この素晴らしい転生世界に伝説を   作:はりた

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スティーーーーーーーーール

鈍痛と吐き気と共に目覚める異世界の朝はそれはそれは経験したことのない最悪の気分ではじまった。

 

「ぎぼじわるい‥」

「ピーピー」

 

こよみんの顔色悪さに心配するカズハル。

 

「ん〜大丈夫だよ。はぁ〜ギルド行かなきゃ」

 

最悪の体調ではあるが、こよみんは身支度を整える。お金に少しは余裕があるとはいえクエストを受けなければ所持金は尽きる。

 

昨日散々酔っ払い、歩けなくなったこよみんは、宿までカズマにおんぶで連れてきてもらっていた。

 

その道中にカズマの頭にゲロシャワーをぶちまけた記憶は非常に忘れ去りたい。

 

最悪なのが酔っ払い、理性のタガが外れても記憶が残っているという最悪のタイプ。

 

「さーカズハル行くよ。 カズマにもう一度謝んなきゃ」

 

カズハルは頷きこよみんの腕に抱かれ、宿からギルドへ向かう。

 

 

 

 

 

 

ギルドの扉を開けると、奥のカウンターには、カズマと革鎧を着た身軽そうな女の子とフルプレート着込んだ金髪美女がなにやらカズマと話していた。

 

「おねぇさん! こっちのひとにキンキンに冷えた、しゅわしゅわ一つくださーい」

 

 

こよみんはすぐに察した。

この回か‥‥ と‥

 

 

「カズマ〜」

「ん? おお、ゲロみん。おはよ」

「ごめんって、、、 ゲロみんやめてもろて」

「冗談だよ。もう大丈夫か?」

「うん。まぁなんとか‥」

 

カズマの背後の2人をチラッと見るこよみん。

カズマはこよみんに2人を紹介する。

 

「ん? あーあっちの2人は‥ダクネスとクリス。

クリスに今からスキル教えてもらうところなんだ」

 

「な、なるほどね‥」

カズマ伝説の始まりか‥

 

 

しゅわしゅわを飲み終えたクリスはカズマを連れてギルド裏の広場へ向かう。

 

カズマ、クリス、ダクネス、こよみん。そしてカズハルは人気のない広場立っていた。

 

潜伏、罠解除、敵感知、と盗賊のスキルを次々と取得していくカズマ。

 

「さて。それじゃあたしの一押しスキル窃盗をやってみようか。これは対象の持ち物をなんでも一つ奪い取るスキルだよ。相手がしっかり握ってる武器だろうが、鞄の奥にしまい込んだ財布だろうが、なんでも一つ、ランダムに奪い取る。スキルの成功確率は、幸運値に依存するよ。強敵と相対した時に相手の武器を奪ったり、大事に隠してるお宝だけかっさらって逃げたり、色々と使い勝手のいいスキルだよ」

 

 

こよみんは思った。

(カズマにとってその窃盗はパンツ泥棒のスキルなんだけど‥)

 

そしてクリスはカズマに手を突き出し「スティール」と叫びカズマのサイフ盗んだ。

 

「あっ! 俺のサイフ」

「お、当たりだね!まぁ、こんな感じで使うわけさ。それじゃサイフを返‥‥」

 

クリスはカズマに財布を返そうとして、にんまりとかわいい笑みを浮かべた。

 

 

原作に忠実だな〜

このあとクリスはカズマに剥かれるわけだが‥

止めるべきか止めずにことの顛末を見届けるべきか‥

 

(うん。決めた。許してね。クリス。 なんだかんだこのシーン大好きなんだよね。 それにのちに必要になってくる大事なシーンだし、原作崩壊はよろしくない)

 

適当な理由付け、こよみんは自分の欲に忠実だった。 同性立場なら助けてあげればいいものをオタク心は止まらない。

 

この神回は潰せない! 

