ソードアート・オンライン ~紺野夕里~   作: ふーみん

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お久しぶりです。

今回シノン登場。

この作品ではまだメガネをかけておりません。

今回主人公の過去がかいま見えますがちゃんと主人公編の間にまとめてだします。

書いていておもった。現実のシノンさん超むじい。

誤字、脱字、感想あればよろしくお願いします。

中傷はご遠慮ください。

原作と違うところ、オリジナル設定があります。

第3話、どうぞ。


第3話 似た者

 なんであいつは死んじゃったんだ?

 

 俺が騙されたからだ。

 

 なんであいつを殺したやつは死んだんだ?

 

 俺が殺したからだ。

 

 なんで俺みたいな弱いやつがあんなに簡単に人を殺せたんだ?

 

 人が脆いからだ。

 

 そもそも俺が人を信じなければ誰も死ななかったんだ。

 

 だったら人を疑って生きよう。よく人の動きを、目を見て考えを読み取ろう。

 

 そして騙されなくなろう。

 

 そしたら誰も死ななくていい。誰も殺さなくていい。

 

 

 

 

 □ □ □

 

 

 

 

 

 スーパーに向かう道中、オレの頭の中は姉から学校にシフトしていた。

 

 姉のようにオレに違和感を覚える者がいるのだろうか

 

 という疑問を抱いたからだ。新しく他人との関わりを作りたくないオレとしては目を向けられるのは困る。もしこんな風にオレに何かを感じるものがいるとしたらクラスには二人いる。

 

 一人は宮原 文浩。オレへの対応からあいつはお節介焼きと考えていいだろう。そういうやつは他人をよく見ている。オレが最も嫌い、俺が最も好む人間だ。

 

 二人目は橘 琴音(たちばな ことね)。SAO時代、あいつそっくりのプレイヤー『フィリア』とパーティを組んだことがある。同一人物であろう。なのにあいつはまるで何も覚えていないかのように接してくる…こちらとしては好都合なのだが。それでもいつ関わってくるかわからない。警戒は必要。

 

 お、スーパー発見。

 

「…!」

 

 スーパーの入口から少しずれたところに警戒した目をしている同じクラスの少女『朝田 詩乃(あさだ しの)』と朝田を囲む三人組の女子がいた。同じ制服だし見たことがあるので同じ学校のものだろう。

 

 朝田詩乃……確かこの前学校で流れた噂によればこいつは小さい頃に銃で人を殺したことがあるんだったな。俺と同じように……

 

 そいであの三人は…確か前に一人暮らしの朝田の家に男連れ込んで警察に通報されたって……朝田に仕返しでもするつもりか?

 

 オレは思わず朝田のことが気になり数歩近づいた……って、近づいてどうする。朝田なら一人でなんとかできるかもしれない……でももし噂が真実でそれで脅されたら?……いやもう関わりは作らないんだ。

 

 オレは目をつむり(かぶり)をふる。

 

 落ち着け……別のところに行こう。

 

 しかし、目を開けようとしたオレの頭に昔のことがよみがえった。

 

『夕里、今日からここがお前の家だ。そしてここで住むに当たって1つ教えておくことがある。我が家の家訓は目の前で困ってる人がいたら助ける、だ』

 

 …そうだ。関わる関わらないなんて関係ない。今のオレは小野寺(・・・)家の息子なんだ。

 

 オレの開けた目に入ってきたのはしゃがんで吐いている朝田と手の親指と人差し指を伸ばして他の指を曲げ銃のような形にして狼狽えてる三人組だった。

 

「何やってんだよ!お前ら!」

 

 そしていつの間にかオレは朝田のもとまで来ていた。

 

「こ、紺野…いや、なんか急に朝田が吐き出して…」

 

 ち、こいつらの言い訳聞いてる場合じゃねえ

 

「朝田!大丈夫か!?」

 

「え?……こん…の…く…うっ…ぉえ…」

 

「無理してしゃべらなくていいから……ほら、こいつに出せ」

 

 オレは朝田の側にしゃがむとかばんからビニール袋を出して片手で朝田の口元まで持っていき、もう一方の手で朝田の背中をさすった。

 

「大丈夫か?」

 

 あまり頭は動いておらず耳が見えるくらいのショートヘアなのでわかりにくいが耳の前で白いリボンで纏められた部分の髪が揺れているので俺の言葉は聞こえているようだ。

 

「落ち着いたら俺の服を引っ張ってくれ」

 

