fate/dragon orders 作:ファイティングポーズ
これは、本来歴史になかったはずの闘い……
その、始まりの記録である。
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遠くの地で、お前を呼ぶ者がいる-
強き戦士よ..さあ、姿を見せるのだ
何者かに呼ばれている。自分達と共に闘ってほしい。
誰かにそう..願われて
目が覚めると見知らぬ場所に居た。ここは何処だろうか、
辺りを見渡すと、すぐに異様な空間だと分かる。なにせ巨大な歯車が宙に浮いて回転しているのだから。
しかしなぜだろう..異様な空間であるのに妙に神聖さも感じる。
そう目覚めたばかりの思考を働かせていると..
「貴方ですか、俺と共に闘ってくれる強い戦士は」
そう後から呼びかけられる。後を向いて姿を確認すると、成る程、彼が自分を呼んだのか。そう確信できる格好をしていた。
剣を背負い、こちらの方へ向かってくるその男はただ向かってくるだけなのに、とてつもない気迫を感じる。肌がピリつく様な、強者だと直ぐ理解できるモノが
男は歩みを進め、遂に自分の数歩近くまで来た所で歩みを止めた。
「突然の出来事でお困りでしょうが、少しばかり貴方の力を見せてもらいたいので手合わせ願います」
そう彼が喋ると共に、急に手合わせをしたいと言ってきた。
目つきが変わり、背中に背負う剣を取り出す動作をしたかと思えばこちらへ超スピードで切りかかってきた。
すぐさま、攻撃の気配を察知しなんとか空中へと飛び避ける。
こうなったら闘うしかない、そう思わせる程の攻撃の重みを力で感じ取った。
「..闘う気になってくれましたか、では行きますよ。貴方の力を見せてください!」
闘いの火蓋は切り落とされた。
自分は相手と距離をとり、間合いをとっていく。彼の攻撃スピードはとても速く、油断をしていなくとも少しでも判断を誤れば攻撃を貰ってしまうと思ったからである。
彼も自分の力がまだ未知数である為か、距離をおき、どの様にして攻撃を行ってくるのかと考えている様だ。
..少し時間が経過し、このまま両者とも距離を保ち続けては意味がないと思いこちらから攻撃を仕掛けた。気と呼ばれているエネルギーを彼に向かって球の形に変え、まるでマシンガンのように手から放出していく。さらに追い討ちをかけるように巨大なエネルギーの砲撃を彼に向けて放つ。
彼もまた、自分と同じように気を使い応戦した。
「成る程、さすが神龍に選ばれるだけの事はありますね。一発一発が重い…いい力を持っている。これなら…なっ!」
気で応戦し終えると、驚きの表情で彼が攻撃していた場所を見た。消えていたのだ、その場所から。
その事に気を取られ、彼が自分の後に移動しているのに気がつくのに遅れをとった。背後からくる彼のパンチを間一髪受け取り、そこで試合終了の言葉が出た。
「流石です、想像以上でした! これなら問題は無さそうですね」
よかった。試験にはどうやら合格のようだ。
ふぅ、とどっと緊張を緩め体から力が抜けていく。緊張と安堵の両方が解け地面にずてっ、と尻をついた。
..それにしても、さっきの攻撃を見切っていたのは驚いた。しっかり相手のターゲットを気弾に向かせ誘導し彼の背後を取ったというのに。
まさか瞬時に気配を察知し、攻撃を受け止めるとは思いもしなかった。完全に当たったと思っていたのに..やはり彼は戦闘のプロだ。と、そう認識させられたのだった。
「あはは..本当にすみません。いきなり襲いかかってしまい…こちらとしては早く貴方の力を知りたかったもので、やっぱり事情を説明してからの方が貴方としてもよかったですよね」
分かっているのならそうしてほしかった、と心の中で愚痴を突っ込む。がそれが出来なかったのには何かしら理由があるのだろうとも思った。
..そういえば、彼は何という名前何だろう。急なゴタゴタで考える時間が無かったので頭からすっかり抜け落ちていた。
彼に問いかける。貴方の名前は何というのか、そしてここはどこでなんなのかと。
