目が覚めたら、ウマ娘でブタさんだった。というか、調理済みっぽい? 名前が   作:小林司

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【10/31 追記】

一部、経過日数を変更しました。

主人公がクーニになってからの期間
 一週間→二週間



 チームスピカへの呼び出し。しかしまあ、頭陀袋はデフォルトですか? それで、用件は何ですか?

 

「あのですね。皆さん、まともに私を呼び出すって考えは無かったんですか?」

 

私はそう言って、今日一番の大きな溜め息をつく。

 

 

 

私がこの姿(クーニ)になって、早いもので二週間が経った。

 

あのあと、理事長にも話をし、『そういうことならば、他科への転籍も検討しよう!』と、私の考えを前向きに受け止めてもらえた。どうやら、トレセン学園には『レースに出走する』ための学科だけでなく、普通に高等学校を卒業するための学科もあるらしい。

 

ウマ娘が通常の高校に入学すると、やはり体育でずば抜けた成績を残すため、それを良しとしない学校もあり、それに悩むウマ娘も多いのだとか。

 

だから、学費の高さはネックではあるものの、高校卒業の資格を得るために入学するウマ娘もいる、とのことだった。

 

それでも、ウマ娘の本能『走りたい!』に逆らえる者は少なく、生徒はほぼ全員『レースに出走する』学科に在籍しており、『高校卒業の資格を取る』学科は、知名度が桁違いに低く、存在自体があまり知られていないらしい。

 

 

 

しかし、理事長のあの扇子、『驚愕』『提案』『検討』とか、色々書いてあるんだな……。途中で持ち替えていた記憶はないけれど、書かれている文字が勝手に変化するわけがないから、幾つも持っているんだろう。

 

 

 

えっ? 冒頭のセリフは何だったのかって?

 

何があったか、簡単に言うならば、放課後生徒会の業務を終え、帰寮するために歩いていたら、いつぞやみたく頭陀袋で誘拐されたのだ。

 

しかも、今回は人数が多かった。

 

看板を過ぎた辺りで、グラサンとマスクで変装した三人組に遭遇。

 

ゴールドシップさんは、前にここで同じ姿で会っているから一目瞭然、変装の意味無し。

 

後の二人は誰だ……と思っていたら、

 

『スカーレット、ウオッカ。やっておしまい!』

 

だって。

 

その台詞(せりふ)何時(いつ)のアニメですかね? ゴールドシップさんよぉ。

 

名前言ったら変装の意味無いじゃんね? 分かっててわざとやってますよね?

 

 

 

そんなわけで、現在チームスピカの部室に居ります。

 

「悪いなクーニ。トレーナーの指示だ」

 

「トレーナー?」

 

主犯のゴールドシップさんがそう言ったので、室内を見渡す。

 

ゴールドシップさん、ダイワスカーレットさんにウオッカさん。そして、サイレンススズカさんと、スペシャルウィークさん。ウマ娘は以上。

 

加えて男性が1人。

 

「よっ! 俺はチームスピカのトレーナーだ」

 

確かに。トレーナーがいる。

 

「せ、生徒会役員のブタノカックーニです。……宜しくお願いします」

 

自己紹介されたので、おっかなびっくり此方も自己紹介。

 

えっ? だって、一瞬ヤンキーっぽく見えたんだよ? 髪形が何となくそんな感じだし、何か咥えているし。

 

タバコ……にしては細いな。棒つきの飴かな?

 

トレーナーバッジが無ければ、ゴールドシップさん辺りに『部外者だぜ』って言われたら信じてしまいそう……。

 

「トレーナーさん、私は何故ここに呼ばれたんですか?」

 

「その事なんだが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら、今週末阪神レース場でスペシャルウィークさんのデビュー戦があるらしい。

 

阪神レース場へは車で向かうわけだが、トレーナーの車(個人所有)には最大で5人乗れる。

 

しかし、チームスピカはウマ娘5人とトレーナー1人の計6人。つまり、その車では定員オーバーだ。

 

その旨を理事長に相談したところ、別の車(学園所有)を手配してくれることになったのだが、相談するのが遅かったが故に、全員乗れる車が間に合わず、4人乗りの軽自動車(学園所有)が回されることになった。

 

トレーナーの車と借りる軽自動車に分乗して向かうわけだが、運転手が足りない。

 

「と、いうわけでドライバーを探していたって訳だ。生徒会に相談に行ってもらったんだが、マルゼンスキーを紹介されそうになったらしく、全力で断ったそうだ……」

 

トレーナー、半分笑っている。

 

その、マルゼンスキーさん(?)の運転は相当なものなんだろうか?

