねえよなぁ!?

 

 

 

 

 

「むむっ!?何やら空模様が怪しくなってきましたね!」

 

「ですがご安心を!この宇沢レイサ、何があろうとも!何が来ようとも!必ずこの地を守りきってみせましょう!」

 

「全ては空で戦っている酒泉さん……皆さんの為に!」

 

「見よ!これぞ必殺!」

 

「宇沢ステップ!!!」

 

「この動きならば何人足りとも私に攻撃を当てることはできません!さあ!どこからでも掛かってきてください!」

 

 

 

 

「あの……レイサさん、まだ敵は来ていませんので……」

 

「はっ!?失礼しました!スズミさん!」

 

 

 

 

 

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「……ごめん、ヒフミ。私はここで降りる」

 

「ア、アズサちゃん!?どこに行くんですか!?」

 

「分からない……けど、もしかしたらまた敵が現れるかもしれないから見晴らしの良い場所で待機してる」

 

「……で、でも……危険ですよ?」

 

「……戦ってるから」

 

「……え?」

 

「酒泉も先生も……サオリ達も皆戦ってるから」

 

「アズサちゃん……」

 

「……じゃあ、私はもう行くから────」

 

「分かりました!2人で一緒にいきましょう!」

 

「……えっ?」

 

「私達は4人で補習授業部ですから!そこに1人でも欠けるような事があってはいけないんです!」

 

「ヒフミ……」

 

「……といっても、今この場に居るのは私とアズサちゃんだけですけどね……あはは」

 

「……ありがとう、ヒフミ……一緒に行こう」

 

「はい!」

 

 

 

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「ハスミ先輩!私も防衛ラインに配置してください!」

 

「……駄目です、既に決まった配置を変えるつもりはありません」

 

「そんな……お、お願いします!私も彼と一緒に戦いたいんです!」

 

「……彼?」

 

「今、こうしてる間にも空では私の大好きな人が戦ってるんです!私も……私も力に……!」

 

「あー……ハスミ先輩、ちょっといいっすか?」

 

「イチカ?どうかしましたか?」

 

「先日の戦いの影響で防衛ラインの方の狙撃部隊が負傷していまして………一応、援護要員は増やしておいても損はないと思うっすよ」

 

「……ふむ……そうですね……分かりました、そういう事でしたら防衛ラインの援護は貴女にお願いしますね……ツルギには私から話しておきますので」

 

「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」

 

「いやぁ……よかったっすねぇ」

 

「あっ……イ、イチカ先輩もご協力ありがとうございました!」

 

「いやいや、私はただ戦力が欲しかっただけっすから………でも、怪我だけは絶対にしちゃダメっすよ?」

 

「はい!すぐに準備してきます!」

 

 

 

 

 

 

「いやぁ……まさか正実うちの娘がゲヘナの風紀委員に告白だなんて、あの酒泉って生徒はかなり罪作りな人っすねー」

 

 

 

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「……なーんか、またヤバそうな雰囲気だねー」

 

「どうする?ユキノちゃん」

 

「……何故私に聞く?」

 

「そりゃ、アンタが隊長だからに決まってるじゃない」

 

「……私…は……」

 

「……そういえば、誰かの道具としてじゃなく自分の意思で決めるのって随分久しぶりじゃない?」

「確かに!ずっとあの防衛室長の言いなりだったもんねー」

 

「………いきなりだと悩んじゃう?」

 

「……そう、だな。突然解放されてもな……」

 

「どうする?文句言っちゃう?」

 

「……ああ、そうしよう」

 

 

 

 

 

 

「〝何も言わず勝手に放り出されても困る〟と、武器としての私達の在り方を一方的に壊してきたあの男に文句を言わないとな」

 

「じゃあ、その前にまずはキヴォトスを守らないとね」

 

 

 

 

 

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「空の色が再び変わってしまいましたが……全く、ウトナピシュティムに乗っている連中は何をしているのですか」

 

「やはり凡人では勝てませんでしたか……所詮は超人以下の集まり」

 

「………ふむ」

 

「リン行政官や先生がいない今、私は晴れて自由の身となった訳ですが………私の罪の証拠を消して回るなら今の内───」

 

「……いえ、止めておきましょう。今はそれどころではないですし、この建物には連邦生徒会のメンバーが集まってますからね。それに……」

 

「………どうせあの男は帰ってくるでしょうし、そのタイミングで計画がバレたら現行犯逮捕されてしまいますからね」

 

「…………チッ!つくづく厄介な存在ですね!彼は!」

 

「地上に帰ってきたらまずは約束通り私の罪の減刑に協力してもらい、それから────」

 

「────ああもう!色彩でも何でもいいからさっさと倒してきなさい!その後は約束通り足裏がズタボロになるまでこき使ってやりますから!」

 

 

 

 

 

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弾丸を左手のナイフで受け止め、右手のスナイパーライフルで反撃する

