「教える気はない、かな」
俺は言う。
………教えたとしても、こっから先はあんまり伸びが悪い。
俺?
俺は、ほら。『
俺の能力的に、
「………そう、ですか」
黒鉄妹は残念そうであった。
1流と言っても過言ではない魔力制御ではある。
だが、俺の超が10個くらいつく1流の前には形なしだ。
と言っても俺の場合は、この魔力制御技術なのは
………え。俺の『能力』を知りたいって?
特別なものでもなんでもない。
極々、普通の水使いだ。
「……授業後の特別授業なら教えてもいいが。ムリなら全然」
「教えてください!」
喰いぎみに来た。
「私、どうしてもあの雌ぶ、じゃないステラさんに勝たないといけないんです!」
………。コイツ、皇女様のこと雌豚って言おうとしなかったか?
「じゃあ、ついてこい」
どうでもいい。向上心があるならなんでも。
「………コレ、は、?」
「バケツだ」
授業が終わってからの空き教室。
黒鉄妹の目の前には8割くらい、水を注いだバケツがあった。
正確にはたっぷりと水を張ったバケツを2つ用意した。
「この水の中に手を突っ込む」
右手を突っ込むと、あたりまえだが波紋が浮かぶ。外に、外に。広がっていく。
「それを…」
波紋が消えてゆく。
最後の波紋が消えた。バケツの中の手をグルグル回しても、鏡の水面は動かない。
黒鉄は瞠目した。
「慣れると」
勢いよく手を突っ込む。
水が跳ねる。もしかしたら溢れるかもしれない。
だが、勢いよく手を突っ込んでも。鏡の水面は動かない。波紋すらも起きない。
さらに黒鉄は大きく目を見開く。
「コレができて1流よ。魔力制御の道は遠いぞ?」
あ。
「氷のやり方を教えておこう」
もう一つのバケツに左手をかざす。
手のひらに氷の塊。手の甲には水。
「これを下は凍らせないように。上は溶けないように保つことぐらいだな」
手のひらの氷を手の甲へ。手の甲の水面は氷塊へと。個体と液体を入れ替える。
だが、間違えない。
相変わらず個体は溶かさず、液体は凍らず。
この程度できると、1流が超1流になる。
「慣れてくると左右の手を入れ替える」
氷を水に戻す。
水を氷にする。
「コレができて超1流だ」
ちなみにすんなりできるとは思っていない。
数ヶ月はかかるだろうと見込んでいる。
その間、サボれると。
修行方法は『魔拳のデイドリーマー』と全く同じです。
水って、なんかハデな使い方ないです。