その白いもこもこしたものに一目惚れしました。特にあの口から放つビームが好きです。
前回と次回も含めて内容が繋がっております。
それではゆったりしていってね。
ちりんちりん。吾輩である。
今、吾輩は猫生で最も大変な状況に直面している。いや、先の空腹事件の方が吾輩にとっては大変な状況ではあったのだが。
周りを見渡せば、そこは人間の住処の中。朧気な記憶は、逐一家具の名や用途等を囁いてくるのである。しかし枕のそばに身が剥き出しになったとうもろこしがあるのだけは謎である。
うむ、聡明な者であればすでに気付いているであろう。そう……どうやら吾輩、誘拐されてしまったようである。
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まず順を追って状況を整理していこうと思う。
吾輩は海賊の女子から逃げ延び、公園で遊ぶ人間の子どもらの仲に混ぜてもらったのである。皆ではしゃぎ、親であろう者らからはなでなでとご飯を貰った故、最高の気分で昼寝と洒落こんだのであるな。いやはや、まことにあの幸福感はなんとも得難い至福のものであった。
で、目覚めて今に至るのである。おおう。まるで意味がわからんのである。
しかし人間の住処の中と言うことからして連れ去られたことはわかるのである。そして目に付く、枕元のとうもろこしや棚に置いてあるお茶。
おのれ下手人め! 眠りこけた吾輩を連れ去りこれらと一緒に喰うつもりであったな。しかしそうは問屋が卸さぬのだ。吾輩は目を覚ましたのであるからして、そう簡単には喰われぬのである!
まずは情報収集である。この住処を探索し逃げられそうな場所の目星をつけねば。本当はそのまま飛び出したいのだが、吾輩はきちんと謝罪をしてもらわねば気がすまぬ。しかし喧嘩はいかぬ。にゃあと言葉で説き伏せるのだ。吾輩の意気込みは強固なのである。ふんすふんす。
では出発なのである。思えば人間の住処なぞ初めて入ったのである。見物がてらにぼしか何かあればちょろまかしてやろう。慰謝料というやつである。
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うむ、参った。どうやらこの住処、窓は鍵が閉まっておるし玄関の扉も開かぬ。どうにか部屋を隔てる扉は騒がしくも跳躍で届いたものの、鍵はどうにもならなかったのである。自分の非力さが悔やまれる。
しかし吾輩はめげないのである。どうやら吾輩を攫った者は、吾輩以外にもねこを捕らえていたらしい。何やら不思議と涼しい部屋でくつろいでおったので、挨拶がてら声をかけたのである。
初対面であるからして遠くからにゃあと声をかけたのである。冷気が逃げるから扉を閉めろと怒られたのである。どういった流れでこの部屋が涼しいのかはわからぬが、言う通りにした方がよかろう。初めての接触は失敗となってしまった。
少しばかり警戒されておったのだが、これが中々話のわかるねこたちで、かりかりなるご飯を分けてもらったのである。それからは一緒に羽なるもので遊んだり、身を寄せあってお昼寝したりしたのだ。
そして夜である。
うむ、完全に目的を忘れておった。遅ればせながら、この場所に来た経緯と外に出たい旨を伝えたのであるが、どうやらこの家の主が帰ってこぬとどうにもならぬらしい。ねこの手で脱出するのはまず不可能に近いとも。
しかしだいぶ情報は仕入れることができたのだ。まずこの家は人の形をした狐の住処であるという。そしてこのねこたちは吾輩のように誘拐されたのではなく、飼われているとのことなのだ。道理でこの家の匂いが染み付いているわけである。
ねこたちの名も聞いたのである。''れお''と''あず''と言うらしい。字は片仮名を使うらしく、吾輩はねこである故に人の使う片仮名には縁遠いのであるが、頑張ってこれから使っていこうかと思っている。新たな知識への努力は吾輩まったく惜しまないのである。えっへん。
れお、レオ。あず、あず……アズ。うむ、うむ。この程度の短いものであれば、人の知識を僅かに持つ吾輩には造作もないのであるな! さすがは吾輩、やはりねこの中のねこであったか。
いやしかし、名前であるか。野良猫には不必要なものであった故に特に気にもしていなかったのであるが……うむ、その一個人を示す特別な呼び名か。なんだか吾輩も欲しくなってきたのである。この家の主に、吾輩を誘拐したお詫びとして名をつけてもらうのはどうであろうか。
いや待て。名前とはねこを飼う者が付けるものであることを吾輩は知っているのだ。それはつまり、吾輩が名を付けられてしまったらそのまま飼われてしまうということではないのか!? なんということだ、巧妙な罠である! 恐るべし狐よ。姿を現さずここまで吾輩を翻弄するとは!
