〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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番外編の話は本編と切り離して読んでもらえるとありがたいです


何も知らない間に知り合い二人がバチバチになってたけど何が原因か分からない話

 

 

 

「チェックメイトかな?」

 

ぐぬぬぬ……

 

「はい、また私の勝ち☆」

 

ま、待って!一ターン……いや、二ターン戻させてください!

 

「あはは!大人しく諦めた方がいいんじゃないかな?」

 

 

 

 

あの後、聖園さんと一時間と少しだけチェスで遊んでいた

 

 

 

……聖園さんがこんなにチェスできるなんて聞いてないっすよ

 

「時々ナギちゃんやセイアちゃんと遊んだりするからね」

 

森の賢者……

 

「現実でもチェックメイトになりたいのかな?」

 

ゴメンナサイ

 

「もう、そんなことばっかり言ってると女の子に嫌われちゃうよ?………嫌いな男が相手でも構ってくれる女の子なんて私ぐらいしかいないんだから」

 

えっ、モテる前から嫌われるのはやだ………ちょっと自重するか……

 

「……やっぱりそのままでいいよ」

 

 

 

適当に会話しているうちに聖園さんの様子が普段通りに戻る

 

……いや、雰囲気だけ少し変だな

 

でもさっきみたいに泣いてはいないし、これは解決したと見ていいかな

 

 

 

さて……それじゃ、そろそろ帰りますか

 

「あ……もう帰っちゃうの?」

 

はい、家で待ってる人が居るんで……まだ起きてないと思いますけど

 

「……女の子?」

 

はい

 

「…………あっそ」

 

 

 

そっぽを向きながら拗ねた様な反応をする聖園さん

 

……何を怒ってるんだ?この人

 

散々俺のことをチェスでボコしておいて何故不機嫌になるのか理解できない

 

………くそっ、思い出したら悔しくなってきたな……

 

 

 

……聖園さん、次何時空いてます?

 

「……え?」

 

何かこのまま負けっぱなしで終わるの嫌なんでリベンジしに行きます

 

「……来てくれるの?」

 

ナメられっぱなしは性に合わないんでね

 

「それペイント弾で模擬戦した時にも言ってたよね………」

 

それで、どっか暇な日あります?

 

「……あ、明日の放課後とかは?」

 

んじゃ、放課後に襲撃しに行くんで首……じゃなくてチェス洗って待っててください

 

「ふふっ、何それ………待ってるね」

 

 

約束を取り付けたのでそのまま帰ろうとする

 

 

「あ、ちょっと待って」

 

まだ何か?

 

「ねえ酒泉君」

 

はい

 

「大嫌い」

 

今日で何回目ですか……

 

「うん、嫌い……大嫌い……………えへへ」

 

そんなめっちゃ笑顔で言われても反応に困るんスけど……

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

トリニティの寮から出てきた俺は真っ直ぐ帰らずに少し寄り道していた

 

理由としてはスイーツを買いたいからだ、糖分isジャスティス、トゥ!ヘァー!

 

……空崎さん深夜からずっと玄関前に居たらしいし、腹空かしてるだろうしな

 

そんな事を考えながら目的地に向かって歩いていると、何やらヒソヒソと声が聞こえてくる

 

 

「ねえ……あの人、調印式襲撃の……」

「何でこんな所をウロウロと……」

「………どの面で」

「あ、危ないから近づかないでおきましょう」

 

 

トリニティ生達のあまり穏やかではない会話が耳に入ってくる

 

その子達の視線の向いている方へ俺も視線を向けると─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「た、確かこの辺りの店をよく利用すると………」

 

 

 

 

 

 

 

 

─────キョロキョロと周りを見渡す錠前さんが

 

 

……あの人何やってんだ?

 

もし時間帯がもっと遅ければ一発で通報される様な挙動不審さに思わず口が開いてしまう

 

 

「……あっ、」

 

 

そのまま眺めていると、錠前さんと目線が合う

 

俺を見つけた錠前さんは額に汗をかきながら駆け寄ってくる

 

 

……ども、こんにちは

 

「み、見つけたぞ……良かった……」

 

何か焦ってるっぽいですけど……何かあったんですか?ETO出動案件ですか?