 

針のように鋭い、青い光がシロコテラーの頭部………の横を通りすぎる

 

そのまま一直線に突っ込んできたシロコテラーの拳を受け流し、その背にナイフを振るう

 

瞬間、シロコテラーは片足を軸に屈んだ状態で身を翻し、ナイフをかわしながら銃口を此方の腹部に向けてくる

 

 

「これで対等……になったわけじゃない」

 

 

引き金を引かれるよりも先に咄嗟に相手の手を蹴り上げる

 

銃を手放させることはできなかったが、銃口を上げたことで攻撃自体は回避できた

 

 

 

「空間移動が封じられたところで戦闘経験も肉体面も此方の方が上、この事実は何も変わらない」

 

────なんだ、つまりアンタは格下をさっさと倒す事すら出来ない程度の実力だったって訳だ

 

「……その余裕もすぐに無くなる」

 

 

 

とっくに無くなってます……なんてことは心の内に秘めておこう

 

そんな事を考えている間にも敵の弾丸が迫ってくるが、相手が引き金を引く直前に射線上から飛び退いていたことで回避に成功する

 

ビーム兵器をアサルトモードで放ち、シロコテラーの回避先に最後の手榴弾を投擲する

 

………が、シロコテラーは途中で後ろに飛び退き、そのままブリッジ回転のような動きで綺麗に着地する

 

駄目だ……敵の身体の動きを予測して攻撃しても、シロコテラーは直前でそれに対応できる程の戦闘技術がある

 

 

……もっとだ、もっと〝視ろ〟

 

相手の動きを───いや、相手の動きだけじゃない

 

視界に映る〝全て〟を

さっきシロコテラーも言ってただろ、俺は〝情報処理能力が高い〟って

 

それならちょっとぐらい処理する情報が増えても大丈夫だろ、もっと働けよ俺の脳と俺の眼

 

 

「………遅い」

 

 

 

放った弾丸が全て回避され、そのまま接近戦を仕掛けられる

 

あの腕はどう動く?そのまま振りかざす?俺が受け流したらその後シロコテラーはどう動く?……きっと、さっきみたいにすぐに後ろを振り向いて反撃してくるはず

 

 

「っ!」

 

 

その予測は一瞬で外れた

 

シロコテラーは攻撃を受け流された後、一旦距離を取って右足に弾を放ってきた

 

ギリギリで直撃を避ける

 

 

「……」

 

 

再び互いに距離を離してからの銃撃戦に入る

 

相手の歩幅は?あと何歩分で壁際に着く?その後はどこに移動する?

 

移動先を全て予測しろ、予測した移動先の状態も更に予測しろ

 

床に亀裂は、瓦礫は、少しでも足を躓かせられる物はないか

 

 

「何か企んでいるみたいだけど……無駄」

 

 

互いにリロードのタイミングに入り、再びシロコテラーが近づいてくる

 

リロードを終えたアサルトライフルの銃口をほぼ同じタイミングで互いの額に突きつける

 

……僅かに俺の方が遅かった、それを理解した瞬間に頭を下げて銃撃を回避する

 

下からシロコテラーの顔を見上げながら足払いを仕掛けるが、彼女は後ろに飛び退いたことにより俺の足は空振る

 

……何秒だ、あの仰け反った体勢から攻撃体勢に立て直すのに0.何秒掛かる

 

予測はまた裏切られ、シロコテラーは仰け反った体勢のまま銃の引き金を引いてきた

 

狙いは俺の額───ギリギリで顔を逸らすのに成功するが、僅かに額が切れる

 

 

 

「……戦う気がないなら大人しくしてて」

 

 

 

何度目になるのか、銃を構えながら接近するシロコテラー

 

だが、動きがこれまでとは違う、回避やカウンターを重点とした動きから完全に攻撃的な動きへ

 

あの銃はどの位置で構える?既に構えているあの拳はあと何歩踏み込んだタイミングで振ってくる?

 

今から放たれる弾丸の軌道は?あの速度で走りながら撃ったらどの角度から射出される?

 

 

「っ……またギリギリで」

 

銃身を盾にし、残りの弾を身を翻して回避する

 

まだだ、まだ足りない、結局また敵の動きだけを視てしまっている

 

シロコテラーだけを視るな、対象は視界内の全てだ

 

敵は弾を何発放った?次のリロードタイミングは?

 

今、シロコテラーが空中に投擲した手榴弾を狙撃するとどの位置に落下地点がズレる?

