〝アリウス〟潰すゾ!!!   作:あば茶

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とりあえず犯人は分かったけど女難が残ってしまった話

 

 

 

 

とりあえずベアおば潰しません?

 

「うん、そうしよっか」

 

 

 

ミレニアムの件から一週間後、〝嫌われ〟というジャンルを思い出した俺はそのパターンでよくありがちな〝嫌われ薬〟の捜索に当たった

 

皆が俺のことを嫌いだした日……それより少し前に飲み食いした物を思い出し、それらの中からゴミや空き瓶等が残っている物を徹底的に集めた

 

それらを全て先生に調べてもらった結果、一番怪しかったのが〝高級オレンジ百パーセントジュース〟、何やら怪しい反応が出まくったらしいのだ

 

んで、そのジュースが店に届くまでの配達ルートを調べ上げ、そのルート上にある確認可能な監視カメラを全て調べると………なんと途中でカイザーの人と配達員の人が荷物を交換している映像を発見した……らしい

 

それでそのカイザーの人に何をしたのか先生が問い詰めたところ、「赤い肌の怪物に脅された(要約)」とのことらしい

 

因みに何故さっきから〝らしい〟を多用しているのかというと、オレンジジュースを先生に渡した後は全部先生が調べてくれたからだ

 

その際に色んな生徒にも手伝ってもらったみたいだが基本的には先生が指示を出していた、何から何まで世話になりっぱなしだ

 

あ、それと薬の話についてはこの前会った人達全員に教えておいた

 

何名か真顔だったのが怖かった、特にベアトリーチェの名前を出した時なんかヤバかった

 

 

 

 

……それにしても先生、そのカイザーの人よく素直に吐いてくれましたね

 

「ああ、ちょっと脅……お願いしたら正直に話してくれたよ」

 

………今「何も言ってないよ?」そうですね気のせいでした

 

 

変な圧を感じたのでとりあえず知らないフリをしておく、すると今度は先生が「そういえば」と話を振ってくる

 

 

「それ……出なくていいの?」

 

……何のことですか?

 

「……現実逃避は止めた方がいいよ?」

 

オレ、シラナイ

 

「野生児になっても無駄だよ」

 

……だって……出たら死ぬ気がして……

 

「呪いの電話じゃないんだから……」

 

実はさっきから震えっぱなしだったスマホを覗く、通話ボタンをタップしないようにモモトークの画面に切り替えるとそこには────

 

 

 

 

 

 

ミカ: やっほー☆今日暇?当然空いてるよね?なんか退屈だからトリニティに来てよ!いつもの場所で待ってるね☆

 

アリス: 今日はミレニアムのゲームセンターで格ゲーの大会が開かれます!アリスと酒泉の最強コンビネーションを見せつけましょう!………来てくれますよね?

 

アリス: 王女の頼みです、当然来ますよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私も会いたいです

 

リオ: メッセージの送信を取り消しました

リオ: メッセージの送信を取り消しました

リオ: あe

リオ: 今日の午後、会えないかしら

 

ミカ: あれ?おかしいなぁ……届いてないのかな?おーい?

ミカ: 既読はついてるんだけどなぁ……

ミカ: おーい

ミカ: 無視しないでよー

ミカ: へんじして

ミカ: 今からゲヘナに向かうね☆

 

アリス: ずっと待ってますね………酒泉

 

 

 

 

 

………不在着信は────

 

 

 

 

委員長

委員長

戒野さん

委員長

錠前さん

戒野さん

戒野さん

錠前さん

委員長

錠前さん

錠前さん

戒野さ(ry

 

 

 

 

………

 

「……酒泉」

 

知りません

 

「酒泉」

 

何も知りません

 

「…………」

 

何ですかその目は、先生は俺に天童さんとケイさんと一緒にゲーム大会に参加した後、聖園さんを迎えにいって調月さんに会いに行けと言うんですか

 

何なら不在着信の方も何かありそうですし

 

「……問題が解決に近づいたと思ったら別の問題が発生したね」

 

もういっその事、全員「予定があるんで」で誤魔化そうかな……

 

