【悲報】皆がボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~   作:ペロりねった

34 / 203
34.母の異変

 

 

 一時限が終わり、二時限も終わっても母から連絡は来ない。いよいよ、母の都合よりも別のトラブルではないかと思えてきた。

 

 昨日のこともあり、女子たちはボクの新婚生活について根掘(ねほ)葉掘(はほ)()いてくるんだけど、答えられないの一点張りでスルーした。

 

 そして、困ったのがどこで聞きつけたのかアンナさんが新居訪問に自分も連れて行けと強請(ねだ)ってきた。

 

「キョウ()は千里を行く、でごさいますわ」ってそんな言葉はない。

「ボクも用事があるから、ご要望(ようぼう)には沿()えません」

「で、では。ご訪問なされるならお(さそ)いなさってください」

「分かりました」

 

 まあ、社交辞令(じれい)だけど納得して引き下がってくれるなら助かる。スキップする勢いで自分の教室へ返っていった。

 

 一応、家に入れても良いかマキナに訊いておこうか。

 

〔家に来たいって同級生がいるんだけど、良いですか?〕

 

 打ち終わって送信するや、クラスメイトの羽鳥来(はっとり)さんがボクの前に立った。

 

「僕も蒼屋(あおや)くんの家に行ってみたい」

「えっ? 皆、断わってるんだけど」

 

 いきなり()れ馴れしく話してきたのは羽鳥来(はっとり)カンゾウさん。僕が一人称の女子だ。

 

 仲()くしてきた訳でもないのに、なんで?

 

「でも、もしかしたら行くかもしれないんだよね?」

「ん~、じゃあ。呼べる時は声かけるよ。それでいい?」

 

 対応はアンナさんと一緒でいいよね。

 

「分かった。お願い」

 

 もし皆で行くことになると大変じゃないか? なんとか、有耶(うや)無耶(むや)になってくれるよう願いながらマキナの返信を待った。

 

 

〔信頼できる者なら任せる。基本的に女はダメだぞ〕

 

 授業中に着信したメッセージを三限が終わって確認すると、そう書かれてあった。

 

〔信頼できない女子が熱望してるんです。どうすれば良いですか?〕

〔断われ〕

 

 まあ、そうですよね~。お昼になっても母から返信が来ない。

 

 一体あっちは、どうなってるんだろう?

 

 電話で訊こうと母にかけてみた。

 

「さあ、結婚生活について聴いてあげます。食堂へ行きますことよ」

 

 電話をかけてる最中に、またアンナさんが突撃(とつげき)して来た。

 

「電話してるし、お弁当があるから」

「そう言わず、おごって差し上げます」

 

 人の都合も考えず腕を取って連れて行こうとするアンナさん。

 

「ちょっ、ちょっと……」

 

 (あらが)(にく)いと、電話を切ってお弁当を抱えるとアンナさんに引き()られていく。付き従うのは、ビビ・マックランさん。

 

 ビビさんはアンナさんと同じ国から留学してきたアンナさんの従者みたいな人。本当に従者かもしれないけど。

 

 ミナ・タマコンビが、やれやれとお弁当を持って付いてくる。その後ろには羽鳥来(はっとり)さんも姿が見える。

 

 (となり)のクラスからは、何事かと緋花(ひばな)ホムラさんや紅月(こうげつ)ミントさんが出てきて付いてきた。

 

 昨日のことを訊いてくる女子は断わっていたけど、隣のクラスには関係ないか。

 

 

 やむなく学園の食堂でお昼を食べることになった。

 

 食堂は数十人が食べられる大きさで、メニューはカレーライスや各種うどんなどの単品に、トンカツ定食なんかのセットメニューまで置いている。

 

 うちは母がお弁当を持たせてくれたので、利用することはなかった。

 

 陽当たりの良い方は半アーチの半透明な屋根になっていて、外はテラスにテーブルが並んで開放的だ。

 

 まだ時期ではないのか、テーブルの中央には筒だけでパラソルは()さっていない。

 

 

「さあ、なんでも頼んで(よろ)しいでごさいます」

 

 携帯端末を食券ベンダーにかざしてアンナさんが言う。

 

「ボク、お弁当があるからいい」

「じゃあ、僕は……ポチっと」

 

 ボクとアンナさんの間に割って入り羽鳥来(はっとり)さんがトンカツ定食のボタンを押した。

 

「あなたには、言ってませんことよ?」

「金持ちなのにケチだな」

 

「ぐっ……。まあ、あなたたちも食べたいなら(おご)って差し上げても宜しいでごさいますわよ」

 

 彼女の矜持(きょうじ)(えぐ)ったのか、呼びもしないのに付いてきた女子たちにも、アンナさんは振る舞うようだ、仕方なく。

 

「じゃあ、遠慮(えんりょ)なく」

「では、うちも」

 

 緋花(ひばな)さんと紅月(こうげつ)さんも定食のボタンを押していく。

 

 言った手前、次々注文していくお邪魔(じゃま)虫をアンナさんは苦々(にがにが)しく見ていた。

 

 ミナ・タマの二人は躊躇(ためら)っていたけど、お弁当を食べるようだ。

 

 ヒビさんも自分の注文をしたあと、発行された食券をまとめて取ると注文しに調理カウンターへ向かう。

 

「さあ、こちらですわ」

「いい加減、放してよ」

「そ、そうでしたわね……」

 

 アンナさんは、テーブルに向かうのにまた(つか)まえた腕を放してくれた。こうなっては、もう逃げないよ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。