目が覚めたら、ウマ娘でブタさんだった。というか、調理済みっぽい? 名前が   作:小林司

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お待たせしております。

前話も、私の思っていた以上に多くの方に反応いただけましたので、続きをお送りします。

『まあ、ゴルシだし』が全てを解決するんですね……。


なお、寮のお風呂についてですが、『各部屋』説と『共同浴場』説があるみたいですが、今作では前者を採用しております。


 7月29日追記、

少し、特殊タグ使って遊びました。反映されなかったらごめんなさい。



 とりあえず、着替えて学園へ。っていきなり誘拐ですか! というか、『ゴルシちゃんだから』で済まされても、自分にはさっぱり分からないんですが!

 

(恐らく隣の寮*1の)寮長、フジキセキさんに連絡を取って、自分の部屋の確認が取れた。

 

一度自室に入り、とりあえず着替えよう。

 

えっと……511号室。つまり、5階……。

 

えっと? この寮エレベーターは無いのか?

 

あっても荷物用だろう。ウマ娘の足なら、これくらいの階段大したこと無いだろうし。

 

そんな風に思いながら階段を昇って行く。

 

5階に到着。ほれ、全然息が上がっていない。

 

えっと、511号室……あった。

 

鍵を穴に差し、回す……開いた。

 

扉を開く。

 

おお。しっかりと見たわけではないものの、昨日目を覚ましたときに居た部屋で間違いないだろう。壁に貼ってあるポスターとか、見た通りだ。

 

机にあるノートを見れば名前が書いてあるはずだから、確認できる。

 

……って、なんじゃこれ!

 

自分の机には、大量の物が置かれている。

 

『元気になってください!』『無理はダメですよ!』『まずはゆっくりお休みください』

簡単なメッセージが添えられた、お菓子だったり栄養ドリンクに、……()()()()()()()()()()()()()()()

 

どうやら、見舞いの品らしい。

 

あ、手紙も。『ブタノカックーニくんへ』。差出人は……『アグネスタキオン』……誰?

 

一晩入院しただけでこれだけの見舞品が届くということは、この娘はとても慕われているんだな。

 

そんな娘に自分がなってしまって良かったのだろうか?

 

今のところ、憑依なのか転生なのか、分からないけれど……。追々分かってくるだろう。

 

*2

 

 

 

 

とりあえず、再び身の周りを確認しよう。

 

昨日は中身をしっかり確認できなかった財布を開く。

 

……。そうなりますよね(汗)。

 

取引先等の名刺は一切合切無くなっているのに、キャッシュカードやその他のカード類はそのまま、中にあるレシートは、見覚えのあるものだ。

 

現金は、病院代とタクシー代の支払いに幾らか使ってしまったが、こちらも見覚えのある額だった。

 

で、カードを取り出してみると全てこの子の名前(ブタノカックーニ)になっている……。

 

健康保険証もちゃんとこの子の名前(ブタノカックーニ)だ。記憶している限り、番号は自分のと同じなんだが……。

 

しかし、詳しいことは知らないんだけど、中央トレセン学園って東京にあるんだよね?

 

なのに、地元信用金庫のキャッシュカード……。これ、この近くに支店やATM無いよね? 後で返ってくるとはいえ、結構な額を使ってしまった。資金調達が出来るかどうか……。

 

あ、でもトレセン学園で生活するならお金要らないのか? 寮があるなら、一日三食困らないのだろうか……? 謎。

 

おや。運転免許証が出てきた。って、運転出来るのか?

 

……出来るらしいな。ウマ娘って何歳から免許取れるんだ? 謎。

 

しかも、『普通』『普自二※小型二輪AT限定』免許だ。名前は『ブタノカックーニ』になっていて、写真もこの顔。

 

謎が多すぎる……。

 

自分、小型二輪免許は持ってなかったぞ?

 

 

 

 

 

昨日開けなかった引き出しも含め、机の中を全て確認したが、この事象に関する手がかりは見付からなかった。

 

この部屋は調べ尽くした(※サクラバクシンオーさんの側を除く)。学園に行ってみよう。

 

行く以上、制服を着なければならないはずだ。制服は何処に……。クローゼットを開く。

 

……ですよね。はい、分かってます。分かってましたよ。

 

下はスカートですよね……。

 

……ん?

 

…………ん~!

 

ヤバい。今の自分、臭ってる。

 

このまま外出するのは流石にダメだろう。自分が良くてもこの娘の評判を落としかねない。

 

まずはシャワーだな。幸い、ユニットバスだけど、シャワーとトイレは各部屋にあるみたいだ。

 

……シャワーだ。

 

 

 

 

 

嫌々ながらもスカート(制服)を着用し、自室を出る。

 

施錠して廊下を進み、階段を降りて玄関へ。

 

下駄箱は名前が書いてあるから迷わない。

 

靴を履いて寮を出る。

 

えっと、学園はこっちか。

 

歩きながらシャワーを浴びていた時のことを思い出す。

 

確かに自分の身体は男ではなく女に、更に言えば人間ではなくウマ娘になっていた。

 

身体は大して人間の女性と変わらないけれど、やはり人の耳が無く、ウマの耳になっているのと、尻尾の存在……。人間ではなくウマ娘だ、ということを実感するしかなかった。

 

胸は……まあ、そこそこでした……。

 

 

 

 

 

 

校門をくぐり、敷地内へ。

 

……ん?

 

歩いていくと右手に看板を発見。

 

『チームスピカ 入部しない奴はゲートに埋めるぞ』

 

なんだこれ? 犬神家か?