 少しずつ楽になってきているようで今度はこくこくとうなづくのがわかった。

 

 朝田から目を離して顔をあげると三人組がいなくなっていた。どこ行ったんだ?……まあいいか

 

「ねえ、大丈夫?」

 

「…フィリア」

 

 声をかけられたほうを見ると心配そうに朝田を見るフィリアがいた。よくよく周りを見てみれば人だかりが出来ている。ま、当たり前か。スーパー前で吐いてるやつがいたらそりゃ気になるよな。

 

「え?私フィリアって名前、紺野に教えたっけ?」

 

「うぇ!?」

 

 み、ミスった。こ、ここは誤魔化さねば!

 

「そ、そんなことより朝田のことだろ。大丈夫だ。本人もそう言ってたし」

 

「そっか」

 

 ご、誤魔化せたな…ふぅ

 

「私、水買ってこようか?」

 

「あ~、いいよ。吐いたばっかで口のなか気持ち悪くても胃の中はぐちゃぐちゃだから何も入れないほうがいいんだ」

 

「へ~」

 

 こんな感じにフィリア…橘と話していると服の袖を引っ張られる感覚がしたので朝田のほうを向くと、青白い顔をしているが大丈夫そうに見えた。

 

「落ち着いたか?」

 

「うん……ありがと」

 

「気にすんな…橘、このあと時間あるか?」

 

「え~と、ごめん。約束があるんだ。でも、ほんとちょっとなら大丈夫だよ」

 

「じゃあオレがこれを片付ける間だけ朝田の側にいてやってくれるか?家まではオレが送るから」

 

「わかった」

 

 橘がうなづいてくれたのでオレはさすっていた手を離し、ポケットからティッシュを全部だし、地面にある嘔吐物を集め始めた。

 

「じ、自分でやるからいい」

 

「いいって。落ち着いたっていってもまだちょっと気持ち悪いだろ」

 

 オレは集めたものを先程から持っているビニール袋に入れ、持ち手の部分を結んでふたをした。

 

「じゃ、ごみ捨ててくるから橘、頼んだ」

 

「任せて」

 

 

 

 

 

 

 その後、オレはコンビニの【その他】のゴミ箱に袋を捨てて朝田と橘のところに戻り、橘に礼を言って別れ、朝田と帰路についた。

 

「あの…本当ありがとう」

 

「気にすんな。てか、さっき聞いた」

 

「後、ごめんなさい。あなたのこと勘違いしてた」

 

「勘違い?」

 

「うん。人と関わるのが怖い人だと思ってた」

 

 オレは朝田の言葉に思わず立ち止まってしまった。

 

「そんなに…オレは怖がっているように見えるか?」

 

「え?う、うん」

 

 朝田もオレより少し進んで立ち止まった。

 

「…怖い……そうだな。怖いんだ。こんな人殺しのオレと関わったら皆消えていってしまう。それが、怖いんだ」

 

 朝田の眼鏡が似合いそうな顔が驚いた表情をした。

 

 オレだって内心驚いてる。なんでこんなこと言いだしたんだろう。

 

 あいつがオレと同じ人殺しだから?

 

「朝田。オレからも聞いていいか?」

 

「…うん」

 

「…銃が怖いのか?」

 

「!!」

 

 この瞬間の恐怖が表れた朝田の顔を見て確信した。こいつはオレとは違う。今日見たとき気になった理由もわかった。

 

 キリトに似てるんだ。一人で闘っていたときの……人を殺めてしまった、あの笑う棺桶(ラフィン・コフィン)討伐作戦の後のキリトに似てるんだ。

 

「わ、私は…」

 

「答えなくていいよ」

 

「え?」

 

「それより嫌な事を聞いた。ごめん」

 

「う、ううん。気にしないで。私のほうこそ…」

 

「いや、オレが人を避けてるのはホントだ。さっきもうちの家訓が簡単に言えば人助けだからしただけだよ」

 

「ごめん」

 

「だから気にしなくていいって…」

 

「生きてて楽しい?」

 

「!」

 

 開いた口が閉まらなくなった。ただ、思ったのは質問の答えではなく、先程の謝罪が質問するということに対するものだということだった。

 

「なに、いってんだ?」

 

「そんなふうに人を避けながらも人助けをして楽しいのかただ純粋に疑問になっただけ」

 

 もしかしたら朝田は同じように人を殺してしまったオレがどんな気持ちで生きてるのか知りたかったのかもしれない。

 

 けど、オレには朝田がどういうつもりでこんな質問をしたのか考えてる余裕はなく、ただ頭の中には少年と青年の言葉だった。

 

『僕達を殺してるのに新しい友達作って殺しちゃうかもとか思わないの?』

 

『俺達はもうしゃべることすらできないのにおまえは皆と楽しく生きるのか?』

 

 言葉が頭の中をループする。体が震えてくる。呼吸が乱れてく。

 

 でも、大丈夫だ。まだ新しい友達なんて作ってないよ。楽しんでなんかないよ。だから、囁かないで!