「根掘り葉掘り尋ねられたら?半端な答えじゃ納得しないと思うけど……」

 

んー……そしたら「親戚に会いに行く」とか「彼女とデートする」とか適当に───

 

 

「ぜっっっったいに止めてね?」

 

あっはい

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

あれから日が変わって少し

 

現在風紀委員の執務室で仕事中の俺、暇である

 

その理由はというと……何故か皆が必要以上に手伝ってくれるからだ

 

現場に向かわないといけない時は銀鏡さんと空崎さんが、書類仕事は天雨さんと火宮さんが

 

今はまだ風紀委員の出動案件は来ていない為、全員で書類仕事を片付けているが……

 

何か全員仕事に集中できていない気が……

 

 

 

「………」

 

あの、火宮さん……手伝ってもらってる立場で文句言うのも申し訳ないんだけど……ハンコ押す場所間違ってる……

 

「……あっ!?ご、ごめんなさい!」

 

……それと銀鏡さん、同じ場所に同じ字を書きすぎて紙がぐしゃぐしゃになってます

 

「えっ……?あ、本当だ……ごめん……」

 

 

狼狽えながら慌てて修正しようとする火宮さんと銀鏡さん、そんな二人に天雨さんが呆れた様な視線を向ける

 

 

「……二人とも仕事に集中できていないのでは?」

 

「うっ……」

 

「ごめんなさい……」

 

「まったく……委員長の仕事を増やさないでください」

 

あの……これ俺の仕事ですけど……

 

「………委員長も後から手伝うんですから、結局委員長の仕事であることに変わりないです」

 

まあ、確かに

 

「………一応先に言っておきますけど、酒泉の負担を軽くしようだとかそんな事を考えているわけではないですから」

 

それぐらい分かってますって……どんだけ俺のこと嫌いなんですか……

 

 

 

 

この時、俺は軽い冗談のつもりだった

 

いつもの様に「当然です!委員長に纏わりつく羽虫なんて好きになるはずがないでしょう?」って返されると思っていた

 

でも実際に返ってきた答えは───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───っ!あそこまで本気で嫌いになるわけないでしょう!?」

 

 

……え?

 

「あ………」

 

 

「………」

「アコちゃん……」

 

部屋に気まずい空気が流れる

 

………そういえば全員影響受けてんのか、あれ

 

全員が口を閉ざす中、パンっ!という手を叩く音と共に空崎さんが立ち上がる

 

 

「……皆、色々と思うところはあるだろうけど今は目の前の仕事を片付ける事に集中して」

 

「……すみません、ヒナ委員長」

 

 

空崎さんの一声で全員が集中を取り戻し、仕事に戻る

 

……ベアトリーチェの奴、余計なもん残しやがって

 

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

 

「……皆、お疲れ様、今日はここまでにしよう」

 

「……はい、お疲れ様です」

 

「じゃあ……また明日……」

 

「お疲れ様でした……」

 

 

 

一人また一人と執務室を出ていく、俺も挨拶してから帰ろうとすると……

 

 

「酒泉、少し残って」

 

……?はい

 

「……ちょっと治ってる」

 

 

空崎さんが俺の首元のガーゼを剥がして、怪我の治り具合を確認してくる

 

そのまま戻すかと思われたが、ベリっと完全にテープを剥がしてきた

 

 

「……ジッとしてて、また上書きするから」

 

……はぇ?

 

「んっ……」

 

 

そしてあの日と同じ様に再び首元に噛みつかれた

 

 

「ん………」

 

無言で血を吸ってくる空崎さん

 

え?抵抗しないのかって?抵抗する隙なんて無かったし何なら抵抗しても力で押さえつけられるに決まってんだろ

 

 

「………んぐ…」

 

……あの、もういいのでは?

 

「……らえ駄目

 

 

そう言ってひたすらあぐあぐと噛み続ける

 

痕が残るので止めてほしいと伝えるとむしろ噛む力が強くなる、なんでさ

 

最後に少し強めに血を吸われると、ようやく首に回していた手を離してくれた

 

 

「……油断していた」

 

えっと……何がです?

