〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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オリ主なのにチョロッとしか登場しない奴いる?いねえよなぁ!?

 

 

 

 

「ヒナ!真ん中に敵を集めるから片付けは任せた!シロコはそのドローンで左右に攻撃して敵の回避先を絞って!」

 

「……ん、了解」

 

 

シロコのドローンから発射された小型のミサイルが何体かの敵を巻き込みながら左右に着弾する

 

狙い通り中央に回避した残りの敵に対してヒナがデストロイヤーを向ける

 

 

「これで……終わり……!」

 

 

超火力が連続で敵の群れに襲いかかり、1体2体と瞬く間に撃ち抜かれていく

 

銃声が止む頃には機械の軍団の故障音も止まり、ユスティナの身体も完全に消滅していた

 

 

「……この辺りから敵の気配が少なくなってきた」

 

「……もしかしたら向こうも待ち構えているのかもね」

 

 

第3エリアで足止め用の戦力を使い果たしたのか、それとも中継端末の護衛に割いているのか

 

それとも────最奥で全てをぶつけるつもりなのか

 

いずれにせよ、彼等は先に進まなければプレナパテスを止めるどころか会うことすら出来ない

 

 

「……まあ、何が待っていたとしても引き返すつもりはないけどね」

 

 

先生は戦場から姿を消した教え子を想起しながらそう呟いた

 

 

「さて、目の前の通路を走り抜ければ最奥部に到着するけど……2人とも準備はいいね?」

 

「……いつでも行ける」

 

「私もよ」

 

 

一切の怯えを見せず、既に前方を睨んでいるシロコとヒナ

 

そんな2人に頼もしさを感じながら、先生は小さな声でもう1人の頼れる仲間に声を掛ける

 

 

「……アロナ、もう少しだけ力を貸してね」

 

『当然です!どんな攻撃が来ようともこのスーパーアロナちゃんが受け止めてみせますから!』

 

 

自分……と酒泉以外には聞こえない明るい声

 

こんな敵地の最奥部手前でもタブレットの中で元気に頷くアロナを見て微笑む先生

 

 

「……先生?どうしたの?」

 

「いや、なんでもない……ちょっと気合いを入れ直していただけさ」

 

「……先生、急ごう。酒泉が今も戦っているかもしれないから」

 

「そうだね────よし!突入するぞ!」

 

 

いつでもバリアを張れるようにシッテムの箱を持つ手に力を込めて走り出す先生

 

道中で1体も敵と遭遇しなかった事になんとなく決戦が近い事を察しながら、そのまま何事もなく通路を通り抜けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして────辿り着いた、最奥部まで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……敵、発見」

 

 

シロコは正面を睨むと、空中にドローンを展開してアサルトライフルを構える

 

 

「私を拉致したアイツ……!」

 

 

その視線の先にいたのは仮面で顔を隠し、白く広い司祭服のようなものを身に纏った1人の人間

 

いや……見た目だけでは人間なのかすら分からない正体不明の〝ナニカ〟が立っていた

 

……その仮面の奥に誰の顔があるのか、それを理解しているのは酒泉と情報を共有していた先生ただ1人

 

 

「止まれ!少しでも動いたら……撃つ!」

 

 

言葉が通じるのかも分からないまま、シロコはその〝ナニカ〟に投降を促す

 

 

「ここにはシャーレの先生がいる、だからもう……全部終わり。大人しく降参して、すぐに……」

 

〈………〉

 

「───っ!う、動くな……!手を上げろ!さもないと………撃つ!」

 

 

そんなシロコの言葉を無視して〝ナニカ〟は懐からタブレットのような物を取り出す

 

そして───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈我々は望む、ジェリコの嘆きを〉

 

〈我々は覚えている、七つの古則を〉

 

 

「っ……!」

 

 

 

仮面の男が────プレナパテスが何かを唱えると同時に、シロコのアサルトライフルから弾が放たれる

 

更に空中のドローンからもミサイルが射出され、その全てが敵の元に着弾する────事はなく、逆に全てが左右上下へと逸らされる

 

そのまま床に着弾したミサイルの爆煙に敵が包まれ、シロコはそれを唖然と眺める

 