 

「い、いや、そっちの任務は終わった……今は残った時間で酒泉を探していたんだ」

 

へぇー……あれ?任務が終わればすぐに撤収させられるはずじゃ……それに結構ガッチガチに行動縛られたり監視されたりしてましたよね?

 

「ティーパーティーの二人が融通を利かせてくれてな……とはいえ、もうそれほど時間も残されていないが……何とか会うことができて良かった……」

 

ああ、百合園さんと桐藤さんか……って、何で俺のこと探してたんですか?

 

「……それは───」

 

 

 

 

 

「アリウススクワッドのリーダーとゲヘナの人間が何を……」

「まさか、何か企んでいるのでは……」

「またトリニティを陥れるつもり……?」

「通報した方が……」

 

 

 

 

 

 

あー……場所変えます?

 

「……いや、それは不可能だ。外に出ている間は許可が出ない限り、トリニティが監視しやすい場所以外への移動は禁止されている」

 

………思っていたよりガッチガチですね

 

「これでもかなり温情をかけてもらっている方だ……私の犯した罪に対してな」

 

んじゃあ……堂々と帰りながら話しましょうか

 

「………ああ」

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

 

 

そういえば他のスクワッドの皆はどうしてます?今日は錠前さん一人っぽいですけど

 

「……今日任務を言い渡されたのは私とミサキの二人だけだ、ミサキはこことは別の場所の任務に当たっている」

 

へー……ちなみにどんな感じの?

 

「ゲヘナとトリニティの生徒同士の間で揉め事が発生したらしくてな……トリニティの監視係達と共にその鎮圧に向かっている」

 

お、ゲヘナとトリニティ間の事件ですか……ETOらしいですね

 

「あ、ああ……………なあ、酒泉」

 

ん?

 

「…………いや、何でもない」

 

 

 

何かを言いかけたかと思えば、すぐに口を閉ざす錠前さん

 

………さっきから何か余所余所しいな、めっちゃチラ見してくるし

 

まあ、それは今日会話した人全員に言えることだけど……

 

 

 

 

………あの、何か言いたいことがあるんなら遠慮しなくていいんですよ?

 

「………し、しかし………」

 

今日色々ありましたし、今更何を言われても大して気にしないんで

 

「………」

 

 

 

ずっと何かを言いよどむ錠前さん

 

……正直、中途半端に遠慮されるよりハッキリ言ってもらった方が────

 

 

 

 

 

 

 

 

「酒泉………すまなかったっ!」

 

 

 

 

 

────突如、いつぞやと同じように錠前さんが土下座した

 

 

 

 

 

………は?え?何が?

 

「お前にはアツコの命を救ってもらっただけでなく、やり直す機会まで与えてもらったというのに……!」

待って、突然なんなの?

 

「お前に恩を返すどころか、私は……私は……!」

 

あ、このパターンはまさか………

 

「お前に憎悪を向けてしまったっ……!」

 

錠前さん……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ま た か !

 

何か今日ずっとこんな感じなんですけど!?

 

なんなの?最近のキヴォトスでは俺に突然謝罪するドッキリでも流行ってるの!?

 

え?何?それとも俺ってそんな嫌われやすい性格してる?

 

俺のやってることなんて精々、戦闘中に敵を煽ったり売り言葉に買い言葉で喧嘩したり敵がなかなか気絶しなかった時は痛め付けまくったり………

 

…………嫌われてもおかしくはないな、うん

 

 

 

 

「お前のことを一生護ると誓っておきながら、私はお前のことを憎んでしまったっ!」

 

「お前の身体に消えない傷跡を残してしまった責任を取ろうと……せめてそれだけは死んでも成し遂げようと決めたのに……っ!」

 

「あの時私は……『何故あの男の為に自分の人生を捧げなければならないんだ』と……そう思ってしまったんだっ!」

 

「本来なら私の人生全てを捧げても返しきれない程の恩があるというのに……!」

 

「なのに……何故私はあんな感情を……!」

 

 

 

なんて一人で考えていると、錠前さんが一人で落ち込みだした

 

俺に対して憎悪か……調印式で初めて対面した時、アリウススクワッドに対して好き放題言ったことが原因か?

