【悲報】皆がボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~   作:ペロりねった

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36.マキナと折衝します

 

 

「それで、自宅凸──自宅訪問でしたか? ワタクシも付いて行きたいですことよ」

「それは……」

 

 まだ覚えてたか、アンナさん。それは返答に困る。

 

「そうそう。お母さんと連絡つかなそうだよね? 端末をよく見てる」

 

「そうそう」とタマちゃんがミナちゃんを援護する。

 

「うぐっ! べ、別に実家に帰らなくても用事はあるから──」

 

 母に連絡がつかないのを(さっ)していたのか。ミナちゃん、目ざとい。

 

 断わるにしても良い理由が思いつかない。

 

 よしんば男子は受入れたとしても、断われと言われている女子が黙っちゃいないよな~。

 

 付いてくると強請(ねだ)ってきても、マキナは許可してくれない。

 

「おいおい。新婚宅に侵入するのは感心せんな。そうだなぁ? 先生も監督するため同行してやろう」

「僕も見てみたいな」と羽鳥来(はっとり)さんが口を(はさ)む。

「わ、私たちも、お願いします」

「お願いします」

 

 文芸部の二人も参戦してくる。取材しようとしてるでしょ? もう新聞部に改名すれば?

 

「男子は許可してくれると、思う。でも、女子はムリ……たぶん」

「男子は良いなら、私も!」

 

 離れて食事してた五月ヶ原くんが突進してきた。ちゃっかり、話聴いてたのか。

 

 君って、どちらかと言うとボクに関心なかったよね?

 

 

 どうしよう。もう丸投げするか。結果は分かってるけど。

 

「主人に()いてみます」

 

〔自宅訪問者は、水無月(みなつき)ユウナ、真城(しんじょう)タマキ、羽鳥来(はっとり)カンゾウ、担任の五条ツバサ先生。(ちが)うクラスの五月(さつき)ヶ原ユキト、緋花(ひばな)ホムラ、紅月(こうげつ)ミント、そしてアンナ・クライネ、ビビ・マックラン〕

 

 マキナに裁可(さいか)(あお)ごうと訪問希望者を羅列(られつ)して、すぐさま送ってみた。

 

 同時に確認したが当然のように母の返信はなく、この時間ならと電話をかけてみる。

 

『……もしもし? どうしたの?』

 

 ややあって、電話がつながり母がでる。

 

「母さん、連絡見てくれた? 荷物を取りにいきたいんだけど」

『えっ、そ、そうね……ちょっと今週は……。週末くらいはダメ?』

「週末は、ちょっと……。来週ならいけそう?」

『そ、そうね……来週、なら……』

「分かった。また行く前に連絡する」

 

 週末は義実家に訪問しなきゃいけないからダメだ。行けば一泊するだろうし、家に帰る時間がない。

 

 母の歯切れの悪さから来週も期待できそうにない感じがする。

 

 一体、母に何が起こってるんだろ?

 

 もやもやしながら電話を切ると、マキナから返信が来ていた。

 

〔いいだろう。しかし留学生はダメだ。下校に合わせて(むか)えを寄越(よこ)す〕

 

 案外はやく答えが返ってきたな。思いもよらず女子にも許可がでる。

 

 しかし、アンナさんたちはダメなのか。

 

「返事、来た?」

「うん……」

 

 携帯端末の画面を皆に向けて見せる。

 

「おお、許可でたんだ、よな?」

「なんですのよ。留学生はダメとか差別ですことよ!」

 

 皆一様に喜んでいる。特に新聞部もどきの文芸部二人は喜色(きしょく)にあふれている。反してアンナさんは憤慨(ふんがい)している。

 

 確かに外交的にマズいかもだけど、一介(いっかい)の会社員の判断だもの。

 

 些細(ささい)粗相(そそう)で、不興(ふきょう)を買うと本当に外交問題になるかも知れないし妥当(だとう)かも。

 

「アンナさん、ごめんなさい。また、何か聞けることがあれば聞くから」

 

 一応、アンナさんに(あやま)っておく。次は聞ける要求がくることを祈る。

 

 悔しがるアンナさんを見て、五月ヶ原くんは、ざまあって顔で(うす)(わら)いしている。

 

 熱望していた彼女が行けないのは、かなり滑稽(こっけい)かもしれない。

 

「迎えが来るって、来客用の駐車場だよな?」

 

 五条先生が確認してくる。

 

「そうですね。たぶん、そうでしょう」

 

 まあ、そうだろうと思うので肯定(こうてい)しておく。

 

「皆、放課後、来客用の駐車場に集合!」と、五条先生が声を上げる。

 

「「「おう!」」」と皆が唱和(しょうわ)する。

 

「楽しみ」と、タマちゃんも(つぶや)く。

 

 

 午後の授業を終えて、同行する皆からビンビンと熱意が伝わってくる。

 

 五条先生は、ホームルームに手荷物を持って来ていて職員室に返らぬ覚悟(かくご)の臨戦態勢だ。

 

 放課後は、教員の委員会とかあるんじゃないですか?

 

 

「ハァ~」

 

 ホームルームが終わるとため息ついて、のろのろと荷物をまとめて席を立つ。

 

「さあ、行こうか!」

「行こう」

 

 ミナちゃんから声がかかる。元気だね。タマちゃんも気合いが入ってる。

 

 ゆっくり歩くボクに()れて、二人に押され教室を出て駐車場に向かう。

 

 後ろに五条先生、羽鳥来(はっとり)さん。(となり)のクラスに見に行くまでもなく、緋花(ひばな)さん、紅月(こうげつ)さんに五月ヶ原くんが付いてくる。

 

 アンナさんは、ビビさんを(したが)えハンカチを食い千切らんばかりに()んで悔しげに付いてきていた。

 

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