容赦のない飯テロに晒されつつもダイエットがんばるデリシャスパーティ♡プリキュア   作:爆散マッスル☆叡智

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プロローグ

 

 

 

 ようこそ、オイシーナタウンへ!

 まずはゆいちゃんから、皆様へのご挨拶――――

 

「あーん! パクッ。

 ん~♪ デリシャスマイルぅ~☆」

 

 生のニンジンに齧り付き、とても幸せそうに笑う、ゆいちゃん。

 でもすぐに「おっ!?」とこちらに気が付き、慌てて向き直ります。

 

「あたし、和実(なごみ)ゆい。

 食べるの大好き、中学二年生ぇー!」

 

 弾けるような笑み、とても活発な声。

 ピンク色のリボンで結ばれた、茶色いツーサイドアップの長い髪が、ゆいちゃんの動きに合わせてフワリと揺れます。

 そして、元気にピースサイン☆ その愛らしさといったらもう! もう! まさにヒロインの風格っ!

 私の孫であるという贔屓目を抜きにしても、ゆいちゃんの可愛さは天下無双なのです♪

 

 けれど、とても残念な事に……、今それを物影から見つめつつ、恨めしそうにギリギリと歯ぎしりをする、ひとりの女の子の姿が。

 

 

「に、ニンジンうまそうです……。()()()()()()()()()()()()

 

 

 空腹に耐えかね、血走った目でなんとも情けない事を口走っているのは、細井(ほそい)さやかちゃん。

 愛嬌のある童顔や、ピョコピョコと揺れる可愛いポニテの髪はともかく、そのお顔は年頃の女の子とは思えないくらい、酷くやつれていました。

 元気で健康その物であるゆいちゃんとの対比が、ホント凄い事に。

 

 ポリポリと美味しそうに人参を食べる、ゆいちゃん。

 対して、まるで親の仇でも見るような目で、彼女の口元をじ~っと凝視している、さやかちゃん。

 滝みたいにダーダーよだれを垂らしているので、早くだれか拭いてあげた方が良いんじゃないか~って思います。女の子なんですから。

 

「お腹が空きました。お腹が空きました。

 この世から消え去りたい位の気持ちですぅ」

 

 減量末期の力石徹みたいな顔で、「ちくしょうちくしょう」と地面を殴ります。

 なんでこんな想いしなくちゃいけないのよと。すごく惨めな気持ちです。

 

 そして、これまた難儀な事に、この子もゆいちゃんと同じ()()()()()()()()()()()()

 女の子の夢と言っても過言じゃない、光の戦士プリキュアたる乙女が、いま可哀想なくらいお腹をグーグーと鳴らし、力なくペタンと女の子座り。

 時折「おぉぉ……」という、言葉にならない呻き声をあげてますし、まるでゾンビみたいでした。

 

「ニンジンのカロリーは、100gあたり“39kcal”です……。

 これは、100m走を6回くらいできる熱量なのです。

 カリウムやβカロテンも豊富に含まれてるので、高血圧の予防や、免疫力の向上が期待できますぅ……」

 

 なにを言うとんねん――――って感じですが、選ばれちゃった物は仕方ない。

 さやかちゃんもプリキュアとなった以上は、自分なりに頑張っていくしかないんだと思います。

 むしろプリキュアであるからこそ、「どんな時も諦めない」という姿勢を、テレビの前のお友達に示し続けていく事が、求められているのです。

 

 でもプリキュアだって、泣きたい日もあるし。

 こうして天を睨んで、血涙を流すことだってあるし。

 時にはあたたかな毛布のような心で包んであげる必要性も、とうぜん出て来るワケです。

 

 いくらこの子が“歴代最弱のプリキュア”と呼ばれてるからって、しかも()()()()()だからって……。こんな健気で可愛らしい女の子をバカにしたり、ネットで叩いてはいけないと思います。

 匿名だからって、何を言っても良いだなんて大間違いです。

 

 画面の向こう側にいるのは、自分と同じ人間である――――

 その意識を、私達は決して忘れてはいけないのです。

 

「あ、こんな所に石があるぅ……。

 これ食べれば、空腹を紛らわせるかも(虚ろな目)」

 

 はいっ! そろそろさやかちゃんの精神が拙い事になっているので、ここで本編の方に行きましょうか♪

 今からお見せするのは、先日ゆいちゃん&さやかちゃんが、この世界から全ての料理を奪おうとする悪者“ブンドル団”と戦った時の様子です。

 この世界の護り手たる、光の戦士プリキュアとして。

 

 

「えっとぉ……石のカロリーって、100gあたりいくらd

 

 ――――行きましょうか!!(大声)

 

 

 

 

 

 

 

 

体脂肪を燃やせッ!

