正実モブちゃんに告られた酒泉君の話
突然だが皆にとっての青春とは何だろうか?
友達と遊ぶこと?勉学に励むこと?部活動で汗を流すこと?
否、青春に正しい答えなんて存在しない、各々が各々の青春を持っているのだ
そして俺はそんな青春を満喫する前に前世の人生を終えてしまった為、青春に飢えていた
だが、この飢えも漸く収まるだろう
………え?何が言いたいのかって?要するにだな………
「ちょっ……調印式の時からずっと好きでした!付き合ってください!」
青春きちゃああああああああ!!!
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~~~♪~~~♪
「……酒泉、仕事中ですよ。静かにしてください」
あっ、ごめんなさい……ふへへ
「何ですか、その気味の悪い笑い方は……」
どうも、最終的にヒナ委員長と結ばれることが運命で決まっている天雨アコです
突然ですが目の前の男の様子がおかしいです………今〝お前の服装の方がおかしいだろ〟と思った人は出てきなさい、ゲヘナの墓標にその名を刻んで差し上げましょう
……話を戻しますが、どうおかしいのかと言うと────
…………
「………」
……ふへっ
「……またですか」
────そう、突然ニヘラと笑い始めるのです
なんですかそのだらしない表情は、見る人によってはドン引き案件ですので私以外には見せないでください
「……酒泉、お前どうしたんだ?」
「なんだかご機嫌ですね……?」
良いですよイオリ、チナツ、そのまま理由を聞き出してください
あとついでに黙らせてください
────えー?気になっちゃいますぅ?そんなに~?
どうしよっかな~?教えちゃおっかな~?
「うわっ、凄い腹立つ……」
「………」
本当にイラッとしますね……チナツですらちょっとピキってるじゃないですか
……しかしまあ、少々気にはなりますね
ただでさえ調子に乗りやすい彼がいつも以上にヘラヘラしてるなんて……
「えっと……それで、酒泉君はどうしてそんなに元気なんですか?」
チナツが若干引きながら質問してくれました
正直、今の彼とは自分から関わりたくなかったので大助かりです
まあ、どうせ大した理由ではないでしょうけど………このまま放置して業務に影響があっても困りますしね……
────なんとですねぇ……私、折川酒泉は!人生初の告白を受けましたっ!!!
ほら、大した理由じゃなかったでしょう?
「なんだ、告白かぁ……だったら早く言ってよ」
「そうですね、あそこまで勿体ぶらなくても……」
イオリとチナツも急に興味を無くした────かと思えば、突然目を見開いてバッと酒泉の方を見つめました
……?二人ともどうかしたんでしょうか?何か気になる事でも────
………待て、この男は今、なんと言った?
「……酒泉、貴方は先程〝告発された〟と仰りましたか?」
「……あっ、なんだ告発か!やっぱり私の聞き間違いだったんだ!」
「わ、私も聞き間違えてしまいました………それで、酒泉君は一体何をやってしまったのでしょうか?」
三人揃ってとんでもない聞き間違いしないでくれます!?告白ですよ!告白!
「……苦手な事でも出来るようになったんですか?」
それは克服!
「年末とかテレビでやってるよね」
紅白!
「その……あまり一人で思い悩まないでくださいね?私で良ければ相談に乗りますから……」
独白しようとしてる訳でもありません!なんですか!?そんなに俺がモテたという現実が信じられないんですか!?
もう!ハッキリ言いますよ!?俺が!正実の娘に!告白!されたんですよ!
あー……そうですか……告白ですか……
「「「告白ぅ!!?」」」
うおっ……うるさっ……
酒泉が耳を塞いで後ろに下がりますが、さっきまで大声で騒いでいた者にそのような反応はされたくありません
「告白って……だ、誰からですか!?」
だから正実の娘からですって……
「と、トリニティ!?ゲヘナの貴方がトリニティの生徒から!?」
なんか調印式襲撃の時に俺の援護のお陰で助かったらしくて………
「そ、それで……返事はどうしたんですか?」
えっと……俺が口を開く前に〝すぐにお返事を頂けなくても大丈夫ですので!〟って連絡先だけ渡されて走り去っていきました
「……そ、それで?酒泉はどうするの?」
うーん……とりあえず何度か会ってから決めようかなって……
相手の事を知らないと何も答えられませんし……
「いっ……いいの?ゲヘナとトリニティだぞ?今はある程度関係が落ち着いてるとはいえさ……」
別に学校間のゴタゴタは個人には関係ないですし……
「そ、そうだけどさ……」
……マズイ事になりましたね
私は別に誰が何て言おうと本当に酒泉のことなんてどうでもいいのですが、ヒナ委員長がこの事を知ってしまったら……!
「……酒泉、とりあえずこの話は一旦私が預かっておきます。私達以外の誰にも口外しないように」
は……はぁ!?なんで天雨さんに預けなきゃいけないんですか!?
「いいから!貴方は余計なことはせずに大人しく私の指示に従っていなさい!」
嫌ですぅー!誰と付き合うかは俺が自分で決めますぅー!
「我儘を言わないでください!これ以上話が広がると厄介なことに────」
「しゅ、酒泉……?付き合うって……どういう……こと……?」
「あっ」
あっ!空崎さん!聞いてくださいよ!俺、ついに女の子に─────
「イオリッッッ!チナツッッッ!」
「しゅ、酒泉君……ごめんなさい!」
────火宮さんっ!?ちょっ……口が……もがっ!?
「ごめん!酒泉!」
ヒデブッ!?
チナツに口を押えられ、イオリにスナイパーライフルで後頭部を勢いよく殴られた酒泉は気絶しました
あ、危なかった……ナイスですよ二人とも……!
さて、これで後は……!
「付き合う……?酒泉が……?誰と?私じゃ駄目だったの?ど……どうして……?なんで私に相談してくれなかったの……?酒泉が望むなら……わ、私……どんな自分にだって変わってみせるのに……性格も格好も酒泉の言う通りにするのに……!」
「お、落ち着いてください!ヒナ委員長!酒泉はただ、お友達の買い物に付き合うだけですから!」
「なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ────え?買い物?」
「そうです!何やら共通の趣味を持つお友達と特撮番組のグッズを買いに行くのだとか!」
「………本当に?嘘じゃない?」
「私がヒナ委員長に嘘をつくわけがありません!」
「………そうだよね……ごめんね皆、少し取り乱した」
せ、セーフ……ですよね……?
とりあえず目の前の火種は片付きましたが……結局は問題の先送りでしかありません
この問題を解決するには、この男自身の協力も必要に────
────そう考えながら気絶している酒泉を見ると、彼のポケットが光っているのが見えました
その直後、彼のポケットから振動音が聞こえると同時にスマホがポトリと落ちました
何とはなしに画面を覗いてみると────
突然のご連絡失礼しまsう!今日の放課後、お会いできないでしうか!?
────明らかに緊張しながら入力したであろうメッセージが送られていた
ちなみに通常モブはヴァルキューレ、ネームドモブの中だとデカルトさんが一番好きです