組織の任務で、コナンとピンガはホテルにいた。今回の任務は、組織の裏切り者である末端構成員の監視である。表向きは、その裏切り者と合流して、取引任務となっている。
「まさか、お前と組むことになるとは…」
「ラムからの命令じゃ、仕方ないな。ジンよりはましだ。」
ピンガはベルモットの変装技術で、若い女性に変装し、コナンは眼鏡を取り、茶髪に染まっていた。
「………なんだよ。」
「その姿で、男声はやめろ。女性の声じゃないと違和感しかない。」
コナンに言われてしまったピンガは、何度か咳払いをして声を調整すると、少し高めの声に変わった。
「これで、良いのよね?」
「バッチリだな。それにしても遅いな…」
「何をやってるのかしらね?」
暫くすると、中年男性が集合場所に来たようだ。この男性が裏切り者の末端構成員で、ターゲットである。
「来たみたいだな。今から別行動だ。」
「了解。サポート頼むわ。」
コナンはピンガから離れると、ターゲットの男性の目の前で、転んでしまった。
「ボウヤ、大丈夫かな?」
「ありがと、おじさん!」
男性との別れ際に、小型発信器付き盗聴機を袖の中に仕込んでから離れた。男性は気づかないまま、ピンガに近づいた。
「今日はよろしくお願いします。市原さん…」
「こちらこそ、谷口さん。」
裏切り者…谷口は、笑みを浮かべると、取引任務の場所に向かうために、車を走らせた。コナンはラムの部下が運転する車に乗り込むと、指示を出した。
「前の車を追え、何があっても事故だけはするなよ。」
「了解しました。」
谷口の車を見失わず、気づかれない程度の距離を維持しながら、追っていく。
「……休んでる暇はないな。」
組織用の携帯で、ジンにメールを送る。指令を出すためである。
《ピンガがそっちに向かった。裏切り者も一緒だが、何があっても殺すなよ。裏切り者の所属を知りたいからな。》
《個人だったらどうする?》
(個人…ありえないが…なら。)
《拉致して、携帯を奪え。ベルモットに調べさせる。》
《ふん。得意の情報収集か?殺ればすぐに終わるがな。》
ジンのメール内容に、ぶちギレそうになるが、冷静になり、メールを送る。
《前のノック殺しで、ラムから怒られたのを忘れたのか?次、無駄な殺しをしたら庇えなくなる。》
《……………いいだろう。貴様の命令に従ってやる。》
《タイミングは、ピンガがする手筈になっている。》
ジンとのメールを終えると、谷口の車が目的地に到着するまで、休息をとる。
「目的地に到着したら、ピンガにタイミングは任せると、メールしてくれ。」
「わかりました。」
「ベルモットにも、メールしないとな。」
《準備できたか?》
《問題ない…いや、あるわね。》
ベルモットからの不吉なメール内容に、嫌な予感を感じたコナンは、聞いてみた。
《何が問題だ?》
《目的地の廃墟に、警察がいるわよ。公安みたいね。》
《わかった。ジンと他幹部に撤退させろ。公安と相手するのは、リスクが高い。キャンディーとコルンに、裏切り者の車が例のポイントを通過したら、タイヤを撃ち抜け。ピンガは此方で回収する。》
《了解よ、ブルーブラック…》
メールを終えたコナンは、運転手に指示を出して、暫く眠ったようだ。その頃、ベルモットはジンに電話していた。
「ジン。ブルーブラックから撤退命令よ。廃墟に公安がいたわ。」
『公安だと。捕まるリスクを考えたか?』
「例のポイント待機させているキャンディーとコルンに、裏切り者が運転している車のタイヤを撃ち抜け出そうよ。ピンガは回収するみたい。」
『……わかった。」
ベルモットは電話を終えると、珍しく冷や汗をかいている。想定外のことが、発生したのだから無理はない。
(あの末端構成員は、公安のノック。バーボンはシェリーの協力者。バーボンは…公安かしら?仕事が増えるわね。)
ベルモットはバイクを走らせて、アジトに戻った。