変身! キュアアピタイト

 

 

 

 

 

 

 

「ジェントルー! こんな所にっ!」

 

 左手にあるハートキュアウォッチ*1の導きによって、ここに駆けつけたゆいちゃん達。

 

 沢山の食べ物屋さんが所狭しと並び、世界中の料理が集まる“オイシーナタウン”。

 今その一角で、ゆいちゃんの決意に満ちた声が、響き渡りました。

 

「やはり来たか、プリキュア」

 

 民家の屋根の上。黒いローブを翻しながら、ゆっくりとこちらに振り向いたのは、ジェントルーと呼ばれる少女。

 三つ編みにした長い銀髪の髪が美しく、静かな声と落ち着いた佇まいをしています。

 一見すれば、とても素敵な女の子に見えるのですが……、しかし彼女は怪盗ブンドル団の一員。プリキュアと敵対する者なのです。

 

 彼女を始めとするブンドル団は、「世界中の料理を独り占めする」という野望を目論む組織。

 おいしい料理に宿ると言われている妖精“レシピッピ”を狙い、いつもこうしてオイシーナタウンに現れては、悪事を働くのでした。

 

「ジェントルー、もつ煮込みのレシピッピを返して!」

 

「そうコメ! たこわさのレシピッピをかえすコメ!」

 

「焼き鳥(砂肝)のレシピッピと、なめろうのレシピッピも返しなさいっ! 可哀想でしょ!」

 

 順番にゆいちゃん、エナジー妖精のコメコメ、ローズマリーことマリちゃん。

 彼女たちは強い瞳でジェントルーを見つめ、堂々と対峙します。

 

「なんで今日は、()()()()()()()()()()()ばかり!

 あたし戸惑っちゃったよっ!」

 

「そんなの狙ってどーするコメ! チョイスが尖ってるコメ!」

 

 いつもならば「ぜったい許せない!」という気持ちが湧くのですが、でも今日に限っては、みんなフワフワしています。

 もつ煮込みとか、たこわさとかは、正直食べた事ありません。ぜんぜん思入れが無いのでした。

 きっとジェントルーちゃんも、そうだと思いますし。

 

「黙れプリキュアめッ!

 お前達を倒したら、あぶったイカのレシピッピと、ぬるめの燗のレシピッピも頂くからな!」

 

「――――オッサンに恨みでもあるの?! やめたげてよ!」

 

 きっとこれは、ブンドル団のトップである“ゴーダッツ様”の注文なのでしょう。でもお酒のアテを奪われてしまったら、世のお父さん達が悲しみます。

 幸せな食卓……というよりも、日々がんばって働いている企業戦士たちの為に、プリキュアは戦うのでした。

 

 関係ないですけど、いつもは「ピピィ~♪」と愛らしく鳴く、レシピッピたちの声が、今日はとても野太いです。

 まるでオッサンの声のように聞こえるのは、ゆいちゃんの気のせいでしょうか?

 

「も……モツ煮おいしそうですぅ。食べたいですぅ……」

 

「えっ、さやかちゃん食べた事あるの? すごい!」

 

 そして、今マリちゃんの背中で「グッタリ!」としているさやかちゃんが、消えそうな声で呟きました。

 彼女は日々の過酷なダイエットによって、心身ともに限界にあります。戦う前から疲れ果てているのです。

 なので、こうしてマリちゃんにおんぶされ、ここまで運んで貰っていたのでした。

 

 ゆいちゃんは「おっとなー♪」とキラキラした目で見ていますが、さやかちゃんは今それどころじゃありません。致命的に栄養が枯渇しているのです。

 身体能力のパフォーマンスは劇的に低下し、立って歩くことすらままならない。それどころか常に意識は朦朧とし、たまにヨクワカラナイ幻覚を見たりします。

 

 最近では「お腹が空いて眠つけない」どころか、「お腹が空き過ぎて目が覚めちゃう」という悲惨な状態に陥っており、睡眠時間すらロクに取れていません。

 

 なので正直、もう戦いどころじゃない状態なのですが……、でも生来がんばり屋さんな彼女は、こうしてマリちゃんに背負われながらでも、レシピッピを取り戻しにやって来たのでした。

 

「ねぇどんな感じ? モツ煮ってどんな味? おしえておしえて♪」

 

「コメコメもしりたいコメー☆」

 

「えっとぉ、なんかプルプルしててぇ、やわらかくってぇ。

 ホルモン独特のまろやかな味わいが……ってお腹が空きましたぁ~」グッテー

 

 追い打ち。無邪気な飯テロ――――

 脳内でモツ煮を思い描いちゃったさやかちゃんは、糸が切れた人形のように撃沈。白目を剥きます。

 また滝のように涎を垂らしているので、早く誰か拭いてあげて。女の子なんですから。

 

「あのぅ、マリちゃんさん。モツ煮で思い出したんですけどぉ。

 たま~にウチ、『腹に包丁ぶっ刺したら、グーペコまぎれるんじゃないかな?』って思う時あってぇ……」

 

「さやか、気を確かにもつの。思い留まって」

 

 みんなのサポート役を務めるマリちゃんが、優しく手を握って諫めます。

 さやかちゃんは「あ゛あ゛あ゛……」とナチュラルにデスボを出しながら、未だに虚ろな目。

 もうプリキュアというよりも、大戦末期の日本兵みたいな感じですが、それでもなんとかアライブ。

 今はちょーっとばかり元気はないけれど、さやかちゃん今日もバッチリ可愛いです。頑張って欲しい(切実)

 

「えっと……、こんなこと言うのも何だけど、サンドイッチ食べる? 