不味い、ここは一時退却である。一匹になって頭を冷やさねばならぬ。ここは一つ、吾輩が目覚めた部屋に戻るとしよう。いや、涼しいこの部屋から出るゆえむしろ暑くなるのであるが、一人で考える時間が欲しいのである。
恩ねこたちに礼代わりの毛繕いをしてやり、にゃあと声をかけて出ていくのだ。後ろからにゃあと返事が聞こえたのがとても嬉しいので、ついつい尻尾が揺れてしまうのである。返事など、何時ぶりであろうか。
吾輩を攫った狐とやらは必ず吾輩を置いたあの部屋に戻ってくる。吾輩はどっしりと構え、下手人を迎えてやるとしよう。それにしても、下手人とはいったい何が下手な者なのであろうな。そろそろ、何となくで言葉を使うのはやめた方がよいやもしれぬ。恥をかきそうだ。
勢いよく跳躍し、扉の取手にぶら下がれば扉が動く。閉める時は身体で押してやればいいのだ。吾輩は何事もそのままにしない性分であるからして、細かいところまでしっかりやるのである。
さて、未だ敵地であることに変わりはない。お昼寝などしておる故、気が緩んでしまっていると言われればぐうの音も出ないのであるが。しっかりせねば今度こそ吾輩は食われてしまうやもしれぬ。いつでも逃げられるように手頃な場所は……むむ?
「……………………」
はて、吾輩が目覚めた時にこのような大きく白いものはあったであろうか。物は試しに触ってみるのである。うおお、吾輩に負けず劣らずのふわふわ加減。さらには弾力性も素晴らしく温かいとな……。
ふみふみ。ふみふみ。んべっ、んべっ。ごろごろごろ。んむう。
はっ!? わ、吾輩としたことが子ねこの如くふみふみしてしまったのである。吾輩は大人のねこであるからして、このような失態は末代までの恥である……いやしかし、この魔性の心地良さはなんであろう。ぬぐぐ、抗い難し。
よじよじ。よじよじ。うむ、上手く乗れたのである。この白いふわふわ……これが人間の言うかーぺっと? とやらであろうか。こんなにも素晴らしいものであるならば吾輩も欲しいのである。
うむぅ……先程お昼寝したばかりであるというのに、また眠気が襲ってきたのである。このかーぺっと、まことおそろしいのである……。
くぷぷ……すかぁ……。
「……こぉーん」
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ぐぅ。ぐぅ。ふごご……ぷくるるぅ。
「ただいま〜!」
「お邪魔しまーす」
むにゃ……んぅ……。
「ただいまぁレオ、アズゥ〜!」
「フブキ。先に荷物置いてこないと」
「おおそうだった。あ、でも部屋に拾ってきちゃった子いるんだよねぇ」
「あぁ、買い物の時に話してた猫ちゃん?」
「そうそう。公園で見かけたんだけど、呼吸が荒かったから白上が保護して病院で診てもらいまして〜。大事にはならなくて良かったよかった」
なぁご。ぷかぁ……ぷすすすす。
「ではではご対面〜。お? おやまぁ……!」
「あ、寝てる寝てる。へぇ〜、可愛い子だね」
「これは写真を撮る手が止まりませんなぁ……って、猫ちゃんの下にあるのって」
「こぉーーーん……」
「あ、フブラだ」
んむ……うるさい……のである……。もみもみ。はむはむ。
「可愛いぃ〜……! めっちゃ足でフブラ揉むじゃん……」
「フブキフブキ。そろそろ配信の準備しないと」
「あ、もう時間か。フブラ、猫ちゃん起こさないように別の部屋に運んであげて」
「こぉーーーん」
んみゃあ……なにやら……ゆれる……ふわふわ……である。
「こぉーーん」
にゃぁ……ん。
たくさんの投票ありがとうございます。アンケート票数は104票。
内訳は次の通りです。
・手は出さない方がいい 28票 約27%
・登場させてもいいかも 76票 約73%
よって『引退した方々を登場させる』ことになりました。
しかし、全体の三分の一は「出さない方がいい」であることを重く受け止めまして、やはりデリケートな件ですし、未だホロライブのリスナーとして若輩者である私の描写力の不足もありますので、下記の行動を取ります。
・引退した方の登場回には前書きに「登場させる旨」「作者の力量不足による描写の注意」を載せる。
・登場話は、他話との関連する繋がりは極力避け、猫との一対一の内容にする。
・気分を害された方からの連絡があった場合、それら全話を削除し活動報告にて謝罪を、その後は現在活動中のメンバーのみの話を展開していく。
こちらを見て、その上で読んでみたいという方だけその回をお読みください。目次のあらすじにもこれと同様のものを載せ、連絡用の活動報告へのリンク、Twitterのリンクを貼ります。そちらにコメントまたはDMをお願いします。