【悲報】皆がボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~   作:ペロりねった

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42.鏡の前の攻防

 

 

 タマちゃんがボクのスカートの中より鏡を優先したので、水無(ミナ)ちゃんもそちらに合流して鏡を(さぐ)るようだ。

 

「……クローゼットを見つける」

「なるほど。お宝、ザクザク」

 

 そんな不穏な事を(つぶや)く二人を眺めながらスカートのシワを直していたら、「おおっ」と小さく(うめ)く声。

 

 同時に着信音がする。声の方に振り向きつつ端末を確認すると、文芸部がベッド下の引き出しを開けていた。

 

〔ベッドの女子をなんとかしろ!(怒)〕

 

 端末の画面には、またマキナから猛烈な通信文が……。

 

「ちょっと、何やってる?!」

 

 護衛ふたりにも通知があったのか、端末を見ながらベッドに歩みよっている。

 

 文芸部の声に五月ヶ原くんも交じってきて顔を紅くしている。

 

 ミナ・タマの行動を気にしていたが、裏で違う危機が起こっていたらしい。

 

 覗きに行くと引き出し中の紅いベルトや手枷、アイマスクが(さら)されていた。

 

「レッドカード! 退場!」

 

 それはダメだ。警告して文芸部を押し退けると、引き出しを閉めた。

 

 また着信が来たのを見ると案の所、マキナの理解不能の文字の羅列が。ただ怒りだけは伝わってくる。

 

「歩鳥さん、斎木さん。彼女たちを部屋の外へ」

 

 寄ってきていた護衛のふたりに文芸部の退場を任せる。

 

 もう、頭がくらくらしてきた……。実際、ベッドに倒れ込んだ。

 

「五月ヶ原くん、止めてくださいよ?」

「ご、ごめん……つい……」

 

 伏せた顔を五月ヶ原くんに向けて抗議する。

 

 って言ってる間にまた着信音が鳴った……。見るまでもなくマキナだろう。

 

 完全に仕事の邪魔してるな。しかもかなりタイムリーにこちらの状況を確認できてる。

 

 警護の二人が報告しているのでもなさそうだし謎だ。

 

 一応、通信文を確認するとまたヒートアップして何言ってるから分からないが、狂気は感じる。

 

 あとの事は考えないでおこう。

 

 赤井さん、見えていたでしょうから教えてくださいよ。

 

 

 廊下まで下がらせた文芸部ふたりは赤い顔をして悶えている。

 

 五月ヶ原くんも口元を手で隠して頬を赤らめ、ソファーに座っている。

 

 窓辺の羽鳥来(はっとり)さんは、鼻の頭をかいて困り顔だ。

 

 彼女は、まだ退場は保留だな。

 

 

 さて、ミナ・タマはどうなった?……。

 

「先生、邪魔」

「もうそこしか無いんだよ?」

 

 顔を鏡の方に向けると五条先生と押し比べをしていた。

 

 五条先生は、マジでクローゼットを守ってくれてたみたい。

 

 そこに居着いて動かないのも逆に怪しまれるよね?

 

「あわわわ」と慌てるも助言も助けもできない。

 

 ミナ・タマも確信をもって五条先生に当たっている。

 

 もうダメだ……ベッドに顔を伏せると気分が悪くなってきた。動く気力が出ない。

 

「疲れた。気疲れ? 気持ち悪い……」

「キョウ様?」

 

 赤井さんが呼んでる。それが分かるけど反応できない。

 

 ボクは寝転がされ、天蓋の天井の鏡が見えると、赤井さんの顔が視界に入る。

 

 その手が顔に近づいて額に冷たさが伝わる。

 

「少し熱がありますか? キョウ様、失礼します」

 

 ボクのジャケットに手がかけられボタンが外され脱がされる。

 

 ピリリと端末が鳴っている。また、マキナだな。

 

「はい、少しお加減が……。はい、……はい。そのように」

 

 マキナと話しているのか赤井さんが携帯端末を耳に当てている。

 

 赤井さんがそれを仕舞うと、ボクはスカート、ブラウスを脱がされ下着姿になった。

 

 その上に掛け布団をかけられる。

 

「お疲れのようですので、このままお休みください」

 

 そう言われると、ボクは身体の力が抜けていく。

 

「キョウ様のお加減が良くないので、ここまでにいたします──」

 

 赤井さんが何か言ってる。でももういいや……。

 

 ボクは眠ってしまった。

 

 

 ◆

 

 

「皆さん、申し訳ありませんが、キョウ様のお加減が良くないので、ここまでにいたします」

 

 赤井は部屋にいる者たちに言った。

 

「キョウちゃんに、心労をかけたかも……」

「うん、反省」

 

 水無月(みなづき)ユウナと新城(しんじょう)タマキは、自分たちの悪乗りを反省した。

 

「そうだね。ちょっとはしゃぎ過ぎた」

 

 文芸部、緋花(ひばな)ホムラが吐露する。合わせて、紅月(こうげつ)ミントも頷く。

 

「お前たち、蒼屋は結婚したてで疲れてたんだ。加減しろよ」

 

 五条先生は(たしな)めて言うが、自身の行動は説得力がなかった。

 

「先生も舞い上がってましたよ?」

 

 羽鳥来(はっとり)カンゾウから五条に突っ込みが入る。

 

「……ま、まあ、帰ろうか?」

「赤井さん、キョウちゃん、蒼屋くんをお願いします」

 

 代表して水無月が赤井にキョウの事を頼む。

 

「お任せください。では、歩鳥さん、斎木さん、皆さんをお送りしてください」

「分かりました」

 

 赤井が、護衛士の二人に訪問者の帰りを頼むと、皆と一緒に部屋をあとにした。

 

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