 

「他校の生徒だけじゃなく、同じゲヘナ学園の……同じ委員会の子達も警戒するべきだった」

 

ああ、薬の効果の話ですか?

 

「それもあるけど、ちょっと違う」

 

……?

 

「……何でもない、気にしないで」

 

はぁ…

 

「……それよりその痕、消えそうになったら教えてね」

 

……また噛むんですか?

 

「………」

 

 

無言で頷かれる

 

何で毎回同じ場所に噛まれるのか理解できない、別に腕とかでも良くない?

 

……いや、そもそも噛むこと自体おかしいだろ、騙されるところだった

 

「とにかく、もし今後誰かに傷痕を残されそうになったら首元のそれを見せて」

 

そう言うと、空崎さんは荷物を持って執務室を出ていった

 

………俺も行こっと

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

「お、遅れてすまない……外出許可を貰うのに手間取ってしまってな……」

 

 

トリニティ学園からそう遠くない場所にあるファミレス、その一席に少し息を切らしながら錠前さんが歩いてくる

 

 

「此方から呼び出しておきながら……本当にすまない」

 

んや、そんな待ってないんで大丈夫ですよ

 

「だが………」

 

とりあえず座りません?立ちっぱなしだと疲れるでしょ?

 

「……ああ」

 

腰を下ろす錠前さん、彼女の前に皿を一つ差し出す

 

 

「……これは?」

 

先に料理とかドリンクバーとか注文しといたんで……あ、当然俺の奢りです

 

「……しかし、遅れてしまった上に食事まで頂くのは───」

 

ちなみに素直に奢られなかった場合、力ずくでも錠前さんのポケットに万札入れて帰らせるつもりなんで

 

「それは脅しなのか……?しかし……そこまで言われては断るのも申し訳ないな……素直に頂くとしよう」

 

それで良いんですよ……ほら、これとか旨いっすよ

 

「これは……?」

 

エスカルゴですよエスカルゴ、簡単に言えば食用カタツムリ

 

「カ…カタツムリ!?」

 

もしや食べた事がない?

 

「ああ……そもそも酒泉に提案されるまでこの様な場所に来たことすらない」

 

……成る程、とりあえず食べてみてください

 

「わ、分かった……」

 

 

スプーンの上にエスカルゴを乗せ、そのまま恐る恐る口の中に入れる錠前さん

 

少しして驚いた様な表情で目を輝かせる

 

 

「カタツムリというのはこんなにも美味しかったのか……!」

 

いや、野生のカタツムリってわけじゃないですからね?間違っても食べないでくださいね?

 

「ああ……分かっている」

 

あ、錠前さん何か飲みたいのあります?俺注いで来ますよ

 

「い、いや、ただでさえ奢られているのに飲み物まで貰うのは……」

 

いや、飲み物はおかわりし放題っすよ、ドリンクバーなんで

 

「なっ!?」

 

ドリンクバーは一度注文すればその後は好きな時に好きなだけおかわりできるんで……

 

「そうなのか……なら、その緑色の液体を飲んでみたい」

 

メロンソーダですか?んじゃあ、これどうぞ、まだ口つけてないんで

 

「頂こう………ん!?ぐっ……しゅ、酒泉!体内で何かが弾けたぞ!?」

 

そりゃあ炭酸なんで……

 

「慣れない衝撃に驚いたが……甘くて美味しいな」

 

でしょ?

 

「……ドリンクバーとやらを頼めばこれもおかわりし放題なのか?」

 

もちろんっすね、スクワッドで遊びに来た時とかの為に覚えておいたらどうですか?

 

「そうだな……全員で揃う機会は中々ないが、いずれその時が来た時の為にも今のうちに学んでおこう」

 

 

 

微笑みながらそう決意する錠前さん、すると今度は別の料理へと視線を向ける

 

 

「ところで、酒泉の前に置いてある黒い紐の様な物だが……まさかそれも食べ物なのか……?」

 

これはイカスミパスタといって、名前の通りパスタにイカスミぶっかけた料理ですよ

 

「スミを!?大丈夫なのか!?」

 

いや、イカスミなんで……食べてみます?歯が真っ黒になりますけど

 

「い、いや……私は……」

 

ここまで来たら遠慮は無しっすよ

 

「………な、なら遠慮無く……」

 

……どうです?