 私お昼に食べようかなって思って、鞄に入れてたのよ。

 貴方がいつも頑張ってるのは、もちろん知っているけれど。

 でもほら、これから戦いなんだし……」

 

「いえ、ウチは自分を追い込んでいる時が、一番充実するタイプの人間なのですぅ」キリッ

 

 なので、お気持ちだけ有難くちょーだいしますぅ――――とさやかちゃんは固辞します。

 その照れ臭そうに「えへへ♪」と笑う顔は、たいへん愛らしいのですが、正直これは、()()()()()()()()()()()()()

 

 たとえ貧血で倒れようが、幻覚を見ようが、決してダイエットを止めようとしない。頑ななまでに自分を追い込んでいく、その姿よ。

 こんなの友達や家族からしたら、危なっかしくて仕方ない。心配で心配で堪らないのです。

 ゆいちゃんもマリちゃんも、もう何度さやかちゃんを縛り付け、口にアンパンねじ込んでやろうかと思った事か。無理やりコーラ飲ませようとした事か。

 

 彼女がプリキュアとなったキッカケや、ダイエットを志すようになった理由などは、また後日あらためてお話しようと思いますが……。

 とにもかくにも、さやかちゃんの意志は鋼のように固く、烈火の如く燃え盛る情熱を以ってダイエットに打ち込んでいるのでした。

 

 ちなみに余談ですが、この子は()()()()()()()()()()()()

 むしろ、後に仲間入りするキュアヤムヤムこと“らんちゃん”よりも小柄で、男性としては細身であるマリちゃんでも「~♪」って感じでおんぶ出来ちゃうくらい、軽めの体重だったりします。

 けれど、現在のさやかちゃんは、まるで何かに憑りつかれたかの如く、鬼気迫る勢いでダイエットに励んでいるのでした。まだ中学二年生だというのに。

 

 いったい何が彼女をそうさせるんだ……と思わざるを得ませんが、その決意は並々ならぬ物。

 たとえ、どれほど意味のない物に見えたとしても、人から見ればバカにされちゃうような物でも、これは大切な大切な“彼女の意志”です。

 

 友達として、プリキュアの仲間として、みんなは現状、さやかちゃんをあたたかく見守っており、そして心から応援しています。

 また、もし何かあった時は真っ先に駆けつける事が出来るよう、みんなで協力して24時間体制でスタンバっているのでした。

 数時間毎の定期連絡を怠らず、非常用の点滴とかおにぎりとかを常に持ち歩いて。

 

「分かったわ、さやか……。

 じゃあこれが終わったら、()()()()()()()()()()()()

 ハンバーグいきましょうハンバーグ!」

 

「ふぁ! ファミレス三昧ぃぃ~~!?!?」

 

 ピシャーン! とさやかちゃんの背後で雷が落ちます(漫画的表現)

 流石にモツ煮とかは無理だけど、後でみんなでご飯に行くことが 大 決 定 ☆

 

 ちなみにですが、これはさやかちゃん達みんなで話し合って決めた、このダイエットにおける“超法規的措置”とも言える物。

 プリキュアの戦いというのは、とんでもなくハードで、とってもエネルギーを消費しちゃいますので、【プリキュアになった日は何を食べても良い】というルールが、特別に定められているのです!

 もうチートデイとかそんなの関係無しに! 好きなだけ食べてもOK! そういう決まり!!

 

「そうよさやか!

 だから、今だけがんばって、後でお腹いっぱい食べましょ?

 ね、みんなっ♪」

 

「うんっ! ガストいこうガスト!

 それともさやかちゃんは、ジョリーパスタの方が好き? ピザとかもあるよ~♪」

 

「さやかはピザがすきコメー! ジョリパがいいとおもうコメー☆」

 

「ぴぴぴ、ピザぁ!? そんな暴挙が許されるんですかぁ?!?!」

 

 あわわわ……あわわわ……!

 そう見えないくらい膝をガクガクさせて、何度もなんども「いいんですか!?」と確認する。

 

 きっとさやかちゃんは今、「こんなウチが、ピザを食べても良いんですか……?」という気持ちでいる事でしょう。

 ダイエットなんて物をやってると、時に人はすごく()()となり、もう自分なんて何の価値もない人間なんだ~、獣以下のゴミクズ人間なんだ~とか思ってしまいがち。

 ご飯をロクに食べないせいで、常に体調が最悪ですので、それと同じようにメンタルも沈んでしまう。とってもネガティブになってしまうワケです。

 

 ゆえに、自分みたいなしょーもないモンが、人間さまと同じ食事をしても良い物なんだろうか?

