目が覚めたら、ウマ娘でブタさんだった。というか、調理済みっぽい? 名前が   作:小林司

11 / 24

お待たせしております。

月に一度くらいのペースで投稿していきたいと思ってます。


タグの通り、独自設定・独自解釈 盛りだくさんでお届けしております。



 生徒会役員のお仕事② ~携帯電話の使い方~  ……そんな仕事ありませんからね!

 

同室の彼女に叩き起こされる形で、目を覚ます。

 

「バックシーン」

 

しかし、その彼女は目覚まし時計を止めると、そのまま眠ってしまった。

 

今日は日曜日、学園が休みということに気づいたのだろう。

 

 

 

ともあれ、起きた以上仕事を始めよう。

 

真夜中に帰ってきたから、車の返却がまだだし、明日生徒会へ提出する書類も完成させないと……。

 

先に請求書を作ってしまおう。

 

えっと……。『チームスピカ』『池沢トレーナー』『ブタノカックーニ』っと。

 

支払先が違うから、書類もそれぞれ書かなければならない。

 

「バクシーン!」

 

ん? 声がした方を向くと、サクラバクシンオーさんが起き上がっていた。

 

「ややっ! クーニさん起きていらしたのですね!」

 

誰のせいだよ!

 

「おはようございます、サクラバクシンオーさん。あなたは何故? 今日は日曜日ですが」

 

「おはようございます! 実はですね! 今日私はレースに出るんでした!」

 

おいおい。

 

目覚ましセットしてた理由それか。

 

って、今日! 大丈夫なのか?

 

「時間、大丈夫なのですか?」

 

「学級委員長ですから! 遅刻などしません。時間通りです!」

 

遅刻はしなくても、寝坊はするんだな。既に寝坊、二度寝とも言う。

 

「因みに、何のレースに出られるんですか?」

 

「えっと……『スプリンターズステークス』です!」

 

スプリンターズ……えっ?

 

「それ、来月のレースですよ。中山レース場で開催されるやつ」

 

生徒会役員なので、一応直近に開催される重賞レースは把握するようにしている。

 

偶々それが来月開催されるものであることに気付き、彼女にそう告げた。

 

「…………?」

 

巨大な『?』マークを頭上に浮かべた彼女。自身の机にある卓上カレンダーを見て……、

 

「ちょあっ!」

 

なんか、ウルトラマンの擬音みたいな声を上げた。

 

お。尻尾がピンと伸びて上を向いた。

 

「間違えました……」

 

あれま。

 

レースで負けた時みたいな反応だ。脱力し肩も落ちきっている。そのまま、フラフラとベッドに腰掛けた。

 

「寝ます!」

 

そう言ってそのままベッドに横になった。三度寝ですか……。

 

さて。私は仕事を片付けてしまわないと。

 

 

 

 

請求書を2枚作成し終え*1、生徒会への報告書も完成させた。

 

前職*2で、沢山始末書*3を書いていたこともあり、こういうのは得意だ。

 

さて。書類と『世紀末覇王号』のキーを持ち、学園へ向かう。

 

起きてすぐ制服に着替えているので、腕章を着用してそのまま部屋を出る。

 

歩きながら、昨日道中で買って残っているパンを食べる。

 

行儀が悪いって? ニンジン咥えながら走る生徒がいるんだから、パンだって問題ないだろう。

 

 

あっという間に学園到着。

 

まずは生徒会室へ向かう。

 

生徒会へ提出する書類を置くためと、学園へ提出する請求書への押印のためだ。政府が廃止を推進していても、前職同様押印文化はそう簡単に廃れてくれない……。

 

 

 

 

生徒会室到着。

 

念のため、ノックしてからドアノブを回す……開かない。

 

誰も来ていない、ということだろう。鍵を開け、再びドアノブを回す。

 

「失礼します……」

 

施錠されていた訳だから、誰も居ないことは分かっている。それでも一応声を掛けて入室。

 

えっと……。自分の執務スペースへ行き、自身の印鑑を取り出す。

 

請求書にある印の欄。『申請者』には自分の名前が入った印鑑を、『生徒会承認』のところへ、出納長の印鑑を押す。

 

そして、明日提出の報告書を仕舞っておく。今日は必要ないからだ。

 

「さてと。理事長室へ行きますか……」

 

一人そう呟き、生徒会室を出ようとすると……。

 

「失礼します……」

 

ノックと共に扉が開いた。

 

「おや。クーニさんじゃないかい」

 

「ど、どうも……」

 

誰だろう?

 

癖っ毛ぽい銀髪*4に、麻呂眉。耳は私のより長い。

 

「えっと、ご用件は?」

 

「ちょっと、困ったことになってねぇ」

 

お婆ちゃんみたいな喋り方だな……。誰だ?

 

「メール打っているたいみんぐで電話が来たとき、どう出れば良いんじゃったかなぁ?」

 

……。

 

…………は?