 

そもそも誰だ?

 

「つまり、私にドライバーを手配して欲しい、という訳ですね」

 

といっても、私に紹介できそうな知り合いは居ないぞ? まあ、生徒会の仕事だし断れないから……。

 

「あん? 探す必要ないだろ?」

 

「へ?」

 

思想中に急に降り注いだ言葉に、思考停止。今なんて言ったの?

 

「俺はお前にお願いしてるんだぞ」

 

ああ。そういうことでしたか……。なるほどねぇ。

 

「トレーナーさん。説明不足ですよね? さっきの話、まだ続いているんじゃないんですか?」

 

話がイマイチ読めない。つまり、続きがあるんだろう。

「あ……、言い忘れてたんですけど……」

 

ウオッカさんが口を開く。物凄く申し訳なさそうに。

 

「生徒会室に行ったら、最初にマルゼンスキー先輩を紹介されたんですが、スカーレットが前に一度乗せて貰ったことがあるんですが、相当な運転で酔ったらしいんッスね」

 

その時を思い出したのか、ダイワスカーレットさんの顔が青ざめる。

 

酔う運転か。それで府中から阪神まで行くのは拷問だな……。

 

「それで断ったら、今度はクーニ先輩を頼るように言われました」

 

なるほど。生徒会が私を紹介したのか。

 

「そういうことですね。承知しました。今週末、阪神まで運転しろと」

 

「頼むぜ、クーニ」

 

「「「宜しくお願いします!」」」

 

まあ、頼まれた以上、頑張ろう。

 

「えっと……よろしくお願いしますね。先日はありがとうございました」

 

「あ、スペシャルウィークさん。こちらこそ」

 

彼女は先日来たばかりの編入生だ。編入手続きに生徒会室を訪ねてきたときに、私が応対した。

 

「月並みのことしか言えませんが、デビュー戦頑張ってください」

 

「はい……」

 

緊張しているようだ。まあ、仕方無いだろう。

 

 

 

それはさておき。

 

「ちょっと失礼しますね……」

 

断りを入れ、スマホを取り出す。

 

アドレス帳……ルドルフ会長……。

 

『クーニ。どうしたのかな?』

 

出た。

 

「会長、今お電話宜しいでしょうか?」

 

最低限のビジネスマナー。相手が今電話対応できる状態か確認する。

 

まあ、駄目と言われても無理矢理押し通すけどさ!

 

『構わないよ。何の用件かな?』

 

「惚けないで頂けますか? 会長、私に言うべき事がありますよね!」

 

『はて? 会計報告書は期限厳守で提出してくれたはずだが? 不備でもあったのか……』

 

「違~う! チームスピカの件ですよ。言うことありますよね! 私に」

 

『ああ。彼方からアプローチが有ったのか。宜しく頼むよ』

 

「事後報告ですか……。こんちくしょう」

 

『まだ終わってないと思うが?』

 

「そういう意味で言った訳じゃないです」

 

『なに、そんなに大変ではないだろう? 阪神レース場だ、近いじゃないか』

 

府中から阪神が近いだと? 車で6時間以上掛かるのに?

 

「そんなことを言われても、半信半疑ですけどね。会長」

 

『半信半疑……まさか!』

 

気付いたか。

 

()()が近いなんて()()半疑。

 

『ハハハ……。君と話していると退屈しないなぁ。流石だよ。これからも宜しく頼むよ、副々会長』

 

「そう言って頂けるのなら光栄です。この件は了解しました……」

 

はあ……。再び溜め息。

 

『あ。あと、これは余談だが、学園所有の車には理事長がそれぞれ愛称を付けていてね。君に貸される車は 世紀末覇王号 らしい。まあ、癖のある車らしいが気を付けて』

 

ん?

 

私、無事に帰ってこれるだろうか?

 

『そうそう。一つ言い忘れていたよ』

 

電話を切ろうと思ったら、会長は話を続けた。まだ、何かあるのか……。

 

『スペシャルウィークのデビュー戦翌日に、阪神でレースに出る子がいてね。トレーナーと一緒に君の車に乗ってもらうから、宜しく』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………えっ?

 

 

 





少し走り気味で投稿しました。ストックが尽きたので、少し間隔が開きます。ご了承ください。

車に同乗するウマ娘は誰でしょう……?


スペシャルウィーク号のデビュー戦(1997年11/29 阪神7R)について、少し調べてみたところ、同日他レースにウマ娘に登場している馬が出走しておらず、どうしようか……と迷っていたら、翌日のレースに1人(1頭)居ることが分かったため、その子を登場させます。
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