 

「……っ!驚いたぞ、酒泉!スミを掛けただけなのにここまで美味しくなるのか!」

 

スミじゃなくてイカスミですよ、間違えないでくださいね?

 

「今度アツコ達にも教えなければ……!」

 

……大丈夫か?

 

 

 

口元を黒くしながら食事を楽しむ錠前さん

 

……これがアリウススクワッドにとっての〝当たり前〟になってくれればいいんだけどな……

 

あ、駄目だ、過去の俺をぶん殴りたくなってきた

 

アリウスを潰す事しか考えてなかった俺をぶっ飛ばしたくなってきた

 

キヴォトスの闇を何も知らずにアリウスをただの敵としか思ってなかった俺の節穴眼球を抉りたくなってきた

 

いや、あの時言った言葉は全部本心だし後悔してないけどさぁ……

 

 

「酒泉は食べないのか?」

 

 

そんな事を考えていると錠前さんがイカスミパスタを巻いたフォークをずいっと差し出してくる

 

これ間接キスじゃね?って思ったが、笑顔でフォークを向けてくる錠前さんを見てると何も言えなくなる

 

 

……そうっすね、イタダキマス

 

「ふふっ、この世界にはこんな沢山の種類の料理があるんだな」

 

 

 

 

それから俺達は食事を楽しんだ

 

 

 

「これがピザか……この量は流石に多すぎではないか?」

 

よく見てください、切れ目が入ってるでしょ?

 

「あっ……」

 

………

 

「す、すまない……別に食い意地を張っている訳ではなくてだな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……チーズ、か?」

 

その下をスプーンですくってみてください

 

「……!?酒泉、下から米が出てきたぞ!?」

 

これがドリアですよ

 

「ドリア……」

 

キャンディ……

 

「?」

 

気にしないでください、突然海王の真似をしたくなっただけなんで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほ、本当に食べてもいいのか……?」

 

どうぞ、ちなみにこのアイスは俺のイチオシです

 

「では……」

 

……くっ…くくっ…

 

「?」

 

じょ、錠前さん……ぐっ……ずっと黙ってたんですけど……ぶふっ……

 

「何だ?」

 

イカスミ、ずっと頬っぺたについてます……っ!

 

「………………!?」

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

 

 

 

 

「酒泉……今日は何から何まですまな───」

 

はいストップ、俺的には謝罪よりもお礼が欲しいなー

 

「───ああ……そうだな、ありがとう……酒泉」

 

……そういやぁ、結局なんで俺を呼んだんですか?

 

「それは、だな……この前電話で言ってただろう、私達が酒泉に憎悪を向けたのはベアトリーチェの仕業である可能性が高いと」

 

まあ、言いましたけど……それがどう関係するんです?

 

「………この眼で確かめたかったんだ、何も変化がないか、どこも怪我していないかを」

 

あー……俺がベアトリーチェにまた狙われるかもしれないから?

 

「ああ」

 

今んところは大丈夫っすよ、特に異常無しです

 

「そう、か……」

 

 

 

そう言うと会話がピタリと止まる

 

……こういう空気苦手なんだよなぁ

 

 

「……酒泉!」

 

 

何か話の種を考えていると錠前さんが俺の両肩を掴んでくる

 

 

「今日はご馳走になってしまったな………だから今度は私が奢ろう」

 

そんな気にしなくても……

 

「いや、奢らせてくれ、頼む。少しでも……些細な事でも恩返ししたいんだ」

 

……なら楽しみにしてますね

 

「っ!ああ!任せてくれ!また会う日までに下調べをして────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────へえ、楽しそうな話してるね、リーダー」

 

 

 

 

突如、横から声が聞こえた

 

 

 

あ、戒野さん、こんにち……こんばんは

 

「……ミサキ?何故ここに……」

 

「……任務帰り、それよりもさっきの話どういうこと?『ご馳走になった』とか言ってたけど」

 

