〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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if世界~アビドスルート~完

 

 

 

酒泉が目を覚ましている

 

ずっと眠ったままだった酒泉が身体を起こしている

 

動いている

 

喋っている

 

目を開けている

 

酒泉が、無事に、

 

 

 

「酒泉………」

 

 

か細い声が口から漏れる、ただ彼だけを見つめて一歩ずつゆっくりと進む

 

 

……あ、おはようございます、いやーご迷惑をお掛け────

 

「酒泉っ!!!」

 

 

 

彼が言葉を言い切る前に咄嗟に抱きつく

 

 

「酒泉、酒泉、酒泉……」

 

 

幼子の様にひたすら彼の名前を呼び続ける、そんな私を酒泉は抱きしめ返してくれた

 

 

「良かった……目を覚ましてくれて……っ!」

 

……すいません、心配掛けてしまって

 

「ううん、いいの……こうして生きていてくれるだけで……」

 

 

久しぶりに感じる酒泉の温もりに包まれながら、抱きしめる腕に力を込める

 

彼もそれに反応するかの様に更に腕に────

 

 

「……えっと、私は邪魔かな?」

 

……あ、すいません、忘れてた訳じゃないんですけど……

 

「…………」

 

「うん、私が悪かったよ、だから殺気を抑えてくれないかな?」

 

 

良いところを邪魔されたせいで思わず殺気を飛ばしてしまう

 

……本当なら酒泉と二人きりがよかったのに

 

 

 

「……もう十分酒泉と話したでしょ?」

 

「あはは……凄い嫌われようだね……」

 

あの、小鳥遊さんっていつもこんな感じな訳じゃなくてですね………本当は優しくて───

 

「───大丈夫、分かっているよ」

 

「………勝手に判断しないで」

 

 

私の言葉を苦笑いで受け止めた先生はそのまま椅子から立ち上がり、帰る準備をする

 

 

 

 

あ、もう行くんですか?

 

「うん、二人だけで話したい事もありそうだしね」

 

 

 

そう言うと私の方をチラッと見てくる、その全てを見透かした様な態度が気に入らない

 

だがそんな私の感情とは反対に、酒泉は申し訳なさそうな顔で先生に話しかける

 

 

「それにしても目を覚ましてくれて本当に良かったよ」

 

………すいません先生、俺のせいで黒服に対する折角の〝切り札〟を使わせてしまって

 

あれさえ有ればこの先も黒服との取引に使えたかもしれないのに……

 

「気にしないで、生徒の命が第一だから」

 

 

 

また今度お見舞いに来るね、と言いながら扉に向かう先生、正直このまま帰ってもらった方がありがたい

 

………分かっている、こんなの私の勝手な逆恨みだって事ぐらい

 

大人を全員一括りに悪人と判断して勝手に拒絶してるだけだって、でも昔から抱えてきた感情をいきなり変えられるほど私は大人じゃない

 

……だから、私が出来るのはこれくらい

 

 

 

「先生」

 

 

扉に手を掛ける先生に背中を向けながら話しかける

 

 

「私は絶対に大人達を信用しない、私達アビドスを助けてくれなかった奴等の事なんて」

 

「それは先生も同じ、ただ生徒を助ける為だけに無償でここまでしてくれるなんて怪しすぎる」

 

「私が信じるのはアビドスの仲間達だけ」

 

「………でも、先生のおかげで酒泉が助かったのも事実、だからこれだけは言っておく」

 

「その………………ありがとうございました

 

 

私の言葉を聞くと、先生は少しキョトンとしてから笑みを浮かべる

 

 

「どういたしまして、もしまた何か困ったことがあったら遠慮せずに私を頼ってね」

 

「………」

 

「それじゃあ酒泉もまたね、共通の趣味の話が出来て楽しかった────」

 

 

「先に言っておくけど先生よりも私の方が酒泉の事を理解しているから」

 

「この流れで張り合う必要あるかな!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生が帰ってから、少しの間気まずい空気が流れる

 

………彼の前で少し取り乱しすぎたかもしれない

 

 

「………うへ~、ちょっと恥ずかしいところ見せちゃったかな?」

 

 

今更取り繕ってみるが、おそらく意味はないだろう

 

 

「ごめんねぇ、騒がしくしちゃって───」

 

 

───いえ、むしろ安心しました

 

 

「……え?」

 

安心?何を?

