この素晴らしい転生世界に伝説を   作:はりた

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「こよみんさん、ようこそ死後の世界へ。あなたは先ほど不幸にも亡くなってしまいました。短い人生でしたが、あなたの人生は終わってしまったのです」

 

真っ白な部屋の中で私は唐突にそんなことを告げられた。

 

「えっと‥ゆめ?」

 

「現実を受け入れたくない気持ちはわかりますが事実です。あなた乗ったバスの運転手がたまたま、玉突き事故を起こし、その車がたまたま工事現場の玉掛けに衝突し、鉄球が丁度、たまたま頭に落ちてきた不幸な事故です。ちなみに金曜日で‥」

 

「たまたま、たまたま、うるさいですけど!あなたなんなんですか?」

 

正直突然のことでわからない。

この真っ白な部屋の中には小さな事務的な椅子。

そしてその椅子に座っている‥‥

 

頭のおかしそうな、如何にも水商売してますよ的な女性‥

 

いや、美人って言えば美人さんなんだろうけど‥

なんか話し方に親父臭が‥

 

「私は女神です。決して水商売をしている美人のお姉さんではありません」

 

あ‥ガチのヤツっぽい‥ なんか眩しい‥

いや、落ち着け私! 

 

「すみません。ちょっと混乱してまして‥」

 

「安心してください。こよみんさん。あなたにはチート能力と異世界への転生。そして可愛らしい容姿をプレゼントさせていただきますので、第二の人生楽しんでください」

 

「ん? ち、ちょっと待って! 話を勝手に進めないでもらえますか? いま混乱してるって言いましたよね? あと私の名前こよみんじゃなくーーーー」

 

「では言ってらっしゃいませ」

 

この女神、話し聞かない系の駄女神じゃん!

 

 

魔法陣が足元に浮かび、光が私を包む。

 

「異世界って? チートって? 私どんなとこに行くの!!!」

 

しかしその声は届いてるのか届いてないのかわからない。だが、確実に駄女神の声は聞こえた。

 

「間違えて死なせちゃったけど、これで上にはバレないわよね? 後始末も終わったし、人間界で遊んでこよ〜ホスト〜ホスト〜るんるんるん」

 

 

「クソ女神いいいいいいいいい!」

 

 

 

 

光の輝きが収まり、目を開けるとそこは‥‥

一面木々に覆われた森の中、とても直ぐには異世界キターーなんて言える場所ではなかった。

 

「あのクソ女神! 転生させるなら、せめて街の側に転生させてよ!」

 

静まりかえった森、見上げた太陽の位置から推測してお昼辺り、もう数時間も経てば辺りは暗くなり、とても行動できなくなるだろう。

 

その前に出来ることを確認しようと、こよみんは行動を起こす。

 

人間どうしようもない危機に陥ると、恐怖を通り越して逆に冷静になれるということを学ぶこよみんであった。

 

女神がチート能力をプレゼントと言っていたことを思い出し、異世界お決まりの言葉を言ってみる。

 

少しイライラするし、不安もあるが、やっぱ異世界転生物とかが大好きな女の子的にはワクワクが止まらないのだ。

 

「ステータスオープン」

 

目の前に透明なスクリーンが表示され、

自身の全体容姿、能力値が記載されていた。

 

「‥‥‥マジで言ってる? イカれてんのあの駄女神」

 

【ステータス】

性別:女

Level 18

職業:アークウィザード

HP:100

魔力:1000

物理攻撃:50

物理防御:50

魔法攻撃:500

魔法防御:400

敏捷性:50

幸運:20

 

 

 

使用可能魔法

スリープ

テレポート登録先1件(アクセルの側)

ライト・オブ・セイバー

ボトムレス・スワンプ

インフェルノ

カースド・クリスタルプリズン

エクスプロージョン

パワード

 

 

EXスキル: アイテムBOX

創造魔法

スキルポイント 50

 

