森林に住まう夜行性の生物で100匹から多い時で1,000匹による持つ群れを形成する。主に寝ている得物に取り付き血管に向けて剃刀状の歯で皮膚を切り裂き、流れる血を舐め取るんだ。ナミチスイコウモリ唾液は血液の凝固作用を妨げる物質が含まれているからお腹いっぱいになるまで血を飲んじゃうんだな。
でもお腹いっぱいになると自重で飛べなくなる。そこで足が発達しており、歩く事や跳びまわる事ができるように進化してるんだ。
どこか前回戦ったソニオ怪人を思い出させるこちらの世界の生物だよな。
小さなコンサート会場に響き渡る音色。観客の視線を一身に受けスポットライトに照らされた小さな妖精はその指でピアノの基盤をなでるように鳴らす。吹けば吹き飛ばされそうな華奢な見た目からは想像できない、圧倒的な存在感を醸し出すクラシックな音楽を奏でるその姿は幻想的。
自身の窒素な頭脳では説明しきれない、いや言葉にすること自体が烏滸がましい。今はただ周りの観客と同じように彼女の音色に身も心も静かに委ねる。いつまでも聞いていたい妖精の演奏会だが、物語にエンディングが存在する様に、このコンサートにもフィーネが刻まれた。
その身体に比べ大きな椅子から立ち上がり観客へとお辞儀をする。その瞬間、拍車が巻き起こり、彼女は部隊の上から退場した。先の演奏の余韻を感じながら自身の中で渦巻く一つの夢物語。
あぁ、叶う事なら私の為だけのコンサートを開いてほしいものだ___
僕、紫吹夢の日常は戦士の力を手にしたところで大して変わらない。
太陽の影が見え始めた早朝に起きて埃っぽい部屋を軽く掃除する。隅から隅を掃除するのではなく目についた物を手ですくい取るだけでいい。だって自室となているこの部屋は窓や電球すらない物置部屋なのだから。
手に持ったごみを部屋を出て少し離れた所にあるごみ箱へと捨てるとそのまま厨房へと向かう。自炊しなきゃ、朝食は無いからね。手を洗い、賞味期限や消費日期限を過ぎた食材を取り適当に調理。この辺は前世の記憶があって良かった思う。
ソニオ怪人との戦い以降、異世界から来た機械の分も作っている。機械なのに食事をするのは僕の知識ではないが、彼らの世界では常識だったするのだろうか? そんな疑問を持ちつつも調理士が来るまでに盛り付けを終わらせ部屋に戻る。
ボロボロ………… だいぶ使い込まれた年代物の机に朝食を並べ、これまた使い古され中身が漏れ出てるクッションへと座る。そこに部屋の奥に雑多に積まれた物品の上に座っていたコロクが飛んで来た。
『毎日ありがとな』
「気にしないで………… 【ケルス】は?」
机の上に座り込んだコロクにケルベロス事、ケルスについて尋ねる。
『___ちょっと起こしてくるわ!』
しばらく考えた彼は背中の翼を羽ばたかせ、天井へ届くのではないかと錯覚する物の山の中へ消えた。コロクとケルス、彼らの
こちらの世界にとってオーバーテクノロジーの塊である彼らを家の人に見せずにいるには骨が折れそうだが、背に腹は代えられない。幸いにもこの部屋に来る人はいらなくなった物を置きに来る人ぐらいだし何とかなるだろう。
