〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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文の出来が納得できず大分詰まらせてしまい、気分転換に色んな事をしている内にこんなに投稿日を伸ばしてしまいました

長らくお待たせしてしまい、大変申し訳ございませんでした




if世界~ミレニアムルート~その16

 

 

 

 

 

────ッッッ!?なんだ!?

 

 

 

横から飛んできた弾丸が滑腔砲の先端に直撃し、砲口がサオリの腹部から逸れる

 

酒泉は即座に妨害者の正体を確かめようと視線を横に向ける……が、その方向には既にスモークが焚かれていた

 

否、その方向だけではなく気づけば酒泉を取り囲む様にスモークが広がっている

 

トドメを刺すことも忘れ、煙の中で狼狽える酒泉。そんな彼に真上から複数の物体が降り注ぐ

 

 

 

────スティンガーミサイルか!?芸の無い奴めッ!

 

 

 

テイルブレードで一発、滑腔砲で一発、メイスを上空に投げて一発

 

酒泉は自身に危険の及びそうな弾のみを計三発迎撃し、空中で爆発させてから落下してきたメイスをキャッチする

 

ギロリと瞳を鋭く尖らせ、周囲を見渡して敵の位置を探ろうとする

 

 

 

────俺の眼を舐めたな!?煙ごときで誤魔化せると思うなよ!?

 

 

 

ゆらゆらと揺れる微かな人影を煙の中で発見した酒泉はそこに飛び掛かってメイスを振り下ろす

 

見事に命中、しかしその人影の前にバリアが展開されてメイスを持つ腕がキンッ!と弾かれる

 

 

 

────秤アツコか!?丁度良い!このまま錠前サオリ共々捕らえて……ベアトリーチェのぉ!邪魔をしてやる!

 

 

 

秤アツコと錠前サオリ、ベアトリーチェにとっての〝メイン〟と〝サブ〟を捕らえる事で完全に計画を破壊するのが酒泉の目的

 

全ては儀式を行わせない為に、色彩を呼び寄せない為に

 

そんな思いを込めて再び腕を上げる酒泉、バリアに弾かれてもその度により強く腕に力を込めてメイスを何度も何度も振るう

 

七回目の攻撃────パキリと音が鳴る

 

八回目の攻撃────バリアが完全に砕け散る

九回目の攻撃────完全に直撃した

 

しかし次の瞬間に酒泉が感じたのは人の身体をメイスで殴った感覚ではなく、ベチャリとした何かがメイスに纏わりつく感覚だった

 

そして視界に映り込んできた────トリモチによって自由を奪われたユスティナが吹き飛ばされる瞬間が

 

 

 

────……っ!?

 

 

 

それは酒泉がミサキ達と会敵する前に行動を封じた個体だった

 

顔にはアツコのマスクのみが付けられており、酒泉を釣る為の完全な囮である事がハッキリと窺えた

 

怒りを額に滲ませた酒泉は咄嗟にサオリの方を振り向く。すると、そこにはサオリを担いでその場を離れようとするヒヨリの姿があった

 

 

 

「あ、あわわわわわっ……バレてしまいましたぁ……!」

 

「ヒヨ、リ……なぜ……ここ、に……?」

 

────槌永ヒヨリだと!?もう気絶から回復したのか!?いや、俺がキヴォトス人の耐久を舐めていただけか……ならば今度こそ……!

 

「ひぃっ!こ、殺されちゃいますぅ!?」

 

 

 

脱兎の如く逃げ出すヒヨリ、その後ろ姿が益々酒泉の怒りを増幅させたのか強めの舌打ちをしながらすぐに追いかけようとする

 

 

 

────槌永ヒヨリが意識を取り戻したという事は恐らく戒野ミサキも……つまりさっきのスティンガーミサイルは本人が撃ったのか!だが、逃げれば余計に苦しむだけだぞ!ここで俺に捕まるのがお前らにとって一番〝マシ〟な苦痛だ!

 

「そう?でも、どうやって苦しむかは私達が自分で決めるから」

 

 

ふと、戦場に儚げな声が流れる

 

本来ならたった一人の少女の声など気にかける必要も無い、その筈だった

 

……それが今まで一度も声を発さなかった少女の声でなければ

 

 

 

「────っ、姫!?何故戻ってきた!?いや、それより喋っては駄目だ!喋ったらマダムが……!」

 

────……驚いたな、まさか〝このタイミング〟で喋るなんてな

 

「へぇ、そういう言い方をするって事は私が喋るのを禁止されてたって事も知ってるんだ」

 

 

 

サオリからの制止も聞かず喋り続けるアツコ、酒泉はその事に多少は驚いたものの態度には出さなかった

 

 

 

「さっきの言葉的に貴方の狙いは私だよね?貴方はどこまで私達の事を知ってるのかな?」

────それを知る必要は無い、どうせ理解できないだろうからな

 

「そうかな?理由を話してくれたらもしかしたら貴方にとって有益な取引ができるかもしれないよ?」

 

────……取引だと?

