【悲報】皆がボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~   作:ペロりねった

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163.満員風呂

 

 

「ちょ、マキナ見えてる見えてる」

「脱いだら見えてあたり前だ」

「それはそうだけど、少しは(かく)そうよ」

 バスタオルでマキナの裸体を(あわ)てて隠す。タマちゃんたちは……なぜだ、興味なさそう。

 

 アヤメさんたちは、見せつけるよう仁王立ちしてるし、タンポポちゃんたちまで真似してる。

 

 いや、四女ツバキちゃんは恥ずかしがってる。よく見ると三女カエデさんは若干(じゃっかん)照れがあるね。

 

 自分でやったんだから自己責任だよ。ボクは隠してあげないからね?

 

 もしかしなくても、みんな入るんだ。う~、もう仕方ない。

 

 着物を脱いで脱衣カゴに()れていく。シュルシュルと帯を解く(きぬ)ずれの音が脱衣場に(ひび)く。てか、シンとしてそれしか聴こえない。

 

 手を止めて回りを見ると、みんながボクに注目してる。

 

「もう、あっち向いててよ。タマちゃん、携帯をこっちに向けない」

「そんな~」

「〝そんな~〟じゃないよ。ボクなんか録って何が楽しいのさ」

(たの)しいしかありません」

「そんな、きっぱり言われても……。楽しいのはタマちゃんだけ。どこで腐っちゃったの?」

「腐ってなんかないよ。発酵(はっこう)しただけ」

「…………」

 そこに違いはあるの? まあ、今さらになってるけど。

 

「キターーー(゜∀゜)ーーー!」

 上衣を脱いで肌襦袢(じゅばん)まで脱いでいくとタマちゃんが奇声を上げる。

 

「タマちゃん、放り出すからね?」

「お口、チャック」

 脱ぐのを止めてタマちゃんをにらむ。まったく、調子がいい。

 

「ふぉ~ふぅ~」

 肌襦袢を脱ぎきると、(はげ)しい鼻息がしてくる。もう無視してマキナの手を()き共に浴場に入る。

 

 洗い場で前後に並び、後ろに座ってマキナの背中を洗う。

 

「やっぱり少しふと──ふっくらしたね」

「そ、そうか?」

 素肌の横っ腹を(さす)るとぷにぷに感がよく分かる。

 

「ただいま、マキナさんの背中を洗っております」

「ちょっと、そこ、実況しない。浴場に服着て入らない」

「じゃあ脱いでくる」

「いや、そうじゃなくて。出て行って、ってこと」

 もう理屈が通じない。二人っきりなら密着して洗えたのに。

 

 何なんだ。他のみんなは裸になっていても体を洗わないで、こちらを注目してるって。

 

「交代しようか。洗ってやる」

「う、うん」

「うひょ~」

 マキナと席を替わって前に座る。もう、ガヤがうるさくてしょうがない。

 

「少し()せたか?」

「そ、そうかな~。そうでもないと思うけど」

 マキナが背中に密着して洗ってくる。ちょっと話題提供(サービス)しすぎだよ。

 

「こちらの生活はどうだった?」

「まあまあだったよ。……そうだ、農場の露天風呂に入ったよ」

「そうか……」

 

 外野からは「何話してるか分からん……」って聞こえてくる。

 

「こ、今夜も、いっぱい、する、よね?」

「そうだな……どうしようか……疲れてるし……」

「そうだね、疲れてるね、明日からで、いいよね?」

「うそだよ……。今夜もいいけど……妹たちがいるからな~」

「そうだね。アヤメさんたちが居るからね~。彼女たちが帰ってからにする?」

「帰ってからか~。そう上手く行くかな?」

「えっ? それって、どう言う……って、タマちゃん、何してんの?」

 タマちゃんが、すぐ近くまで来て聞き耳を立てている。

 

「こそこそ話すと聴こえない……」

「聞かせる話じゃないから、こそこそしてるの!」

「キョウちゃんの話題はみんなが知りたいんだよ?」

「知りたいのはタマちゃんだけだよ。退()いてシャワー浴びるから」

 まったくもう。マキナもどん引きだよ。

 

「(キョウちゃんの)エッチい話は全国一〇〇万人の読者が求めてるのに~」

 そんなことは知らん。タマちゃんには一〇〇万人の読者がいるの? そんなところで人の醜聞(しゅうぶん)流布(るふ)するな。

 

「次は私の番ですね?」

「は?」

 シャワーで泡を流すとマキナは浴槽(よくそう)に逃げた。ボクも入ろうとするとアヤメさんが押し戻し、洗い場で背中を向けボクの前に座る。

 

「やれやれ……」

 アヤメさんを洗い終わるとカエデさんが座る。何かデジャブーを見てる。いつかやった流れだね~。

 

「ボク、湯冷めすると思う」

「いいからいいから」

「…………」

 いいからいいからじゃないよ。

 

「ふぉ~……はひぃ~……」

「変な声出すなら洗いませんよ?」

「そんな~、このために生きてきたのに~」

「それってどんな人生ですか? ボクは人の背中を洗うのが人生ですか?」

「そうだよ~。結婚しても男に洗ってもらえない人が大多数だよ~」

 

「そんなこと、ないでしょ。結婚してるんだし」

「結婚してても混浴は嫌うのが普通だよ~。キョウちゃんが変なんだよ~。お(かげ)で女の夢が(かな)ったよ~」

「それほどですか?」

 

「キョウちゃんって、やっぱり自覚なさすぎ。どこかネジが(ゆる)んで──ネジが外れて壊れてる」

 タマちゃん、ボクを(はずか)しめすぎ。ボクってそれほど?

 

「てか、また近いよ、タマちゃん。シャワーかけるよ?」

 

 

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