【悲報】皆がボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~   作:ペロりねった

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23.部活の日

 

 

 ノートなどで(あお)ぐ、そのはだけた胸元からは下着──スポブラとかキヤミとかが(のぞ)いている。

 

 あろうことかスカートを(まく)って中を扇ぐ()もいる。ズボンの()はずり下げていたり、穿()いてなかったり……。

 

 二の足を()んだけど意を決して歩を進める。

 

「ちょっと、換気(かんき)しなさいよ! そこ、ズボン穿け!」

 

「そうそう」

 

 ミナちゃんとタマちゃんはあからさまに不快な顔をして文句を付けている。

 

 換気とか言っても既に窓は開け放たれてるんだけど、風がないと上手く空気は入れ()わらない。

 

 見た感じ、匂いの発生は継続しているし。最近、()ぎ慣れている匂いに頭がクラクラしそう。

 

 〝春〟の季節だししょうがない。今は生垣(きがき)先生の話にもあった時期(﹅﹅)だから。

 

 まあ、〝夏〟や〝秋〟の時期もあるワケだけど。

 

 四限について「何を教わってたの?」と汗を(ぬぐ)いながら不躾(ぶしつけ)に訊《き》いてくる女子もいる。

 

「婦夫生活の心構え、みたいな?」と返しておく。

 

 何なに? とそれ以上訊いてくるのには無視だ。女子も教わるよ、と誤魔化(ごまか)す。

 

 机の下で薬指の指環(ゆびわ)()でて思いを(めぐ)らす。ボクについては、何もかも他の二人と会ってみないことには始まらないよな。

 

 なんとか五時限を終えた。女子のフェロモンをいっぱい吸って心臓の鼓動が早くなり授業に集中できなかったけど。

 

 ホームルームも済ませると、部活と帰宅する者に分かれる。

 

 月水金はクラブ活動の日になっている。男子は基本、運動部を禁止され参加しても文化部どまり。

 

 ミナちゃんは調理部で頑張って、タマちゃんは帰宅部だ。本当は、ミナちゃんと同じく調理部をやりたかったんだけど。

 

 ボクは特別に許可されて陸上部のマネージャーしてる。部のリーダー格の先輩に入園してすぐ()われて仕方なく。

 

 マネージャーといっても真似ごとでしかなくお(かざ)りみたいな感じだ。マスコット? 部員集めの客寄せみたいにされている。

 

 ジャージに着替え、(おく)れて陸上部の部活にでる。

 

 ここは元女子校から共学になったので更衣室がない。優遇されている男子だけど、更衣室を新設するほど予算がないのか、空き教室を改装して男子更衣室に()てられている。

 

 部室棟に行けば着替えられる女子と、その更衣室の行き()があるボクとではそれだけタイムロスがある。

 

 グランドの周りを走ってアップ、整理運動。ストップウォッチ、白線引きなどを準備して待機。

 

 グラウンド縁の階段で飲み物とタオルの番をしながら、タイム計測を言い付けられると、それに当たる。

 

 特にすることなく黄昏(たそがれ)てると赤井ケイト先輩が水分補給にやってきた。

 

 このケイト先輩がボクを陸上部に引き込んだ張本人で三年生、七月には卒( ※)が控えている。

 

 ケイト先輩は、なにか家政婦の赤井さんと似てるんだよね。

 

 そう思いつつ先輩を見ながらタオルと飲み物を渡す。

 

「なんか今日は、感じが違うな。何かあった?」

 

「それが──」

 

 ボクの微妙な変化を見つけたのか先輩が訊いてくるので、まず直近の教室での匂い騒ぎを話した。

 

 大元は一昨日からのお見合いからなんだけど、それを話してもどうしようもないしね。

 

「ごめん。匂わない?……」

 

 聞いた先輩が、風下に回るようにボクから離れた。

 

「いえ、外では(こも)らないから大丈夫です。先輩はいい匂いです」

 

「そ、そうか?」

 

 まあ、過去遠征(えんせい)の帰り同じ車中で()いだ匂いは今日の教室ほどじゃなかったし。

 

 季節がらの時期(﹅﹅)の匂いが多分にあったのと、最近浴びているマキナと似た匂いに条件反射したみたいなものだと思う。

 

「…………」

 

「どうかしました?」

 

 押し(だま)った先輩がボクの下半身、いや下ろした手を凝視(ぎょうし)している。あやや、バレちゃったか。

 

「そ、それ……その指環は?」

 

「ああ、これ、ね? 先日、婚約したので……」

 

 とっさに隠しても遅いだろう。右手とかで隠すように心掛けてるけど失敗。

 

「そんな……婚約……」

 

 まるでこの世の終わりみたいな顔をしないでください。卒業までに、男は売れていくのですよ。

 

 

 一昨日からのあらましを話すと、お見合いですぐ婚約したのに驚き、すぐ新居に迎えられたことにショックを受けて、そこからの話を聞いていない様子だった。

 

「キョウには……卒業まで……待って」

 

「えっ、なんです?」

 

 先輩が何か(つぶや)いたので聞き返すが答えはない。

 

「ああ……卒業したあとが心配でね。就職とか……」

 

 誤魔化すような先輩の告白は、卒業の先が気になって試験勉強や陸上部の練習に身が入らない、というものだった。

 

 確かに陸上部の成績が(かんば)しくないようだけど。

 

 陸上の方はともかく、勉強会でもしましょうか、と提案してみる。集まってやればなんとかなる、みたいな。

 

「まあ、大丈夫だいじょうぶ。俺、頑張るから!」

 

「は、はあ……頑張ってください?」

 

 なにか(から)元気のような威勢(いせい)で練習に戻っていく。やはり練習の様子は(から)回りっぽかった。

 

 少し先輩とは()み合わない感じが続いたが、部活を終えた。

 

 家政婦の赤井さんとケイト先輩との関係について訊こうと思っていたけど、また今度にしよう。

 




※注)卒業:7月に卒業のシーズンがあり、8月はバカンスで、9月は入学・進級シーズンです。
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