目が覚めたら、ウマ娘でブタさんだった。というか、調理済みっぽい? 名前が   作:小林司

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謎多きウマ娘、クーニ……。


前話の あとがき にてお話しした通り、『連載』に切り替えて書いていこうと思います。




 生徒会役員のお仕事① ~落とし物~

 

生徒会室を出る。

 

ルドルフ会長とグルーヴ副会長はこれからトレーニングらしく、一足先に行ってしまった。

 

つまり、私一人残されていたのだ。

 

施錠を任されているので、鍵を閉める。

 

制服を着たとき、スカートのポケットに寮の部屋のとは異なる鍵が入っていて不思議に思ったが、ここの鍵だった。

 

さてと。今日はもうやることが無いので、寮へ帰ろう。寮長や同室のサクラバクシンオーさんにも謝らないとね。

 

「って、だ、誰?」

 

施錠して帰ろうと後ろを向くと、真後ろに誰か立っていた。

 

「あ、えっとね……」

 

頭一つ分くらい低く、危うく気付かずに接触するところだった。この娘は、……ライスシャワーさんか。

 

「落とし物を拾ったから、届けに来たの……」

 

ああ。学園内での拾得物管理も生徒会の仕事だっけ。

 

「拾得物ですね。……えっと、何処で何を拾ったのですか?」

 

「高等部昇降口の玄関のところで……。落ちてたのはこれ」

 

そう言って差し出されたのは……封筒?

 

トレセン学園の印字がされている茶封筒だ。封は閉じられていない。

 

中身は……書類?

 

『チーム結成申請書』と書かれた書類が入っている。しかし、誰の物か分かりそうな手がかりは無いなぁ……。

 

「分かりました。ではこの拾得物は生徒会で預かりますね。えっと、念のため貴方の名前を教えてもらえますか?」

 

「えっと、私はライスシャワーといいましゅっ! あうぅ~」

 

噛んだ……。

 

()()()、ライスシャワーさんですね……」

 

「ええっ! 知ってるの? ライスのこと!」

 

驚かれたんだけど?

 

ゴールドシップさんとの特訓(?)で、ほぼ全ての生徒の顔と名前を一致させるのを目指した。

 

勿論、全生徒を覚えるのは無理だったけど、特徴的な娘は覚えられた。彼女もその一人。

 

「生徒会役員だもの。それくらいのことは存じていますよ、ライスさん。そうだ、今度オススメの本あったら教えてくださいね」

 

しまった。彼女が私の事を知らないというのなら、流石に言いすぎただろうか……?

 

「あ、ありがとうございます……。えっと……お、お姉さま!」

 

お姉さま?

 

今度はこっちが驚く番だよ。

 

当然といえばそうだけど、ゴールドシップさんも(クーニ)の交友関係を全て把握している訳ではないので、その辺は謎が多い。私とライスさんはどういう関係なんだろう……?

 

「拾得物の件はありがとうございます。それじゃあ」

 

「あ、はい。では、ライスはこれで失礼するね……。また今度!」

 

心なしか嬉しそうな足取りで歩いて行く彼女を見送った。

 

 

 

 

 

 

さてと。施錠してしまったが、再び入室する。

 

えっと……。

 

グルーヴ副会長から室内の説明を受けているので、拾得物の保管場所(段ボール)とその台帳があるところへ向かう。

 

「あった」

 

箱と台帳を発見。棚から引っ張り出す。

 

『場所:高等部昇降口 品物:封筒・チーム結成申請書一式』

 

必要事項を記入し、箱へ入れる……って、拾得物多いな! 頭陀袋(ずたぶくろ)? これ、ゴールドシップさんのじゃないのか? 水族館のチケット……これ期限切れてる。いつまで保管するのさ……。

 

私の仕事なんだから、今度整理しようか……。

 

箱をもとあった棚へ片付ける。

 

「さてと。今度こそ帰ろう……」

 

 コンコン

 

え……。

 

扉がノックされる音だ。

 

「どうぞ」

 

居留守を使うわけにもいくまい。返事をする。

 

「失礼する」

 

すると、扉が開いてウマ娘が一人入室してきた。

 

すらっと背が高く、赤縁アンダーリムの眼鏡、ウェーブがかかっているというか、癖毛なのか。銀色のふわふわ頭。

 

彼女は確か……。

 

というよりも、元(?)男の(さが)、どうしても目が行ってしまう

 

「胸でかっ……」

 

頭にも負けぬ大きさの胸。

 

「だ、誰の頭がでかいって!」

 

やべ、声が出ていたらしく、怒られてしまった。…………ん? 頭?

