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ゆったりしていってね。
ちりんちりん。我輩である。
目が覚めてみれば見知らぬ部屋……いや、吾輩が探索した部屋の一つであるな。吾輩が寝た白いくっしょんがあった部屋とは別、移動しておる。もしやこの家の主が帰ってきて吾輩を移したのではないか。
うむ、それしかあるまい。しかし眠って隙だらけの吾輩を如何様にもできたはずであるのに何もせぬとは。ねこを飼うような狐だ、最初から吾輩を喰おうとは思っておらぬのやもしれぬ。
だがそれでは吾輩を誘拐した意図がわからぬ……いや待てよ? よもや吾輩をも飼おうという腹積もりではあるまいな。それは不味いのである。仮にそうなった場合、吾輩を待つのは去勢手術一択である!
どのみち吾輩に良いようには転がらぬではないか! やはりなんとかしてこの家から脱出せねばならぬ。
まずは家の主が居る場所を知らねば。幸いにも扉が少しだけ開いておる。きっと吾輩を連れてきた家の主が適当に閉め忘れてしまったのであろう。これは好都合。音を出さぬようそろりそろりと参ろう。
「あ゙ー猫が足゙り゙な゙い゙! キャットセラピーがほじい!!」
ふぎゃあ!? 隣の部屋の扉がどがごんっと音を立てながら開いたのである! おおう。次いで黒髪の女子が飛び出してきたのである。これはいかぬ、目が大変なことになっておるのである。きゃ、きゃっとせ? なんちゃらが何かはわからぬが、一度落ち着かせるべきであるな。
にゃあと声をかけ駆け寄ってみるのだ。うおお。凄まじい勢いで吾輩の方を向いたのである。ひえっ、掴まれたのである! はな、離すのである! 吾輩は喰っても美味しくないのである!
……む? 抱きしめられるだけで何もされぬ。いやそれよりもこの女子、震えてはおらぬか?
急なことでびっくりしたのである。本来であればそう簡単に身体を許しはしないのであるが……吾輩は大人であるからして震える者を突き放すことはせぬ。そら、誰にも言わぬであるからして、吾輩に何があったか吐き出してみるのである。ねこに二言は無い。
『猫は絶対的な正直さを持っている』
どこぞの有名な作家もそう讃えるほどであるからして、そこは安心するのである。頭にぽんっと前足を乗せてやり、目頭の涙を舐め、頬や耳の生えた髪を毛繕いしてやるのである。
……む、耳とな? 何やら最近はこういった者によく出会うであるな。あの紫髪の女子はねこに似た匂いがしていたが、この女子は匂いからしていぬに似ておる。面白きこと面白きこと、我輩のねこ生にも心躍る色が追加されていくのである。よきかな。
「ゔぅ……猫ちゃん……」
「ミオさーん!? ミオ……あ、ちょっ、みおーん!? その子拾ってきた子だから! せめてレオかアズに!?」
先程この女子が出てきた部屋から顔を覗かせる者がおる。ふむ、白い髪からこれまた獣の耳が……これは、狐であるな? なるほど、レオとあじゅ……アズらの言っていた家の主の狐とはこの者のことか。
つまり、吾輩を攫った憎きてきぐぅえっ!?
「いやだよぅ……この子すごく慰めてくれるし、いい匂いするぅ……ふへへ」
「えぇ……その猫ちゃんが大人しくしてくれるならいいんだけどってミオ!? 猫ちゃん絞めてるから緩めてあげて!」
「えっ!? あ、ウチやっちゃったごめん猫ちゃん! ごめんね」
けふっけほっ。危うく吾輩の命が露と消えるところであった。狐の女子よ、助かったのである。お礼の言葉としてにゃあと言ってやると、なんと狐の女子が返事を返してくれたのである。うむうむ、どうやらそこまで悪い奴ではないらしい。しかし吾輩を真似た鳴き声で返事をするのはいかぬ。
「ほら、みんな待たせてるから早く戻らないと!」
「フブキ……そうだね。あ゙ぁやりたくない……」
むむっ。吾輩を抱っこしたまま出てきた部屋に入っていくのである。おお、白いかーぺっとで吾輩が寝てしまった部屋であるな。二人は机に置いてある平たい箱のようなものの前に座ると、吾輩を膝の上に置いたのである。
そのままかちゃかちゃと何かを動かしながら喋り始めたのであるからして、仕事をしておるのであろう。邪魔をしてはならぬ、じっとしていてやるのである。
「いや! やめて!? うあぁあああ!!!」
びくびくびっっくぅ!???
