【悲報】皆がボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~   作:ペロりねった

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118.鬼君レイニ様

 

 

 その大きい車が目前で()まると横のドアが開き人影が現れる。やはり後方の前照灯(ヘッドライト)(まぶ)しさで分かりづらい。

 

 砲塔(ほうとう)とかないし車は戦車ではなかったけど。

 

 その後方からも人影が寄ってくる。真っ白なスーツ姿──ミヤビ様かな?

 

伶瓊(レイニ)よ、そこにおるのがキョウじゃ」

「そうですか……」

 

 人影は、やはりミヤビ様とその奥方だったよう。

 

 ミヤビ様は人並みの身長なんだけど、それにお似合いの身長だ。ただし、高下駄(たかげた)()いていなければ。

 

 それから(さっ)するにレイニ様はかなり低い。ボクと同じくらいかな~?

 

「そなたが、モールとやらで騒動(そうどう)を起こしたキョウかや?」

「……はい」

 

 う~ん、ちょっと違うけど肯定(こうてい)してる方がいいかな?

 

「なんと、男子(をのこ)がはしたない。その姿を衆目(しゅうもく)(さら)してはならぬ──」

 

 いきなり説教(せっきょう)が始まる。ずっと聴いてなきゃいけないのかな? しかも(ひざまず)いたまま、顔を()せて。

 

「そもそも──」

「レイニよ。そろそろ良いのではないか? 皆のもの楽にして良いぞ。こなたが喜多村家当主マサキじゃ」

 

「マサキよ、世話になる。羽徳(ハノリ)殿下(でんか)が、そこなキョウとやらを新しく(しつ)(むか)えると(もう)され、初床(はつとこ)()り行うに当たり、()に断わりを入れると申すのでな」

(ぞん)じております。ささっ、ここでは落ち着きませぬゆえ、お部屋へご案内いたします」

「うむ、大儀(たいぎ)である」

 

 なんか面倒(めんどう)が面倒を()んでる気がしてきた。因果(いんが)応報(おうほう)ってヤツだけど……。

 

 サキちゃんの先導(せんどう)(やかた)に入りエレベーターで五階、ボクの部屋へ。

 

 付いて歩いたけどレイニ様の着物が派手(ハデ)花魁(おいらん)かよってくらい墨染(すみぞ)生地(きじ)に花が咲き乱れてる。

 

 何キロあるんだってくらい盛った帯結(おびゆ)い。文庫(ぶんこ)結びの亜流、蝶(しだ)れ結び?

 

 ()った髪に(かんざし)がいっぱい()さってる。

 

 廊下(ろうか)もカーペットが()いてあるけど高下駄では歩きづらくないかな?

 

 十センチはかさ増ししてる。

 

 

(おもて)を上げよ」

「……はい」

 

 応接間でソファーに座ったミヤビ様・レイニ様の前でひれ()すと、お声がかかる。

 

容色(ようしょく)は……(あや)なるかな。生まれた子は余の継子(けいし)となるが大切に育てるゆえ、安心するがよいぞ」(✳️『継子(けいし)』まま子。血のつながらない子供)

 

 やっぱり、変。高下駄で(ひざ)が高くなって着物の(すそ)(まく)れてるよ。まあそれは今、置いといて。

 

「それについては、お願いしたき()がございます」

「これ」

 

 サキちゃんが止める、けど。

 

「生まれたお子は、──」

「キョウ、よさぬか!」

「──わたくしが育てとうございます」

 

 顔を手で(おお)うサキちゃん。顔を見合わせるミヤビ様とレイニ様。

 

「そなた……後宮(こうきゅう)に入りたいと申すか?」

「いいえ、手許(てもと)で普通に育てとうございます」

 

 レイニ様の射貫(いぬ)く視線がボクに()さる。ボクはそれを受けて立つ。

 

「分かった。そなたを保傅(ほふ)見做(みな)そう」

「えっと、それは?……」

昇殿(しょうでん)(ゆる)す。いかな出自なれど御子(みこ)市井(しせい)(くだ)す訳には行《ゆ》かぬ」

「…………」

 

 サキちゃんの横顔を(うかが)う。あ~、胃がねじれて(つら)そうな顔だね? ここまでが落としどころかな?

 

「ありがとう、ございます」

「で、では、初床の()に移るかの?」

 

 沈黙(ちんもく)していたミヤビ様が口を開いて話を進める。

 

是非(ぜひ)もなし。(みそぎ)の準備をせよ」

「「「はっ!」」」

 

 お付きの人たちが承服(しょうふく)して散っていく。はぁ~、お風呂入ってまたアレ、やるのか~。

 

 

 白装束(しょうぞく)の人二人に前後を(はさ)まれ、サザレさんが導《みちび》き、警護を代表して笹さんが(したが)う。

 

 まずトイレに行ってお(しり)をきれいにする。これ、マジだったんだ~。前の()れ目は言うに(およ)ばず。

 

 下半身を()いだままお風呂へ。本館で良かったよ。すぐ(となり)だから。そこで一糸(いっし)まとわぬ姿に。

 

 お風呂では予行演習のままに、あらゆるところを探られる。危険物なんて持って無いっての。

 

 検査が終わると(みが)きあげられ、お湯には()からずシャワーで流すにとどめると、脱衣場へ戻る。

 

 サザレさんの用意した(はだ)襦袢(じゅばん)を点検、合格すると晴れて一枚まとい(ひと)心地(ごこち)つく。

 

 着せてもらうまで仁王(におう)立ちしてなきゃいけないのが地味(じみ)につらかった。

 

 

「もう、あとはお酒飲んで、お(もち)食べたら終わりだっけ?」

「そうでございます」

 

 小声でサザレさんに()いてみると肯定(こうてい)する。とは言え、前後が介添(かいぞ)えで横のサザレさんとは近づけない。

 

 内緒(ないしょ)話をしても丸聞こえだろう。介添(かいぞ)えは、白い布巾(ふきん)口許(くちもと)(おお)って、その心情を表情からは読み取れない。

 

 

 自室に戻るとリビングを抜けて寝室へ。そこでサザレさんや笹さんとはお別れだと思ったのに付いてくる。

 

 寝室に入って歩が止まる。そこには、ミヤビ様のみならずレイニ様。そのお姿はボクと同じく白い襦袢(じゅばん)すがた。

 

 衝立(ついたて)の向こうにはサキちゃん、ユキ様、ショウ様、レンカ・ヒロ婦夫(ふうふ)、警護・護衛たち、そして幼女ーズ……顔見知りが勢揃(せいぞろ)いしてる。

 

 やめて~、みんな観戦(かんせん)──じゃなくて観覧(かんらん)するの?

 

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