 

まあそれなら恨まれても仕方ない………けど、何で今更なんだ?

 

憎悪………そういえばベアトリーチェはアリウス生達に怒りや憎しみを植え付けていたよな

 

もしかして………

 

 

 

 

 

 

今頃洗脳の効果が強まったのか!?←ハズレ

 

きっとベアトリーチェが負けた時用に何かを仕込んでいたんだ……!←ハズレ

 

仮に俺の考えが間違っていたとしても、あの女が何かしら関わっているに違いない……!←半分正解

 

ベアトリーチェめ……余計なことを……!←正解

 

 

 

「頼む……もう一度だけチャンスをくれないか!?今度こそ……今度こそ護るから……!」

 

……錠前さん、アンタは悪くないよ

 

「………え?」

 

元より憎しみに染まりやすいようにあのババアに育てられたんだ、それはすぐに治せるようなもんじゃない

 

「だ、だが……」

 

これからゆっくりと時間を掛けて治していけばいいんですから

 

「……しかし、それではお前を─────」

 

大丈夫ですよ、いくらでも待つんで

 

「─────っ、何故だ……何故そこまで優しくしてくれるんだ……?」

 

だって錠前さん、約束は必ず守ってくれるじゃないですか

 

現にこうして〝罪を償う〟っていう約束をETOで働く形で果たしてくれていますし

 

だからこそ安心して待てるんですよ

 

「………」

 

……とりあえず立ちません?人通りの少ない場所とはいえ、注目集めちゃってるんで

 

「………ありがとう、酒泉。私は今度こそ─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけた」

 

錠前さんが何かを言おうとした瞬間、背後から少女の声が聞こえる

 

聞き覚えのある声………多分この人は───

 

 

 

 

 

「─────っ、ミサキ?何故ここに…………」

 

───やっぱり戒野さんか

 

「………」

 

 

一言発した後、何も言わずにただ立ち続ける戒野さん

 

「待て!勝手に離れるな!」

「ど、独断行動は控えてください!」

 

 

その後ろからおそらく監視係であろうトリニティ生が二人早歩きで近づいてくる

 

 

「……ミサキ、あまり迷惑をかけるな。私達がこうして外に出られるのは彼女達の温情があるからだという事を忘れるな」

 

「………」

 

「……ミサキ?」

 

何も返事をしない戒野さん、心配した錠前さんは戒野さんに近づくが戒野さんはそれをスルーして横切る

 

そしてそのまま俺に近づき────

 

 

 

 

「噛んで」

 

 

 

 

 

 

────突然頭を首まで抱き寄せられた

 

 

「……は?」

 

……え?

 

「早く噛んで」

 

 

 

咄嗟に離れようとしたが、衝撃の一言に俺も錠前さんも固まる

 

なんなら後ろのトリニティ生まで固まっている

 

 

「何をボサッとしてるの?早く噛んでよ」

 

「ミサキ……お前、何を────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────私は酒泉の道具」

 

「道具は持ち主の為に役に立たなければならない」

 

「そこに嫌悪だの憎しみだの、そんな感情は関係ない」

 

「……関係ない、はずなのに……」

 

「私は道具の分際で酒泉に対して怒りを覚えてしまった、『どうしてあんな奴を持ち主に選んでしまったのだろう』って、『あの程度の男に私を使う権利はない』って」

 

 

 

未だに俺を抱き寄せながら喋り続ける戒野さん

 

やべえ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怒りの理由が真っ当すぎる………!

 

人を道具扱いすれば、そりゃあ怒るだろうよ!?

