【悲報】皆がボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~   作:ペロりねった

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62.なぜに脱ぐ?

 

 

「はあ~、着いてしまったか~」

 

 山への登り坂を上がって外回りから駐車場に入っていくと、盛大にため息をつく気更来(きさらぎ)さん。

 

 併設(へいせつ)された立体駐車場ではなく、屋外駐車場に入り、モール出入口の近くに車を()める。

 

「その覚悟(かくご)()せて──見せてもらいましょうか? キョウ様」

 

「そんな大袈裟(おおげさ)な」

 

()いでください」

 

 いま脱げと聞こえた、聞き間違い?

 

「……はい?」

 

「脱いでください、その情欲(じょうよく)(あお)るものを!」

 

 と言ってボクのピンクパジャマを指さす。

 

 やっぱり脱げと言ったみたい。

 

「脱ぐ必要性、あります?」

 

 情欲とは(おだ)やかじゃないな。なら、今まで周りを煽情(せんじょう)してきたとでも?

 

「あります! それを見てると、こう……ムラムラするのですよ。モール(ここ)暴女(グール)の巣と化している可能性があります」

 

 その(ため)にはパジャマ、そのピンク色が駄目(ダメ)なのだと力説する。

 

 やっぱ、グールってのは虚言(きょげん)だったのか。こっちの女性は怖いのかな?

 

「分かりました。脱ぐ必要があるんですね?」

 

 また大袈裟な~、本当かな~? とは思いつつも前席の二人の目を見るととても真剣な顔で気更来(きさらぎ)さんと羽衣(はごろも)さんが(うなず)いた。

 

「では、脱ぎます」

 

 決意を込めてそう言うと皆、他所(よそ)を向いてくれる。前をはだけ、腕を抜き、ズボンを脱ぎ肌着のみとなった。

 

「はあ~はあ~、強烈ですね~」

 

「そうだな……」

 

 喜多村家の護衛が呼吸を荒くしながら話す

 

 もしかして……(にお)う、とか?

 

 一晩、お風呂入ってないしなあ~。かなりの強行軍で汗もかいている。

 

 そう言えば、病室でマキナと香具羅(かぐら)メイに(はさ)まれて寝汗かいてる。

 

 (にお)っても不思議じゃない。そう思い自分の(わき)の匂いを()ぐ……。

 

 ちょっと(にお)うか……な? まあ、自分じゃ分からない。

 

 護衛の歩鳥(ほとり)さんと斎木(さいき)さんは平気みたいなんだけど。

 

「ぬげました……」

 

 そう宣言すると歩鳥さん顔を(そむ)けたまま脱いだ自分のジャケットを渡してくれる。

 

 礼を言って、ボクは受け取り羽織(はお)る。うん、そっちはそっちで女の匂いにまみれてる。

 

「もう見ても良いですよ?」

 

「キョウ様、やはり、はあ~、やめませんか? はあ~」

 

「匂いが……(すご)い……です」といいながら車のドアを開けて外に出る羽衣さん。

 

「ええ~っ、そんなに(くさ)い? ボク」

 

 あんまりだわ、それ。ボクってそんなに(にお)う? (くさ)い? ショック!

 

 両(どなり)の二人はそうでもないけど、喜多村家の護衛は()ったように顔を赤らめ(うつ)ろになっている。

 

「どこかでシャワー、()びた方がいい?」

 

「そんな場所、ありませんよ」

 

(みんな)緊急(きんきゅう)警護(けいご)態勢(たいせい)で行く。私と羽衣が前、歩鳥と斎木は後方を頼む。──」

 

 一呼吸ためて見回したのち、気更来(きさらぎ)さんは「行くぞ!」と気合いの声を上げる。

 

「「「おう!」」」

 

 残る三人は声を合わせて合意した。

 

 歩鳥さん、斎木さんが背後から警棒を取り出し握《にぎ》る。

 

 そんな、気合い入れるほど?

 

 降車すると、警棒を伸ばすシュッカチッと音がする。

 

 前の二人も一緒で警棒を取ると伸ばし、手元のスイッチを入れバチバチと音をさせる。

 

 四方(しほう)(まも)られながら、ボクは駐車場から店内へ。

 

 心なしか、皆さんふらふらして足許(あしもと)覚束(おぼつか)ない。

 

 周りに目を配りながら歩道を急ぐ。開店直後くらいだろう、人は(まば)らだ。

 

 店内へ向かう人はボクたちを見るとギョっとして凝視(ぎょうし)してくる。

 

 四人が臨戦(りんせん)態勢で|護(まも)っている。そのボクはぶかぶかのジャケットを羽織っただけだから。

 

 服の下に伸びる脚はタイツを()いてるだけだった。

 

 脚を出すのは間違いじゃ? これこそ煽情的じゃない?

 

 注目されて(しか)るべし。

 

 店内に入って警戒しつつ足早にエスカレーターへ。二階に上がり服飾(ふくしょく)エリアへ移動する。

 

「先に肌着が欲しいな」

 

 気更来(きさらぎ)さんに希望を言う。まず下着の替えを確保しないと。

 

「くっ……了解。(おく)だ」

 

 他、三人頷くと服飾エリアを突っ切って奥のランジェリー・コーナーへ急ぐ。

 

 そこそこいるすれ違う人々に警戒しながら進む。

 

「こちらです。店員は……」

 

 特に問題なく肌着のところに辿(たど)り着いた。全然、平気で危険なんてない。

 

 でも開店直後でランジェリー辺りには店員さんはいない。朝の整頓(せいとん)陳列(ちんれつ)なんかをしているのかな?

 

 

「これと……これ。あ、これも良いな……」

 

 買い物カゴを見つけて抱えると見つけた肌着をカゴに入れていく。

 

 気づけばなんだか、周りから徐々(じょじょ)に人が集まってきた。

 

「キョウ様、グールが匂いを嗅ぎ付けてきました」

 

 なんですと? 周りを見ても普通に女性がいるだけ……でもなかった。

 

 匂いを()ぐ仕草でふらふら歩きよって来るようだ。

 

「そんなにボクって(くさ)いんだ……」

 

 そんな人たちの包囲網が(せば)まってくる。

 

 ちょっと(まず)いかも?

 

「気更来さん、大丈夫そう?」

 

「まだ大丈夫です。肌着をかき集めたら移動します。お早く」

 

 ボクは頷いて、ラックから取る手を早めた。

 

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