 

「はぁっ…はぁっ…」

 

「ち、ちょっと大丈夫!?」

 

 いつの間にか朝田が目の前にいた。

 

「はぁっ…はぁっ……だ、大丈夫だ。……えっと、楽しんでるか、だったな。もちろん、楽しいよ。さ、帰ろう」

 

 オレはなんとか笑顔を作って朝田の横を通り過ぎ、先に進み始めた。

 

「……楽しいなら、なんであんたはそんなつらそうな顔してるのよ」

 

 どうやら要注意人物はもう一人いたようだ。

 

 

 

 

 朝田を家まで送ったオレは姉からの頼みを忘れていたので、もう一度スーパーによってから家に帰った。

 

「ただいま」

 

「おかえり~」

 

 すでに姉ちゃん達は帰ってきてるようだ。

 

「姉ちゃん、ほい」

 

「サンキュー。誠二郎さんからのお届け物、部屋に置いといたよ」

 

「わかった。飯食ったら遅くまでやると思う」

 

「あいよ。じゃ、飯準備できるまでに風呂入って宿題やりながら暦の相手しといて」

 

「あいよ」

 

 オレは姉に言われた通り、風呂入って宿題しながら甥っ子の相手をした。

 

「ご飯できたよ」

 

「あいよ。暦、飯だぜ」

 

「めーしー」

 

 オレが暦と笑った。

 

 姉ちゃんはそれを少しつらそうに見ていた。

 

 

 

 

 

 飯を食ったオレはアミュスフィアをセットし、適当にALOの説明書を読んだ。

 

 説明書には元SAOプレイヤーへのデータの引き継ぎ機能が書いてあった。どうやらアバターの容姿やステータスなどSAO時代のものを好きなようにALOに引き継げるようだ。

 

 種族、魔法、SAOからの引き継ぎ内容についてのところだけを読み終えたオレはあらかじめナーヴギアから取り出しておいたメモリーをアミュスフィアに入れ、ALO-アルヴヘイム・オンライン-をセットして寝転びアミュスフィアをかぶった。

 

 オレはあの世界を調べにいくんだ。遊びに、楽しみに行くんじゃない。

 

 そんな風に自己暗示をしたオレはあの世界に入る言葉を口にした。

 

「リンク・スタート!」

 

 目を開けると薄暗いが、目の前だけ明るい空間にでてきた。

 

 《アルヴヘイム・オンラインへようこそ》

 

 チュートリアルが始まった。

 

 《プレイヤーデータが存在します。引き継ぎますか?》

 

 音声とともに手元にウィンドウがでてきたので、オレはそれを操作し、ステータスだけ引き継げるように設定した。

 

 《プレイヤーネームを決めてください》

 

 プレイヤーネームと聞いた時、初めてオンラインゲームを始めた時のことを思い出した。

 

 

『夕里、名前どうするんだ?』

 

『夕里だからシンプルにユウでいこうかと思ってるよ』

 

『そうか』

 

『なら僕に任せて。今日学校で簡単な英語を習ったんだ』

 

『じゃあ頼むな』

 

『…なあ、夕里。英語でユウってことは…』

 

『え?…あ!?紅葉(もみじ)ストップ!』

 

『決定~!って兄ちゃんどうした?』

 

『お、遅かった』

 

 

「ははっ」

 

 オレはあの時、弟にもらった名前《You》と入力した。

 

 《種族を選んでください》

 

 説明書を読んで目星をつけていたオレはすぐに9つあるうちの一つ《水妖精族(ウンディーネ)》を選んだ。

 

 そのあと、チュートリアルが少し続いた。

 

 《それではアルヴヘイム・オンラインをお楽しみください》

 

 オレの体は淡く青い光に包まれた。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 光がおさまると俺はウンディーネ領の首都の大きな島の上にいた。

 

「…」

 