「あははは! また、また初めからですミオさーん!」
な、なんであるかなんであるか!? 黒髪の女子……み、みお? ミオ! うむ、これだ。ミオが突然身体を震わせて大声を出したのである! 思わずびっくりして毛が逆立ってしまったのである。
そういえば久しくめんてなんす……いや、これも片仮名か。めん、メンテナンスをしていなかったのである。気づいた今のうちにやっておくのである。んべ、んべ。
「うわ゙あ猫ちゃ〜ん……」
おおう、やめるのである。毛繕い中にわしゃわしゃと撫でるのはやめるのである。ぐぬぬ、意外と気持ちいい故に強く言えぬ。ミオはてく……テクニシャンであったか。末恐ろしいのである。
「頑張れ! 猫ちゃんパワーで乗り切るんだミオ〜」
「ううぅ……罰ゲームだからってこんなのないよぉ……」
ミオよ、そう嘆くでない。会話から推測するに、恐らく罰ゲームとして難しいげーむでもしておるのだろう。む? これも片仮名か。ええいもう面倒だ。ともかく、げーむであれば必ず攻略法はあるのである。辛くなったら吾輩を愛でればよい。仕方なしに腹を差し出してやるのである。ほれほれ、撫でたまえ。
「お腹ふわふわぁ……」
「あらあらまあ、猫ちゃんにミオがデレッデレに。いっそのこと里親になってみる? 白上の家はレオとアズがいるからさすがに多いんだよ〜」
「ウチもタイガとたわちゃんがいるしなぁ。でも猫ちゃん可愛いぃ……ふにゃあ……」
「猫やんけ!」
「ウチ狼だよ!?」
うむ、どうやら持ち直したようであるな。やはりねこの中のねこである吾輩にかかれば、世にある落ち込む者は皆笑顔である。えへん。
おおう、それはいかぬ。腹に顔を付けて吸ってはならぬ。ぞわぞわとするのであるからしてあまり好かぬのだ。
「……よし! もう早くクリアしてケーキ食べよう!」
「おお! その意気だ〜頑張れー!」
頑張るのだミオよ〜。吾輩にはゲームがわからぬ故、にゃあ〜と応援だけしておくのである。
膝から下り、二人の後ろの方で腰を下ろすのである。膝に吾輩が居ては気が散るであろうし、ちょうど身体が痒かったゆえ。集中しているのか背が少し丸くなったミオを見ながら、後ろ足で首元をかくのである。ああ、夏の冷たい風も当たってことさらに気持ちいいのである。
む? いや、これはもしや……。
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「いった? いった! クリアぁああ!!」
「おおお、おめでとうミオー!」
歓声と拍手の音。うむ、うむ。見事くりあしたようであるな。奇声をあげたりしておったが、その根性は素晴らしいという他ない。吾輩が応援したかいがあったのである。
「それでは今日はこの辺りで終わりま〜す。おつコーン!」
「おつコーンみぉ〜ん!」
「おつコンみぉぉおん」
さてと、吾輩を攫ったであろうフブキのことも見れたことであるし、吾輩もそろそろお暇するとしよう。悪意をもって悪事を働いたわけではないようであるし、悪人でなければ吾輩は大抵の事は許すのである。
「ミオよくやりきった! えらい!」
「もうやりたくないよぉ〜。でもあの猫ちゃんが居たから鬼畜ゲーもなんとかなった感あるね……あれ?」
「どうした〜?」
「……猫ちゃんどこ行った?」
「え? さっきそこに……あ、居なくなってる。ええと……あ!?」
おっと、見つかったのである。吾輩が居るのは開けられた窓のすぐそば。網戸は硬く中々開かなかったが、げーむをくりあするまで時間はあったし、ミオの叫び声で音も消せた。後は隙間を潜り抜けて出るだけである。
「だ、ダメだよ猫ちゃ〜ん。こっち、こっち来よう」
「ほらほら、羽のおもちゃあるよ〜? ミオはゆっくり回り込んでいってくれぇ……」
「りょーかい……」
じりじりと吾輩へ近付いてくるミオとフブキ。しかし人間の言葉がわかる吾輩の前ではその作戦も筒抜けである。
それではさらばだ諸君! 機会があればまた会うのであるな!
「「ああああああああぁぁぁ!!!」」
しゅたたっと、駆けるのである。もうすっかり暗いのであるが、吾輩のねこの目には明るく見えるのである。
それにしても楽しいところであった。たまにはご飯をたかりに……いや、遊びに行ってもよいかもしれぬ。レオとアズもいるのであるし。
吾輩のお散歩こーすが増えて大満足である。
アンケート機能を多用して現状把握等々に情報収集と活用できればと。気が向けばぐらいの気安さでいいのでよろしくお願いします。