仮面ライダーウィッシュ   作:火野ミライ

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第3話.クリスマスプレゼントはトラウマ⁉(C)

何処までも広がる暗闇の中、深海に沈むかのように夢がいた。瞳を閉じ、力なく呪力に身を任せるその様は死人のようだ。

 

ー 怖いなんて言ってられない! ー

 

そんな夢に語り掛けるかのように響き渡る言葉。それは夢になる以前よりも前から、憧れていた一人の戦士の言葉だった。

 

ー 仮面ライダーを動かす力 ー

 

この言葉を紡ぐ彼に与えられたのは水の力で戦う仮面ライダーの力。しかしながら彼は水が苦手であり、その力を自在に使う事が出来ずにいた。

 

ー 俺に足りなかったのは、勇気だ!! ー

 

そんな彼が出会ったは欲望のメダルを使い戦う過去の仮面ライダーに出会った。彼の話を聞き、戦う決意を固めた彼は苦手な水をその身に纏う勇気を振り絞る。

 

そんな彼の言葉を聞き夢の瞳が開くと共に眼前に浮かび上がらる一筋の光。

 

(__変身)

 

声には出さず心の中で戦士に変える言葉を紡ぎながら、光に向けて上した掌を閉じた。その瞬間、巻き上がる風が夢を優しく包み込み、その姿をアミナスへと変えた!

 

 

 

 

 

夢が精神世界での出来事えて、覚醒する。

 

『コロク、夢のバイタルが元に戻った』

 

地面に横たわっていたウィッシュがふら付きながらも起き上がり新たな仲間、神甲虫に跨りハンドルを握りしめる。

 

『大丈夫か、夢?』

 

「__大丈夫」

 

心配するコロクの言葉に小さく頷くと神甲虫を走らせ、カラスソニオを追いかけ始めた。

 


 

いつの間にか粉雪と呼べるほどに本降りとなった天候。そんな風柴町の上空を飛ぶ黒き畏敬の影。カラスソニオが翼を羽ばたかせ、地上走る車よりも遥かに速い速度で進んでいた。

 

「ヒィ…………ッ!」

 

空を自在に飛び逃走するカラスソニオの足元、今は一般的に使用されず碌な手入れをされていない旧道をスーパーマシンに跨り追うのもまた黒き畏敬の影であった。ウィッシュの姿を目にしたカラスソニオは本能から来る恐れの声を零し、地上に向け羽を放つ。

 

「行ける?」

 

雪と共に地上に降り注ぐ羽、その光景を他所に呟くように語り掛ける。その声に答えるかのように神甲虫のヘッドライトが淡く点滅した。

 

「よし、行くよ」

 

小さくウィッシュが呟くとスロットを上げ加速する。爆炎の輝きが雪結晶に反射して幻想的な景色を作り出す中で赤い瞳を輝かせ、蛇行運手で回避し駆け抜けるウィッシュ。徐々にカラスソニオとの距離を縮めていく中でウィッシュを狙う羽の制度も上がっていき、公道へと合流する道のそばにやって来た時、ウィッシュは爆発の中へと消えてた……

 

その事に安堵したのか高度を下げながらゆったりとした速度で飛行し、そのまま俯瞰するカラスソニオ。そこに人がる景色は仕事帰りの車や楽しげに話す親子を乗せたタクシー、仲睦まじい男女が乗るバスなどクリスマスイブにふさわしいありふれた日常。

 

「…………ッチ! リア充爆発シロォォォォオオオオオオオオオオ!」

 

幸せを謳歌する人々に怒りの形相を浮かべ翼を羽ばたかせると地上を走る車軍に向け、空爆の如く羽を撃ち出していく。

 

「なんだアレ?」

 

「うわ……っ!」

 

白い雲と舞う雪の中に姿を隠すカラスソニオの姿に人々が築き始めた頃、黒い羽根は触れた物を中心に破壊していく。人々が恐怖に震え一部の車が横転する中、爆炎を突っ切るのは一台のバイク。

 

「スゲェ…………!」

 

神甲虫の左右に伸びる八つのラインが光を放ち、周囲に半透明のバリアを展開したまま無傷で走行する。爆発により揺れ、飛び散る破片を気にも留めに進むウィッシュの姿にひとりの少年が言葉を零した。

 

ケルベロス!

 

「____ッ! もう駄目だ!」

 

アミナスブレイズ!