アイテムBOX内

ギルドカード

10万エリス

着替え

賢者の杖(魔法攻撃+20%)

 

 

右の真紅の瞳とは対象に左は輝きを表す、金色の瞳、黒髪のショートカット。

左前髪の一部は綺麗に編み込んであり、瞳と同じ色に染まっている。

 

完全にアイコンに一致。

 

「いや、もしかして2次元の世界に転生?それにこの魔法や、お金の単位って‥このすばじゃん!」

 

こよみんはなんとも言えない複雑な気持ちで終始モヤモヤする。

 

大好きなこのすばの世界、しかも可愛らしい自分のオリキャラに転生。

 

どうみても魔力はチート級 文句が出ない。

でもあのクソ女神がムカつく。

 

ほとんど説明もなし、自分のミスしたことさえ謝罪もない。 でも、転生特典はかなりの贈り物‥

 

悩んだ結果は‥‥

 

「よし、次あったら、1発ぶん殴る!そうと決まれば進みましょうか!テレポート!」

 

身体に流れる魔力を感じ、光に包まれこよみんの身体は森から消えるのであった。

 

 

 

 

 

 

「異世界キターーーーー」

やっと出たお決まりのセリフ

 

アクセルの街側にテレポート先が登録されており、しばらく歩けばアクセルに着くだろ。

 

高い丘からこよみんはアクセルの街の外壁を眺めて大空に向かって叫んでいたのだった。

 

 

「じゃあ、のんびり向かいまーーーー」

 

 

轟音の火柱が天を貫き、衝撃音と熱風を撒き散らす。

 

「これって‥‥爆裂魔法‥めぐみんが側にいる?て、え? なにあれ?」

 

爆裂魔法に巻き込まれ1匹の動物が空に投げ出されたのか、ボロボロになって、落ちてきている。

 

 

こよみんは「危ない!!」と駆け出した。パワードの魔法を使い、対象の筋力を上げる。

 

 

「間に合えええええええ」

 

飛び込み、動物をキャッチする。

自身の体を丸め、地面を回転した。

 

「間に合ったけど‥このままじゃ‥」

 

攻撃魔法は使えるが、回復魔法は使えない‥

このままじゃ‥

 

「そうだ。近くにアクアが絶対いるはず!あの爆裂魔法を放ったのがめぐみんなら、絶対動けなくなってる。どこ?どこにいるの」

 

辺りを見渡し、カズマのパーティーを探す。

 

「見つけた!」

 

距離がある。しかし間に合うはず、いまカズマ達はジャイアントトードを討伐してる最中。

めぐみんの爆裂魔法で他のジャイアンとトードが目を覚まし、いままさにカズマのパーティーに襲いかかっている。

 

 

こよみんは走った。パワードの魔法を重ね掛けして、カズマ達の元に‥

 

 

めぐみんとアクアがジャイアントトードに飲み込まれそうになって、慌ててカズマが2匹のカエルを相手にしている。

 

 

「ああああ、焦ったい!!  ライト・オブ・セイバー」  

 

こよみんは上級魔法のライト・オブ・セイバーでカエル2匹を討伐する。

 

「おおおお、すげぇ〜これが上級魔法」

カズマは、免疫まみれのめぐみんをチラッと見る。

 

突っ伏す、めぐみんは「なんですかカズマ!私の爆裂魔法の方がすごいんです」

「お前は1発撃ったら動けねぇだろ!

