【悲報】皆がボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~   作:ペロりねった

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47.『貸す』ってなんだよ

 

 

 マキナの挙動に固唾(かたづ)()んで見守る。

 

「──ん~ん。……本人に聴いてみます。……はい、本人の意見を優先しますから」

 

 一体なんなんだよ?

 

「キョウ。──」

 

 何? ボクに正対(せいたい)して真正面からマキナが見つめてくる。

 

「──一晩、貸して欲しいと、言ってる。どうする?」

「は? ええっと、借りる、の間違いでは?」

「ああ、分からないか……。部屋を借りる代わりにお前を貸してくれ、と言っている、あのエロばばあ」

「…………」

 

 はああっ?! 何いってんの? 何いってんの? 意味、分かんない。開いた口が(ふさ)がらない。

 

「ふたり宿泊でン十万だから、お前の身体ひと晩だと丁度釣り合うだろう、とあの[ピーー]が言ってる」

 

 ちょっと、そこ。音声エフェクト入れてるっぽいけど余り役に立ってない。

 

「断わっていいぞ? あの[ピーー]女にお前を好き勝手させるほど落ちぶれていない、ぞ?」

 

 なんか、判断基準とかすっごくボクの気持ちとかから乖離(かいり)してます。

 

「でもねぇ……。ふたりを寒空に放り出すわけにもいかないし……」

 

 取りあえず、院長と面会してから、って事で。マキナに頼む。

 

 生理的に受け付けないエロ[ピーー]だったら拒否だよ。

 

 

「キョウは、院長に会って見てから判断したいと言っています」

 

 マキナは早速、返事する。

 

「はい、では、当直室で」

 

 院長って当直医するの? 特別なの?

 

 都合が良くて助かったけど。

 

「キョウ、当直室に行くぞ」

「はい」

 

 護衛を連れて四人で病院の中を歩いていく。

 

 皆、革靴でコツコツ音なんだけど、僕は借りてるサンダルなんでカポカポいってる。

 

 静まり返っているので妙に響く。

 

 そして、それは皆も同じで、靴音が次第に同調して四重奏になっていくのが面白い。

 

 エレベーターで、一階に降り、アヤメさんが向かった通用口に向かって歩いていく。

 

 守衛さんの詰所に行く手前で横に折れ、当直室に着く。

 

 ドアをノックして部屋に入っていくと、診察室張りのモニターが据えられた机の前に四十くらいの女性が座っている。

 

 部屋で迎えてくれた院長は、部屋に据えられたソファーへ促してくれる。

 

 

「どうかな? 顔を突き合わせて見て」

 

 正面に座った院長を見ると普通の女の人だ。年相応のお胸でかなり盛り上がっている。

 

 二十代後半から女性は徐々にお胸が大きくなってきて、その大きさで大体判断できる。

 

「まあ、普通の(かた)ですね」

「そうだろう。で、承諾いただけるかな?」

 

 思ってたエロおばさんでもなかった。まあ、この際受けてもいいか……。

 

 所詮、ボクは売られた身だし、マキナが苦手そうな院長の弱みを握れる機会は、そうそう無いだろう。

 

 マキナに取って有益になる(こま)が手に入ると思えば、それくらいの事どうってことない。

 

 そう一晩、我慢すれば良いだけだ。そのくらい、全く減るものじゃない、さ。

 

 でもその駒の使いどころは、あるかな?

 

 

「確認します。さすがに今夜は無理でしょう。後日、任意の日時に院長先生のお相手すれば(よろ)しいのですね?」

 

 言った。言っちゃった……。

 

 マキナを見たら余程、苦い顔をしているけれど止めようとはしていない。そう気がするので言ってしまった。

 

「ああ。いや、少し違う。相手は私では無い」

「はあぁ~。そうです、か? その(かた)はどちらに。もう夜も遅いので泊まる泊まれないを判断いたしませんと……こちらも、そちらも」

「その通りだ。相手は私の……娘だ。今は、家にいる、だろう、たぶん」

 

 なんだ、院長じゃないんだ。よくも悪くも、少し安心。ちなみに院長先生のお名前は香具羅(かぐら)先生。名札にそうある。

 

 

 マキナはどうかな? まあ、少し困惑ぎみ、かな? 止めようとは、していない……か。

 

「そちらの(かた)()べるのでしょうか?」

「ふむ、呼べば来る、はずだ」

「では、喚んでいただけますか? そろそろ、いつも眠る時間で(まぶた)の上と下がくっつきそうです」

 

 マキナを見て確認する。特に問題なさそう。

 

「分かった。すぐに喚ぼう」

 

 院長は、デスクの上に置いてある携帯端末を取って連絡し始める。

 

「もしもし? メイか?──」

 

 電話をかけて電話口でいくらか応酬(おうしゅう)があったものの、反応は良いようだ。

 

 男の子とか、可愛いとか、ちょっと聴くに()えな──くはない単語も飛び出してる。

 

 好みとか、ぬいぐるみとか、あまつさえ小さいってのは看過(かんか)できない。何だかな。

 

「──ああ、構わん。タクシーで来い。はぁ~、こちらに向かうそうだ」

 

 通話が終わったあと、向き直った院長は、相手がこちらに来ると告げる。

 

 宿直室のソファーでまんじりともせず……などしないで、ベンダーで()れたコーヒーを飲んだり、端末のミニゲームをしたり眠気を抑えていた。

 

 できれば、学習タブレットで復習とかやりたいけど、アレは眠くなるからな~。

 

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