 ピザなんていう特権階級の食べ物を、口にしても許されるんだろうか? 怒られたりしないだろうかと、不安になっているのでした。メンドクサイ事に

 

 ダイエットを始めてからというもの、さやかちゃんは鶏むね肉とか、お豆腐とか、ノンオイルのツナ缶といった、いわゆる“味のしない物”しか食べていません。

 たまーにオヤツを食べるかと思えば、一応はチョコ味を謳っているだけのプロテインドリンク、そしてタンパク質が豊富なスルメくらいのモンです。

 

 そんな彼女にとって、この「ピザを食べる」という行為が、一体どれほどの重みを持つ事かッ! 皆さんに想像出来ますでしょうか!?

 クリスマスとか、誕生日とか、お正月とか、もうそんなレベルではありません! クラリネットに憧れる少年なんて、相手にならないです!

 

 比喩や誇張を抜きで、ひとくち食べた途端に、ポロポロと涙が零れる――――

 そして厳かに膝を付き、「生まれて来て良かった」と神に感謝する――――

 

 常に体内のエネルギーが枯渇し、頬が痩せこけるどころか意識すら朦朧。

 そんな「もうピクリとも動けん」という凄まじい倦怠感の中で、本当に久しぶりに口にする、人間らしい食事……。あったかいごはん……。

 

 それが、ダイエットにおける“ピザ”なのです。

 

 

 

「――――プリキュア゛ッ! デリシャスタンウ゛ァイッ!

 パ ー テ ィ ・ コ゛ォ ォ ォ オ オ オ ー ー ウ !!!!!!(迫真)」

 

 

 

 まるで、スーパーロボットアニメもかくやという声。

 天地を割るほどの凄まじい雄たけびが、オイシーナタウンの空に木霊しました(無駄に)

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「う゛おぉぉぉおおお!!!!

 シェアリンッ……えなじぃぃぃいいいーーっっ!!!!(必死)」

 

 引っ込み思案をかなぐり捨てての、裂帛の気合。

 それと共に、さやかちゃんの腰にあるポシェットから、相棒であるエナジー妖精の“ミルミル”が飛び出しました。「ミルー!」っとカワイイ声を上げて。

 

 この子はオートミールの妖精。“燕麦”の別名の通り、鳥のような見た目をしています。

 今ミルミルが、一生懸命パタパタと小さな羽を動かし、プリキュアに変身する為のパワーを、さやかに分け与えました。

 キラキラと輝く緑色の力の奔流が、彼女の手元に集まっていき、それはひとつのお皿のような形になっていきます。

 ミルミルを象徴する料理、オートミールがそこに入っていました。

 

「……まっずぅ~」ボソッ

 

 愛用のマジカルなスプーンを使い、そのお皿からひとくち食べた途端、さやかちゃんの眉がグニャリと歪み、眉間に皺が寄りました。

 まあこの食事は、プリキュアに変身する為の儀式のような物で、マジカルなパワーを体内に取り込む為におこなうアレですので、味がどうとかは関係ありません。

 

 関係無いですが、オートミールは本来“家畜の餌”として使用されていた穀物であり、主に鳥さんとかが食べる用の物。

 近年、その非常に優れた栄養価が見直され、こうしてダイエッターなどの身体作りに励む人たちの間で、広く食されてはいるものの……。もう味の方は()()()()()()といった感じです。

 

 さやかちゃんの心から漏れ出した小さな呟きは、今この場に吹き荒れるマジカルな奔流によって、掻き消されて行きました。誰にも聞こえなくて良かったです。

 

「未来をっ!」

 

『ミルミル♪』

 

「明日をっ!」

 

『ミルミル♪』

 

 さやかちゃんとミルミルが、ダンスを踊るようにして戯れます。

 そしてキラリン☆ キラリン☆ という音と共に、さやかちゃんのガリガリなボディが、次々とドレスを纏っていきます。

 これはプリキュアの衣装である“光の衣”です。

 

 まぁドレスといっても……なぜかスポーティなタンクトップであったり、とても動きやすそうな短パンだったりはするのですが。

 フワフワのヘアバンドや、お膝にあるサポーターちっくなのや、手首に付けているリストバンドがオシャレを演出しているものの、せめてスカートくらいは穿かせてあげたかった……。

 

 いくらダイエッターだからって、そんな機能美に溢れた恰好をしなくても……と老婆心ながら思わずにはいられません。

 おんなじプリキュアであっても、隣に居るキュアプレシャス( ゆいちゃん )とは大違い。ぜんぜんフリフリしてませんもの。普通にジムとかに居そうな恰好です。

 

 そして、さやかちゃん達が言う未来とは、少しだけ先の姿。いわば“痩せた自分”のことを示しています。

 ダイエットを頑張って、いつかスマートなボディを手に入れる! ぜったい手に入れる! そんな覚悟と決意がここでも表れているのでした。

 

 

「砂糖の1gは、命より重い! ――――キュアアピタイト!」キュピ-ン

 

 

 さやかちゃんこと【キュアアピタイト】が、バシッと決めポーズ。

 変身を果たした事で、腰まで届く位に長くなったポニーテールの髪を、フワッと優雅になびかせて。

 でもなんか、プリキュアらしからぬ表情というか、()()()()()()()()ように見えるのですが。

 正義の心が迸っているのかな?