 

「うん、例えば────私の身柄を貴方に引き渡すから、代わりに他の皆を見逃してもらうとか」

 

「なっ!?」

 

 

 

アツコの提案を聞いたサオリがヒヨリの肩の上で叫ぶ

 

それも当然、彼女は自らと引き換えに仲間の身を守ろうとしているのだから

 

 

 

「何を言っているんだ、アツコ!」

 

「どう?マダムにとって私は重要な存在、何故かは分からないけどそれは貴方も知ってるはず」

 

「勝手に話を進めるな!私はそんな事認めるつもりはないぞ!?」

 

 

サオリの声が聞こえていないかの様に酒泉と会話を続けるアツコ、その一方で酒泉はどこか悩んだ様な表情をしている

 

だが、最終的には「駄目だ」とアツコの提案を蹴り、首を横に振った

 

 

 

────アンタだけじゃ駄目だ、最低でも〝秤アツコと錠前サオリの身柄〟が条件だ

 

「……そっか」

 

 

 

仮に酒泉の目的を知る者がこの場に居たとしたら、アツコの提案を断るのは当然の結果だったと答えるだろう

 

彼は〝ある可能性〟を知っている、それは前世で画面越しに見た〝錠前サオリが秤アツコの代用として生け贄にされる可能性〟だ

 

実際にそれが儀式中の光景だったかどうかは置いておき、ベアトリーチェにとってはサオリも重要な存在である事は事実

 

だからこそ、酒泉はアツコとサオリの二人だけは見逃すつもりはなかった

 

 

「……どうしてサッちゃんまで狙うの?」

 

────……アリウススクワッドのリーダーだからだ、この事件を起こした責任を取ってもらう

 

「……本当にそれが理由?」

 

────……そうだ

 

 

 

それらしい理由を適当にでっち上げると、酒泉は話は終わったとばかりにメイスと滑腔砲をアツコに向ける

 

その反対側……酒泉の後ろでヒヨリに抱えられているサオリはすぐにアツコを助けようと肩から降りようとするが、ボロボロの身体のサオリは呆気なく押さえられてしまう

 

 

「離せっ!ヒヨリ!このままではアツコが……!」

 

「だ、駄目です!アツコちゃんは大丈夫ですから!だから大人しくしてください!私だってまだ身体が痛いんですからあああああ!うああああああん!」

 

 

ジタバタと暴れるサオリと泣きながらそれを押さえるヒヨリを見てくすりと笑いを溢すアツコ、しかしそれが余裕の現れに見えた酒泉は眉間に皺を寄せる

 

勿論、先程ミサイルを放ったっきり姿を現さないミサキの警戒も怠らずにテイルブレードを上空に向ける

 

 

「もう攻撃するの?私としては久し振りのお喋りをもっとゆっくり楽しみたかったんだけどな」

 

────そんな掠れた喉で無理すんじゃねえよ、久し振りに喋ったせいで普通に会話してるだけでも疲れるんだろ?

 

「心配してくれるんだ、優しいね」

 

────……お喋りはここまでだ、これ以上は何を聞かれても返事をするつもりはない

 

 

 

相も変わらず笑みを崩さないまま話すアツコ、その言葉を挑発と感じた酒泉は滑腔砲の射出準備を開始する

 

銃口はアツコへ、引き金に指を、避けられてもすぐに追撃ができる様に脚部に力を込めながらメイスを構える

 

 

「そうだね、私の方も時間は十分に稼げたし……そろそろお別れしよっか」

 

 

 

そして、同時に姿を現す────無数のユスティナ達

 

存在を忘れていた訳ではないが、それでも突然の出現に酒泉は驚く

 

しかしそのユスティナ達は通常の個体とはどこか姿が違っていた、良く見れば粘着性を持つ白い何かを身体に纏っていた

 

 

 

────これは……俺が封じた奴等か!?