 

 

 

 

 

 

彼女の問いに一瞬、呆れを通り越して怒りさえも覚えてしまったが、今時貴重なガラケーを差し出されては、何も言えなかった。

 

一度、私のスマホから彼女の携帯に電話をし、応答の方法を説明した。

 

彼女の電話番号は私のスマホに登録があり、『アキュートさん』というらしい。

 

「助かったよ。ありがとねぇ」

 

そう、お礼を言って生徒会室を出て行こうとする。

 

「ちょっと! アキュートさん、この為だけに生徒会室へ?」

 

「おや。忘れるところだったよ」

 

やはり。ちゃんと別の用件があるらしい。

 

「『チーム一覧表』と『けいやくしょ』を貰いたいんじゃが」

 

「一覧表と契約書ですね……」

 

『チーム一覧表』とは、チーム契約もしくは専属契約が決まっていないウマ娘が、どんなチームがあり、誰が所属しているかを確認するための冊子で、月に一度発行されている。

 

因みに、これはそこそこ立派な冊子で、外部の印刷所へ委託している。

 

何故知っているか? 印刷所とのやり取りが私の担当だからだ。

 

「はい。どうぞ」

 

希望の物を揃えて渡す。

 

「ありがとねぇ。それじゃあ、失礼するよ~」

 

今度こそ生徒会室を出て行く。その背中を見送った。

 

しかし、何故だろう? お婆ちゃんと話している気分だった。

 

 

 

 

 

 

「えっと……」

 

ついでなので、さっきアキュートさんに渡したのと同じ冊子を開く。

 

どれどれ……。

 

 

『チームスピカ』

ゴールドシップ・ダイワスカーレット・ウオッカ

 

 

……そうか。発行がスペシャルウィークさんの加入とサイレンススズカさんの移籍前なので、3人の名前しか載ってない。

 

 

『チームリギル』

シンボリルドルフ・エアグルーヴ・ナリタブライアン・ヒシアマゾン・マルゼンスキー・フジキセキ・テイエムオペラオー・タイキシャトル・グラスワンダー・サイレンススズカ

 

 

学園最強と名高いリギル。

 

私以外の生徒会役員三人や両寮の寮長も所属しているんだ……。

 

あ。サイレンススズカさんの名前、こっちにある。

 

 

『池沢トレーナーのチーム』

ステイゴールド・ドリームジャーニー・オルフェーヴル・スイープトウショウ・モチ

 

 

…………? 名前が無いのかなぁ?

 

他のチームは格好良い名前があるのに、彼女のチームだけ、名前が書かれている。

 

 

…………。

 

理事長室へ行こう。

 

生徒会室を施錠し、理事長室へと向かう。

 

私は副々会長との兼務で出納長を務めているが、当然、自由に金銭を扱えるか、と問われれば、答えはNOだ。

 

私が預かっている経費は月五千円。これで一ヶ月間生徒会の業務で使用する備品を買っている。

 

だから、今回のような遠征の費用は理事長室に行かないといけない(※理事長を通す必要はない)。

 

 

 

 

理事長室到着。

 

ノックをする。

 

「生徒会のブタノカックーニです」

 

名乗り、指示を待つ。

 

「お入りください」

 

返事が来た。とりあえず、理事長のものではない。

 

「失礼します」

 

許可を得たので入室。

 

「生徒会出納長、ブタノカックーニです。経費の精算をお願いします」

 

「畏まりました」

 

室内に居るのは一人。理事長秘書の秘書、及川(おいかわ) さつきさんだ。理事長(やよい)秘書(たづな)にはウマ娘説があるらしいが、彼女はれっきとした人間だ。

 

「今回は二枚あります。チームスピカと私です」

 

持参した請求書を差し出す。

 

「はい。確かにお預かりしました」

 

「それと、車の返却もお願いしたいのですが……」

 

「承知しました。えっと……お貸ししたのは、『流星の貴公子号』でしたっけ?」

 

は?

 

「あ、いいえ。『世紀末覇王号』です」

 

及川さんは壁のホワイトボードを見ている。

 

B0位の大きさのボードで、学園所有の車が一覧表になっている。

 

 

    不沈艦……

    貴公子……リギル

  覇王(※MT)……生徒会

     刺客……黒沼

フレンド (※バス)…

 

 

……見た感じだと、その『流星の貴公子号』は、チームリギルが借りているらしい。

 

学園所有の車は五台あるのか。何か、変な名前ばっかり……。

 

「失礼しました。クーニさんにお貸ししたのはそっちでしたね」

 

「はい。こちらが車のキーです。一応、レシートも持ってきていますけれど……」

 

「あ、そこまでしていただかなくても大丈夫です。口頭で報告いただければ……」

 

「分かりました。次回からはそうしますね」

 

さてと。

 

これで理事長室でやるべきことは終わった。

 

というより、今日学園へ来た用事は片付いた。

 

……帰ろう。

 

「それでは、私はこれにて失礼します」

 

「はい。また、何かありましたらお越しください」

 

 

 

*1
『池沢トレーナー』の分は、彼女たちがまだ阪神にいるので、帰路の旅費の分は後日領収書をもらう話になっている。つまり、未完成。

*2
人間だった頃の話

*3
自分が悪いわけではない。つまり、他人の尻拭い

*4
亜麻色あまいろ が正しい





『池沢トレーナー』の名前の由来は、チーム所属ウマ娘の、史実馬の 主戦騎手・管理調教師 の方々のお名前を基にしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。