 

「……嘘……銃弾が全部……外れた?この距離で……何故?」

 

 

煙が晴れ、少しずつ敵の姿が見えてくる

 

 

「先生……駄目、何かがおかしい……!」

 

「……シロコ、ヒナ、下がっていた方がいい」

 

 

〝やはり〟

 

そう思いながら2人の前に立ち、正面から仮面の人物を睨み付ける先生

 

ピリピリとした空気の中、1人の少女の声が先生の耳に届く

 

 

 

『先生の生体認証、完了』

 

 

 

その声は仮面の人物の方から発されており、煙の中から少しずつ少女の姿が露になっていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『この〝シッテムの箱〟に常駐しているシステム管理者であり、メインOS────A.R.O.N.A、命令待機中』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白い髪に黒いセーラー服、頭上には赤いヘイロー

 

A.R.O.N.Aと名乗るその少女は先生の知る〝アロナ〟とは全くの別人だった

 

「あれが……別世界のアロナか」

 

『こ、こうして実際に目にすると……流石に驚きを隠せませんね……』

 

 

先生に未来の出来事を話すということは、先生と共に行動しているアロナにも当然話が伝わっている

 

……が、酒泉の口から語られる出来事を事前に聞いていながらも尚、アロナは呆然としていた

 

 

『アトラ・ハシースの箱舟、復旧システムを起動。シッテムの箱の権限により、アトラ・ハシースの箱舟を多次元の同一存在と交代・修復します……約30分後、100%修復を想定』

 

 

驚愕する暇すら与えず、絶望的な宣告を告げるA.R.O.N.A

 

 

「……どれだけ抗ったとしても、運命は変えられない」

 

「───っ!誰!?」

 

「……貴女は……!」

 

 

そこに新たな声と共にプレナパテスの背後から何者かが姿を現す

 

シロコにとっては初めての遭遇だが、ヒナにとっては目の前で酒泉を連れ去った倒すべき敵

 

 

「多少の〝イレギュラー〟が混じっていても、キヴォトスは予定通り終焉を迎える」

 

 

その少女は先生とヒナの側に立っているシロコに非常に似ており、そこから更に数年程成長したかのような風格を醸し出している

 

 

「そんな……なんで、私が……?」

 

「……別世界の……砂狼シロコ……!」

 

「……別世界の私?それってどういう────」

 

『肯定。砂狼シロコ、別時間軸の同一存在』

 

「……ならもう1つ質問を、そこに立っている〝彼〟は別時間軸の私……で合ってるんだよね?」

 

『……肯定』

 

「……あれが……先生……?」

 

 

ヒナに言葉の意味を問おうとするシロコだが、ヒナが口を開くよりも先にA.R.O.N.Aが答える

 

更に自身を拉致した者が別世界の先生であると知ってより一層困惑が増すシロコを冷めた目で一瞥すると、そのシロコに似ている少女は先生の方へと向き直った

 

 

「……私の想定よりも辿り着くのが早かったね」

 

 

目を伏せながら先生に語り掛けるもう1人の砂狼シロコ────シロコテラー

 

その周囲にはプレナパテスやA.R.O.N.A以外は誰も存在していなかった……連れ去られたはずの折川酒泉も

 

 

(……酒泉が居ない?と、なると……他の場所に隔離されて────)

 

「折川酒泉を探しているのなら、その必要はもう無くなった」

 

 

先生の思考を読んだかのようにピシャリと言い放つシロコテラー

 

伏せていた目を上げると、今度は正面から先生を見つめて口を開いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だって、彼はもう死んでいるのだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………は?」

 

 

ただ一言、短く声を漏らした先生

 

そんな彼にシロコテラーは現実を突きつける

 

 

「先生も私の格好を見れば分かるはず……私が誰かと戦った後だって」

 

「……でも、酒泉はここには……」

 

「死体なら別の場所にある、戦闘中に〝そっちの私〟に乱入されると面倒だから更に別のエリアで戦っていただけ」

 

 

冷酷に真実を伝えるシロコテラー

 

先生は彼女の言葉を黙って聞き続けている

 

 

「私が自分の指で、自分の銃の引き金を引いて、自分で命を奪った………心音だって確認した」

 

