目が覚めたら、ウマ娘でブタさんだった。というか、調理済みっぽい? 名前が 作:小林司
お待たせいたしました。
本来、今朝投稿する予定でしたが、私のミスで他の作品へ投稿されてしまいました。申し訳ありません。
遅くなりましたが、最新話をお送りします。
翌朝。
今日はいよいよスペシャルウィークさんのデビュー戦だ。
彼女のレースは今日の第7レースなので、出走は昼過ぎ。スピカメンバーは、緊張でガチガチの彼女を、励ましたり、アドバイスしたり、緊張を解そうとしたり……朝から忙しい。
幸い、昨晩寝れなかったということは無かったようだ。
今日がフリーのステイゴールドさんと池沢トレーナーは、ある場所へ同行するよう、(半ば無理矢理)私に求めてきた。
地味に交通費が掛かるので、学園負担にさせたいのだろう。全く……。
因みに、何処かは聞いていない。
阪神レース場は『
その駅から阪急電車に乗り、JRへ乗り継ぎ、京阪電車に乗り換えた。
「あと30分ぐらいで着きます」
池沢トレーナーがそう言いながら座席に腰掛ける。ロングシートなので、隣へ座った。
ステイゴールドさんは反対側の隣へ。
しかし、ここまでわりと時間が掛かったな……。あと30分と言ったが、既に30分くらい経っている。
私は預かった領収書を無くさないようにしまっておく。
「トレーナー。何処に向かっているんですか?」
「それは着いてからのお楽しみです」
えっと、どれが誰の領収書か分かるように……。
えっと、『スピカ』『池沢トレ』『生徒会』……。分けてしまわないと。
そんなわけだから、ここまでの切符を買うのも一苦労だった。
領収書が必要なので、Suica等のICカードは使えないし、支払い先が違うので三人分まとめて切符を購入することも出来ず、色々と面倒だった。
「そういえば、クーニさん」
ん? 池沢トレーナーからだ。
「昨日、男湯に入ってたって本当ですか?」
「ふえっ!」
急に話を振られ、しかもその内容に変な声が出てしまった……。
「えっ? トレーナー、それどういう話ですか!」
ちょっと、ステイゴールドさんそこに喰い付かないで!
「そ、その話は多少盛られています!」
「と、言いますと?」
やべぇ。どう話そうか……?
簡単に纏めると、『ホテルの部屋に着いたら、制服からジャージへ着替えた』『他の同室メンバーより後に、お風呂(浴場)へ向かった』『疲れていたのと、服装が制服ではなかったため、男性(人間)だった頃の感覚で、男湯の
脱衣中に気付き、慌てて男湯の更衣室を出ようとしたところ、スピカトレーナーと鉢合わせて驚かれ、暖簾を潜って出たところを、スペシャルウィークさんとゴルシさんに見られてしまったのだ……。
スペシャルウィークさんの、『何やってるのこの人?』と言いたげな表情と、ゴルシさんの『やっちまったなぁ~』という表情は、忘れようとしても忘れることは出来ないだろう……。
「えっと……。つ、疲れていたんですよ。あの車の運転と、生徒会へ提出する報告書作成で。それで、よく確認もせずに入っていったら、男湯でした……」
「なるほど……そんな訳でしたか」
誤魔化せた?
「間違えたことに何時気付きましたか?」
え、それ聞くの? どうするかなぁ。
『男湯と分かっていながら、間違えて入った』のを『男湯と気付かずに入ってしまった』って偽ったので、気付いたタイミング……理由も繕わないとなぁ……。
えっと、
「と、トイレが。あのホテル、浴場の入れ替えが無いから、男湯には男子トイレ、女湯には女子トイレしか無かったでしょう? だからです」
「あ、確かにそうですね」
「それで気づけたとは……。クーニさん流石です」
ふう~。ここも誤魔化せたようだ……。
こんなことになると色々と大変だ。今後気を付けよう。
「次ですよ」
ん?
今発車した駅は、岩清水八幡宮駅だ。
つまり、次の駅は……。淀?
駅に着き、電車を降り、改札を出て歩いて行くと。
「到着しました。京都レース場です」
いやいやいや。さも当たり前のように言わないでください。なんで、これから阪神レース場でレースがあるのに、別のレース場に来てるんですか?
「今日、ここレースありませんよね?」
「ええ。今日はありませんよ」
「じゃあ、何しに来たんですか?」
「散策」
「は?」
池沢トレーナー……。
「私は初めて来ましたが、お二人は?」
「ここでは4回走ってます」
「月頭の菊花賞に出たから、今月2回目ですね」
えっ?
「そんなに来ているのに、何故わざわざ?」
「いや、この娘自分のレースがある日だと、緊張してそんな余裕無いんですよ。だから、こうやってフリーの日に来るんです」
それもそうか。
って、明日レースなんじゃ? 前日にこんなことしてて良いのだろうか?
「この子、ここで初めて走った時、最終コーナーで曲がらずに逸走して、競争中止になったんですよ*1。原因が、極度の緊張が原因の腹痛。トイレに駆け込む事態になりました」
「あの時は本当に焦りましたよ。最初から緊張しっぱなしで、トイレの場所とかを把握せずに出走しましたから。急にお腹痛くなって……。もう走れない! ってコースから外れて……。トイレの場所も分からないから、最悪その辺で……って彷徨っていたら、トレーナーが気付いてくれて。事なきを得ました……」
それは大変だったんですね……。
というか、ステイゴールドさん、思ってたより
車に乗っていたときの印象だと、口数少なくて大人しそうな感じがしてたけど。
そうこう言いながら歩いていくと、二人が立ち止まった。
「着きましたよ」
そこにあるのは……石碑? 花やリンゴ、人参等が添えられているから、お墓だろうか。
「これは?」
ステイゴールドさんもこれが何か知らないらしい。
「このレース場で、レース中に故障が原因で亡くなった娘の記念碑です」*2
えっと……?
気になるのでスマホを取り出し検索。『京都レース場 記念碑』……あ、真っ先に出てきた。
「宝塚記念のレース中、第三コーナー手前で骨折、その勢いのまま転倒し全身強打。即死だったようです」
トレーナーがそう口にする。内容は今私が調べている通りだ。
「詳しいんですね」
「ええ。私がトレーナーになったとき、自分が担当するウマ娘が、このように事故を起こさぬように気を付けます、という決意表明で、ここへ来ました。なので、担当になった娘と一緒に来るようにしています。まあ、今回あなたと来るのは1年以上経ってしまいましたけど」
苦笑いしながら隣に立つ担当を見やる。
「トレーナー……」
ステイゴールドさんは泣いてはいないものの、目頭が赤くなっている。
「私、トレーナーのために、三……三冠ウマ娘にはなれなかったけど、たくさん走ってたくさん勝って、皆に愛されるウマ娘になります!」
「一緒に頑張りましょう」
「はい!」
ええ話や。
この歳(※元々の姿の)になると、こういう話は染みて涙脆くなってしまう……。
って、いい雰囲気ぶち壊してしまった……!
「それでは帰りましょうか」
「「はい」」
『お客様に御案内致します。送電トラブルのため、京阪本線全線で運転を見合わせております』
おい、まじか……。
なお、ステイゴールドはトレーナーにああ言っていますが、実際ステイゴールド号は、3勝してから28連敗しており、不思議な人気が出てファンには愛されていたようです。
ちょっとしんみりする真面目なお話をお送りしましたが、本作はタイトルからも分かる通り、笑えるギャク系のお話を目指していますので、このようなお話は控えめでいきます。