 

 

 

その正体は先程と同じくトリモチを纏ったユスティナだった

 

しかし自由に動かせるのは引き剥がすのに苦労したであろう脚のみで、両手は相変わらず封じられているままだった

 

 

 

────だが、所詮は一度俺に敗北した中古の個体共だ!新品を用意する時間は無かったようだなぁ!?

 

 

 

先頭を走るユスティナを迎撃しようとメイスを持ち上げた酒泉はそのまま叩き潰す様に振り下ろす

 

手応えはあり、間違いなく潰した

 

そして続けて二体目を迎撃しようとした時、たった今倒したばかりの消滅寸前のユスティナから何か音が鳴っているのを聞き取る

 

カチッ、カチッ、と時計の針の様な音に嫌なものを感じた酒泉は咄嗟に後ろに下がる────直後、トリモチのある部分を中心にユスティナが大きく爆ぜる

 

 

────爆弾……カミカゼか!?意思の無い人形を最大限活用してるじゃねえか!

 

「そーっと……そーっと……」

 

────っ、逃がすかぁ!

 

「ひえええええっ!?ごめんなさい姫ちゃん!お先に失礼しますううううううう!!!」

 

「いいよ、こっちももう用は済んだから」

 

 

 

恐らく切り離した際にトリモチの内側に無理矢理仕込んだのだろうと判断し、一旦ユスティナ達から距離を取る酒泉

 

しかしその隙を狙ってヒヨリはサオリを抱えたまま全力で逃走し、その反対側でアツコも吹き飛ばされたマスクを回収しつつ駆け出す

 

サオリとアツコ、二人のターゲットが同時に逃走を開始した事によって酒泉の判断が一瞬だけ鈍るが、直ぐ様ベアトリーチェのメインプランであるアツコを捕らえようとそちらを追う

 

だが、その背後からユスティナが酒泉に襲い掛かり、酒泉は先程の様に爆発に巻き込まれるのを警戒してメイスで身体を貫いてからテイルブレードで投げ飛ばす

 

 

 

────くそっ!過去の亡霊共が今更……!

 

 

 

それでも恐れすら感じないユスティナの軍団は酒泉が足を止めた一瞬の隙に迫り、四方八方を取り囲んで襲い掛かる

 

トリモチで機動力が落ちたユスティナなど倒すのに大して苦労などせず、更には全てのユスティナに爆弾が隠されていた訳ではないのもあって酒泉は流れ作業の様に次々とユスティナを始末していく

残り七体、六体、五体、そこまで減らしたところで酒泉は背後から接近する新たな気配に気づく

 

しかしその気配に対応しようとした直前で残りのユスティナが全員同時に突撃する

 

前方の個体に向かってメイスを振り、そのまま右方の個体ごと凪ぎ払って三体撃破

 

背後の個体にテイルブレードを突き刺し、左方の敵の腹を滑腔砲本体で突いてからその個体にもテイルブレードを頭から刺して二体撃破

 

そして敵を全て撃破した酒泉はアツコの元へ向かおうとし────直後、何者かがテイルブレードに刺さったままのユスティナの身体を踏みつけて跳躍する

 

ユスティナが消滅すると同時にその人物は背後から酒泉の纏う背の装甲に抱きついた

 

 

 

「けほっ……やっと近づけた」

 

────っ!?

 

「姫達を追うのに必死になりすぎたね」

 

 

その正体は戒野ミサキ、彼女は撤退前に攻撃を食らった脇腹を押さえながらも酒泉に近づいていた

 

ミサキが装甲の上から紐に繋がれた〝何か〟を酒泉の顔前に垂らすと、酒泉は咄嗟にメイスでその〝何か〟を破壊する

 

その〝何か〟は恐らくアリウスが使っているであろう軍用水筒、しかし破壊された事によって中から溢れだしたオレンジ色の液体からは微かに臭いが感じられた

 

 

────これは……ガソリンか!?だが……!

 

「っ、ぐぅ!?」

 

 

 

爆発物か火器による引火を狙っていると判断した酒泉はテイルブレードのワイヤー部を器用に動かし、ミサキを地面に叩きつけてから身体の周囲を漂わせる

 

そのワイヤーは一瞬でミサキの身体を締め付け、先のあらゆる行動を封じる

 

 

────ガソリンはそこら辺の車から抜き取ったやつか?殺人未遂の次は窃盗とはな……まあ、どうせブタ箱にぶち込まれるのは確定だろうし今更余罪が増えても関係ないってか?

 

「……その殺人未遂を犯した犯罪者を未だに生け捕りしようとしてるなんて……考えが甘いんじゃないの?」

 

────……あ?

