仮面ライダーウィッシュ   作:火野ミライ

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番外Ⅰ.仮面ライダーウィッシュ変身講座!

小波家でおせちをいただき今はこたつに入り白く輝く自身の髪を軽く手櫛で整えながら、なんだかんだ断り切れず小波夫妻から頂いたお年玉を机の隅に置き、少し前にコロクから貰ったスマホを弄っている。

 

「はふはふ!」

 

そんな僕の正面には同じく炬燵に足を入れ、食後のデザートであるお汁粉を勢いよく食べる春菜先輩の姿が。あ、口元に小豆が付いてる。………………記憶よりも甘いな。

 

『十二支? また変な文化がこの世界にはあるんだな~~』

 

そう呟くのは右手側で正月について調べる悪魔の様な見た目のコロク。ちなみに今年2021の干支は丑。牛ではなく丑にしないとうるさい人はうるさい。

 

『あぁ~もう、じゃまくさい!』

 

急に怒りを露にしたケルスへと視線を向ける。そこには途中まで皮をむいたミカンを3つの顔で一気に貪る姿。どうやら上手くミカンの皮を向けなかったようだ。余談だけどケルスが先程発した【じゃまくさい】は関西弁で面倒くさいと言う意味がある。

 

久方ぶりに賑やかな年明け。なんて考えながら再びスマホを操作していると突然、春菜先輩が声を荒げた。

 

「っあ! 夢君、仮面ライダーの変身ポーズを考えようよ!」

 

『『へんしんぽーず?』』

 

意気揚々と放たれた提案に4つの首が傾げる中、お汁粉を机の上に零しながら顔をこっちに引き寄せてくる春菜先輩。いくら小学生と言ってもこの距離は近い。____いや、小学生だからこそ異性の境界線が無いのか。

 

「まぁ、いいけど先に机の上拭こうか」

 

「あ、ごめん」

 


 

あの後、ヒーローには変身ポーズは必須と春菜先輩の熱弁にケルスが乗り、ダンスの振り付けを考えるかの如くポーズを4人(2人と2機)で考えた。と言うか今日、今までそこまで考える余裕がなかった事に気がついた。

 

閑話休題

 

そして現在、いつも学校終わりに過ごしている東屋へとやって来ていた。既に僕達をここまで連れてきてくれた小波母の姿は無く、春菜先輩はアリスのコスプレ衣装に身を包む僕にスマホのカメラを向けていた。

 

「夢くん! そろそろ録画を始めるね!!」

 

彼女の目的はアリス姿の僕をスマホに保存する為でなく、一緒に考えた変身ポーズを録画する為。

 

『先ずは犬っ…… ケルベロスがウィッシュドライバーへと変形』

 

その変身プロセスをコロクが解説する様に声にする。その言葉を聞き足元に待機していたケルスが跳び上がり、僕の胸部あたりで変形。中央の赤い鉱石が日の光に反射して煌めく。

 

『手にしたウィッシュドライバーの裏面を腰部に当て装着』

 

重力に従い落ちてきたドライバーを両手で優しく受け止める。右手だけ持てるように持ち変えるとそのまま一度、顔の横に持って行ってからへその辺りに当てる。ベルトから生成されたイネインエネルギーが紫のベルト帯とベルト止めに変化、腰部に固定されたされたのを確認し手を放す。見たくても音で分かる。

 

『両手を鋭くとがらせ、右手を左の横腹に、左手を右肩に添える』

 

ここからが今までにない手順。獣の様に指先を鋭くとがらせ、手の甲をカメラの方に向けながらコロクの言葉通りの位置に添える。

 

『そしたらポーズを決めて……』

 

コロクの言葉を合図にまず心臓の辺り通りながら左右の手を斜めに伸ばす。ケロで完全には伸ばしきらず、途中でそれぞれの腕で円を描く。この時、右腕は肩を回し小さな円を、左手は腕で全体で大きな円を描きながら、腕が交差する時に左手を右手の下をくぐらせる。

 

文章にすると訳分からなくなりそうだが要は両手で一気にメビウスの輪を描く事を意識すればいい。この後は勢いのままに右手を肩の辺りまで引き絞り、左手は一気に正面へと伸ばす。

 

「変身」

 

チェンジ・ウィッシュ!

 

短くけれどしっかりとかつてより紡がれ続けた戦士に変わる掛け声を口にし掌でスイッチを押す。するとケルスの中央の顔が宝石に噛みつき闇が溢れ出した。その様子を他所に手の形はそのままに両腕を地面の方へと伸ばし胸を張る。

 

『ベルト上部のスイッチを押す事で仮面ライダーウィッシュ アミナスへ変身だ!』

 

コロクの最後の解説が入る中でイネインエネルギーが僕を包み込み、その身体を作り替える。

 

アミナス!

 

ベルトから変身完了を告げる音声が鳴り響く中、闇の中からその姿を露にする。地獄の門番・ケルベロスをモチーフとした仮面ライダーウィッシュの基本形、アミナスの複眼が赤く輝く。

 

「____はい! 録画終わったよ~」

 

最後に適当なポーズを決めたら春菜先輩が満面の笑みと共にこちらに駆け寄って来る。

 

「あ、やっぱり写真も撮りたいからもうしばらく変身してて!お願い夢く…… じゃなくて、ウィッシュ!」

 

『いいけど、後でオイラの事もカッコよく撮ってくれよ~』

 

掌を合わせ申し訳なさそうに目使いでこちらを上見つめてくる春菜先輩。その言葉に誰でもないケルスが答えるがウィッシュドライバーへ変形している現状、僕の脳内および特殊通信してるコロクにしか聞こえてない。

 

「後でケルスが自分も撮ってだって」

 

「まかせてよ!」

 

なので春菜先輩には僕の言葉で伝える。二つ返事で了承した彼女は僕の元を離れ、再びスマホのレンズをこちらへと向けた。

 

『じゃあまずは、素立ちポーズから採っていくぞ』

 

この後滅茶苦茶写真を撮った。

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