【悲報】皆がボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~   作:ペロりねった

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60.戦闘機で空の旅

 

 

『アイ、ハヴ』

 

 機体は突然、右ロールして視界に地表が見える。

 

「いやぁ~、落ちる落ちる~!」

 

 身体は座席から落ちる感覚で何か(つか)まろとするけど、何も無くて操縦(そうじゅう)(かん)に必死で掴まる。

 

『ヒャッハ~! 墜ちません。墜ちても十秒は飛んでます!』

 

「墜ちたら死ぬ~死ぬ死ぬ!」

 

『ベッドで言わせたい言葉、いただきました~』

 

「お前、降りたら、コロコロしてやる~!」

 

『ハッハッハッ。ぜひ、お(なが)いしまっす~』

 

『二三五、遊び過ぎだ、(うらや)(ねた)ましい』

 

『キョウさん。牧野──二三五は、自分がコロコロします』

 

『三〇三、二七八。すまない、はしゃぎ過ぎた。まさか男の尻を持てるとは思わなかったからな。司令には感謝だ』

 

(くじ)運が良かっただけだろ』

 

『おい、良い加減にしておけ。周りに丸聞こえだぞ』

 

『まったくだ。こちら四〇コントロール。第四〇管区の監理(コントロール)を離れる。三〇三、二三五、二七八、第五〇管区の指示に従え』

 

『おっと。ラジャ、五〇の監理に入る。サンキュー四〇コントロール』

 

『もう帰って来なくていい、二三五』

 

『こちら、第五〇管区コントロール。四〇の監理を引き継ぐ。二三五は入って来るな』

 

『じょ冗談(じょうだん)、キツいぜ』

 

『五〇コントロール、こちら三〇三。よろしく』

 

『こちら二七八、よろしくどうぞ』

 

『おの~、お話してますけど皆さん、どこに居るんですか?』

 

『ああ……三〇三は前下方、二七八は後ろ上方(じょうほう)縦列(じゅうれつ)で飛んでますよ』

 

 と言って、視界に機体の輪郭(りんかく)が現れた。さすがに後ろは見えないけど前方(なな)め下にそれが見える。

 

 確かにその輪郭(りんかく)の後方には排熱(はいねつ)で景色が歪《ゆが》んでいる箇所(かしょ)がある。

 

「あの視界──画面に浮かんでた三角形は味方を認識する目印だった、と?」

 

 ゴーグルを着けてから前方に三角形が浮かんで見えていた。何かの目印だと思っていたけど、そう言う事だったのね。

 

『そうそう』

 

 話を聴くとIVS(不可視化機構)によって機体の背景を取り込み投影(とうえい)するフィールドを発生して半不可視化(ふかしか)させているらしい。

 

 互いにリンクして位置情報を交換している、らしい。それを元に仮想画像をゴーグルに投影しているとか。まあ、分からん。

 

 とまあ、雑談(ざつだん)ありで退屈(たいくつ)する事なく空を旅は続いた。

 

 問題なく五〇管区を通り抜け、第六〇管区に入ると事態(じたい)(あわ)ただしくなる。

 

 海峡を越えると山の向こう、山に挟まれて巨大(きょだい)(みずうみ)が見え中央に空港が浮かんでいた。

 

『こちら、四〇五SQ・三〇三。六〇コントロール、BWK(ビワコ)に着陸()う。腹と背中がくっつきそうだ。オーヴァ』

 

『こちら、六〇コントロール。三〇三、二七八、C滑走路に進入せよ、オーヴァ。二三五は拒否(きょひ)する』

 

『マジかよ? お客様が乗ってんだぞ?』

 

『くっ、仕方ない。二三五を最初に、他の機体は順次着陸を許可する。牧野は機体から降りるな』

 

勘弁(かんべん)してよ……』

 

 牧野さんの悪名(あくみょう)は第六〇管区まで(とどろ)いてしまったようだ。合掌(がっしょう)──自業自得だよ。

 

 ボクの乗った機体が湖に浮かぶ空港に降りると、続いて姿を現した二七八、三〇三が着陸してくる。

 

 本職は、スゴいね。三〇三機と二七八機は並んで降りてきたよ。滑走路も広くてそんな事ができたんだろうけど。

 

 着陸すると牧野さんの指示でペダルを()んで戻して細い誘導《ゆうどう》路を通りハンガー前の広場に着いた。

 

「ふう~、やっと着いた~」

 

『お疲れ様、(たの)しかったですよ』

 

「まったく、そうでしょうよ。でも……ありがとう」

 

 人で遊んで。でも一時間しないで古都まで来れたのは感謝だ。それを告げてボクは戦闘機を降りた。

 

 また、トラ(じま)のトラックに()かれてハンガーに収まる機体を見ながら、ボクは(おく)の事務所へ連れていかれる。

 

 こちらでは、(ひか)えめな歓迎(かんげい)を受けてロッカーへ案内される。

 

 ロッカー室で(ふところ)からお弁当の(かたまり)やパジャマを出しパイロットスーツを脱いでいると、護衛ふたりの脱ぐのが目に入った。

 

 二人は服の上からパイロットスーツを着込んでいた。

 

「ちょっとー。なんで服の上から着てたのさ?」

 

「「それが普通では?」」

 

 こんな時までハモらなくても。

 

「じゃあ、ボクが脱いだのは間違い? 着替えなくて良かった?」

 

「そうです」

 

眼福(がんぷく)でした」

 

 (だま)された。着替えろ、着替えろ、言うから、あのエロい人が!

 

 てっきり、服を脱ぐんだとばかり……。

 

 家に帰る時は、新浜松によってエロい人をコロコロしてやる、絶対。

 

 がっくり肩を落として、着替えを済ませる。

 

 もうなんか、肌着姿を二人に見せても動じなくなってるな、なんて思いながら、次は袋のガムテープを()がしていく。

 

「やっぱり、垂れてる~」

 

 懸念していた通り、ウナギ弁当のタレが()れていた。

 

「携帯は、個別に包んでくれてたんだ。そこん所は偉《えら》いな、エロい人」

 

 また、携帯端末機を緩衝材に包まれた中から取り出した。

 

「なんだ。電源は入れっぱだった……」

 

 特に通知のない事を確認してロッカーをあとにした。

 

 事務所でコーヒーをいただきながら、今後の予定を聞く。

 

 喜多村の迎えを待って、その迎えの車で本家に向かうらしい。

 

「それまで、暇潰しに見回ることはできますか?」

 

「そんなに時間はかからないと思いますよ?」

 

「そうですか……」

 

 そうそう来れないだろう、こんな場所は。見て回れないのは、ちょっと残念。

 

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