【悲報】皆がボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~   作:ペロりねった

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07.なぞの鏡

 

 

 洗い物を赤井さんと片付けて、自室に上がる。

 

 運んでもらったバッグからすべて取り出してベッドに並べていく。

 

 衣服はかさ張(ば)るなあ。ハンガーはさすがに入ってない。

 

 そう言えば、クローゼットはどこだろう? 立派(りっぱ)な部屋なんだから、きっとウォークインクローゼットが備(そな)わってるんだろうな。

 

 中身を広げる手を止めて、部屋を眺(なが)める。

 

 見回すとベッドの正面の壁(かべ)が鏡(かがみ)になってるんだけど、そこが怪(あや)しい。その前に立って見る。

 

 ドアの傍(そば)だから出掛(でか)ける前、姿見代わりに着替えた姿をチェックできるから便利ではある。

 

 その近くにクローゼットがあるはず。

 

「これ、どうなってるの?」

 

 探してみても取っ手もフック状のところもない。引っ張るんじゃないのかしらん?

 

 引いてダメなら……ってことか?

 

 そう思って鏡に体重をかけるとカチっと音がして鏡一枚が壁面(へきめん)から浮(う)いた。なるほど一部が扉(とびら)になってるのか。

 

 浮(う)いてできた隙(すき)間に手を差しこんで鏡の扉を開くと、その中は想像どおりウォークインクローゼットになっていた。

 

 暗い中へ恐る恐る入ると自動で天井の照明が点灯した。中には少し衣装(いしょう)が下がっていた。

 

 常備(じょうび)の服? バスローブとかスウェットとか。室内着が備えてあるのかな?

 

 見回すと、横の壁にもスイッチがあるな。自動と手動に切り替えたりするのかな?

 

 自動点灯にしていないと切り忘れるだろうから弄(いじ)らなくてもいいか。

 

 なんとなく鏡の裏(うら)が目に入って、自分の影が落ちたところから室内が透(す)けて見えた。これ、マジックミラーだ!

 

 えっ、なんでマジックミラーになってるの?

 

 クローゼットから部屋を見ることってある?

 

 侵入(しんにゅう)犯(はん)から逃(のが)れるのにクローゼットに避難(ひなん)するとか?……。なんでだろうと考えても分からない。

 

 少しばかり透(す)けたその壁に顔を近付けて眺(なが)めていた。

 

 鏡の正面にはエンプレス・サイズのベッドが鎮座(ちんざ)している。

 

 その時、閃(ひら)いた! いや、思い浮かばなきゃよかった。

 

 これは、そのものズバリ、覗(のぞ)き部屋だ。いや、たまたま鏡を設置(せっち)したら覗きもできてしまった可能(かのう)性も……それは無いな。

 

 無いない。だって鏡の裏(うら)の質感(しつかん)が違(ちが)うもの。確信(かくしん)的にマジックミラーを使ってる。

 

 こんなところにマジックミラーを据(す)えて誰(だれ)が得する? 考えても利点がない……と思う、たぶん。

 

 まあいいや。衣装(いしょう)はここに片付けよう。

 

 薄(うす)暗(くら)くなっているのでテーブルの上にあった照明リモコンで部屋を明るくする。

 

 それとカーテンはどう締(し)めるんだろう。

 

「あとでマキナさんに設備(せつび)の説明を訊(き)こう」

 

 

 それからは、学校の制服や普段着などを吊(つ)るして、肌着などは衣装棚(たな)に仕舞(しま)っていった。

 

 程(ほど)なく、赤井さんが入浴(にゅうよく)できると報(しら)せてくれたので、着替えなどを掴(つか)んで一階に下りた。

 

 浴室は、洗面所兼(けん)脱衣(だつい)場の奥(おく)になる。重ねられた脱衣籠(カゴ)の一つに脱(ぬ)いだ服を放り込み浴室に入る。

 

 生活用品の盲(もう)点で、荷物の中にシャンプー類(るい)は含(ふく)まれていなかった。だと言うのに、特別なボディソープは入っていた。

 

「これは、母の心遣(づか)いだろうか?」

 

 身体をキレイにすると言うだけでなく、美肌(びはだ)効果やバラの香りがするなど婦夫(ふうふ)生活をよくする為(ため)には必須(ひっす)というレアものだ。

 

 初夜(しょや)的な間違(まちが)いが起こる、起きる覚悟(かくご)はしろという、いささか気を回しすぎな心遣い。

 

 浴室にあったマキナさんのシャンプーで髪は洗い、身体はスペシャルソープで洗って浴槽(よくそう)に浸(つか)かる。

 

 たぶん、まだ足りないものがあるだろうけど、その都度(つど)そろえていくしかないなあ~、と歯磨(みが)きしながら考えた。

 

 ぼ~っと頭を空っぽにしてお湯の温かさに身体を弛緩(しかん)させていると脱衣場の方から物音がする。

 

 赤井さんかな。片付けとかしてるのか、と思っていたら浴室のガラス扉に人影(ひとかげ)が映(うつ)った。

 

「キョウ君、逆上(のぼ)せてない?」

 

「だ、大丈夫(だいじょうぶ)ですよ?」

 

 長風呂なのを心配してマキナさんが見に来てくれたらしい。

 

「そう。ならいいけど。赤井さんが心配だから見てこいって言ってさ……」

 

「はい。もう上がるのでマキナさんは準備してもらっていいですよ」

 

「分かった。全(まった)く……」

 

 マキナさんが遠ざかると遠くで言い合いのような話声がした。

 

 マキナさんが私の無事を赤井さんに言ってるのだろう。

 

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