【悲報】皆がボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~   作:ペロりねった

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110.岩居家とは?

 

 

「ちょ、ちょっと陽笠(ひかさ)に確認してくる」

「そ、そうね」

 

 また、(あわ)ただしくサキちゃんが部屋を出ていく。

 

「陽笠さんとは?」

「ああ、業務(ぎょうむ)を取り仕切る家令よ」

 

 ──あ~、ここへ訪れた初日に会った(ひと)かな?

 

「心配しなくてもサザレさんに()きましたら、直命(ちょくめい)で引き受けたと言ってましたよ?」

「あら? そうなの。それじゃ確認するまでもなかったかしら?」

「と、思いますよ」

 

 岩居(いわい)家とは、五條(ごじょう)家より引き()いだ地下(じげ)家──まあ簡単に言うと身の回りの世話や雑務(ざつむ)請負(うけお)ってきた家系で、今の喜多村を支えている、らしい。

 

「もう差配(さはい)しておったわ!」

 

 ほどなくして、サキちゃんがドタドタ戻ってくるや開口一番、のたまう。

 

 後ろには執事(しつじ)(ぜん)とした陽笠さん? が従っている。さすが陽笠じゃ、って()めている。

 

 やっぱり、訪問当時に出迎えてくれた人だった。

 

「そのようで。キョウちゃんが聴いてましたよ?」

「なぜ、早く言わん?」

「だから、サザレさんに聴いた、って言いました」

「サザレが直命を受けた、って言ったそうですよ?」

 

「なぜそれを言わぬ?」

「聞きもせず出て行かれました」

「うっ! ま、まあ良い。キョウよサザレの言うことを良く聴いて、(とどこお)りなく終わらせるのじゃぞ?」

「もちろんです」

 

 まあ、気持ちはそうなんだけど、またむくむく悪戯(いたずら)心が(のぞ)かなければ……だけど。

 

 

「それでは、またあとでね?」

「しっかりやるのじゃぞ」

「はい。のちほど」

 

 ユキ様とサキちゃんは自室に戻っていく。

 

 

「ボク、タンポポちゃんのとこ行ってご飯食べるから~」

 

 (となり)の待機部屋をノック、護衛たちに声をかける。

 

「は~い。行ってらっしゃい」

「どうぞどうぞ」

 

 部屋を(のぞ)くと気更来(きさらぎ)さんは普通に待機、羽衣(はごろも)さん、歩鳥(ほとり)さん、斎木(さいき)さんはだらけてる。

 

「では、わたくしは随伴(ずいはん)いたします」

「わたくしも」

 

 (ささ)さん、打木(うちき)さんは付いてくるらしい。

 

「では、私も──」

「あ、いいからいいから。笹さん、打木さんにお願いするから」

 

 笹さんたちが付いて来るって言うと、羽衣さんが付いてくるって言い出してる。気更来さんは腰を浮かせてる。

 

「え~っ? 用無しですか?」

「うん、用無し。ご飯、食べてくるだけだから」

 

 二人いれば充分だから申し出を断わる。羽衣さん以下、斎木さんも付いてきたそうにしてるので断わっておく。

 

 断わっても笹・打木コンビは(かげ)のように付いてくるだろうから容認(ようにん)しとかないと。

 

 

「今度はエレベーターで行こう」

 

 館の西側階段の(そば)にあるエレベーターを使って二階に下りる。

 

 少し歩いて(やかた)の中ほどのタンポポちゃんの部屋に着く。

 

「タンポポちゃん、ご飯食べに来たよ」

「あ! キョウ、ご飯は部屋で食べるんじゃ?」

「部屋? ああ上の部屋ね。一緒に食べるって言ったからこっちで食べるよ?」

 

 みんなが()けてきて抱きついてくる。最高の幸せを感じて背すじがぞくぞくする。

 

「もうキョウとは会えないかもって思って」

「会えない……」

「ミヤビ様と結婚するんでしょ?」

「あ~、結婚って言っても秘密(ひみつ)の結婚? みたいなものだから別にどこにも行かないし、いつでも会えるよ?」

 

「そうなの?」って皆、(うたが)わしげ。

 

「もう新都に帰らない?」

「ずっといる」

「行っちゃダメ」

「ボクは、しばらく居る。けど新都に家があるしマキナお姉さんと結婚してるから、いつか向こうに帰るよ?」

 

「それはダメ」って言ってくるけど、こればっかりは仕方ないんだよ。

 

 抱き合って押し問答(もんどう)してたらメイドさんたちが食事を運んでくる。

 

 食事準備を邪魔(じゃま)しないようソファーに移って話し合う。でもやっぱり平行線で、ここに残れの大合唱。

 

 

「さあ、食べよう?」

「……うん」

「今度はアリサちゃんかな~?」

 

 食事が調(ととの)ったので席に着く。席順で()めるかと思ったけどすんなり決まる。今度は(ひざ)にアリサちゃんが座る。

 

 夕食は、ロングパスタとスープとサラダ。これじゃ夜中にお腹へりそう。

 

「〝はつとこ〟をやるのよね~?」

「ん、はつとこ」

「そ、そうらしい、ね?」

「なによ、人ごとみたいに。私たちも立ち会うから」

「えっ? それはムリなんじゃないかな?」

 

 って言うか見られたくない。

 

「妻のすべてを知るのは夫の義務(ぎむ)

「そうそう」

「ん、ギム」

 

「これでどうヤってるかが分かる」とか(つぶや)いてる。それは学校で習ってよ。マナちゃん、アリサちゃんも興味津々に見てくる。

 

「いや~それは……まだタンポポちゃんには早い、というか何というか……」

「もうどこにも資料がないのよ~」

 

 って、携帯端末で動画を見せてくる。そこにはマスクされた情事(じょうじ)の姿が映しだされてる。

 

「ダメよ、タンポポちゃん、こんなの()たら。こど──そんなのは高校に上がってから」

 

 高校でも観たらダメだと思うけど……。子供って言いかけて言葉を変える。

 

 知りたい知りたい病だね? 大人になった時の楽しみにしといてよ?

 

「え~? あと何年あるのよ、それ」

 

「八年」すれば成人するから、そう答える。実際は五年だけど。

 

「八年……って人生終わっちゃうわよ」

「いや、全然終わらないから。大人になってからが長いから」

「もう大人よ!」

「うんうん」

「おとな」

「そ、そうだね。大人だった、ね?」

 

 失言(しつげん)した。気をつけてたけどマズったね。なんてナイーブなお年頃なんだ。

 

「大人なら言い付けを守らないと、ね~?」

 

 サキちゃんが良いって言ったら観てもいいよ? って言ってみる。まさか子供に許可したりしないだろう……たぶん。でもちょっぴり、不安。

 

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