 

「えっと……何の事かな?」

 

 

酒泉が少し寂しそうな表情で語りだす

 

 

 

昔、小鳥遊さんが泣きながら俺に言った事覚えてます?

 

「あぁ~……ちょっと恥ずかしいけど覚えてるよ?」

 

その時の小鳥遊さん、「私変わるから」みたいな事言ってたじゃないですか

 

それが原因で無理矢理本来の自分を押し殺してしまったんじゃないかなって思いまして……

 

「……違う、酒泉は悪くないよ。あれは酒泉の事を疑って傷つけてしまった過去の私自身が許せないから……」

 

そんな事言ったら、俺が最初から全部小鳥遊さん達に打ち明ければ良かっただけの話ですから

 

「酒泉……」

 

……今の小鳥遊さんも好きですけど、やっぱり昔の小鳥遊さんにも会いたくなりますよ、俺は

 

「でも……」

 

まあ、そもそも小鳥遊さんって昔から優しかったですけどね

 

「……私が?」

 

 

自分ではとてもそう思えない

 

だってあの頃の私はいつも酒泉やユメ先輩に強く当たって、ぶっきらぼうで、人を傷つけてばかりで───

 

 

 

 

 

 

───だって小鳥遊さん、いつも俺達の事心配してくれたじゃないですか

 

ユメ先輩がヘルメット団に狙われた時もすぐに助けに向かいましたし、俺の体調が悪い時もすぐに気づいてくれたじゃないですか

 

「………あ」

 

小鳥遊さんは自分が優しいって事を自覚してなかっただけですよ

 

「………」

 

……でもまあ、突然「元に戻ってくれ」なんて言われても困りますよね

 

「……分かった」

……え?

 

「酒泉が本来の私を受け入れてくれるって言うなら……私も自分を偽るのは止める」

 

………

 

「すぐに戻るのは無理かもしれないけど……せめて酒泉の前でだけは戻れる様に頑張るね」

 

……俺の我が儘ですよ?

 

「それでも構わない……だって、酒泉が受け入れてくれたから」

 

小鳥遊さん……ありがとうございます

 

 

 

そう言うと酒泉は嬉しそうに笑ってくれた、それに釣られて私も笑みを浮かべる

 

 

「………あ、そういえば気になる事があったんだ」

 

気になる事?

 

「うん、さっき酒泉は『今の小鳥遊さんも好きですけど』って言ってたけど、それってさ………仲間的な意味?それとも……その、それ以外の意味?」

 

……?それ以外とは?

 

「えっと……だからさ、恋───」

 

 

 

 

 

 

 

ガラッ!!

 

 

「酒泉君が目を覚ましたって本当!!?」

 

 

突然聞きなれた声と共に扉が開く

 

 

 

「しゅ、酒泉君……本当に起きてる……!」

 

あ、ユメ先輩おはようございま───

 

 

 

「うああああん!!よかったよおおお!!」

 

 

───また胸っ!?

 

 

 

昔の出来事を再現するかの様にユメ先輩が酒泉に抱きつく

 

 

「………先輩、何でここに?」

 

「うう……グスッ……今日は偶然お仕事が早く終わったから酒泉君のお見舞いに行こうと思って………そしたら途中で、先生から酒泉君が目を覚ましたって連絡がきて……!」

 

 

 

…………やっぱりあの大人は嫌いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

それから暫く

 

休日のアビドス高校、廃校対策委員会の部室、そこに数人の少女達が集まっている

 

 

「セリカちゃん、また変なの買って来ちゃったんですか?」

 

「へ、変なのってなによ!?いい?これはアビドスに幸運をもたらす黄金の砂時計なの!」

 

「また騙されちゃったんですか……?」

 

「そんなぁ……アヤネちゃんまで……」

 

「まあまあ、もしかしたら本当に御利益があるかもしれないよ~?」

 

 

会議の前に軽く会話を楽しむ四人、しかしホシノ以外の三人は突然ホシノに視線を向ける

 

 

「……ん?どうかしたの?おじさんに何かついてる?」

 

「いえ、ついてるというよりは……」

 

「むしろサッパリしたっていうか……まだ慣れないわね……」

 

「でもとても似合ってますよ!────ショートカットのホシノ先輩も☆」

 

「うへ~、照れちゃうな~」

 

 

ホシノの長い髪はバッサリと切られ、昔の様にショートカットになっていた

 

 

「そういえばどうして突然髪を切ったんですか?」

 

「んー……まあ、色々とね?」

 

「そこで誤魔化されるともっと気になるんだけど……」

 