 

いくら戒野さんでもずっと道具扱いしてればこうなるわ!

 

きっと今まで何も言わなかったのはバシリカでの借りとかで遠慮していたのだろう、何故気づかなかったんだ……!

 

自分から道具になろうとしていたのもきっとそれが理由だ!

 

と、とりあえずキチンと謝って戒野さんを解放しないと……!

 

 

 

 

「だから早く噛んで、もう一度酒泉の道具であることを───」

 

い、戒野さん!

 

「………何」

 

すまなかった!本当は道具扱いを嫌がっていたのに、その本心に気づけなくて……!

 

「……は?」

 

あくまで俺に借りを返すために道具になって役立とうとしてくれてただけだよな?それなのに俺は……

 

「……そういうことじゃない、私は───」

 

 

 

 

 

 

───もう今後、戒野さんのことは道具扱いしない!

 

 

 

 

 

「………ぇ……?」

 

今まで縛り付けてしまって本当に悪かった、これからは俺のことなんて気にせず生きてくれ

 

「ま、まってよ……勝手に話を進めないで」

 

あの時、〝俺の道具になれ〟なんて説得をしたからこんな事に……

 

「………」

 

でも、これで今日から戒野さんは自由に………

 

「………必要、無いんだ」

 

え?

 

 

 

 

 

 

 

「私のことが要らなくなったから捨てるんだ」

 

「勝手に生きる理由を与えておいて……勝手に生かしておいて……」

 

「何の責任も取らずにそうやって知らない顔するんだ」

 

「………結局、酒泉は私のことが面倒になっただけでしょ」

 

 

そう言って睨んでくる戒野さん

 

え?道具扱いしていたから怒ってたんじゃないの?

 

駄目だ、そうじゃないならさっぱり分からない……

 

 

 

 

「………もういい」

 

 

理由を探るために必死に頭を働かせていると、戒野さんが俺の顔を離す

 

 

「酒泉が私に何もしないなら、私から酒泉に傷をつけるから」

 

……え?一体なに────いっっっづぅ!!?

 

 

次の瞬間、突然戒野さんが首元に噛みついてきた

 

割と洒落にならない痛みに襲われるが、そんな事はお構い無しになにやらチウチウと吸われる音が聞こえる

 

少しして戒野さんが離れると……

 

 

「……っと」

 

シュッ!という鋭い音と同時に俺と戒野さんの間に蹴りが放たれる

 

その足の先を見ると、錠前さんが険しい顔で戒野さんを睨んでいた

 

 

「………どういうつもりだ、ミサキ」

 

「………何が」

 

「何故っ……何故酒泉を傷付けたっ!?」

 

「いつまで経っても酒泉が何もしてこないから」

 

「それがどう関係する!?」

 

「酒泉が私の身体に道具である〝証〟を付けてくれないなら、逆に私の身体の傷と同じ数だけ酒泉の身体に持ち主である〝証〟を付けるから」

 

「……ふざけるな、そんな事はさせない」

 

「リーダーには関係ないでしょ」

 

「いいや、関係ある。私は酒泉を護ると誓ったからな」

 

 

 

そう言うと今度は錠前さんが俺の身体を後ろから抱き寄せ、両腕で俺を護るようにガードする

 

てかそのせいで錠前さんと戒野さんのバッチバチの空気に挟まれてしまった

 

トリニティの監視係の人達に視線を向けて助けを求めてみる………おい目ぇ逸らしてんじゃねえよ監視係、助けろ

 

 

「ど、どうします?」

「怪しい行動はとっていないからスルーだ」

「で、ですが……」

「私達は何も見ていない、特に反乱行為を行っている訳でもない」

「思いっきりゲヘナの生徒の首元が傷付いているのですが……」

「あれはスキンシップだ」

「………」

「……あれに割り込みたいか?」

 

 

 

おい隠蔽しようとするな

 

 

「リーダー、さっさと酒泉を放して、苦しがってる」

 

「お前に渡したら酒泉を傷付けるだろ!」

 

 

助けて

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