 

「頭とは一言も言っていませんよ。胸が大きいな……って思っただけです。ともあれ失礼しました」

 

「そ、そうか……。なら良いんだ……。悪かった」

 

良いのかよ! 思わず心の中で突っ込んでしまった。

 

「えっと、どの様なご用件ですか? ビワハヤヒデさん……?」

 

「……? ()()()()で構わないよクーニ。それで、用件なのだが……」

 

一瞬、頭に『?』が見えた気がしたが、話を始めてくれた。

 

 

 

 

 

 

「届いていませんね……。昨日、でしたよね?」

 

「ああ。やはり来ていないか……」

 

ハヤヒデさんの用件は、彼女のトレーナーがトレーナーバッジを紛失してしまったらしく、拾得物として届いていないか、というものだった。

 

拾得物管理台帳を繰ってみるが、それらしいものは見当たらない。

 

「しかしまあ、とんでもないものを無くしますね……」

 

私たちウマ娘は制服を着ていれば一目瞭然だが、トレーナーはバッジが無いと身分を証明できない。学園内では部外者・不審者と見分けがつかないのだ。

 

「いや、不注意とはいえ事故だったんだ。担当の一人が体調不良を隠して走っていて、それに気づいたトレーナーが半ば無理矢理担いで保健室に連れていって……。その前にはあったのだが、保健室に着いたときには無くなっていたそうだ」

 

なるほどねぇ。その道中を探せば……無かったからここに来たのだろう。

 

「昨日届いた拾得物だと、『○○青果店バナナ引換券』に『バナナ一箱』。あとは『赤色のリボン』と『現金1万円』だけですね……。あ、『栗東寮の部屋鍵(部屋番号不明)』もありますが、バッジはありませんね」

 

バナナが絡むのが多いな……って、ハヤヒデさん目の色が変わった。

 

「バナナ……」

 

「あ、念のため言っておきますが、占有離脱物横領は、生徒会として見過ごせませんよ?」

 

「な! わ、私が落とし物のバナナを盗むとでも思ったのか!」

 

バナナ、とは一言も言ってないんだが?

 

「思うわけ無いでしょう。貴女と私の仲ですよ? 冗談に決まってるじゃないですか」

 

「そ、そうだな……。失礼した」

 

ちょっとからかってみたが、大成功だ。

 

どうやら、ハヤヒデさんとはこういった冗談をも言い合う仲らしい。

 

 

さておき、バッジだな。

 

「うーん。届いてませんし、道中探して見付からなかったのなら、その『担いで保健室に連れていった子』の服、ポケットとかに紛れ込んでませんかね……?」

 

慌てて連れていったのなら、何らかの拍子に外れた可能性が高い。しかし、地面に落ちなかったとすれば、何処に落ちたか……。

 

おお。こう言ったらハヤヒデさんが はっ となった。

 

「それには気付かなかった。その可能性もあるな。失礼」

 

スマホを取り出し、操作を始めた。

 

「……私だ。トレーナー君のバッジの件だが、君の制服を調べてもらえないだろうか?」

 

誰かに電話しているらしい。

 

「ああ。生徒会室に来ているんだが、届いていなくてね。クーニがもしかしたらと言うものだから。……そうか! それは良かった。分かった、宜しく頼むよ」

 

電話を仕舞った。聞いた限り……、

 

「クーニ、見付かった。君のお陰だよ」

 

やはり。

 

「君の読み通り、制服の胸ポケットに入っていたそうだ」

 

なるほど。

 

トレーナーがその子をどうやって連れて行ったか不明だが、その際に入ってしまったのだろう。

 

いくら担当トレーナーでも、胸ポケットは触りにくい場所だし、地面に落としたと思い込んでいればわざわざ探さないだろうから。

 

「ありがとうクーニ、流石だったよ。君の視点にはいつも驚かされる」

 

いつも? 彼女とはどういう関係なのだろう?

 

さっきの冗談の件といい、益々気になる。

 

「いえ。私はただ単に思ったことを言ったまでです。たまたまですよ」

 

「そんなことはない。過剰なまでの謙遜は嫌味と同じだと言うだろう? やはり、私の勝利の方程式完成には、君の力が必要だな……。まあ、何度も断られているからな、無理強いはしないよ」

 

うーむ。私はハヤヒデさんの所属するチームに勧誘されているのだろうか?

 

「それではこれで失礼する。また頼むよ」

 

そう言って生徒会室を出て行った。

 

 

 

 

ん? トレーニング中にって言っていたよな……?

 

なぜ、バッジは制服の胸ポケットから出てきたんだ?

 

制服のままトレーニングしていたとか? よく分からない……。

 

 

 

 

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