 

 

「生きてる意味をっ……、教えて下さいっ!(懇願)」

 

 

 お も た い 。

 とてもじゃないですが、小さな女の子向けアニメで言うような決めセリフじゃありませんでした。

 

 日々ダイエットで食事管理をし、正直ロクなものを食べていないキュアアピタイトは、もう食事という物に何の楽しみも見いだせなくなっていて、既に“生きる喜び”すらも見失っているのです。

 

 毎日毎日、来る日も来る日もオートミール。そして味気ない鶏むね肉や、ノンオイルのシーチキンばかり。

 そんなものばかり食べていたら、この子の瞳から光が失われるのも当然。

 そりゃあ時には「私ってなんのために生きてるんでしょうか?」とか訊ねたくもなります。

 だって彼女の人生には、食の喜びが()()なんですもの。誰か教えてくれってなモンでした。

 

「あ、マリちゃんさん。

 変身が終わりましたので、またお願いしますぅ」

 

「え、ええ……。どうぞおぶさって頂戴」

 

 プリキュアとなり、気合の入った笑顔を見せたのも束の間。

 キュアアピタイトは「ん!」って感じで、可愛くマリちゃんに両手を突き出します。ようは子供がやるような、「だっこしてくれ」の意思表示。

 

 いくら変身したからって、栄養失調の身体はマトモに動いてはくれません。

 それどころか、さっきは頑張って大声を出したり、ミルミルとダンスちっくに戯れたりしましたので、余計にカロリーを消費してしまいました。

 女の子の憧れたる存在、光の戦士プリキュアとなったと言うのに、今のさやかちゃんの顔色は、先ほどよりもずっと悪くなっています。

 ミルミルのオートミールが、すっごい不味かった事もあり、余計に体調を崩したのでした。

 

「プレシャスの方も、変身が完了したみたいね。

 じゃあ私達は、いつも通りいきましょうか……」

 

「はい。プレシャスが頑張っている隙に、コソコソ隠れながら敵に近付きましょう。

 ()()()()()()()()()()()()

 

 マリちゃんの背中にいるアピタイトが、「えへへ……」と暗い笑みを浮かべながら“包丁”を取り出します。

 これは彼女のプリキュアとしての武装であり、れっきとしたマジックアイテム。でもホームセンターで売っている包丁と、なんら見た目は変わりません。

 

 というか、プリキュアは徒手空拳で戦う~というイメージがあるのですが、なぜかアピタイトは最初から包丁を所持していました。さも当然の如く。

 アピタイトはその過酷なダイエット生活によって、痩せるというよりも()()していますので、きっとどこかの誰かが赦してくれたのかもしれません。武器を使って戦うことを。

 

「ほら、プレシャスがんばってるわ。勇ましい姿ね」コソコソ

 

「どっごんどっごん殴ってますぅ。カッコいいですぅ」コソコソ

 

 岩とか物影とかに隠れながら、ゆっくりと敵に近づいていく二人。

 サポート役であり、非戦闘員であるマリちゃんはともかく、とてもじゃないけれど光の使者の姿には見えません。

 

 そんなこの子を余所に、今ゆいちゃんことキュアプレシャスが、ジェントルーが召喚したモンスター“ウバウゾー”との戦いを繰り広げています。

 きっと、居酒屋の店先にある“ちょうちん”にでも、ビビビッと魔法をかけたのでしょう。その姿は手足の生えた提灯その物。

 けれど、そのどこかコミカルな見た目とは裏腹、10メートルを軽く越す巨体ですので、パワーは相当の物です。

 そのような巨大な敵を相手に、元気印のキュアプレシャスは一歩も引きません。「おりゃー!」とばかりに次々と拳を繰り出します。

 

「500kcalパンチって、すごいですぅ。

 あんなにおっきなウバウゾーを、どーんって」

 

「ええ、おもいっきりブッ飛んだわね。流石はプレシャスの必殺技だわ」

 

「ちなみに500kcalは、ごはんで言えば、お茶碗2杯分のカロリーですぅ。

 これを消費しようと思えば、だいたい11㎞くらいランニングする必要がありますぅ」

 

「け、けっこう走らなきゃいけないのね……。大変じゃないの……。

 その分のエネルギーを込めてるんなら、あの破壊力も当然かも?」

 

「あれを喰らえば、ウチもお腹いっぱいになれますかぁ?

 あとでプレシャスに殴ってもらおうかなぁ」

 

「おやめなさいアピタイト。死んじゃうわ。

 素直にごはん食べましょうよ……もうっ」

 

「あの技を使うと、カロリー消費するのでしょうか?

 500kcalパンチを使えば、500kcal分痩せるとか」

 

「それは……どうなのかしら?