 俺は左手の人差し指と中指を揃えて軽くふり、ウィンドウを出すとオプションを開いた。

 

「あった」

 

 そこにはSAO時代にはなかった《ログアウト》の5文字があった。

 

 俺は一度息を吐き、今度はステータス欄を見た。

 

 HPやMPは初期設定だがどのスキルの数値もステータスの数値もなくなっているものはあるが残っているものはSAO時代と同じであった。

 

「ん?」

 

 そのなかに俺がおもいもよらないスキルがあった。

 

 棒術 1000

 

 SAO時代、オレが唯一コンプリートした武器系スキル。SAOではエクストラスキル、いやユニークスキルであったためこの世界にもないと思っていたがどうやらあるようだ。

 

 使わないがな。

 

 今度はアイテム欄を開いた。いかにも始めたばかりですと言っているような初期装備が揃っていた。そのなかに見慣れない武器を発見した。

 

 ナックル

 

 SAO時代にはこんなのなかった。だが、丁度良い。

 

 俺はナックルを装備した。良いものだと刃もついているそうだが俺のやつは初期装備なので手甲といっていいものだった。

 

 ここで改めて自分の姿を見てみた。

 

 服装は初期防具なので水色のシンプルなデザイン。近くの店の窓を見てみると顔は現実より目が細めで髪が水色ではなく青、というよりもコバルトブルーというのが一番適切な色をしていた。

 

 長さも現実の耳が出る長さではなく、この世界の羽が出るであろうところに髪の先端があり、首あたりで結ばれていた。前髪は目が出るくらいの長さであったが、てっぺんにアホ毛ができてしまっていた。

 

 はぁ、アホ毛がでないように現実では髪を短くしていたのに……そんなとこを再現すんなよ

 

 溜め息をつき、下をむくと、いつもより地面が遠く感じた。

 

「む…現実より8cmほど高い気がする」

 

 理論上はここまで伸びるってことか?現実の俺は止まったままだと…

 

 

 

「すぅ…はぁ…」

 

 一度深呼吸した俺はまず街中を歩いた。店に寄る気はない。俺の仕事は観察だ。

 

 

 一通り、首都を回った俺は装備を適当に揃えて中立都市の《央都アルン》に向かおうと湿地地帯を抜け、橋を渡り草原に入り、ウンディーネ領から中立都市に歩いて行くための唯一の道、虹の谷に向かった。

 

 

 草原を歩いていると猪やらライオン?やらが出てきて向かってくるのでナックルの使い方の練習にと思い、片っ端からぶん殴っているが、いかんせんステータスが高すぎて相手にならない。

 

 そんなふうに走りながら一時間ほど経つと、草原と虹の谷の間の森に到着した。

 

 森に入り、少し進むと突然悲鳴が聞こえた。

 

 俺は反射的にAGI(敏捷性)を全開にして走り出していた。

 

 何度も木の間をすり抜けていると、開けた場所にでた。そこには腰をぬかしている女性プレイヤーと赤色の熊のような外見をしたやつとサイを二足歩行にして斧をもたせた青いやつがいた。2体は大きさ的に中ボスだろう。

 

 プレイヤーを助けるために飛び出すと、ちょうど同じように飛び出してくる紫の影があった。

 

「ん?」「ん?」

 

 思わず同じように声を発した俺達は走りながら互いを見た。

 

 そいつは少女だった。紫色の長い髪をしているのでたぶん《闇妖精族(インプ)》だ。防具は俺と同じように初期装備だが、腰にある片手剣はここにくる途中までにドロップしたものなのかそれなりのものであった。

 

 頭には装備品ではなく、アバターの容姿であろう赤いカチューシャがつけられていた。目をひくのは二本のアホ毛だ。

 

「お兄さん、どっちやる?」

 

 いたずらっ子のように笑うその少女はなぜか病院にいるはずの妹…否、従兄弟に似ている気がした。たぶん兄と呼ばれたからだろう。

 

「じゃあ熊のほうをやらせてもらおうか」

 

「オッケー!じゃあ僕はあっちの斧持ってるほうをやるね!」

 

「ああ」

 

 俺達は互いから目を離し、俺はナックルをはめ、少女は剣を抜き、自分の敵に攻撃を開始した。




アルヴヘイム・オンラインにログインした俺は鉢合わせた少女と二体のモンスターと戦うことになった。

敵との戦い、少女との会話を通して俺は少女に対して奇妙な感覚を覚える。

次回 不思議な少女
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