『おはよぉ~~』
眠たげな声が聞こえてきた。声の主に視線を向けるとそこには寝起きなのか6つの瞳が開ききってないケルスの姿が。そんなケルスの引っ張ってくるコロク。
「そろったし食べようか」
彼らと食卓を囲み食事をする。淡々と食べる僕、3つの口で勢いよく食べるケルス、一口一口味わって食べるコロク。このワンシーンだけで僕らの性格が露ている。
___さて、そろそろ読者のみんなも気にっているだろうし語っておこうか。僕、紫吹夢は【ネグレイト】されている。育児放棄と言えば伝わるのだろうか?
今の父親は仕事一筋の人だし、今の母親は玉の輿結婚なのもありアルビノ含めて持病を持つ僕を嫌っている。幸いなのは今父は本当に家庭内の事は興味無いようで社会的な事を考えて僕を学校に通わせ、家に住まわしてくれている現状。逆に今母は追い出したい模様。
詰まらい話はここまでにして使った食器類を洗い、いつもの格好に着替える。洗濯?そんな贅沢させてもらえない。ランドセルでは無くリュックを背負い、実質僕専用の出入り口となっている裏口へと向かう。玄関なんて使うものなら今母になんと言われる物か…………
「_____っげ!」
「………………」
___どうやら今日は運命に見放された日らしい。
廊下の曲がり角で遭遇した今の僕よりも身長が高い少女。彼女の名は【紫吹 神楽】、現世の双子の妹である。顔を合わせるなりキッチンに沸く黒い昆虫を見たような表情を浮かべた。
「おはよう、神楽」
「話しかけないでよ
互いに無言と言う訳にもいかないので挨拶をしてみたが邪険に払われた。手に持って行った大きな袋を地面に置き両手を煙を払うかように動かす。お姉ちゃん呼び名のも、邪険に扱われるのも、別に悲しさを感じない。
今の家族と家族みたいな関係を築けてない事に関しては、遺伝子はともかく中身は全くもって赤の他人なので気にも留める必要なし。ある意味では今の関係が一番いいのかもしれない。
話はそれたが神楽と廊下で出会う事を覗きて、以上が登校までのルーティンだ。
会社の不景気に巻き込まれ事実上のリストラになってしまった。だからと言って膝から崩れ落ちている暇などあるわけもなく、今日も面接を受け落ちる。最近はこんな毎日だ。
ふと辺りを見渡すと兎回ほどではないがビル群やコンビニが並んでいる。俺が子供の頃は瓦屋根の老舗が並ぶ通りで、コンビニ立っている場所には駄菓子屋あった。ことある事におばちゃんに無理言ってまけてもっらものだ。
「はぁ~~」
会社を追い出されずっと感傷に浸ってる。そんな自分が嫌になり思わずため息を吐いた。そんな俺の姿に通り行く人は一瞬だけ邪見の瞳で見つめてはそらす。いや、もしかしたら関心なんて持たれておらずただ通り過ぎているだけで、被害妄想で周囲の視線に怯えているだけなのか。
もう、俺に何が正しいのか分からない。ただ願うなら俺はもう一度、あの妖精の演奏を聴きたい。そう過去に浸りながら最近拾った綺麗な石を加工したネックレスに触れる。日光を受け青く煌めく石を親指で優しくなでると一先ず、朝食を食べるためにファミレスへと向かうのだった。
誰よりも家を早く出て、誰よりも遅く学校にたどり着く。
「おはようございます」
「おはようございます、紫吹さん」
入学してからクラスの担任よりも関わっている桜先生とあいさつを交わし、荷物を置くといつもの様にベットの中へと潜り込む。学校に付いたら手洗い以外は保健室で下校時間まで過ごす。入学式翌日からのいつもの光景だ。
前世の頃だと退屈と感じていたかも知れないが、今は別に何も感じない。前世の記憶がある手前、小学生それも1年に交じって過ごせる自信もないし、現状が最適なのだろう。
桜先生が保健室から出たのを確認し、リュックに忍ばしたケルスが外に出てくるのを視界に留めながら僕は眠りに就いた。
『お休み、夢』
瞼を閉じた時にケルスの声が聞こえた気がした……………
場面は変わり、風柴町にある小さな携帯ショップへと来ていたコロク。
『ふ~ん………… この世界の通信デバイスは通話だけや文面送信だけでなく、地図や大規模な情報を収集・閲覧が可能なのか。俺達の世界じゃない発想だな』
その手でモデル展示されている実物をさわって確かめながら感想を溢している。そんなコロクを様子を3歳ぐらいの男の子が見つめていた。視線を感じて少年の方に向いたがコロクだったが目が合った瞬間、少年は脱兎のごとくその場を離れて行った。
『___夢が俺達の事をオーバーテクノロジーと例えるのはこういう事か…………』
宙に浮かべたトライデントに座り顎に手を添えて思考の海へと潜るコロク。
(こうやって外を出歩くよりもショートワープで夢の元に向かう方が良いな。しかし俺はともかくあのバカにはそんな機能は備わって無いし、なりより夢の意志で呼び出せる方式の方が良いだろう。となるとソニオ結晶の活性化場所が夢に分かるようなデバイスもいる。なるほど、このスマホと言うは使えそうだな)
翼をマントのように身体に巻き付けながらコロクの頭の中でとある構想が組みあがっていく。
(目的地までの移動手段にはアレが良いだろう。ならば目的地まで案内はマップではなく先行する小型デバイスが理想的か。悪路や道なき場所を進む為にはあのシステムの応用で、非変身時に対応するには…………ッ!)
しばらく考え込んでいた彼だったが何かを感じ取ったのかトライデントから立ち上がり?その手に握る。
『このエネルギー量………… 恐らくソニオ怪人だな』
コロクの機能の一つであるソニオ結晶活性時に発生するエネルギー感知システムが作動したのだ。
『この方角、夢の小学校へと向かっているのか。まぁ、あのバカがそばにいるし問題ないか』
『バカって誰の事だよコロク!』
エネルギーの動きから事態の深刻さを感じなかったコロクは視線をモデル展示品へと向けた頃、床の方から声がかけられる。
『ケルベ………… なんでここにいるんだよ!?』
『そんなの学校の外を探検してたらソニオ結晶の活性化を感じて、走っていたらコロクの姿を見つけたからだ。色々物申したいが今は後回しださっさとソニオ結晶の所へゲートを開いてくれよ』
そこに立っていたのは脳裏?に浮かべていたケルスだった。彼の存在に思わず二度見してしまったコロク。そんな彼に構うことなく用件を伝える。そんなケルスの様に頭を抱える。
『あのな今のソニオ結晶の数値的にソニオ怪人なのは確定でしょうが!』
『数値って言われてもオイラには分かんないぞ……』
『…………あぁ、こいつは感知できるだけで数値は測れないんだった』
3つの顔の内、左右二つの顔で落ち込むケルス(微妙に表情は違う)。一方コロクはトライデントを床に向けながら矛先にエネルギーを溜めていく。
『こうなったら仕方ない。夢と合流して学校で迎え撃つぞ』
『おう! ……………怪人じゃなかったらオイラだけでもなんとかなるのになぁ~』
矛先から放たれたエネルギーが床に落ちるのを見ながらケルスが呟く。その声は誰かに拾われる事無く、床に淡い緑の光の渦が出来上がる音にかき消された。