 

「それじゃ最初から〝殺すような攻撃はしません〟って言ってるみたいなものじゃん、そんなだから────こうして裏をかかれる」

 

────何言って……っ、まさか!?

 

 

 

捕らえられても尚余裕を崩さないミサキの態度に疑問を感じた酒泉はふとミサキの首元に紐が掛けられているのに気づく

 

根拠も何も無いにも関わらず直感のみで嫌なものを感じ取った酒泉はメイスを手放し、装甲の補助で強化された腕力でミサキの服の首元を引き裂く

 

そして露になった紐を引っ張ると、カラフルなコードに繋がれた筒がその紐に巻かれていた

 

 

「これさ、本当は巡航ミサイルの爆発と一緒に使う予定だったんだよね」

 

 

〝まあ、誰かのせいで機会を逃しちゃったけど〟と呟くミサキを唖然と佇みながら見つめる酒泉、その目は驚愕しているかの様に見開かれていた

 

 

────……正気か?まさか、ユスティナどころか自分の身すら捨て駒にするつもりだったのか!?

 

「死ぬ事になったとしてもそれはそれで楽だしね」

 

────だからってこんな……与えられた任務の為だけに……!

 

「それよりさ、そんなボーッとしてていいの?早く離れないとこれ爆発しちゃうけど────って、もう遅いか」

 

 

 

ユスティナ達の時と同じ様にミサキの胸元からカチカチと音が鳴る、それはミサキの持つ爆弾が爆発間近である事を意味していた

 

間近で爆発を食らったとしてもアビ・エシュフの装甲は簡単には壊れないだろうが、しかし装甲に覆われていない部分の酒泉の肉体は話が別だ

 

酒泉は反射的にワイヤーを解いてミサキを蹴り飛ばすが、ミサキはワイヤーが解かれた瞬間に咄嗟にテイルブレードの先端を掴んで自身の首元の紐を切ってから蹴り飛ばされていた

 

しかしその動作を見逃さなかった酒泉はテイルブレードで空中で落下中の爆弾を弾き返そうとする────が、テイルブレードが爆弾に直撃する瞬間、ガキンッ!という金属音と共に先端が弾かれた

 

 

 

────狙撃だとっ!?アイツ、ただ逃げただけじゃなかったのか!?

 

 

 

酒泉の脳裏に浮かぶはサオリを担いで逃げ出したヒヨリの顔だった

 

すっかり姿を眩ましたものだと思っていた酒泉はヒヨリがある程度距離の離れた狙撃ポイントに身を潜めた可能性を考慮せず完全に油断し切っていた

 

 

 

────くそっ!?何故逃げなかった!?そんなに仲間が大事なのか!?そんな優しさを持っているのならどうして……!

 

 

 

どうして、その先の言葉を酒泉は吐き出せなかった

 

それは喋り切る前に爆発に巻き込まれたからか、それとも様々な感情が複雑に絡み合ってしまったからなのか

 

結局、酒泉は自分でも自分の言葉を予測できずに爆炎に包まれていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イオリはヒナの掃射の援護を!デストロイヤーの射線外から来る左右の敵を倒してくれ!」

 

「ツルギ!一旦下がって!傷の再生が追い付かなくなってるから!」

 

 

 

数時間前まで客が並んでいた売店は食料と共に瓦礫に押し潰され、オシャレな衣類が展示されていた服屋はその布を燃料に燃やされていた

 

そんな悲惨な戦場を駆けながら先生は生徒達に指示を出す

 

 

 

(アリウスの生徒達と突然姿を現した幽霊みたいな連中はなんとかなってる……だが)

 

 

 

見上げる先生、その先には見下ろす巨大な怪物

 

ヒナとツルギ、二人の〝最強〟によって優勢を保てていた戦場、それをひっくり返すような怪物が姿を現した

 

その怪物はヒエロニムスと呼ばれる、アリウス側の切り札でもある存在だった

 

しかし酒泉は当然その存在も知っている、その上で原作同様の展開ならば先生達だけで十分に倒せると判断し、ヒエロニムスにはあまり警戒を向けていなかった

 

……ただ、酒泉は知らなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒエロニムスの姿が原作とは違うという事を

 

顔の無い頭部には紫の火の玉の様なものが浮いている事を

 

杖だけではなく、指揮棒の様な物まで持っている事を

 

アリウス生やユスティナの複製以外の僕を従えている事を

 

 

 

 




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