【悲報】皆がボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~   作:ペロりねった

172 / 203
172.絶賛、拉致られ中?

 

 

「ン?……ンン?……」

 あれ?……真っ暗だ……ど~なってんの?

 体の自由も()かない……(しば)られてる?

 この! この! 回りを()ったり頭を振って周囲にぶつけて探ってみたり……。

 

 痛くないけど頑丈(がんじょう)で破れそうにない。何かの()れ物の中だな~。

 

『おい、もう目を覚ましたぞ』

『量を間違ったんじゃないか?』

『成人女性が半日は眠ってる量にしたはずだ』

『チッ……追加で()っとくか?』

 

『そうだな……いや、待て。裁可を仰ごう。過剰摂取(オーバードーズ)廃人(はいじん)にしてしまっては俺たちの首が飛ぶ』

『そ、それもそうだな……』

 

 う~ん? 話し声は隣国(りんごく)の言葉か? イヤなこと、思い出した……。また、アイツらが暗躍(あんやく)してんの?

 

 てことは……アンナさん、まだ(あきら)めてないの?……。国外追放とかされてないのかよ~。

 

 車で移動してるようだけど、眠ってる間にどれだけモールから離れたろう……。

 どうすればいい? 縛られてちゃ逃げられない……。

 拘束を解かれるまでは、おとなしくしてるしかないか……

 

 くそ~、ボクを捕まえて何が楽しいんだ?

 

 

『ダメだ。必要以上に薬は使うな、だとよ』

『こっちの気も知らずに。人前でキャリーバッグがゴトゴトいったら怪しまれるってのに』

『まあ、コンコースを通りすぎる間くらいなら誤魔化(ごまか)せるだろう』

 

 

『やっと空港が見えてきたな。ひと息つける』

『おいおい、渋滞(じゅうたい)してる……それほど入場に並ぶのか?』

『……さあ、分からん。様子を見るしかあるまい』

『遅れると大目玉を食らうぞ』

 

 動きが(ゆる)くなった……渋滞? チャンスかも……。

 この! この! 壁を、げしげし(﹅﹅﹅﹅)蹴る。

 

『野郎、また蹴り始めた。静かにしろ!』

『……そのうち疲れるさ』

『そう言うがな~。やかましくて仕方ないぞ』

『狭いところで動き回れば酸欠になって静かになる』

 

『それって……死んだり、しないよな?』

『そこまでは、私たちも感知できんさ』

『…………』

『気にするな。運べと命令されただけだ』

 

 はあはあ、くっそー。近くに誰か、人はいないのか。

 機密(きみつ)性の高い車か? 何にしても動きすぎて息苦しい。

 

 ……酸欠で死なない、よね? いや、どれくらい閉じ込められてるか分からないんだけど……人を閉じ込めるんだから呼吸できるだけのすき間はあるんだろう。

 

 みんな、心配してるだろうな~。愛の巣を壊され、思い出の品を奪われ、遠い地に避難(ひなん)して、転校する羽目に()って、おまけに拉致(らち)されるなんて。

 

 何で、こんな目に……。

 

 アンナ、(ゆる)すまじ!

 

『やっと、静かになったな……』

『そうだな……』

『『…………』』

 

『おいおいおい! 前で検問、やってないか?』

『えっ?! ちょ、ちょっと見てくる』

 

 車のドアが開きバフッと閉まる音と振動がする。

 目的地に着いたのか? しかし、しばらくしてドアの開閉を音と振動で感じる。

 

『まずい。車内検査してるぞ』

『何! う~~、上の指示を仰いでくれ』

『分かった』

『ああ、それから薬を使うとも。検査時に物音を立てられたんじゃ(かな)わない』

『そうだな』

 

 ん~? 着いたんじゃないのか? 降りる素振りもないようだし……。もしかして、トラブル? チャンスかも。

 また、壁を蹴る、蹴る、蹴る。縁起でもないけど最後の力を振り絞り。

 

『ま~た、始めやがって……』

『許可が下りた。きつ~いの()ってやるわw』

『おいおい、ほどほどに、なw?』

 

 んん? 足音が近づいてくる……。開けてみろ。渾身(こんしん)の一撃をくれてやる!

 

『ひゃっひゃっひゃあ~。お注射(ちゅうしゃ)の時間だよ~w』

『くっくっくっ……。笑わせるなよ』

 

 カチャっといってフタ? が開いたらしい。女の声が明瞭(めいりょう)に聴こえる。でも、どちらに居るか分からない……クソ!

 

 仕方ない。暴れるだけ暴れてやる!

 

『おいおい、おとなしくしろ』

 

 この! この! 肩を(つか)まれた。体はどこにある? この! この!

 

(って)~。蹴られた~! このぉ!』

 

 うぐっ! 横っ腹を(なぐ)られた? ヤツは上か~? 脚を引きつけて~~のっ!

 

『おごっ! こいつ、頭きたっ!』

 

 あ~、またチクッとした……注射されちゃった……。せっかく、蹴りがクリーンヒットした……のに……。

 

 

 ……あれ? 

 

 あれ? あれ? 眠くならない……。いや、ぼお~っとはしてるんだけど意識はある。

 

 あ~、でも体は動かないな~。ん~~何でだ??

 

『大丈夫か?』

『なんともない。一日寝てるように倍量、射ってやったぜ』

『おいおい、大丈夫か?』

『さあ、知らん。ともかく、検問をやり過ごせば終わりだ』

『ああ……』

 

 

「すみません。検問です。車内、見せてもらっていいですか~?」

『何て言った?』

『さあ、よく分からんが「はい、はい」「どうぞ」って言ってりゃ大丈夫だ』

「外人さんか~。分かります? 車、見せて?」

「ハイ、ドウゾ」

 

 何だよ~、検問の渋滞だったのか~! 検査の時まで、おとなしくしてりゃ良かった~、くそっ!

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。