「………なるほどなるほど☆」

 

「……ノノミちゃん?」

 

「さてはホシノ先輩───」

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆、おっはよー!」

 

 

ノノミが何かを言いかけた瞬間、突然ユメが部室に入ってきた

 

 

「あ、おはようございます!」

 

「おはようユメ先輩!」

 

「……あれ、この砂時計は?」

 

「えっと……それはセリカちゃんが買ってきた物です」

 

「なんとこれを置くだけでアビドスに幸運が訪れるの!」

 

 

それを聞いてユメは固まる、そして……

 

 

「セリカちゃん、大丈夫よ。信じていればいつか必ず報われるわ」

 

「何で生暖かい目で見るのよ!?」

 

「そりゃあねぇ……?」

 

 

ひたすら何かを信じ続けるセリカの姿が過去の己に重なったのか、ユメはセリカに生暖かい視線を向ける

 

怒るセリカを宥めながら話を誤魔化すようにホシノに目を向ける

 

 

「それにしてもホシノちゃんのショートカット姿がまた見れるなんて……長生きはするものね!」

 

「ユメ先輩もそんな歳変わらないじゃないですか……」

 

「ホシノ先輩も自分の事よく〝おじさん〟って言ってますよね……?」

 

「……そうだっけ?おじさん物忘れが激しくてさー」

 

「また言ってる……」

 

「……それで、結局どうして髪を切ったの?」

 

 

セリカの質問を軽く笑いながら誤魔化すホシノ、しかし突如真剣な表情になりユメに話しかける

 

 

「………ユメ先輩」

 

「………どうしたの?ホシノちゃん」

 

「負けませんから」

 

「……ふふっ、先輩の力、見せてあげるんだから!」

 

お互いに視線をぶつけ合う、そんな中突如ホシノの携帯が鳴り響く

 

 

「……あれ?シロコちゃんからだ」

 

「確か酒泉君とロードバイクで競争しに行ったんじゃ……」

 

「……おじさん聞いてないけど?」

 

「あはは……ホシノ先輩が登校して来る前に約束してましたから……」

 

「……まあいいや」

 

 

とりあえず通話ボタンを押すホシノ

 

《……あ、繋がった》

 

「……もしもし、シロコちゃん?今どうしてるの?」

 

《今はゲヘナの風紀委員と便利屋とかいう変な奴等と戦っている》

 

「ごめん何て?」

 

 

突然の事態に困惑するホシノ、思わず聞き返してしまう

 

 

「えっと……どうしてそんな状況になったのかな?」

 

《あれは酒泉に柴関ラーメンを奢ってもらってた時の事》

 

「あ、酒泉また負けたんだ」

 

《私達が食事している時に便利屋とかいう連中が柴関の近くに逃げてきた、ゲヘナの風紀委員達に追われてたらしい》

 

「うんうん、それで?」

 

《そのままそいつらが戦闘に入ってしばらくしたら、便利屋の一人が爆弾を使おうとした》

 

「物騒だねぇ……」

 

《だから柴関に被害が出る前に私と酒泉でその子をブッ飛ばした》

 

「………」

 

《ちなみに柴関の方に銃口を向けていた風紀委員達もついでにブッ飛ばした》

 

「………シロコちゃん」

 

《なに?》

 

「ナイスだよ」

 

《ん》

 

 

電話越しでもサムズアップするシロコの姿を容易に想像できるホシノ

 

 

「………でもあんまり危険な事はしないでほしいなー、今回は仕方ないけどね」

 

《……ん、分かった、私も酒泉も反省する》

 

「………そういえば酒泉は?」

 

《酒泉は今………あ》

 

「……どうしたの?まさか、何か────」

 

 

 

 

 

 

オラァ!!もっと来いやぁ!!

 

『……社長、不味いかも』

『ア、アウトローたる者、この程度じゃ───ギャフン!』

『あ、顔踏まれた』

『あはは!アルちゃんおもしろーい!顔に足跡残ってるー!』

『アル様を踏み台扱い……許せない許せない許せない許せない許せない!』

 

 

 

 

 

 

《暴れてる》

 

「………そういえばシロコちゃんは何で電話してるの?敵は?」

 

《酒泉が〝一人で戦う〟って、連絡を私に任せて勝手に突っ込んでいった、リハビリついでらしい》

 

 

 

 

────負ける気がしねぇ!!!