いや、それよりも‥ありがとうございます。いや〜助かりました」

 

こよみんはカズマをスルーしてアクアの元に

 

「アクアさん!!  お願いします。この子に回復魔法を!!」

 

「え?あなた誰よ? まぁカエルから助けてくれた訳だし別に助けてあげるけど‥それにしても酷い怪我ね‥ヒール」

 

アクアは動物にヒールを使い回復させる。

流石は女神といったところか。あっという間に致命傷レベルの怪我と火傷を治す。

 

その動物は瀕死の状態から生還した。

可愛らしいくりくりの目に長い鼻。背中のチクチクとした毛並。そうハリネズミだ。

 

 

へなへなへなっと力が抜けたこよみんは座り込む。

 

「よかった〜」

こよみんはハリネズミを撫でた。

ハリネズミは首を傾げ、辺りをキョロキョロと見渡す。

 

 

「よかったわね。そのハリネズミあなたのペットかしら?」

 

「あ、いえ‥先ほどの爆裂魔法の被害で大怪我していて‥」

 

「おい、めぐみん」

「あ‥‥すみません」

カズマに背負われながらめぐみんは謝罪する。

 

「怪我治ったみたいですので、それにこんな世界ですからね。なにがあるかなんて分かりませんよ。今回はたまたまこのハリネズミと‥くすくす」

 

「ん?どうしたのですか?」

急に笑い出したこよみんをみてめぐみんが尋ねる。

 

「いえ、私ってつくづくハリネズミに縁があるんだなっと、くすくす。すみません。ちょっとした思い出し笑いです」

 

「なるほど‥そういえば自己紹介がまだだったな。さっきは助かった。俺は冒険者のカズマ」

 

「私はアークプリーストの女神アクアよ」

 

そして真打登場と言わんばかりに、カズマの背中越しからめぐみんの自己紹介が始まった。

 

「我が名はめぐみん。アークウィザードを生業とし、最強の爆裂魔法を操る者」

真紅の瞳を輝かせ中二病全開の自己紹介である。 

背負われてる所為でなんとも情けない。

 

「この度はそちらのハリネズミにご迷惑をおかけしました」

 

やっぱ良い子だなーと思うこよみんであった。

もちろんこよみんも負けてはいない。

 

このすば大好きな者として、ここは乗るしかない!

 

「我が名はこよみん。世界最強のアークウィザードであり、いずれ魔王を討伐し歴史に名を刻む者」

 

 

「ピーピーーーピーピー」

ハリネズミもなんかいっていた。

 

「おおおおおお」

 

自己紹介に感動するめぐみん。

 

「‥‥カズマカズマ」

「言うなアクア‥」

 

こよみんとめぐみんはすぐに打ち解けるのだった。

 

 

4人と1匹はジャイアントトードの討伐の報告でアクセルのギルドに一緒に向かうことになる。

 

 

「それにしてもそのハリネズミ飼うのか?」

カズマの素朴の疑問

 

「まぁ懐かれちゃたみたいだしね」

 

最初ハリネズミはこよみん抱かれていたが、今はこよみんの頭の上で大人しくしている。

 

「では、名前を考えましょう!ちょげりちょ。なんてどうですか!」

 

うわぁ〜紅魔族独特のセンスきたわと内心思うこよみん。

 

「あ〜めぐみんごめんね。ハリネズミだと、この名前がしっくりきちゃうんだ」

 

「ん? なんだよ。名前決まってたのか?」

「うん。ハリネズミと言えば!カズハル」

「なんかカズマの名前に似てますね」

「似てないだろ!ん〜」

カズマはこのとき思った。もしかしてこよみんは日本からの転生者なのではと‥アクアのことを知っていたし、女神って言うことにもツッコミをいれなかった。まぁだからといってそれをわざわざ聞かないカズマであった。

 

 

冒険者ギルドに到着し、カズマ達は受付に討伐の報告とジャイアントトードの引き取り依頼に行っている。

 

こよみんは、近くの席に座り、周りを見渡した。

 

(ここが冒険者ギルド‥ なんかドタバタできちゃったけど、既にギルドカードもあるから登録もなにもいらないんだよね)

 

ハリネズミのと戯れながら、こよみんはこの先のことを考える。

 

まずは宿を探して、この町での拠点作りから

幸いにも原作知識があるこよみんは、この先起こるであろう出来事を知っている。

 

