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真夜中の路地裏では、男性が何者かから逃げるように走っていた。真後ろからコツコツと、足音を立てながら、逃げている男性を追い掛けている。
「………ブルーブラック。奴の現在地は?」
電話を掛けているのは、銀髪の長髪を靡かせている黒の組織メンバー、コードネームのジンだ。今現在、追跡対象になっている人物は、海外から来た潜入捜査官……通称、ノックである。スパイとも言えよう。
「……………わかった。」
「ジンの兄貴、奴は?」
「ブルーブラックからだ…逃がせ…だとよ。」
「またですかい?ブルーブラックの考えには、意味がわかりやせんぜ…」
ジンの相方であるウォッカが、ライターをジンに渡す。
「だが、奴の策でノックを始末できているからな。」
タバコの煙を逃がし、冷酷な笑みを浮かべているジンは、吸い殻を地面に捨て、靴で踏み消している。
「ブルーブラックに会ったことがあるですかい?」
「……無いな。奴はベルモットと同じ秘密主義者だが、奴の計画だけは信用はできる。」
「会ってみたいぜ。」
「何れ、会えるだろう。帰るぞ……」
ジンとウォッカは、車に乗り、立ち去っていった。その様子を見ていた男性は、急いで電話を掛ける。
「…逃げ切りました。予定のポイントまで、お願いします。」
電話を終えると、その場で休んでから目的地に向かった。
(なんとか、組織の情報を手に入れた。急いで、報告しないと…)
目的地である地下駐車場に到着した男性は、腕時計を見ながら迎えが来るのを待つ。すると、灰色の車が1台地下駐車場に入ってきた。男性を迎えに来たようだ。
「遅くなった。奴等の情報を掴んだ。」
「わかった。それと、携帯を貸してくれないか?今持ってるのは、表向き用の携帯しかないんだ。」
「…貸してやるから急いでくれ。」
運転手の男性が携帯を借りると、携帯の中身を調べている。それを不振に思った男性。
「……何をしているんだ!?」
「仕事だよ…ノックを始末する仕事。」
運転手の男性が、拳銃を取り出して発砲すると、男性が頭から血を流して、息をしなくなった。
「………任務完了。始末したわよ……ブルーブラック。」
運転手の男性はベルモットの変装だった。ノックである潜入捜査官をわざと逃がして、予め準備していたベルモットが変装して、潜入捜査官を始末する計画だ。
「ノックの携帯を手に入れたけど、どうするの?クールガイ…」
『今は任務中だろ。ベルモット…後、その呼び方はやめろ。ベルモットは、始末した捜査官に変装して、情報を集めてくれ。』
「了解。ブルーブラック…」
ベルモットは端末構成員に後処理を任せて、夜の闇に消えた。