そう問われると彼は、ハッと思い出したかの様な表情をみせてから自己紹介と説明をしてくれた。
「そういえば自己紹介と説明がまだでしたね。俺の名前はトランクス。色々あって、今はこの世界で働いています。みての通り、此処は俺や貴方の知っている世界じゃありません」
そうトランクスという名の青年は、こちらをしっかりと見据えた様子で真剣に話を続ける。
「トキトキ都と呼ばれる、時の流れが集まる世界なんです。
俺達はここでタイムパトロール、正しい歴史の流れから外れ、間違った未来を生んでしまう、歴史の改変を元に戻す仕事をしています」
「タイムパトロール隊員は、あらゆる時代で闘う事になります。..時には、伝説の武道家や超パワーの戦士達とも…どうですか?貴方の力がどこまで通用するのか、ここで試してみませんか?」
そう彼から説明された。色々と直ぐには理解できない情報があり上手く纏められないが、取り敢えず今分かった事としては、自分の力をタイムパトロールという組織が必要としている事。
そしてそのタイムパトロール隊員となって本来の正しい歴史へと持っていくという事…断る理由もない。何故なら自分は彼に願われて、共に闘ってくれる戦士として呼ばれた者なのだから。
自分はついていた尻を持ち上げ、腰に手を当てながら起立する。そして左手を彼に向けて、よろしく、と言い手さし伸べた。
彼はその動作を見て少し驚いたような顔をしたかと思えば、今度は嬉々とした顔になり、彼もまた左手を出し握手を交わした。
「こちらこそ!宜しくお願いします!」
そう嬉しそうに、元気よく返事をしたあと、
「あっ、そうだ、貴方のお名前はまだ聞いていませんでしたね。何というんですか?」
そう聞いてきたので自分も簡単な自己紹介をした。
自分はゼノという名である事、トランクスと共に闘い歴史を守り抜く仕事がしたいなど、そう話すとトランクスは相好を崩し、感謝の言葉を口にした。
「ゼノさん..ありがとうございます。…ではついてきて下さい。これからゼノさんにはタイムパトローラー、その一員として過去に行き、歴史の改変を今から直しに行ってもらいます」
そう言った彼はスタスタと歩み始める。今からとは急だな、とは思いつつも自分も足を前へと進め、歩みを始めた。期待と不安がありつつも、過去へ行ったらどんな人に出会えるのだろう、どんな事が待っているのだろうと少しワクワクしている自分がいた。
歩き始めてから少し経って、目的地に着いたのかトランクスは歩みを止める。
「ここは、時の巣です」
と彼は話す。辺りにはガラクタのような物がところどころに散乱していたり、少し大きな家のような建築物があったりしていて、色々と驚かされた。中でも目を見張ったのが時の巣の中心地にある巨大な蔵。いかにも重要そうであるのは初めて見る自分でも理解できる。
「この場所を管理しておられる時の界王神のお住まいと、刻蔵庫、時の巣の中心にある巨大な蔵の名前で、大事な書物が入っている倉庫があります」
「是非お願いしたい仕事があるので早速ですが、刻蔵庫へ行きましょう」
そう言って、また彼達は刻蔵庫へと歩みを進めたのだった。
..刻蔵庫の中へ入る。中はドーム状の形になっており外とは違い、とても質素だと感じた。周りには台座や本棚しかない。必要な物以外は置いていないのだろうと思わせるような空間だ。
自分が刻蔵庫を鑑賞している一方、トランクスはある台座の上に大事に置かれている巻物を、ゆっくりと丁寧に両手に持ち、真ん中にある台の上に広げ始めた。
何だろう、とトランクスが広げた巻物に目を移す。
これは何?とトランクスに問いかけると、訝しげに巻物に目を見張ったまま話を始めた。
「コレは、終わりと始まりの書。宇宙の時間、歴史の流れ、全てが書き記された巻物です。ですが…いえ、まずはこれを見てください」
そう彼が巻物を見るよう促したので、巻物の方に目を見張り意識を向ける。すると巻物から映像が流れ始め、じっくりとそれを見始めた。
—————AGE-761–
一面に広がる澄み渡る青空、その下の緑の大地で弱々しく父親の名前を呼び続ける子供がただ1人。