 あの子いつも『ハラペコったぁ~』って言ってるけど、別に戦いの後じゃなくても言ってるし。四六時中お腹空いてるイメージだもの。

 ちょっと判断が付かないから、今度ゆいに聞いてみましょうか♪」

 

「もしそうなら、羨ましいですぅ。

 ウチがアレ使えたら、もう脇目もふらず、無意味にウバウゾーを()()()()()()()

 ダイエットは修羅道なんですぅ」

 

「アピタイト? たとえ敵にだって、慈悲は必要よ。

 いくら痩せたくってもダメ……」

 

「あ! 500とかじゃなくて、もっと小刻みにやるのはどうですかぁ?

 353kcalパンチ*2とか、76kcalパンチ*3とか。

 その日の朝ごはんや、直前に食べた物のカロリーを使って、あのパンチをですねぇ~」

 

 ――――戦えと(怒)

 しょーもない事くっちゃべって無いで、貴方も手伝いなさい。そう声を大にして言いたい。

 なにを私の孫ひとりにやらせとんねんと。

 

「よーし、そろそろ目標地点に到着ですぅ。

 マリちゃんさん、ここら辺で下ろして貰って大丈夫ですぅ」

 

 そうそう! 頑張りなさいさやかちゃん。キュアアピタイトとして。

 自分なりにでも良いから、精一杯やるの。これはダイエットも戦いも一緒よ?

 そうおばさん、思わずあの子を応援しちゃいます。なんかこうして見守っていると、もうひとり孫が出来たみたいで、嬉しい気持ちなんです。

 ファイトよ! さやかちゃんっ♪

 

「――――キエェーーイ!」ドドドド

 

「ッ!?!?」

 

 そう言ってる間に、キュアアピタイトが()()()()()()()()()()()()。そのままジェントルーに襲い掛かります。

 まるで「父の仇!」と言わんばかりの、時代劇で良く見るような光景。決してニチアサのヒロインがやる事ではありません。

 

 しかもウバウゾーじゃなくて、直接ジェントルーちゃんを狙っている所が、余計に生々しい。

 奇声あげてるし、目も血走ってるし、ホントもう「殺してやるぅ~!」って感じです。

 

「わー! 死なば諸共ですぅ~っ! くだけちれー!」

 

「ッ?!?!」

 

 さやかちゃん! 笑顔! ごはんは笑顔!(必死)

 ジェントルーちゃんも茫然としてる! 「うっそだろオイ」みたいに!

 

「あっ……」

 

 しかし、目をひん剥いているジェントルーちゃんを余所に、アピタイトがドテェー! っと地面に倒れます。

 きっと、また栄養失調のせいなのでしょう。彼女の懐に飛び込む前に、足をもつれさせてコケてしまう。

 アピタイトの手からMY包丁が飛んでいき、〈カラーン!〉と音を立ててどこかに落ちました。

 

「……」

 

「……」

 

 無言で、見つめ合う二人。

 方やプリキュア、方や怪盗。光と闇。

 いっぽうは地に伏せ、いっぽうは茫然と棒立ちのまま、暫しその場に佇みます。

 

「あの~、もう一回やりなおして良いですかぁ? 今度は頑張りますぅ……」

 

「……」

 

 あと申し訳ないのですがぁ、一緒に包丁を探して欲しいですぅ。お願いしますぅ。

 そう思い切って言ってみましたが、ジェントルーちゃんは直立不動。ただただ氷のような目でコチラを見つめています。

 ダーダー冷や汗をかくアピタイト。

 

「――――せい!」

 

「ふぎゃー?!?!」

 

 成敗っ! って感じで、手刀が振り下ろされます。

 ジェントルーちゃんの放った、何気ない仕草の空手チョップが、〈ゴイン!〉ってとんでもない音を立てて、アピタイトの脳天にめり込みました。許されなかったーっ!?(迫真)

 

「プレシャス! アピタイトがやられたわ!

 いったん仕切り直すわよ~っ!」

 

「おっけー! 分かったよマリちゃーん♪」

 

 どりゃー! とウバウゾーに一発ドロップキックをかましてから、プレシャスがイソイソとこちらへ駆け寄って来ました。

 あらやだ、私の孫めっちゃ強い。圧倒的じゃないですか(ドン引き)

 

 とりあえず、今この場には、頭頂部からシュウシュウと煙を上げ、おめめをグルグルまわして失神しているアピタイトの姿が。〈チーン♪〉と音が聞こえてきそうな様子です。

 それをマリちゃん&プレシャスが二人して、甲斐甲斐しく介抱します。

 額に冷たいタオルを乗せてあげたり、点滴をうってあげたりと、もう手慣れたモノです。

 

「なぁ、いつも思うんだが……お前達は()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「そんな事ないよ! 仲間だもんっ!」プンプン

 

「なんてこと言うのジェントルー!

 アピタイトだって頑張ってるのよ!? 失礼しちゃうわ!」ムキーッ

 

 少なくとも、結束は固まります。

 アピタイトを守る為に、プリキュア達はチーム一丸となって戦っているのです。

 まさにワンフォアオール、オールフォアワンを体現していると言っても、過言ではないでしょう。

 これはプリキュアの精神に沿う、素晴らしい友情なのではないでしょうか?