 

 

ビーム兵器をスナイパーライフルモードに切り替え、空中の手榴弾を狙撃する

 

だが、落下地点はズレることなく、手榴弾はそのまま青い光に貫かれて地面に落ちる

 

起爆はしていない……今のもミスだ、単純に運が良かっただけだ

 

 

もっと早く手榴弾の型式を判断するべきだった

 

衝撃を与えただけで爆発するタイプか、レバー部分を破壊しても爆発するタイプか、真ん中を撃ち抜けば起爆の仕組みを全て破壊できるのか

 

このビーム兵器の威力も考慮するべきだった、軌道をズラすどころかそのまま撃ち抜いてしまうとは……場合によっては地面に接触する前に手榴弾が起爆して死んでいたかもしれない

 

 

足りない、もっと早く情報を処理できるはずだ

数少ない取り柄である〝眼〟すら役に立たなかったら、俺はここに立っている意味が無い

 

見極めろ、生物も、無機物も

 

全部の動きを、全部の未来を

 

 

「……これ以上貴方には構っていられない、ここで終わらせる」

 

 

シロコテラーの瞳に今まで以上の殺意が込められ、一瞬でかなりの距離を詰められる

 

この攻防で勝敗が決まる───俺の戦闘経験と勘がそう告げている

 

ここで噛みつくことが出来なければ間違いなくそのまま負ける

 

正面からシロコテラーを睨んでいると、突如姿が見えなく────いや、屈んだのか

 

右腕で銃身を咄嗟に下げてシロコテラーに狙いを定めるが、素早い動きでその腕を掴まれて引き寄せられ、そのまま右側に回られる

 

腕は押さえられたが手首は動く……即座に右手のビーム兵器と左手のナイフを同時に手放し、空いた左手で落としたビーム兵器を拾い上げる

 

モードはスナイパーのまま、此方の腕を掴んでいるシロコテラーの手を狙い撃つ………が、シロコテラーがその手を離した事によって弾は外れる

 

だが、お陰で自由になれた

 

空いた右手で背のホルダーから通常のスナイパーライフルを抜き取る────違和感を感じたのはその時だった

 

ほんの一瞬、そしてほんの少しだった

 

いつもと違う感覚、ギリギリで敵の方を向いていない銃口

 

理由は単純────銃を抜く際に力を入れすぎた、それだけ

 

だが、そのほんの少しのミスをシロコテラーは見逃さなかった

 

此方が通常のスナイパーライフルの引き金を引くよりも早く、先程のようにシロコテラーの蹴りが腹にめり込む

 

後ろに倒れかけている俺を見下ろすようにシロコテラーが銃を構え、此方も最後の抵抗とばかりにスナイパーライフルの銃口をシロコテラーに向ける

 

この撃ち合いは体勢を崩された俺の方が不利、それでもやるしかなかった………やらなければ死ぬ

 

シロコテラーが弾を放つ……俺も遅れて弾を放つ

 

 

今回も俺の方が遅かった、つまり───先に敵の弾丸が届く

 

 

シロコテラーの放った弾は俺の心臓目掛け────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……やっと終わった」

 

 

蹴り飛ばされた勢いで地面に激突し、苦しそうに咳き込む酒泉

 

シロコテラーはそんな彼の姿をどこか虚しそうに見つめる

 

 

「結局、救援は間に合わなかったし貴方も持ちこたえる事ができなかった」

 

「希望なんて持つだけ無駄、誰かに助けを求めたところで………都合良く救いの手が伸ばされる訳じゃない」

 

「………だから、もう立ち上がる必要は無い」

 

 

ノロノロと立ち上がる酒泉を冷たい眼差しで見つめる

 

「ここで諦めても誰も貴方に文句は言わない、だって……どうせ終わる世界なんだから」

 

 

状況は戦闘開始直後と殆ど何も変わっていない

 

酒泉が不利なまま戦況が進み、シロコテラーが空間移動能力を失って尚歯が立たず、最後まで成す術なく蹂躙され続けた

 

 

「……それでも……まだ続けるの?」

 

ただ唯一変わった点といえばシロコテラーの頬から血が垂れているくらい

 

それは決して戦況を覆す程の出来事には────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……?頬から……血……?)

 

 

有り得ない、攻撃は全て完璧に捌いた

 

血を流すタイミングなんて無かったはず

 

そんな事を考えながら───1つの可能性に気づく

 

 

(……まさか)

 

 

シロコテラーが酒泉の心臓部を注視するが、そこから血は流れていなかった

 

代わりに放った弾丸が酒泉の心臓部からズレている場所……斜め後ろの壁に着弾していた

 

 

(彼が放った弾丸はあのスナイパーライフルの1発だけ……じゃあ、そのたった1発で私の弾丸の軌道を逸らしつつ頬に掠めさせた……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────やっと届いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲヘナの〝眼〟が狼を捉えた

 

 

 

 

 






トリニティのゴリラでも分かる!酒泉君の進化先講座


つよつよ酒泉君→〝敵〟の動きを超精密に予測し、確実に行動を潰してくるタイマンお化け

本編酒泉君→眼に映る物〝全て〟を見極める、汎用性や仲間との共闘時ならこっちの方が格上
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