「うっうっ、お父さん、どこに行っちゃったのお父さん…おとうさーん!」
子供の父親は消えていた。いや、父親だけではない。その父親の仲間である者と敵である者まで..まるで存在を無くしたように、世界から切り離されていたのだった。
トランクスはこの不可思議な現象について語ってくれた。
「ご覧の通りです。本来ならその場にいるはずの存在が消えてしまっている…貴方の伝え聞いている歴史とは結末が変わってしまっているはずです」
確かに自分が知っている歴史とは違う。
本来であれば、あの子供の父親である孫悟空とそのライバルであるピッコロが手を組み、宇宙から強襲してきたラディッツと呼ばれるサイヤ人を孫悟空の命を犠牲に何とか倒す。
そういうストーリーだった筈だ。
「俺達の手で、本来の結果に戻し、歴史の改変を直さなければなりません。ゼノさん..貴方の力で悟空さん達を助けてあげて下さい」
そういうと、また別の巻物を台座から取り出し、それを自分の手に渡してきた。
「コレは別の時空の世界の巻物です。何故、別の時空が話に出てくるのか、簡単にお話しします」
そうやって、彼は語り始めた。
「まず、私達が一般的に知っているであろう孫悟空さん達が
生きる歴史、先程見せた巻物がそうですね。ですが、さっき見せた映像には孫悟空さんやピッコロさん、ラディッツ..この3人が消えているのです。この歴史にとても重要な3人の人物が…
俺達タイムパトローラーは必死に何処へ消えたのか、あらゆる手段を用いて捜索しました。
そしてある日、俺が別の時空の刻の書物を片付けている時に違和感の様な..邪悪な何かを感じる巻物を見つけたのです。俺はそれを詳しく調べ上げました…本来、他の時空の世界を見るというのはあまりよろしくないのですが…
そうして探っていく内に、ようやく巻物が放つ違和感の正体を見つけたのです」
「何故違和感を感じたのか、それはその世界に、本来いないはずの存在が生きていたからです。
…ここまで言ったのなら、勘のいい貴方なら分かるでしょう。..そうです。貴方が持っている巻物の世界、別の時空に悟空さん達やラディッツが生きていたのです」
そう話す彼の拳には静かに力が入り、自分の不甲斐無さを感じるような苦悶の表情を浮かべている。
もっと俺が早く気づいていれば..そんな風に彼は考えているのだろうと、彼のタイムパトローラーとしての責務と意識の高さに自分も見習わなくてはと思った。
「なので、貴方にはこの別の時空の世界に行ってもらい、悟空さん達と共にラディッツを倒してほしいのです」
そう彼は言う、だが話を聞いて疑問に思う所があった。
別の時空で本来いないはずの人物を倒してしまって良いのかと。彼にその事を問いかけた。
「大丈夫ですよ。別の時空で倒されたとしても、それは本来倒されるべき相手ですから。倒された後は、自動で元の時空へ戻されます。1番まずいのは、本来その時ではまだ死んでしまわない者の死です。もし仮に死んでしまった場合、本来ある歴史の流れが変わってしまい、新たな歴史を生んでしまいます」
トランクスの説明を聞き納得する。
取り敢えずはラディッツから悟空達を守護し、何とか正史と同じような流れに持ち込めばいいんだな。
という事は、まず悟空達を見つける事が重要だと念頭に置き行動しなければ。
「ゼノさん…貴方の力で悟空さん達を助けてあげて下さい。
」
彼は神妙な面持ちで自分に話す。彼のそんな様子に対し、自分はもう覚悟はできている、だから大丈夫だ。という様な顔で彼を見た。
顔には自然に笑みが入っており、それを見てトランクスは、頼んだと言わんばかりに腕を上げこちらにグッドの手を送る。
「では、頼みましたよ」
そう彼の言葉を最後に体が白い光に包まれ、時空を移動した。
—————AD.2004–
真っ白な視界が徐々に赤く染まっていく、恐らく移動が完了したんだろう。そう思っていると、クリアになり鮮明になる世界に目を見張って、驚愕の表情を浮かべた。
辺り一面、見渡す限り一様が火の海..
獄炎の炎により建築物は倒壊し、人間の生気を全く感じさせない、酷く恐ろしい地獄の様な世界だった。