「……言葉通りの意味だ、それよりもお前の方こそどうした?〝偶然〟こんな所を通りかかるなど、都合が良すぎるだろう」

 

「……別に理由なんてない、本当に偶然通りかかっただけ」

 

「……もし本当に任務帰りだとしたら、何故監視の者がいない?」

 

「……随分警戒するんだね」

 

「当たり前だ、また酒泉に噛みつくかもしれないからな」

 

「ふーん……でもさ、それってリーダーに関係あるの?別に酒泉も嫌がってた訳じゃないんだから問題ないでしょ」

 

それは嫌がる暇が無かったというか……

 

「とにかくあれは〝持ち主〟と〝道具〟の問題だから部外者は口を出さないで」

 

 

 

そう言いながら俺の首元のガーゼに手を伸ばし───

 

 

 

「止めろ」

 

 

───錠前さんが戒野さんの腕を掴む

 

 

「…………」

 

 

無言のまま腕を引っ込める戒野さん、だが指がガーゼの下に引っ掛かっていたせいで少しだけ剥がれてしまう

 

一度張り直そうとベリっとテープを剥がす………その瞬間、戒野さんの表情が固まる

 

 

「………ねえ、それなに」

 

……それ?

 

「その噛み痕……私のじゃないでしょ」

 

「何……?酒泉、誰かにやられたのかっ!?」

 

いや、これは……その……空崎さんに……

 

「………」

 

「空崎ヒナに……?一体何故……彼女はお前のことを大切にしていたのではないのか?」

 

えっと……また誰かに傷痕を残されそうになったらそれを見せろって空崎さんに言われまして

 

「………やってくれるね」

 

 

そう言うと戒野さんが再び手を伸ばしてくるが、錠前さんが間に入りそれを止める

 

 

「……リーダー、邪魔しないで」

 

「断る」

 

「……そんなに護りたいの?」

 

「……当たり前だ、これ以上私達の自分勝手な都合で酒泉を傷つける訳にはいかない」

 

「ふーん……」

 

「忘れた訳ではないだろう……調印式襲撃の時、私達のせいで酒泉の身体に消えない傷痕が残ったことを」

 

「………だったら今更もう一つ付けても変わらないでしょ」

 

「……っ!ミサキっ!」

 

「じゃあさ……一度リーダーも試してみたら?」

 

「なんだと……?」

 

「リーダーも一度酒泉に傷を付けたらいいじゃん、そうすれば酒泉との繋がりを作れるよ?」

 

「…………」

 

「一生を掛けてでも酒泉のことを護りたいんでしょ?それならちゃんと〝忠犬〟らしく〝繋がって〟いないと」

 

「私……は……」

 

「もう綺麗事なんて捨てなよ」

 

「……………っ!その手には乗らないぞ……ミサキっ!」

 

「………はぁ、駄目か」

 

 

 

 

……俺は多分、ベアトリーチェを百回ぐらいぶん殴っても許されると思う

 

マジで余計なことしかしねーなアイツ

などと心の中でベアトリーチェに対する愚痴を吐いていると突然電話が鳴り響く、スマホには先生の名前が

 

 

「………誰?」

 

先生から……ちょっと失礼します

 

「……ミサキは私が見張っておこう」

 

「…………さっきの誘惑でちょっと迷ったくせに」

 

 

 

……あ、もしもし?先生

 

『もしもし、酒泉かい?今大丈夫かな?』

 

はい、大丈夫ですけど……

 

『そうか、それなら単刀直入に言うけど……ベアトリーチェの居場所が分かった』

 

ベアトリーチェの……

 

「………あの女の話?」

「ベアトリーチェ……っ!」

 

あ、やべっ……

 

『……どうしたの?』

 

い、いえ……それで?何故それを俺に……

 

『それは────』

 

 

 

 