 

 けれど……それが戦力に繋がっているかどうかは、ジェントルーちゃんから見ても何とも言えない感じ。

 たしかに仲は良さげだし、このアピタイトとかいう子も、そこはかとなく頑張っている気がしないでもないですが……ぶっちゃけ()()()()()

 

 包丁握って突っ込んで来たかと思えば、何にもしてないのに転んで自爆し、今もこうして仲間達に介抱されている始末。

 

「ひどいよ! ジェントルーだって、ごはん食べてなかったら、元気でないでしょー!?」

 

「誰だってダイエットをしたら、こんな風になるわっ!

 分かってあげなさいな!」

 

 ――――そういう問題では無い。

 私なんで怒られてるのかな? とジェントルーちゃんは不思議な気持ちになりました。

 お前達の為を想って言ってるのに、と。

 

 辛い時に支え合うとか、誰だってしんどい時もあるとか、そーいうのは分かるのですが、そもそもの話「ダイエットすな」と。

 世界の平和的な物を守る為に、正義の味方をやってるのだから、ちゃんと万全で来いと。

 

 というか、さやかちゃんが変身するアピタイトとは、“食欲”という意味の言葉なのです。

 コイツにはダイエット無理なんじゃないか? 無理せず食った方が良くないか? そうジェントルーちゃんは訝しむのでした。

 

「プレシャス、私達がアピタイトを支えるのよ。

 いつかこの子が、ダイエットをやり遂げて、()()()()()()()()()()()()

 

「うん! 分かってるっ!

 あたし頑張るよ! もぉ~っと強くなって、アピタイトを笑顔にしてあげるの♪」

 

 なんか間違った方向に努力している気がしますが……、とにかく二人がやる気満々な事、そしてアピタイトが“とても愛されている”という事が分かります。

 栄養不足のせいで、精神が不安定。時にとんでもない事をやらかしてしまうドジな子なのですが、それでもゆいちゃん達は、さやかちゃんの事がだいすき。

 プリキュアだからとか、戦力だとか、そんなの全然関係ない。大切な“友達”なのです。

 

「うう、頭がクラクラしますぅ……。ファミチキ食べたいですぅ……(超関係ない)」

 

 やがて、二人が一生懸命に介抱している内、さやかちゃんことアピタイトが意識を取り戻しました。

 ほわほわした口調、未だグラグラと身体が揺れていますが、なんとか自分の足で立ち上がって見せました。おっきなタンコブは出来ていますが。

 

「ちょ、大丈夫なのアピタイト!? 無理しない方が!」

 

「そうだよ! まだ寝てた方がいいよっ! 死人みたいな顔色だもん!」

 

「元からですぅ」

 

 お恥ずかしながら、一日700kcalで生きていますのでぇ。*4

 そうテレテレと微笑みながら、アピタイトが一歩前に出ます。

 フラッフラで、ボッコボコの身体。もう見るからに力のない動作。

 それでも、“美味しい料理”というみんなの幸せを守る為、ウバウゾーの方へと歩き出しました。

 

 ()()()()()()()。たとえブンドル団を倒したって、さやかちゃんは美味しい物なんて食べられない。

 だってダイエット中だから。みんなとは違うから。

 クラスの子達のように、コンビニでお菓子を買う事も、学校帰りにファーストフード屋さんに行く事も出来ません。

 

 でも、守らなければ。レシピッピを助けなければ――――

 そう強い決意と意志を以って、さやかちゃん……いえキュアアピタイトは歩き出します。

 みんなの笑顔を、取り戻す為に。

 

「あは……♪ なんか空腹が気持ち良くなって来ましたぁ。いい感じですぅ……♪」

 

 これは、アピタイトたる彼女だけの能力かもしれませんが、この子は空腹になればなるほど、戦闘力が上がります。

 グッデグデだし、目も死んでるし、なんかこの世に存在しない系の変な物が見えているけど、それでも上がってるのです(?)

 

 まるで、酔拳の達人のような雰囲気。

 弱そうに見えて、強い。吹けば飛びそうなのに、倒れない。

 そんな独特のオーラを纏いながら、今ウバウゾーの真ん前に立ちました。

 

「ウウウ~ッ! ウバウゾォーーッ!!!」

 

 プリキュアを前に、雄たけびをあげる怪物。恐ろしい魔物。でも……。

 

「これ以上ウチから、()()()()()()()()()()()()()?」

 

 スーパーに行っても、そこに並んでいるのは、“食べちゃいけない物”ばかり。

 揚げ物、お菓子、ラーメン、パン、お米……ぜんぶ全部ダメです。

 そんな食という、生物としての“生きる喜び”が無いウチから、いったい何を奪うと言うのか。さやかちゃんはキョトンと首を傾げます。

 

 あ、でもあるかな? 友達とか、笑顔とか、なりたい自分っていう“未来”とか。

 そう考えを改めたさやかちゃんは、ウバウゾーが振り下ろした巨大な足をヒョイッと躱し、そのままヤツの懐へと飛び込みました。

 えへへと、どこか寂しそうに笑いながら。

 

