大海は視えず   作:魔剣グラム

3 / 7
2話

「教える気はない、かな」

俺は言う。

………教えたとしても、こっから先はあんまり伸びが悪い。

俺?

俺は、ほら。『能力が特別すぎるから(・・・・・・・・・・)』。

 

俺は(・・)公式の試合に出ることを(・・・・・・・・・・・)禁止されてるから(・・・・・・・・)

 

俺の能力的に、そぐわない(・・・・・)って判断されて。

「………そう、ですか」

黒鉄妹は残念そうであった。

1流と言っても過言ではない魔力制御ではある。

 

だが、俺の超が10個くらいつく1流の前には形なしだ。

と言っても俺の場合は、この魔力制御技術なのはあたりまえ(・・・・・)なのだが。

………え。俺の『能力』を知りたいって?

特別なものでもなんでもない。  

 

極々、普通の水使いだ。 

 

表向きではそうなっている(・・・・・・・・・・・・)し、実際にそうだ(・・・・・・)

 

ちょいとばかり特殊ではあるが(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「……授業後の特別授業なら教えてもいいが。ムリなら全然」

「教えてください!」

喰いぎみに来た。

「私、どうしてもあの雌ぶ、じゃないステラさんに勝たないといけないんです!」

 

………。コイツ、皇女様のこと雌豚って言おうとしなかったか?

 

「じゃあ、ついてこい」

どうでもいい。向上心があるならなんでも。

 

「………コレ、は、?」

「バケツだ」

授業が終わってからの空き教室。

黒鉄妹の目の前には8割くらい、水を注いだバケツがあった。

正確にはたっぷりと水を張ったバケツを2つ用意した。

「この水の中に手を突っ込む」

右手を突っ込むと、あたりまえだが波紋が浮かぶ。外に、外に。広がっていく。

「それを…」

波紋が消えてゆく。

最後の波紋が消えた。バケツの中の手をグルグル回しても、鏡の水面は動かない。

黒鉄は瞠目した。

「慣れると」

勢いよく手を突っ込む。

水が跳ねる。もしかしたら溢れるかもしれない。普通なら(・・・・)

だが、勢いよく手を突っ込んでも。鏡の水面は動かない。波紋すらも起きない。

さらに黒鉄は大きく目を見開く。

「コレができて1流よ。魔力制御の道は遠いぞ?」

あ。

「氷のやり方を教えておこう」 

もう一つのバケツに左手をかざす。

手のひらに氷の塊。手の甲には水。

「これを下は凍らせないように。上は溶けないように保つことぐらいだな」

手のひらの氷を手の甲へ。手の甲の水面は氷塊へと。個体と液体を入れ替える。

だが、間違えない。

 

相変わらず個体は溶かさず、液体は凍らず。

この程度できると、1流が超1流になる。

 

「慣れてくると左右の手を入れ替える」

氷を水に戻す。

水を氷にする。

 

「コレができて超1流だ」

 

ちなみにすんなりできるとは思っていない。

 

数ヶ月はかかるだろうと見込んでいる。

その間、サボれると。

 




修行方法は『魔拳のデイドリーマー』と全く同じです。

水って、なんかハデな使い方ないです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。