「………」

 

「……あの子を助けるつもりだったのなら……ちょっとだけ遅かったね」

 

 

連続で鳴り響く銃声と共に数十発の弾が飛んでいく

 

シロコテラーは軽く横に跳んで回避し、視線を1人の少女の方へと向ける

 

そこにはデストロイヤーの銃身を下げ、無言でリロードするヒナが立っていた

 

 

「……今、なんて言ったの?」

 

「………」

 

「誰が、誰を殺したって?」

 

「私が、折川酒泉を殺した」

 

ヒナの殺気を正面から受け止めてもなお平然と立っているシロコテラー

 

そんな彼女に向けられているデストロイヤーが……それを持つ手が震え始める

 

 

「……つまらない嘘を吐くのね」

 

「嘘じゃない、全て事実」

 

「酒泉が貴女なんかに負けるはずがない」

 

「………私がこの場に立っていること自体が彼が死んだという証明」

 

 

 

一歩、また一歩とシロコテラーに近づきながら何かを呟くヒナ

 

 

 

「……酒泉が死ぬなんてあり得ないわ。だって彼は調印式で巡航ミサイルを食らっても」

 

「その後大勢の敵に囲まれても」

 

「足止めの為に1人でユスティナの軍勢を相手しても」

 

「ベアトリーチェに身体を貫かれても」

 

「レールガンの攻撃に巻き込まれても」

 

「カイザーグループに身体を狙われても」

 

「虚妄のサンクトゥムから出現した怪物と戦っても」

 

「1人でバルバラと戦っても」

 

「……最後には……最後にはいつも笑顔で帰ってきてくれたんだから」

 

 

信じられない……というよりも〝信じたくない〟といった様子でシロコテラーの言葉を否定するヒナ

 

シロコテラーはそんな彼女を哀れむように見つめていると、ヒナの後ろからシロコが声を震わせながら問いかけてきた

 

 

「………人を殺した事を……何とも思っていないの?」

 

 

シロコがそんな問いをした理由は単純な疑問からか、それとも────自分が平気で人を殺せるような人間だと思いたくなかったからなのか

 

 

「別に、何も」

 

 

だが、シロコテラーはその問いに呆気なく答えた

 

 

「……っ!なんで……そんな簡単に……!」

 

「私の大事な人達……対策委員会の皆や此方の世界の先生と違って彼は他人だったし、特に葛藤することもなかった」

 

「だからって誰かの命を奪っていい理由には───」

 

「それに……私の手は既に汚れているし、2度目にもなると少しは慣れたよ」

 

「────え?」

 

 

まるで酒泉以外にも誰かを殺めているかのように語るシロコテラー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だって、私は先生を殺したから」

 

 

 

 

 

 

 

 

シロコの手から力が抜け落ちるが、そんな事などお構い無しにシロコテラーは語り続ける

 

 

「そうしたら先生は色彩の嚮導者になった……恐らく色彩の影響だろうね。そして私をここに連れてきたの、世界を終焉に導くという私の運命を実現させる為に」

 

「…………貴女が……私?先生を殺した……貴女が?」

 

「ええ」

 

「世界を滅亡させようと……対策委員会の皆を傷つけようとしている貴女が?」

 

「……ええ」

 

「────っ!!!ふざけ、ないで────」

 

「シロコ、落ち着いて」

 

 

 

銃を持ってシロコテラーに向かおうとしたシロコ

 

だが、その直前に落ち着かせるかのような声色で語りかけながら先生がシロコの肩をポンと叩く

 

「先、生……!あいつが……私が……先生を……!」

 

「うん」

 

「殺したって……色彩に変えたって……!」

 

「大丈夫だよ、大丈夫……シロコがそんな事をする子じゃないっていうのは私が────いや、私と対策委員会の皆が一番良く理解しているから」

 

「でも……でも────」

 

「────勿論、そっちのシロコだって同じだよ」

 

「……私?」

 

 

生徒を思い遣るような眼差しでシロコテラーを見つめる先生

 

敵である自分に対して何故そんな目を……シロコテラーの頭にそういった考えが過るが、それを表情に出さずに先生を見つめ返す

 