「守んなきゃ、ですぅ。

 とりあえず、早くみんなとごはんに行きたいのでぇ……」

 

 そして、背中に仲間達の「今よ! アピタイト!」という声を受けながら、おもいっきり拳を振りかぶました。

 

 

「プリキュアっ! ――――ア ピ タ イ ト 腹 パ ン ッ !!!!」

 

 

 ドゴォォォォォン!!!! と大気が揺れるほどの轟音。

 光の使者プリキュアが放つ、斜め45度の角度から胃を突き上げるボディブロー。キュアアピタイト渾身のフィニッシュ技。

 当然の事ながら、いくらとんでもない巨体を持つウバウゾーであっても、ひとたまりもありません。

 

「お……お腹いっぱぁ~い(震え声)」

 

 いわく、ボディブローは地獄の苦しみである――――この世から消え去りたいと願う程に。

 満腹感を味わうどころか、暫くの間は飯も食えない……。そんな「私の苦しみを知れ」とばかりの、情け容赦の無い腹パンを叩き込まれたウバウゾーは、白目を向きながらこの世界から退場していきました。

 

「ごちそうさまでしたぁ(意味深)」

 

 空手の“残心”。左手をシュッと払ったアピタイトが、目を瞑って静かに佇みます。

 対戦相手、そしてすべての生命と「おいしい」に感謝し、祈りを捧げるような所作。

 

 

「でももう、一歩も動けませぇん。

 あとは皆さん、ヨロシクお願いしますぅ。……きゅう(気絶)」

 

「アピタッ!? さやかちゃぁぁぁあああーーんっっ!?!?!?」

 

 

 変身が解け、コテンと倒れたさやかちゃんの方へ、慌ててみんながピュー! っと駆け寄りました。

 何故が敵であるジェントルーちゃんまで。

 

 

 

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

「おいひぃですぅ。おいひぃですぅ」ポロポロ

 

 その後、某ファミリーレストランにて。

 

「味がしますぅ。鶏むね肉じゃない味ですぅ。ピザですぅ」ポロポロ

 

 言ってしまえば、ただのファミレス。誰だって行くような、ごく普通の場所。

 でもそこでめそめそ泣きながら、嬉しそうにピザとハンバーグを食べる、女の子の姿がありました。

 

「今日のことは、忘れませぇん。

 この想い出を胸に、あと5年は戦っていきますぅ」

 

「そんな大げさな……。

 でもよかったわ。たくさん食べなさい、さやか♪」

 

 クルクルとフォークをまわしてパスタを丸めながら、マリちゃんが優しい顔で見つめます。

 この子、さっきまでは修羅みたいな顔で目を充血させてたのに、今はもう小さな女の子そのもの。

 ぐじぐじと鼻を鳴らしながら、おっきなピザを危なっかしく両手で持ち、それを一生懸命ほおばっている。

 

 どうやら恥ずかしがり屋や引っ込み思案も復活したようで、他人の目が恥ずかしいのか、席で小さく身体を丸めながら食事をしています。

 それでも時折、「ありがとうありがとう」と、仲間達への感謝を口にしている。

 こんなウチなのにありがとう。いっしょに食べてくれてありがとう。お友達になってくれてありがとう……と。

 

「そうだよ、いっぱい食べよさやかちゃん!

 ごはんは笑顔、だよ♪」

 

「コメー☆」

 

「はい、食べますぅ。笑顔ですぅ。

 みんなと美味しいごはん食べますぅ。ぐすん」

 

 ゆいちゃんと仲良くサラダバーを取りに行ったり、コメコメにあーんとからあげを食べさせてあげたり、あたたかな時間を過ごします。

 さっきは大げさだって言われたけれど、きっと今日のことは、ずっと忘れない。

 そんな何気なくも大切な時間を、たくさんたくさん積み重ねていこう。みんなで美味しいものを沢山食べよう。

 そうさやかちゃんは、ピザのチーズをのびぃ~~っとやりながら思いました。

 

 

「あわわわ! 暑い! あついぃ!

 身体があちゅいですぅぅぅ……!!」シュウ~

 

「うわ、湯気出てるわこの子」

 

「ごはん食べたら、一気に体温上がったんだね! 焼けた石みたいになってる♪」

 

「すごいコメー!」

 

 

 

 

 カロリーを摂取した事により、これまでの栄養失調で下がっていた代謝が戻り、身体が急激に発熱。

 そんなワケの分からない状態となりつつも、さやかちゃんは今一度、心に誓います。

 

 プリキュアとして戦っていく事。そして明日からもダイエットがんばる事を。

 

 めざせ美しい身体! レッツガリガリです☆

 

 

 

 

 

 

 

*1
プリキュア御用達の、ブレスレット型のアイテム。ピンク色の可愛いデザイン。奪われたレシピッピの位置情報を表示できる他、転送機能やビデオ通話機能なども備わっている

*2
蕎麦100gあたりのカロリー

*3
たまご一個分のカロリー

*4
彼女の体格なら、どれだけ切り詰めようとも1日1400kcalは必要です。絶対に真似しないで下さい。

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