 

三人、畑らしき所に突き刺さっていて、足だけ見えている状態の絵が書かれた看板だ。

 

そもそもチームとは……?

 

その辺のことはよく分からない。

 

図書館辺りに行けば、全て解決するだろうか……?

 

じゃあ図書館に……というわけにもいかない。何故か?

 

場所が分からないんだよね……。

 

何処かに見取図か案内図があれば良いんだけど、そんなものは無さそう。

 

しかも、下駄箱の場所さえ分からないから、事実上校内へ入るのも無理。

 

学園に来てみたものの、どうにもならないなぁ……。

 

 

 

そう思っていた時だった。

 

「えっ? 誰?」

 

気配を感じ振り向くと、目の前に一人のウマ娘が立っている。

 

マスクにサングラス。変装? 不審者?

 

あ、トレセン学園の制服だ。ということは、不審者ではないのかな?

 

すらっと背が高く、自分よりも大きい胸。ナイスプロポーションとはこの事だろう。

 

白というか銀色のロングヘアーに、頭にはヘッドホンのようなもの……でも、その位置に耳無いんだよね? ウマ娘なら。

 

「何かご用ですか……」

 

そう尋ねるも無言。

 

「って、え~?」

 

いきなり頭陀袋(ずたぶくろ)のようなものを頭から被せてきたんですけど!? 誘拐ですか! 目の前真っ暗。

 

これ、どうするべき?

 

「うわっ!」

 

(かつ)がれた!

 

「えっほ、えっほ、えっほ」

 

掛け声と共に何処(どこ)かへ運ばれて行く……。

 

ど、どうしましょう?

 

だ、誰かタスケテ……。

 

 

 

 

 

 

 

どれくらい運ばれたのだろう?

 

扉を開け放つ音がし、その後椅子に座らされたらしい感触。

 

そして、袋が外される。

 

急に明るくなって目が開けない。

 

ゆっくり(まぶた)を開くと……。

 

「よっ! ()()()。元気そうで良かった」

 

さっきのウマ娘が立っている。マスクとサングラスは外していた。

 

「えっと……はい。元気ですよ。久し振り……」

 

この娘とも面識があるのか……?

 

昨日、朝起こしてくれた『サクラバクシンオー』さんに、部屋に駆け込んできて救急車を呼んだ()()、そして目の前の彼女。

 

自分がウマ娘になってから会う、三人目のウマ娘だが、じっくりと見るのは初めてだ(自分のことはよく見れないから)。

 

なんというか、感動……。

 

二次元の存在でしかなかったウマ娘が、目の前に居る……。

 

「どした?」

 

黙って眺めていたからか、不思議そうな目で見られた。

 

「あ。いや、何でも……。ところで、何か用ですか? 会う約束してたっけ?」

 

って、今自分誘拐されて来たじゃんか! 約束してたらそんな事するか?

 

「してねえよ?」

 

「はい?」

 

真顔でそう言われる。

 

この娘何なの?

 

「なーんてな。無理に繕う必要ねぇぜ」

 

真顔が崩れ、にやけた表情になった。

 

「は?」

 

どういうこと? こっち、笑ってる余裕ありませんが。

 

おっと、再び真顔に。この娘、真面目な話をしつつも自分の緊張をほぐそうとしてくれてる?

 

「アンタ、中身はクーニじゃないんだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えっ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え~!

 

 

 

ど、どういうこと? この娘、自分が今おかれている状況、分かってるってこと?

 

えっと、それはどういう意味でしょうか……?

 

ダメだ、緊張で声裏返った……。ゾンビみたいな干からびた声が出てしまった。

 

「あたしも詳しいことはわかんねーけどよ。とりあえず、『アンタ(中身)はクーニではない』ってことと『他の記憶を持った、(クーニとは)別人』ってことだけは分かってるぜ」

 

おお。まさに今、自分が置かれている状況……。しかし、

 

「何故、それを知ってるんですか?」

 

「ゴルシちゃんだから*3

 

……。

 

…………?

 

はい?

 

理由、というか説明になってないんだけど?*4

 

「申し遅れたな、あたしは『ゴールドシップ』。この部室で活動している『チームスピカ』の一員だ」

 

「スピカ……あ、あの変な看板!」

 

犬神家!

 

「ところでよぉ。アンタはこれからどうしていくわけ?」

 

あれ、話逸らされた。

 

って、今の状況では好都合。相談に乗ってくれるのかもしれない。

 

「えっと……。こうなってしまった以上、()()()()()()()()さんとして生きていくしかありません。よね……?」

 

原因が分からなければ、元に戻る方法も分からない訳だし。

 

「ま。そういうことになるよな」

 

おお。理解が早い。

 

ならば……!

 

「だから、ゴールドシップさんが知っている、この娘ブタノカックーニさんの事を、教えてもらえますか?」

 

「良いぜ」

 

お、あっさり了承してもらえた。

 

「可能なら、この世界のことも……」

 

「おう! あ、今度何か奢ってくれよ」

 

何でも奢りますとも!

 

 

あ、お金。……ATMの場所とか、地理も聞いておこうか……。

 

 

 

 

*1
栗東寮

*2
なお、この時点で彼女はタキオンからの手紙を開けていません

*3
ゴルシちゃん保護法第十三条、如何に不思議なことがあっても、深く追求してはならない。

第二項、ゴルシだし が全てを解決する。

*4
彼女(彼)は、ゴルシちゃん保護法を知らないので、ここは大目に見てやって欲しいです。

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