 

「だって〝砂狼シロコ〟という生徒は何の理由もなく人を傷つけるような子ではないからね………時々銀行を怪しい目で見ている事はあるけれど」

 

「……先生、こんな時でもふざけられるなんて随分と余裕が────」

 

「君にだって大切な人を想う優しさがその胸に宿っているはずだ、対策委員会の皆とアビドス復興の為に頑張って、敵に売られそうになった仲間を助けようとして……」

 

「……っ」

 

「そんな心優しい〝砂狼シロコ〟が私を殺すなんてあり得ないよ……だから、きっと酒泉だって生きているはず」

 

 

先生は酒泉から伝えられた原作知識の一部を知っている、シロコテラーが自分を殺したという訳ではないことも

 

……だが、仮に知らなかったとしても、彼はシロコテラーを信じていただろう

 

それは何故か────先生が〝先生〟で、シロコテラーが〝生徒〟だから

 

 

「……そうだった、先生はそういう人だったね」

 

 

そんな底抜けのお人好しの大人だということを思い出しながら、シロコテラーは息を吐く

 

 

「でも、先生が私を信じようと真実は何も変わらない………砂狼シロコが先生を殺した、砂狼シロコの〝せい〟で先生は死んだ」

 

「……シロコ、そっちの世界で何があったのか私に全て教えてくれないかい?」

 

「断る、私が……というよりも砂狼シロコという人間がこの世界に存在する限り、破滅の運命からは逃れられない。これから消え行く人達に私の事を打ち明けたところで……全て無意味」

 

「……その言い方だとまだ隠してることがありそうだね?」

 

「……これ以上お喋りを続けるつもりはない」

 

 

シロコテラーは会話を無理やり中断させ、その手に銃を握ってプレナパテスの前に立つ

 

「先生達には時間が無い、それなら自分が何をするべきなのか……分かっているよね」

 

「分かってるよ……シロコ達を〝止める〟」

 

「違う、私達を〝倒す〟………まあ、わざと負けるつもりはないけど」

 

 

先生と〝先生プレナパテス〟が同時に大人のカードを取り出す

 

そして覚悟を決めた表情で先生は叫ぶ

 

 

「ヒナ!シロコ!これが最後の戦いだ!ここで勝たないと船内で戦ってる皆も地上で私達の帰りを待ってくれている皆も全員消えてしまう!だから────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、1人の少女から身体が硬直してしまう程の殺気が放たれる

 

敵味方問わず視線がその少女……空崎ヒナに集中する

 

 

「そんなことは……どうでもいい」

 

「貴女が自分の世界でどんな辛い思いをしたとか、貴女が存在していると世界が滅びるとか、全部どうでもいい」

 

「貴女は私から酒泉を奪った……その事実は変わらない」

 

「……ああ、そうだ。この感情……調印式の時にアリウススクワッドに向けたのと同じだ」

 

 

くるりと身を反し、先生に静かに語り掛けるヒナ

 

 

「先生、さっき先生はもう1人の砂狼シロコを〝止める〟って言ってたけど……ごめんなさい、私には手伝えそうにないわ。だって────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は彼女を〝殺す〟為に戦うから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先程まで感じていた痛みや吐き気がすっかり感じなくなった

 

これでまた戦える────そんな事を考えていると、後頭部に何かを感じる

 

例えるなら枕のような……柔らかくて暖かい何かを

 

 

「……どう?目は覚めた?」

 

 

どこかで聞いたような声が耳に届き、自分が何処に……どんな空間に居るのかなんとなく察した

 

なんだ……痛みが消えた訳じゃなくて、肉体と痛覚が切り離されているだけか

 

それなら元の世界に戻ったらまたボロボロじゃねーかチクショウ

 

心の中で愚痴りながらゆっくり目を開けると、水色とピンクが入り交じった髪色の女性が俺の顔を覗き込んでいた

 

……これで会うのは何度目だっけか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────この膝枕は頑張ったご褒美って事でいいんですかね?………俺はまだまだ頑張り足りないんですけど、連邦生徒会長

 

「……ちょっとでも休んでほしくて、ね?」

 

 

 

 

 

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