白い悪魔と赤い彗星   作:ガミ2199

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大人たち

「学校はどう?楽しい?スレッタ」

 

「うん!楽しいよ!友達もいっぱい出来て、やりたいことリストも……あ!あとアムロさんとも友達になれたよ!」

 

「そう。良かったじゃない。アムロくん、いい子でしょ?」

 

「うん!とても強くて、優しいの!」

 

「でしょ?彼も若い頃からあなたと同じように彼もパイロットをしてたのよ。あの子のテクニックを学びなさい。……ごめんねースレッタ。お仕事の時間なの」

 

「うん!じゃあねお母さん。お仕事頑張って」

 

「えぇ」

 

 プロスペラ・マーキュリーはゴドイが部屋に入ってくるのを見てスレッタとの通信を切った。

 

「娘さんですか」

 

「えぇ。無事に彼と接触できたみたいよ」

 

 プロスペラはヘッドギアを被りながらそう答えた。

 

「新型機の1号機がロールアウトしました。ご覧になりますか?」

 

 ゴドイはプロスペラにタブレットをゆっくりと手渡した。ゴドイからタブレットを受け取った彼女はしばらく俯きながらそれを眺めた。タブレットにはワイヤーフレームで描画された新型GUND-ARMと各種諸元が表示されていた。

 

「……もうすぐよエリィ。あと少し」

 

 プロスペラは赤毛の元気な女の子を脳裏に浮かべながらそう呟いた。

 

「シャトルの準備はできています。こちらへ」

 

 ゴドイとプロスペラは荷物を持って長距離用シャトルに乗り込んだ。

 

 

ペイル・テクノロジーズ本社

 薄暗いラボの中でエラン・ケレスは検査着を着て椅子に座っていた。腕や顔には赤い斑紋が浮かび上がっている。

 ベルメリア・ウィンストン博士はそんなエランを見ながら検査機やパソコンを操作していた。

 

「身体に異常なし……生命維持にも問題なし。気分はどう?」

 

「……悪くはない。ただ、神経中に砂が入ったような……そんな感覚がする」

 

 エランは赤い斑紋が浮き出た腕をまじまじと眺めながらそう答えた。

 

「ならいつも通りね。分かってるとは思うけど、あまり無理はしないで。パーメットの流入値が基準値を大幅に超えているわ。これ以上……」

 

「死ぬんだろ。そんなことは分かってる」

 

 エランは生気の無い顔でそう言った。ベルメリアはその言葉を聞いて小さくため息をついた。エランは自分の寿命が迫っていることを理解していた。彼の体内では今、無数のパーメット粒子が様々な情報をもって血管や神経の中を駆け回っている。それはまるで小さな生き物のように脈動しながら彼の肉体を隅々まで巡っていく。

 

「検査は終わりよ。あなたの体はまだしばらくは持つわ」

 

「長くはない……か」

 

「……私はこれからファラクトの報告に行くから歩けるようになったら学園に戻って」

 

 ベルメリアはエランに背を向けてそう言うと静かに検査室を出て、4人のCEOが待つ会議室へと歩いて行った。

 

「遅かったじゃない」

 

 4CEOの1人であるゴルネリがベルメリアに嫌味を言った。

 

「すみません」

 

「じゃあ会議を始めましょうか。ファラクト、どうなってるのかしら?」

 

 カルがベルメリアに尋ねた。

 

「現在設計変更中でして……あと2日でロールアウトできると思います……」

 

 ペイル社の新型機〈ガンダム・ファラクト〉は本来ならもうロールアウトしている筈なのだが、アナハイムの〈Hi-ν〉やシン・セーの〈エアリアル〉が装備するビット兵器に大幅に遅れを取っていることが判明したためスタンビット〈コラキ〉の装備は見送られた。

 その代替としてアナハイムやシン・セーのビット兵器に対抗するために脳波誘導式のGUNDミサイルとそれらを装填した多連装ポッドを装備することになり、OSとアビオニクスの書き換えに時間がかかっているのだ。

 

「早くしてちょうだい。私たちはこれ以上他社に遅れを取るわけにはいかないのよ?」

 

 ニューゲンがモニターに映し出された〈Hi-ν〉と〈ナイチンゲール〉の決闘を見ながら発言した。

 

「そうよ。アナハイムがガンダムを開発したならジオニック、ジェタークもきっとガンダムを作り始めるわ。もしかしたらアナハイムにも魔女の生き残りがいるかも」

 

「それは無いと思います……。アナハイムのガンダムはヴァナディースの物とは全く違います……」

 

 ベルメリアは手元のタブレットを見ながらそう答えた。

 

━━━誰があの機体を作ったのかしら?オックスアースもヴァナディースも21年前に壊滅したはず。アナハイムが独自にガンダムを作れるとはとても思えない。

 

「あなたじゃなくてカルド博士が生きていたらねぇ」

 

「あんな〈ザウォート〉の性能向上版しか出てこないなんて。きっと博士ならエアリアルにもHi-νにも勝る機体を作ってくれていたでしょうに」

 

 ベルメリアはただ黙って俯くしかなかった。どんなに酷い扱いを受けても生き残るにはこの道しかなかった。カテドラルに追われていた時に救ってくれたのはペイル社だ。

 

「……次はもっと……今以上の物を……」

 

「あら。次なんてあるのかしらねぇ?強化人士のストックはあと3体しかないのよ?」

 

「それに次の機体はジオニック、ジェタークと同世代機よ?」

 

 CEOたちがベルメリアを批判するような口調で疑問を浴びせかけた。

 

「……善処します」

 

「期待しているわ。ベルメリア・ウィンストン博士」

 

 会議が終わるとベルメリアは深くため息をついて自室へと戻って行った。

 

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