嫌われ薬があまりにも美味すぎて思わずがぶ飲みしちゃったけど効果が切れるまで一度も外出しなかったから酒泉君本人には効かなかった話
その日、事件が起きた
酒泉は一週間程前に注文した高級オレンジ百パーセントジュースを受け取りに行った
事前に代金は支払い済みだった為、受け取ってすぐにウキウキで店を出た
……ベアトリーチェがそのジュースを嫌われ薬の様な物と入れ替えたとも知らずに
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はい!というわけで受け取ってきました!
キヴォトス限定!高級オレンジ百パーセントジュース!
いやぁ、テレビのCMで見た瞬間、俺はこう思いましたね
「あ、俺はこの人と出会うために生まれてきたんだ」ってね
実はこれ……一万数千円したんですよ、その代わり量もたっぷりあるんですけどね!
さて、雑談も程々に………いっただっきまーす!
んく……んく……ぷはあっ!
……なんかオレンジって感じはしないけど───
───めちゃくちゃうめえ!
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「……ようやく片付いた」
執務室で一人作業を終えたヒナは一息ついて腕を伸ばす
今日は三連休の一日目だが、治安が世紀末レベルで終わっているゲヘナにそんな事は関係ない
いつ事件が起きてもいいように夕方までゲヘナ学園で過ごしている
……ちなみにこういう時は必ず酒泉も一緒に居るのだが、彼はここ最近身体を張りすぎたため、ヒナが無理やり休ませた
「………ふふっ」
エナジードリンクを飲みながらスマホの画面を眺めるヒナ
そこには満面の笑みでピースを浮かべる酒泉と顔を赤らめながら少しだけ微笑む自分の姿が
「………楽しかったな」
勇気を出して自分から誘った遊園地、酒泉は喜んで了承してくれた
その時の事を思い出すだけでもう────
(────気持ち悪かった)
「………え?」
自分は今、何を思った?
大好きな彼と遊園地で───
(大嫌いな彼を誘うなんて───)
「なっ……なんで……」
とても幸せな時間を───
(とても最悪な時間を───)
「違う……違う!」
ずっとあの時間が続けば良かったのに───
(早く終わってほしかったのに───)
「やだ……やだ……っ!」
突如、己の感情が塗り替えられていくヒナ
しかし長年風紀委員のトップとして戦い続けてきた精神力で抑えようとするが………
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やべー!!!めっちゃうめー!!!追加だ追加ぁ!
よし!決めた!三連休はこれ飲みながらひたすら自宅でダラダラしよう!
いっき!いっき!いっき!いっき!一気にいくぜ!
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「あ……ああ……!」
酒泉に対する憎悪が強くなっていく、彼の声が気持ち悪い、彼の顔が憎い、彼の存在そのものが気に入らない
「私はっ……酒泉の事をっ……!」
理由のない悪意が次々とヒナの頭に流れ込んでいく、それは決壊したダムのように止まることはない
その悪意はヒナの脳内を埋めつくし、そして───
「………あの男に連絡しておかなきゃ、嫌だけど」
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あー……やっべ、コンボミスった……あ、でも勝った
いやー、久しぶりにこのキャラ使ったけどここまで下方修正されていたのか……ちゃんと練習しとけば───ん?モモトーク?
空崎さんからか……なになに?「三連休が終わった後も風紀委員会には来なくていい」って?
……もしかして、もっと休んどけってことか?それならお言葉に甘えて休むとしますか!
よーっし!それじゃ、遊びまくるぞー!
あ、ここでオレンジジュースをキメとくか
んぐ……んぐ……
………やっぱ何回飲んでもオレンジとは思えないな、こんなもんなのか?変なもん入ってたりしないよな?
毒薬とか入ってたら気づけるしなぁ……まあ───
───美味ければそれでいっか!!!