 

『なんだこいつ!?』

『全く弾が当たらないぞ!?』

 

 

《………あ、今度は風紀委員の方に突っ込んだ》

 

 

 

 

『くそっ!応援はまだか!?』

『駄目だ、乱戦状態じゃ便利屋に集中出来ない!』

 

 

 

 

 

俺の前にぃ……ひれ伏せえええええ!!!

 

 

 

 

 

『どうする!?このままじゃ不味いぞ!?便利屋の連中も取り逃がして────』

『………全員アル様の敵……消えてください消えてください消えてください!』

『なっ……こいつ、いつの間に……!』

『おい!余所見してないで避け────』

 

 

 

 

 

────撃っちゃうんだなぁ!これがぁ!

 

 

 

 

 

「………今すぐ連れ戻してくれる?」

 

《ん、分かった》

 

 

この後酒泉は滅茶苦茶怒られた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んー……

 

「どうしたの?シロコちゃんの真似?」

 

「ん、使用料を払うべき」

 

《ん》って言っただけで金払わないといけないなら全国の小学校の授業から《わ行》の読み書きが消えますよ

 

「ん、私のアイデンティティ」

 

………ん、ん、ん、ん、ん

 

「……ん、ん、ん、ん、ん」

 

んんんんんんんんっ!

 

「んっ!!!」

 

「何下らない事で喧嘩してるのよ……」

 

「そこまでこだわる事なんですかね……?」

 

「二人とも仲良しでいいじゃない!」

 

「ユメ先輩の基準がよく分かりません……」

 

こうなったらあっち向いてホイで決着をつけましょうか

 

「格の違いを分からせる」

 

「まあまあ☆それよりも酒泉君は何を悩んでいたんですか~?」

 

………いや、もうすぐエデン条約の調印式だなーって考えてただけですよ

 

「嘘」

 

即答しないでくださいよ小鳥遊さん

 

「こういう時の酒泉って必ず何か隠してるでしょ」

 

……べ、べっつにー?

 

「露骨すぎますね……」

 

「分かりやすっ……」

 

「………酒泉君、私達はそんなに頼りになりませんか?」

 

そういう訳じゃないんですけど……

 

「……おじさんには昔に戻ってほしいって言っておきながら自分だけ隠し事なんてズルいと思うなー」

 

うぐっ……

 

「……もしかして、また私やホシノちゃんに内緒で危ない事やろうとしてる?」

 

……ほんのちょっとだけですよ?

 

「……何で?」

 

いや、先生に恩返ししたいなーって………

 

「……恩返し?」

 

「どういうこと?」

 

 

 

 

………えっと、黒服経由で聞いた事があるんですけど、調印式の日─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

錠前サオリは困惑していた

 

エデン条約を結ぶ為の調印式当日、それを壊す為に巡航ミサイルによって会場を……いや、トリニティそのものを破壊するつもりだった

 

トリニティやゲヘナの防衛システムを突破出来る程の速度を持つ巡航ミサイルなら多少想定以上のセキュリティでも問題無いはずだった

 

ミサイルが着弾した後はターゲットであるシャーレの先生を殺害すればそれで終わりだ、あとは無限に湧いて出る戦力を使い、残りのゲヘナやトリニティの生徒を潰すだけだ

 

………しかし、そうはならなかった

 

巡航ミサイルの発射までは順調だった、実際にある程度接近してもゲヘナやトリニティの対空防衛システムは作動しなかった

 

………だが、その二つの学校とは別の対空防衛システムが作動された

 

アラートがトリニティ全体に鳴り響いた瞬間、巡航ミサイルの方角目掛けて複数の対空ミサイルが発射された

 

対空ミサイルの全てが巡航ミサイルに当たった訳ではないが、その内の何発かが巡航ミサイルを巻き込んで爆発した

 

しかし強大な威力を持つ巡航ミサイルの爆発は余波だけでも多大な被害を及ぼす、最悪直撃でなくてもかなりのダメージをゲヘナとトリニティに与えるはずだ

 

……しかしその余波すらも突然展開されたバリアに防がれた

 

これ程までに厳重なセキュリティは完全にサオリ達の予想を上回った

 

 

 

「うわああん!もう追いつかれましたあああ!」

 

「不味いよ、リーダー……!」

 

 

サオリ達に二つの人影が迫る、それは次々とユスティナ聖徒会を消滅させ、アリウス生達を気絶させていく

 

やがてサオリの前の兵士達が吹き飛ばされ、その向こうから─────

 