 

 

カズマに窃盗スキルで勝負を仕掛けるクリス。

どんなものを奪ってもカズマのサイフと引き換えという条件で‥

 

運が良ければ価値のあるタガーやクリスのサイフを奪えるだろうと、悪い顔をしているカズマはクリスの勝負に乗る。

 

 

窃盗スキル取得し‥‥

「なにを取られても泣くんじゃねぇーぞ?」

そう言ってカズマは右手を突き出した。

 

 

「いいねキミ! そういうノリのいい人好きだよ!さぁ、なにが取れるかな? いまなら財布が敢闘賞。当たりは魔法のかかったダガーだよ!

こいつは40万エリスは下らない一品だからね!

そして残念賞はさっき拾っといたこの石さ」

 

クリスは両手に大量の小石をカズマに見せつける。

 

「きたねぇ!  そんなのありかよ」

 

「スキルでも万能じゃなく、対抗策があるもんなんだよ。1つ勉強になったね!」

 

「くそー見てろよ!俺は昔から運だけはいいんだ!スティーーーーーール」

 

突き出した右手にはしっかりと握られていた。

 

カズマは手に入れた物を広げて日にかざして見ると‥‥

 

「ヒャッハーーーーーー! 当たりも当たり大当たりだあああああああ!」 

 

「いやああああああ!ぱんつ返してえええええ!」

 

クリスが自分のスカートの裾を押さえながら、涙目で絶叫した。

 

 

 

「わぁ‥‥カズマやっちゃたよ‥‥」

こよみんはどうなるか知っていて見過ごしていたが、年齢もほとんど自分と変わらない同性のクリスを見ていたたまれなくなる。

 

「ねぇサイフ返すからぱんつ返して‥‥」

 

涙目のクリスかわいい。

 

「自分のぱんつの値段は自分で決めるんだな。まぁ提示する金額によっては我が家の家宝に奉られることになるかもな」

 

まさにグズマの名に相応しい言動だ。

 

 

 

 

でも流石に今まで履いていたぱんつを異性に剥ぎ取られるのは同じ女性としてつらいものがある。

 

こよみんが助けに入ろうとしたそのとき

 

こよみんの腕に抱かれていたカズハルが暴れて、腕から飛び出した。

 

 

カズハルはカズマ目掛けて飛びかかる。

 

「え、いてぇええええ」

 

カズマの頬を鋭い爪で引っ掻き、パンツを持つ手に噛み付いた。

 

あまりに急な痛みにカズマはぱんつを落とす。

 

カズハルはカズマからぱんつを見事に奪還し、ぱんつを咥えて、クリスに渡しに行く。

 

涙目で、クリスはカズハルにお礼をいう。

「カズハルくん。ありがとう」

 

「ちょ、大丈夫カズマ?」

 

自業自得とはいえ、ひっかかれ、噛みつかれたカズマが心配なこよみん。

 

「ちょっと痛いけど、大丈夫だ」

 

「カズハル!! 流石にひっかくのはやりすぎでしょ!」

 

「ピーピーピー」

何を言ってるかはわからないけど、カズマに怒りを見せている。

 

「いいよ。こよみん。どうやらその変態ハリネズミはクリスにお熱みたいだし」

 

「え?」

「ん?」

 

こよみんとクリスは意味がわからないという顔をしていた。

 

この場でカズハルとカズマだけが意思の疎通ができているそんな時間が流れたのである。

 

 

ダクネスがカズマのクズっぷりに興奮していたのは言うまでもないだろう‥‥

 




カズマとカズハルの意思の疎通編

(おい、変態ハリネズミ)
(ぱんつ泥棒が変態言うな)
(俺のはスティールでたまたま パンツを取っただけだ)
(俺はカズマから取り返しただけだ)
(お前ハリネズミってのをいいことにクリスのぱんつ咥えてる変態だろ)
(な!? 語弊がある! 俺は手が使えないだろ!)
(どうだかな‥‥)

なんて、やり取りがあったかもしれないし、違うかもしれないですね〜
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