 

フロントガラス越しに自身の車に迫る羽を黙視した男性サラリーマンが顔を青く染め絶望する一方、ハンドルから手を放しベルトを操作するウィッシュ。男性が視線をそらし腕で顔を覆う中、イネインエネルギーを溜めた右腕を振るう。

 

すると狼の顔の様に変化したエネルギーが放たれ、羽を食いちぎり車を脅威から遠ざけた。本来は打撃技の【アミナスブレイズ】を応用し、開発者の想定してない遠距離攻撃とし使って見せた夢。その様子に遠くで見守っていたコロクが驚く中、ウィッシュの脳裏に直接ケルスが語りかける。

 

『よっしゃ、このまま行くで夢!』

 

「決める…………」

 

勢いよく神甲虫を宙に舞いあげる中、スピードパラメータのそばに設置されたモニターに浮かぶアイコンの内、バッタシルエットが描かれた物をタップ。周囲に張られたバリア【イネインブロッカー】が迫りくる羽からウィッシュを守ると同時に神甲虫から電子音声が鳴り響く。

 

神虫・イネインチャージ!

 

神甲虫から放たれた光球はカラスソニオを捕らえ真っすぐと進む。高度を上げ回避しようと試みていたカラスソニオであったが胴体に命中、光の網が拘束し動きを制御。徐々に落下していくその姿を見つめながら今度は【アクションパネル】のバイクアイコンをタップ。

 

テンタティブロード!

 

すると車体と水平になるように半透明の道が生成されるのであった。その道の上を迷いなく走行するウィッシュ、その複眼は自然落下するカラスソニオを映していた。車体と同じ緑色の輝きを纏い、一気に速度を上げる。

 

【イネインオーラ】を神甲虫の全体を覆う事でオーラが矛先の様に鋭利に尖った状態で相手を貫く必殺の一撃、【イネインブレイク】がカラスソニオの胴体に命中。全身を追うソニオ結晶が対消滅で徐々に分解され、爆炎の中で取り込まれていた人が晒される。

 

意識を失っている男性を空中で回収、横腹に抱え込み神甲虫の自動走行で安全に着地。男性を道の脇にそっと下すと再び神甲虫のハンドルを握りしめ、その場から去って行く。

 

「すげー!!テレビのヒーローみたいだ!」

 

「ねぇ、ちゃんと取られてる?」

 

雪景色に消えて行く黒い背中を人々は見えなくなるその時まで見つめていた。

 


 

時刻は巡り、屋根や道に雪が積もる戦いを終えた夜。小波家のリビングにて小さなクリスマスパーティーが開かれていた。

 

「「「『『乾杯!!』』」」」

 

「___乾杯…………」

 

机の上に広げられたケーキやローストチキンと言った豪華な品々を視界に留めながら4つのコップが重なり音色を響かせる。部屋には申し訳程度の装飾がされており、コロクとケルスはぬいぐるみ用のサンタ帽をかぶって小波の人々と共に料理に舌をうっている。

 

その様子に夢はもちろん、小波家の面々も疑問に思っていない。長女である春菜は無垢な子供故にこういうのだと疑問に持たず、小波夫婦は今時のペットロボは食事もするのかと技術の進歩はスゲーと言う認識のようだ。もっともこの夫婦は旅行・旅好きであり、世界の不思議現象に触れてきたからと言うのもあるかも知れない。

 

「夢君もコルっち達みたいにいっぱい食べてね」

 

「そうだ、そうだ!男の子なんだから遠慮せず、ジャンジャン食ってけ!」

 

「___はい」

 

机の隅でケーキをチビチビと食べていた夢の後ろからトナカイの角を模したカチューシャをつけて笑みを浮かべる春菜。そんな彼女に同調するかのように小波父がローストチキンを乗せた皿を夢の前に置く。そんな親子の様子に表情一つ変えず返事をする夢。

 

「こら、春菜もあなたもそんなに寄ってたかったら紫吹君も食べずらいでしょ」

 

「は~い」

 

「すまん…………」

 

何気ない家族の会話を他所にイチゴを口に運ぶ。普段からまともな食事をしていない夢の胃は小さくケーキ一つ食べきるのさえ、それなりの時間が掛かってしまう。その事を誰よりも理解している彼ではあるが、気にせずパーティー参加するのだった。




 WAREコラム 

【ウィッシュガジェット:神甲虫】
 仮面ライダーウィッシュが搭乗するバイク。ウィッシュガジェットの型式は「神虫型バイクガジェット」であり、地球の伝記にて語られる善神「神虫」がモチーフ。
 最高時速:669km/hを誇り、「フィルターパイプ」から排出される余剰エネルギーはその地に存在する自然物質に変化されてから放出させるエコ使用。自己進化AIが搭載されており自動走行はもちろん、会話は不能だがコミニケションを取る事が可能だ。

【カラスソニオ怪人】
 風柴町に住む独り身の男性の「リア充爆発しろ」と言う願いと共に「ソニオ結晶」が取り込んだ事で誕生した怪人。
 腕と一体になった黒い翼で飛行するだけでなく、その翼から放たれる羽は着弾と同時に爆発する性質を持つ。人間でいう手の部分には鳥類独特の爪が生えており大型トラック程度であれば容易く切り裂けるようだ。
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