『……何故貴女が居るの?聖園ミカ』

『あっはは!そんなに怒らないでよー、ゲヘナの風紀委員長さん?私はただベアトリーチェに用があるだけだよ?』

『なら私も同じ、貴女の出番は無いわ』

『二人とも落ち着きなさい、彼にこんなところを見られたら幻滅されるわよ』

『はあ?別に私は彼にどう思われようとどうでもいいんだけど?』

『そう、それなら今すぐ彼の連絡先を消して、それと今後は彼に連絡しないであげて』

『……はぁ?どうして貴女にそんな事を決められないといけないのかな?』

『……そもそも貴女がここにいる理由が分からないのだけど、ミレニアム学園の〝元〟会長さん』

『それは……彼は私の〝理解者〟であり───私は彼の〝理解者〟だからよ』

『………酒泉を一番理解しているのは私』

『……あは!あんな何の取り柄も立場も無い普通の男の子なんかじゃ貴女達みたいなお偉いさんには相応しくないんじゃないかな?』

『……酒泉は私と同じ風紀委員、階級なんて関係ない』

『……今の私は会長でも何でもないただの一生徒よ、彼と同じ、ね』

『はい!はいはい!自慢勝負ならアリス負けません!アリスは酒泉に思いっきり抱き締めてもらった事があります!』

【王女よ、この様なくだらない争いに参加しないでください……………因みにこれは自慢ではなく補足ですが、私も彼に抱き締められました】

 

 

 

 

 

………随分と賑やかですね

 

『うん、ベアトリーチェの居場所を特定したこと、見事にバレたよ』

 

……なぜ?

 

『実は黒服がベアトリーチェの情報を流してきたんだ……私と直接会って、ね』

 

それで?

 

 

『……それで、私と黒服の話し合いが始まるタイミング辺りでちょうどシャーレに到着するように他の生徒達にも情報を流してたらしいんだ』

 

それで会談中の場面を皆に見られた、と……

 

『ごめんね……』

 

いえ……大丈夫ですよ先生、こっちも似たような状況なんで

 

『え?……まさか……』

 

実は俺────錠前さんと戒野さんに途中でスマホぶん取られてスピーカーで会話してたんですよね

 

『………』

 

「その話、詳しく聞かせてもらおうか」

「……シャーレの監視付きなら私達もベアトリーチェとの戦いに参加できるでしょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅ……!」

 

何故だ、何故こんなことになったのだ、私がカイザーに作らせた薬は確かに効力を発揮した

 

信頼していた仲間達に裏切られた折川酒泉は心身共に折れ、その仲間達も精神状態が脆くなるはず!

 

なのに……

 

「あっはは☆次行くよー?」

 

「……さっきから暴れすぎ、ゴリラ」

 

「あれ?何か言った?メンヘラちゃん☆」

 

「………」

 

「お前達……今はベアトリーチェに集中しろ」

 

 

なのに何故この者達は……!

 

 

「……何で酒泉はこんな子達を……」

 

「……やはり彼を支えられるのは私しかいないわね」

 

「むっ……それは聞き捨てならないな、私も一生を捧げてでも酒泉を───」

 

「リーダーは黙ってて」

 

「相変わらず無自覚なんだろうなぁ……」

 

「皆さん横取りはズルいです!酒泉はアリス達とずっと一緒に居てくれると約束してくれました!」

 

【………わざわざ説明しなくても理解できると思いますが〝達〟というのは私も含まれています】

 

 

こんなにも平然と戦えるっ!?

 

 

有り得ない……一体何が起こって────「光よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

………

 

「………」

 

……あ、光の柱だ

 

「……多分アリスだね」

 

……ポテチ食べます?

 

「一応指揮中だから……」

 

………必要ですかね?

 

「正直いらないと思うけど……何かハプニングが起こるかもしれないから……」

 

……例えば?

 

「べ、ベアトリーチェが奇跡の大逆転したり……」

 

……あの人達相手に?

 

「………」

 

……ねえ先生

 

「………なに?」

 

俺達いる?

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───ば、馬鹿なっ!?この私がああああっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、終わった

 

 

 




ベアトリーチェの努力が色彩を倒すと信じて……!
ご愛読ありがとうございました!あば茶先生(ry


あ、当然本編もこのシリーズ以外の番外編もまだまだ続きます

てかやっと本編に戻れます
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