 

 

 

 

 

「キーッヘッヘッヘッヘッヘ!」

 

「……数だけは無駄に多い」

 

 

 

 

 

 

 

─────無傷の状態の剣先ツルギと空崎ヒナが飛び出してきた

 

 

 

「くっ……!?」

 

ヒナはそのままサオリの懐に潜り込んで拳を振るう

 

サオリはそれを腕でガードするが、ヒナはその腕をそのまま掴んで引き寄せ、サオリの腹に膝を入れる

 

「がはっ……!」

 

痛みのせいで一瞬意識が逸れるが、すぐにアサルトライフルを構えてヒナに銃口を向ける

 

「……っ!?」

 

しかしヒナはサオリの手元を蹴りあげ、アサルトライフルを落とさせる

 

すぐにホルスターからハンドガンを取り出そうとしたサオリに足払いを仕掛け、地面に倒れまいとバランスを取ろうとしたサオリに対し、ヒナは容赦なく腹部を蹴りつける

 

地に倒れたサオリの腹部にデストロイヤーを押し付け、そのまま引き金を引く

 

「がっ……!」

 

サオリは気絶しそうになる痛みに必死に耐え、デストロイヤーの銃口を殴って無理矢理攻撃から抜け出した

 

 

 

 

 

 

「まだだ……もっと来い……!」

 

「…………」

 

「よ、避けられました!」

 

「……っ、化物」

 

 

一方でツルギの方も圧倒的な実力差を発揮していた

 

アツコのサブマシンガンによる銃撃を気にせず突撃し、ミサキのスティンガーミサイルを掻い潜り、爆風の中でヒヨリの狙撃を回避する

 

 

「きゃっ……」

 

 

そのままヒヨリに接近し、ショットガンを頭に突き付け───

 

 

「……けけっ」

 

「ヒッ───」

 

 

───ヒヨリが悲鳴を上げる前に弾を放つ

 

 

「っ!ヒヨリ!」

 

 

そのまま痛みで苦しむヒヨリをミサキの方に蹴りとばし、今度はミサキの腹部にショットガンを放つ

 

 

「っう゛!」

 

 

ミサキは痛みに耐えながら反撃しようとハンドガンを構え、そしてツルギの背後からアツコもサブマシンガンの銃口を向ける

 

挟み撃ちにされたツルギは二人の銃撃を容赦なくくらい、そして

 

 

「……なんだ、それだけで良いのか?」

 

 

何事も無かったかの様にアツコの方へ振り向き、ニヤリと笑った

 

 

「っ!」

 

 

直後、ミサキを蹴りとばしてからアツコの方へ急加速し、二丁のショットガンをマスクに突き付ける

 

そのまま引き金を引くが、おそらくかなりの耐久力を持つであろうマスクは多少傷が付く程度に留まった

 

 

「なら壊れるまでやればいいだけだ」

 

 

そう言うと反撃しようとするアツコの足に一発入れた後、そのまま背後を取りアツコの膝裏にも更に一発入れた

 

態勢を崩したアツコの上に馬乗りになったツルギは再び二丁のショットガンをアツコのマスクに突き付け、そして─────

 

 

 

 

 

「ケハハハハハハッ!壊れろ!壊れろ!壊れろぉ!」

 

 

 

 

 

 

─────弾が切れるまで撃ち続けた

 

 

マスクは少しずつ欠けていき、最終的にヒビが入る

 

ツルギはそのままアツコの頭を掴んで頭突きでマスクを破壊し、そしてアツコを持ち上げて殴り飛ばす

 

 

 

「………っ」

 

「姫!大丈夫か!?」

 

「ど、どうしましょう……他の仲間達も皆、先生の指揮する生徒達と戦ってますし……」

 

「………計画が全部バレていた……?」

 

追い詰められたサオリ達は互いをカバー出来る様に位置取る

 

 

「一度立て直すぞ」

 

「……いいの?マダムが黙ってないと思うけど」

 

「……責任は私が取る」

 

「リーダー……」

 

「………」

 

「私の合図で駆け出すぞ……」

 

 

ユスティナとアリウス生を処理しながら確実に近づいてくるツルギとヒナ

 

サオリはそれを見ても冷静に小声でカウントダウンを始め、そして───

 

 

「今だっ!」

 

 

───全員同時に駆け出す

 

 

一度戦場を抜け出す為に敵の攻撃を避けながら走り続ける

 

 

「……っ!リーダー、避けて!」

 

