漆黒の青き名探偵      作:ノック

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工藤新一の過去編です。


過去編 
42


工藤新一は遊びから帰ってくると、救急隊員達が家から母親である有希子と父親の優作が、救急車に運ばれていくのを目撃した。

 

「………母さん、父さん!?」

 

「君は息子さんかな?お母さんとお父さんが、倒れていると、連絡があったんだ?」

 

救急隊員の話だと、女性から病院に連絡あって『友人が倒れているから助けてほしい』と言われたらしい。救急隊員が家に入ってみると、有希子と優作が倒れていたようだ。

 

「父さんと母さんを…助けて!」

 

「ボウヤ…私と一緒に、病院に行くわよ。」

 

新一は黒服を着ている女性を警戒したが、救急隊員は「あの人が連絡してくれたんだよ。」と言ったため、警戒心が消えた新一は救急車に乗り込んだ。

 

女性は黒い携帯を取り出すと電話を掛ける。

 

「ラム……例の組織が動いたわよ。」

 

『あの夫婦はどうなりましたか?』

 

「一足遅く…襲われたのか、昏睡状態に…一応、組織の病院に搬送させるわ。」

 

『我々が求めている情報を持っている可能性が高い…あの夫妻を襲撃するとは……ベルモットの判断に任せます。』

 

「あの夫妻のボウヤはどうするの?」

 

女性が新一をどうするのかを…ラムの判断を伺うと、思いかけない指示が出された。

 

『あの少年は、あの夫妻の息子。組織にスカウトしなさい。まだ生かす予定だったターゲットを襲撃したのですからね。例の組織には…制裁しなければ…なりません。』

 

「だけど、あのボウヤは小学4年よ。早すぎないかしら?」

 

『組織のメンバーに、年齢は関係ありません。条件を出せば…組織に加入してくれるでしょう。全くの偶然ですが…』

 

「わかったわ。その条件とは?」

 

『あの少年に、復讐を提案させてみては…どうですか?まあ、貴女に任せしますよ…ベルモット。』

 

女性…ベルモットは電話を終えると、車に乗り込んで組織系列の病院に向かう。

 

(私の親友を襲うとは。ラム…切れてたわね。どうやって、あのボウヤをスカウトするか。正義感がありそうだから、犯罪組織に入るとは…思えないけど…)

 

 

 

 

 

 

組織系列の病院に到着したベルモットは、病院内に入ると携帯の電源を切り、受付の人に封筒を渡す。中身を見た男性はカードキーをベルモットに渡した。

 

「例の少年がいる部屋のカードキーです。一応、薬で眠らせています。」

 

「暴れなかった?」

 

「大人しかったですよ。一番辛いのは、あの少年です。」

 

「………そう。」(組織の人間でも、悲しみの感情を持つ人間もいる。珍しいけどね…ジンとウォッカは論外かしらね。)

 

カードキーを受け取ったベルモットは、病院内にあるエレベータに乗り込むと、ある仕掛けを作動させて、地下に降りていく。

 

 

 

 

 

その頃。新一が目を覚ますと真っ暗で、何も見えない室内に寝かされていた。目の前にはモニター画面があった。

 

(この部屋は…確か、病院に向かってから…)

 

新一は病院に到着以降の記憶がない。眠らされていたので、仕方ないのだが…

 

モニター画面が光るとNo.2と表示されて、設置されているスピーカーから声が…

 

『目覚めたようですね?工藤新一…』

 

機械音声に新一は、警戒心を露にしつつ言った。

 

「お前は誰だ!」

 

『………私は、組織のNo.2。コードネーム…ラムです。病院に連絡したあの女性の上司です。』

 

「コードネーム…ラム……お酒の名前?」

 

『ほう。知っていましたか。なら…話が早い。私は貴方をスカウトしたいのです。我々の組織に…』

 

新一は耳を疑った。子供の自分をスカウトしたいと言ってきたからである。ラムは『犯罪組織の構成員として』と発言した。

 

「俺は…犯罪組織には、入らない!」

 

『それでもいいですが…新一君。貴方は両親を助けたくありませんか?』

 

「……………」

 

ラムは新一に、取引を持ち掛けようとしている。

 

ラムから提示された取引内容は、新一が組織に貢献する見返りに、昏睡状態に陥っている有希子と優作の治療費、入院費を肩代わりすると申し出た。

 

新一は小学生でありながら、知能が高いのに着目したラム。

 

『新一君が組織に貢献すれば、組織内で高い地位を獲得できます。最初は知識を蓄えてもらいますが…更に、組織を裏切らない限り…ある程度の自由を与えます。監視付きですがね…』

 

「………俺は、人を…殺したくない…父さんから教わっているから…悪いこと。」

 

『よろしい。私は新一君の頭脳を借りたいだけですよ…君が、殺人を拒むなら…それでも構いません。どうしますか?』

 

新一は嫌々ながら、ラムのスカウトを受け入れた。黒の組織に加入した瞬間だった。

 

 

 

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