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「止めろ……止めてくれっ!」
「私は……一生を掛けてでも酒泉を護ると誓ったんだ!」
「私達を……アリウススクワッドを救ってくれたあいつを!」
「だめ、だ、あたまが、おさえ……」
「ぐっ……いやだ……私はまた酒泉を傷つけるのか……!」
「命を救ってくれたのに……また、危害を……!」
「け、結局私はっ……憎しみを振り撒くことしかできないのかっ!?」
「…っ駄目だ、ああ、酒泉……たすけ────」
「─────あ……」
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「気持ち悪い」
「気持ち悪い」
「早く切り落とさないと、あの男に触れられた部分を切り落とさないと」
「何であの男の〝道具〟になんか……」
「気持ち悪い」
「気持ち、悪い」
「……きもちわるい」
「はやくきて、しゅせん」
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「嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、嫌い」
「酒泉君なんて大嫌い、ゲヘナなんて大嫌い」
「……別に私は元々彼のことなんて大っ嫌いだったもん、今更こんな感情が出てきたところで───」
「出てきた……ところ、で……」
「………………」
「………や、やだ」
「やだやだやだ!嫌いたくない!」
「彼のことは嫌いだけど……ほ、本当に嫌いたくないっ!」
「嫌い!本当に嫌い!嫌い!本当に嫌い!嫌い!本当に嫌い!」
「あ、あんな……あんな奴なんか……だ、大嫌い!」
「ち、ちがう!本当に嫌いなんじゃなくてただ嫌いなだけなのっ!」
「たすけて……たすけてよ……大嫌いな酒泉君───」
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「………何故私はあんな男を頼ってしまったのかしら」
「いくら理解者が欲しかったからって、あんな男に……」
「……っ!だめ……また思考がっ……!」
「こんな時、彼が居てくれたら……」
「……いえ、あんな偽善者、必要な────」
「……ぐっ!だめ、もう、げんかい」
「また私は一人になるの?また私は昔の私に戻るの?」
「………酒泉」
「ひとりに、しないで」
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「ア、アリスは……アリスは嫌いたくないですっ!」
《ぐっ……落ち着いてください!王女!》
「しゅ、酒泉はアリスにとって、大切な……!」
《それは私も同じ、で、す……!ですか、ら……》
「アリスは……酒泉を……!」
《すみませ、ん、しゅせ、ん、これ以上は、もう、》
「………」
《………王女、あの男の元に向かう必要はありません》
「……はい、アリス、ちょっと混乱状態になっていました」
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《先生!?しっかりしてください!》
「ぐっ……駄目だ、抑えないと……!」
「私は先生だっ……生徒にこんな感情を抱くなんて……!」
「彼はこれまで何度も苦しんできたっ……それなのにまた苦しめるのか!?」
《ど、どうにかしないと……!》
「何故……何故こんな……!?」
「何か原因があるはずだ……!それを調べれば……!」
「……調べる?あんな生徒の為に?」
「………っ!違う!彼は〝あんな生徒〟なんかじゃない!他の子達の為に命を掛けるような……」
「……いや、それは所詮ただの偽善に過ぎない、彼はただ自分に酔っているだけだ」
《……先生!?駄目です!飲まれてはいけません!先生!》
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んごごごごごご………
んんぅ………そ、そこはらめぇ………zzz
……んー、もう朝か……?
いやあ……今日で四日目かぁ……
まあ、もう少し寝たらまたゆっくりゲームでも───
────ん?四日目?
………
三連休終わってるやんけ!!!
やばいやばいやばい遅刻遅刻遅刻!
えっと……ま、まず時間を確認しないと……!
は、八時!?このままじゃギリギリ遅刻じゃねーか!
急がないと───
───っと、不在着信?学校からか?
どれどれ………
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聖園さん
委員長
委員長
戒野さん
先生
先生
聖園さん
錠前さん
委員長
調月さん
調月さん
聖園さん
天童さん
先生
調月さん
錠前さん
錠前さん
天童さん
天童さん
聖園さん
戒野さん
戒(ry
──────────
……………
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