 

しかしサオリを狙う様に複数のミサイルが飛んでくる

 

サオリは直前でギリギリ回避するが、その爆風で吹き飛ばされる

 

 

「ぐっ……敵の増援か……!?」

 

 

襲撃者の正体を確認しようとミサイルが飛んできた方向へ視線を向ける、そこには、

 

 

 

 

 

「ん……外した」

 

「いえいえ、ナイスですよシロコちゃん☆どうやらダメージは与えられた様ですから!」

 

「明日はバイトあるんだからさっさと終わらせるわよ!」

 

『此方に向かってる敵は全てゲヘナやトリニティの皆さんが抑えています!』

 

よし、勝ったな!ガハハ!

 

「酒泉君は私の後ろに下がっててね?何があっても絶対に護るから!」

 

「……ユメ先輩、それは私の役目です」

 

 

 

「っ……何者だ?」

 

 

────全く見知らぬ制服の生徒達がいた

 

 

「それにしても連邦生徒会もよく協力してくれたねぇ、防衛システムをあんなに用意するなんて。………それより話は変わるけど酒泉の言ってた〝個人的な繋がり〟っていうのが気になるんだけど?おじさん知りたいなぁ?」

 

怖いよ小鳥遊さん、お目目ぐるぐるしないで

 

「誤魔化さないでほしいなぁ……どうして酒泉が防衛室長様と知り合いなのかなぁ?」

 

いやぁ、防衛室長が狐達と戯れようとしてたところを〝偶然〟出会いましてねぇ……

 

彼女と色々とお話した脅した結果、それ以来ちょくちょくと連絡を取る仲になったんですよぉ

 

「……何か悪そうな顔してない?」

 

そんな事ないです、まあ細かい事は後で話すので今は取り敢えずアリウスを何とかしましょう

 

 

 

 

そう言うとホシノ達はヒナ達の近くに並び立つ

 

 

 

 

「貴女は……小鳥遊ホシノ?昔に戻ってる?それにその人は確かアビドスの卒業生の……」

 

「ありゃ、昔のおじさんを知ってる人かぁ……」

 

「初めまして!私の事は気軽にユメって呼んでね!」

 

「………どうしてアビドスの生徒達がここに?」

 

「んー、酒泉に無茶させない為かなー?あとついでに先生に借りを返す為」

 

「酒泉……?」

 

「そうそう、彼」

 

あ、初めまして

 

「………」

 

軽く挨拶する酒泉、しかし何か気になるのかヒナは酒泉をジッと見つめる

 

 

「………」

 

……あの、何ですか?何か顔に付いてます?

 

「……ねえ」

 

はい

 

「私達って何処かで直接会ったことある?」

 

うぇ?いや、無いと思いますけど……

 

「………そう、だよね、勘違いだった、気にしないで」

 

「………いきなり他校の生徒をナンパするなんて、ゲヘナの風紀委員長は随分と余裕だね」

 

「……別にそんなつもりはない」

 

「お、落ち着いてホシノちゃん?」

 

 

ヒナを睨み付けるホシノ、そんなホシノを宥めるユメ

 

ヒナはそれを困った様な表情で眺めるが、すぐにアリウスの方へ向き直る

 

 

「万事休す、か……」

 

「…………」

 

「わ、私達どうなっちゃうんでしょうか……」

 

「くっ……まだだ!私達は諦める訳にはいかないんだ!」

 

 

未だ闘志は折れず、立ち上がるサオリ

 

「………よく分からないけど協力してくれるならありがたい」

 

「ま、さくっと終わらせちゃおっか~」

 

「………ん、倒れてるアリウス生達の武器を持ち帰れば良い値段になりそう」

 

「わあ~!これで借金返済に近づけますね☆」

 

「い、いいのかしら?」

 

『ゲヘナやトリニティの方々も関わっている以上、勝手に決めるのは問題があるかと……』

 

「まあ、バレない程度ならいいんじゃない?」

 

『セリカちゃんまで染まっちゃいました……』

 

「キヘヘヘヘヘ………」

 

「………ところで、この人は味方なんだよね?」

 

『た、多分……』

 

………よし!

 

こん中に命の恩人先生狙われて怒らねえ奴いる?

 

いねえよなぁ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〝アリウス〟潰s「うわあああん!もう終わりですぅ!捕まったらいっぱい拷問されていっぱい苦しめられるんですぅ!」─────殺してやるぞ、槌永ヒヨリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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