こよみんがこのすばの世界に関わったことで、多少なりとも正史から外史になっているだろうことも理解している。

 

ただ余程大きくは外れないだろう。

まだダクネスがカズマのパーティにいないことを考えると、いまは関わるべきではない。

 

へっぽこパーティだからこそ、カズマの機転が活かされているのだから‥

 

そんな思考を巡らせていると、カズマ達が戻ってきて、席に着く。

 

「ほい、これはこよみんの取り分な!」

カズマは1万エリスをこよみんに渡す。

 

「え? なんで?」

「なんでって、こよみんが討伐したんだろ? 

それにあの時は助かった。飯でも奢らせてくれ」

 

「そうね。こよみんありがとう。でもご飯の前に私お風呂に行きたいのだけど」

 

「アクアに賛成です。私もお風呂に入りたいです」

 

粘液まみれのアクアとめぐみんがカズマに言う。

 

「あーそうだな。風呂入って、ギルドで飯にしよう!」

 

(話が勝手に進んでいく‥でもいいなぁこういうのも)

 

「わかった。じゃあまたあとで」

「なに言ってんの?こよみんもいくの!お風呂上がりのしゅわしゅわは最高なんだから!」

「さー行きますよ!こよみん。私を背負ってお願いします」

 

「え、ええええ〜」

 

結局こよみんも免疫まみれにされてしまう。

美女3人がぬるぬるのべたべた‥

 

それはそれは一緒にいたカズマは冷たい目を向けられるだろう。

 

そしてなぜかアクア、めぐみんとお風呂に行くことに‥

 

ハリネズミのカズハルはお風呂が嫌いなのか、

女湯の暖簾を潜ろうとした瞬間に逃げ出しそうになった。

 

しかしアクアに捕まる。

「カズハルもお風呂に入るべきだと思うの」

ハリネズミの引っ掻く攻撃!!

「いたああああ! カズハルが引っ掻いた〜〜」

「ピーピー」

「お風呂嫌なの?」

こよみんは屈んでカズハルに聞く

 

「ピーピー」

 

なにを言ってるかはわからない。

カズハルは店前の噴水の方を向く

 

「あそこで待ってるって言ってる?」

「ピー」

 

「うん。わかった。ならあとでね。でも、ちゃんとアクアに謝って」

 

カズハルはアクアの足元に行き「ピー」と言って頭を下げた。

 

 

 

 

 

ハリネズミのカズハルが店前の噴水場で寝転がっていると、カズマが先に出てきてハリネズミの横に座る。

 

「んで、ハリネズミ‥お前やたらと風呂嫌がってたけど‥お湯をかぶると人になるなって言わないよな」

 

「ピー!?」

 

「なーんてなwww 多分こよみん転生者だよな〜

日本であったんだよ。らんま1/2って漫画が、いや〜好きだったな〜」

 

 

たまにカズマは恐ろしく感がいい。

だが、まぁ大丈夫だろ。っとそこで考えを停止する悪い癖が多々あるのだった。

 

 

 

 

アクアたちが風呂から上がり、ギルドでの晩餐。

 

テーブルに並べられる様々な料理、もちろんその中にはジャイアントトード‥つまりカエル肉‥

そして目の前に置かれるしゅわしゅわ。

 

前世ではお酒が飲める歳ではなかったこよみんだが、こちらでは飲んでも大丈夫な年齢

 

お酒にそこまで興味はないけど、しゅわしゅわには実は興味があった。

 

アクアやカズマたちが美味しそうにがぶ飲みしてるシーンをアニメで何度も見てどんな味か知りたかったのだ。

 

 

この後の結末は言うまでもなく、こよみんは深く深く、2度と酒は飲まないと心に決めたのである。

 

後にこの話は大魔法使いの大失態と歴史に汚名を残すが、今はまだ誰も知らない。

 

 

 

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